ベース用コンプレッサーとは 今さら聞けない!
コンプレッサー (compressor) とは、「compress=圧縮する」という英語からきた言葉で、エフェクターの一種です。音の強弱の差を縮小する効果があり、「コンプ」と略されて呼ばれることもあります。
音の粒をそろえてくれるコンプレッサーは、安定感あるベースサウンドを作るうえで欠かせません。比較的効果がわかりにくいといわれるコンプレッサーですが、ベース用につくられているのが「ベース用コンプレッサー」というわけです。
ベース用コンプレッサーの選び方 初心者のために音楽DTMライターが解説
音楽ライターの田澤 仁さんに、ベース用コンプレッサーを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
【1】音の好みや奏法によって選ぶ
コンプレッサーで作れる音には、それぞれの機種によって個性があります。そのため、好みや奏法にあわせてコンプレッサーを選ぶといいでしょう。
エフェクトがどれだけ効くのかをチェック
ベース用コンプレッサーは大まかに分けると、原音に忠実な自然なサウンドを出せる機種と、いかにもコンプレッサーがかかっているという、いわば人工的なサウンドが得意な機種があります。そのため、どれぐらいエフェクトが効くのかはあらかじめチェックしておくとよいでしょう。
自然なサウンドのものは、ジャンルやボーカルの有無などを問わずオールラウンドに使えます。
一方、スラップのアタックを強烈にしたい、サスティン(音の伸び)を長く伸ばしたいなど、特徴のあるサウンドを出したい場合は、かかり具合がはっきりとわかるものを選ぶとよいでしょう。
アタック感を調整できるかチェック
バンドとして演奏する場合、ベースのアタック感が強すぎると全体のバランスを壊してしまいかねません。そのため、ライブやレコーディングなどでは、あえてアタック感が落とせるような、調整機能がついているコンプレッサーを選ぶとよいでしょう。
とはいえ、演奏する楽曲やシーンによってはベース音を全面に打ち出せるようなものも必要ですので、このあたりも視野に入れておくとよいでしょう。
サスティンを有効に使えるものを
コンプレッサーを使用したベース音ではアタック感がおさえられるため、サスティン(音の伸び)が強調されやすくなります。そのため、楽曲や奏法にあわせて、あえてこのサスティンを有効活用できるようなものを選ぶといいでしょう。
とはいえ、実際に使用してみないと分からないことも多いので、店舗で実際に音を聴いたり、口コミなどを参考にしてみるものもいいかもしれません。
【2】初心者はシンプルにコントロールできる機種がおすすめ
初心者はシンプルなものからはじめよう
初心者は、コントロールの少ない、シンプルな機能のコンプレッサーを選ぶとよいでしょう。また、かかり具合をインジケーターで表示してくれる製品もあります。視覚的にわかりやすいので、設定もしやすくなります。
【3】目的に応じてギター用を選ぶのもあり
個性が好きならギター用、初心者はベース用が無難
一般的にはベースに向かない、とされている製品であっても、その製品の音の個性が気に入っている場合などは、あえてギター用を使うのもありでしょう。
ただ、ベースとギターでは出力される音域が違うため、エフェクターのかかり具合が違ったり、狙い通りの音が出せなかったりすることがあります。よくわからない場合は、ベース用とされているものを使うのが無難でしょう。
ベース用コンプレッサーのおすすめ8選 人気のAGUILARやEBS、BOSSなど!
うえで紹介したベース用コンプレッサーの選び方のポイントをふまえて、音楽ライターの田澤 仁さんに選んでもらったおすすめ商品と、編集部が厳選した商品を紹介します。

自然なサウンドでオールラウンドに使える定番製品
原音のニュアンスを損なわず、自然な響きを得られること、そしてノイズがとても少ないことが大きな特徴で、ベース用コンプレッサーの定番製品のひとつです。
サスティンも自然で、アタックを強くしても芯があるサウンドになり、どんなジャンルにも対応します。原音に対してどの程度コンプレッションが効いているかを示すインジケーターがあるので、設定もしやすいです。

