フルールドセルとは?
「フルール・ド・セル」とは、海水から塩が生まれるときに一番最初にできる塩の結晶のみを集めたもののこと。海水の表面に塩の結晶が広がる姿がまるで花が咲き誇っているようであることから、世界各地で「塩の花」と呼ばれています。
少量しか採取できないので、希少性が高く、ワンランク上の塩として扱われています。
フルールドセルの選び方 塩料理研究家が解説

Photo by David Monje on Unsplash
世界各地の塩田で古くからおこなわれている塩づくり。そのなかでも、表面にできた塩の結晶だけを集めたのが塩の花「フルールドセル」です。
塩料理研究家の青山志穂さんに、フルールドセルを選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。
【1】成分表示を見る
【2】粒の大きさで選ぶ
【3】結晶の形もチェック
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】成分表示を見る
「フルールドセル(塩の花)」は、一般的にナトリウムの構成比が高く、しょっぱさが強い傾向があります。しかし、そのなかにもうまみや苦味を感じることができるものなどもあり、味わいはさまざまです。
ナトリウム(または食塩相当量)が多ければしょっぱさが強く、少なければしょっぱさが弱いので、パッケージ裏面の栄養成分表示を見て自分好みのものを選びましょう。(商品によっては記載のないものもあります。)
【2】粒の大きさで選ぶ
「フルールドセル(塩の花)」は、まだ熱があまり通っていないときにできる結晶で、その大きさが通常の塩に比べて少し大きいことが多い傾向があります。
粒が大きければ溶けるのに少し時間がかかるので、トッピングに使う、溶かして使うなど、用途に合わせて粒の大きさを選びましょう。ふり塩にするときは、あまり大きすぎると食材に付着しづらいので考慮しましょう。
【3】結晶の形もチェック
「フルールドセル(塩の花)」は、時に美しいピラミッド型やフレーク(板)状を成すことがあります。その場合は、サクサク、カリカリといった食感も生まれるので、トッピング用途に向いています。
塩の食感が必要なのか必要でないのかによって、結晶の形を選ぶとよいでしょう。
フルールドセルおすすめ7選 塩料理研究家が選んだ
ここまで紹介したフルールドセルの選び方のポイントをふまえて、塩料理研究家の青山志穂さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

甘酸っぱく、EXバージンオリーブオイルと好相性
おいしい塩をお探しなら、まずはこのフルールドセルを。フランスといえばゲランドが有名ですが、カマルグもゲランドに劣らぬ名産地。
このフルールドセルの製法はゲランドと同じ干満の差を利用した入浜式塩田(いりはましきえんでん)ですが、塩田の土壌質(どじょうしつ)が異なるため、ゲランドの灰色に比べて純白の美しい結晶が生まれます。結晶はやや大きめな立方体と凝集晶(※)のミックス。
商品のフタには職人の名前が書かれたラベルが貼付してあり、どの職人が作り上げた塩の花かがわかるようになっています。お気に入りの職人を見つけるのもマニアックな楽しみかも。
甘味が強く、適度にさわやかな酸味があり、そして旨みの余韻(よいん)が舌に残ります。緑の香りが強いEXバージンオリーブオイルと合わせて白身魚にぱらりと振りかけるのがおすすめ。
(※)立方体が緩くくっつきあったもの

日本海産の力強い塩味は、あじや牡蠣のフライに最適
やっぱり国産のものがいいという方には、日本海の力強さを感じるこのフルールドセルはいかがでしょうか。手つかずの豊かな山に恵まれ、そこから川を通じて流れ出るミネラルをも有した美しくも雄大な「笹川流れ(ささがわながれ)」は、景勝地(けいしょうち)としても非常に有名なエリア。笹川流れ沿いに立つ製塩所で、その海水を原料に薪で温めじっくり炊き上げた塩です。
直径数ミリの小さなサイズのフレーク(板)状の塩は、シャクシャクとした食感で、溶けるほどに力強いしょっぱさをガツンと感じ、日本海の海の香りが鼻を通り抜けます。
あじや牡蠣など海の香りがする食材のフライをはじめ、トンカツにもおすすめ。衣のサクサク感を強調しつつ、油っこさを緩和し、中身のおいしさを引き立ててくれます。

まるでマジック、激しく変化する味わいが魅力
濃厚な味わいを楽しみたい方へ。国土の約60%が森林という緑豊かなスロヴェニアの、1,200年以上続く塩田で生産されている海水塩です。塩田の付近に位置する川の河口付近には汽水の湿地が広がり、ラムサール条約で保護されるほど豊かな自然が残っている地域。その地に由来するミネラル成分の豊富なバクテリアの堆積層(たいせきそう)「ペトラ」からできた塩田に海水を引き込み、太陽と風の力だけで濃縮・結晶させていきます。
しょっぱさ、酸味、甘味、うまみ、苦味、雑味とすべての味を含み、次々と口の中で変化する味わいはまるでマジックのようです。

辛口の日本酒によくあう、サクサク&クリアな味わい
石川県珠洲市に伝わる揚げ浜式塩田。美しい里山里海を守るためにも、この伝統製法を絶やしてはならないと立ち上がった、加賀市出身の芸術家・起業家の女性が始めた塩田で生み出される塩です。
揚げ浜式塩田で海水を濃縮したのち、平釜で煮詰めて結晶させていますが、ここまで大きく結晶を育てるためには、じっくり低温で時間をかけて育てる必要があります。
サクサクとした食感がなにより楽しいお塩ですが、しょっぱさは適度で、非常にすっきりとした後味のため、食べたあとの口の中がクリアになります。

日本で大人気!「ゲランドの塩」の希少品
定番を知っておきたいという方には、日本で大人気のフランス・ゲランド地方で生産される「ゲランドの塩」の「塩の花」はいかがでしょうか。灰色に色づくのは、塩田の土壌質に由来するもの。塩田を形成するミネラルリッチな泥が入ることで、灰色に仕上がっています。『フルール ド セル(塩の花)』は表層で結晶するため、ほかの「ゲランドの塩」のなかでも土壌の混入が少なく、純白に近い仕上がりとなります。
「ゲランドの塩」に特徴的なすみれの花のようなフローラルな雰囲気はそのままに、やや強めなしょっぱさと濃厚なうまみがあります。

日常使いにおすすめ、コスパの高い塩の花
日常的に使いたいからコスパ重視! の方におすすめ。メキシコまたはオーストラリアの海水塩と日本の海水をブレンドして生み出された、じっくりと時間をかけて結晶させた大粒の海水塩です。
大粒でカリッとした食感ですが口溶けが非常によく、口のなかでするりとほどけていきます。にがりをほどよく残しているので、しょっぱさはほどよく、適度なうまみとおいしい苦味を感じることができます。結晶の透明度が高く、見た目にもキラキラしているので、食材の上にトッピングすると目を引きます。

口の中でするりととけ、カクテルやデザートにも
ヨーロッパ有数のリゾート地である、スペインの東部沖に点在するバレアレス諸島のひとつ、イビザ島の自然保護地域で生産されている完全天日塩です。かつてフェニキア人の交易の拠点であったこの島には、いまも彼らが拓(ひら)いた塩田が残り、伝統的な製法での塩づくりが続けられています。
適度ににがりを残しているためほどよくしっとりしていて、口に入れるとするりと結晶がとけていきます。やわらかなしょっぱさと濃厚なうまみがクセになります。カクテルグラスのリムにつけてスノースタイルで楽しむもよし、グレープフルーツなどの苦味のあるフルーツに少量かけるのもおすすめ。
「フルールドセル」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする フルールドセルの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのフルールドセルの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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塩料理研究家からアドバイス 価格は全般的に高めだが味わいに違いがある
「フルールドセル(塩の花)」は、一番最初に結晶したものだけを集めた塩なので、どれも生産量が少なく、価格は一般的な塩よりも高い傾向があります。
また、比較的力強い味わいのものが多いので、料理の最後に決め塩として少量使ったり、おもてなしのときに利用するのがおすすめです。
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慶応義塾大学卒。食品会社でのマーケティング・商品開発を経て、塩の専門店に入社。日本初のソルトソムリエ制度を創設。 その後、より多くの人に塩の魅力を伝えるため(社)日本ソルトコーディネーター協会を設立。 養成講座の開催のほか、講演会やイベント、メディア出演を行う。著書に『日本と世界の塩の図鑑』(あさ出版)、『塩図鑑』(東京書籍)など。 訪れた製塩所は200か所以上、塩のコレクションは1200種類以上に及ぶ。