つまみひとつだけで設定できるマルチバンドコンプ
つまみはひとつしかありませんが、これで複数のパラメータを同時に調整できるようになっていて、初心者でも使いやすい製品です。内部的には高域、中域、低域にそれぞれ個別のコンプレッションをかけられるマルチバンド方式で、狙い通りのサウンドを作ることができます。
スマホアプリで詳細に設定をすることもできるので、つまみひとつのシンプルな構成ですが、こまかく音作りをすることが可能です。

シンプルながら多彩な音作りが可能
世界中に愛用者がいる、ベース用コンプレッサーの大定番の製品です。コントロールはかかり具合と音量を決める2つのつまみだけ、というシンプルな構成ですが、モード切替スイッチとの組み合わせで多彩な音を作ることができます。
自然なノーマルモード(ソリッドステート)のほか、内部にあるつまみで高域と低域を独立して調整できるマルチバンド、倍音が増えてあたたかく太いサウンドになるチューブシミュレーターの3モードがあります。とくにチューブシミュレーターは、コンプレッサーをゼロに設定してこのモードで使うベーシストも多くいるほど、その音が高く評価されています。
生産終了の話もあるので、興味のある人は急いでチェックしてください。
EBS マルチコンプが正統進化し新登場
ベース界の定番エフェクターが、先代機種Studio Editionから正統進化したBLUE LABEL。好評だった基本性能は準拠しながらも各部をアップグレード。Sens.(Threshold)コントロールが追加され、コンプレッションの効き具合により細やかなセッティングが可能になっています。またヘッドルームにさらなる余裕を生む電源電圧の18V対応(製品自体は9V以上で使用可能)など、クォリティーがより高めてられています。

“コンプ臭さ”なしの自然なベースサウンド
ベースアンプメーカーとして有名なAGUILARの製品。同社独自のTLC(トランス・リニア・コントロール)回路による音質のよさで人気があります。
4つのコントロールで多少極端な設定をしても、不自然なところがまったくないほど、つねに自然なベースサウンドで鳴らすことができます。ノイズも少なく、歪みにくいので、ピックアップがアクティブでもパッシブでも対応します。
とにかく自然な音でコンプレッサーをかけたいという人におすすめです。
扱いやすいシンプルで直感的なベース用コンプ
FenneCompはコンプレッサーを使ったことのないビギナーにも非常に扱いやすいシンプルで直感的なコントロールと、高音質を両立させたベース用コンプです。Compコントロールはコンプレッサーの圧縮具合を調整できます。あらゆるベースに対応し、音圧を稼ぎ音量を均一化することで、アンサンブルにおいて存在感を損なわないまま音を馴染ませることができます。自然なコンプレッションサウンドからエフェクティブなサウンドまで幅広いサウンドメイクが可能です。Compコントロールの右下にあるLEDインジケーターは、どれだけ音を圧縮しているかを視覚的に確認することもできます。
ベースギター用のハイエンドコンプ
レコーディングスタジオ品質のコンプレッサーを提供するべく、さまざまな機能が追加されたEmpressのベース専用コンプレッサーです。ハイエンドなスタジオ機器でしか見られないコントロール設定を可能にし、プロフェッショナルなサウンドメイクを手助けしてくれるため、上級者やプロのベーシストにおすすめのコンプレッサーです。

詳細に設定できるベース用定番コンプレッサー
5つのコントロールによって、アタックの立ち上がりや音の伸び、コンプレッションの強さなどをこまかく調整できます。そのぶん設定は多少面倒に思えますが、音の変化でコンプレッサーの効き具合がよくわかるし、インジケーターもあるので、比較的初心者でも扱いやすいでしょう。
基本的には原音に忠実な自然なサウンドですが、設定によっては歪んだような図太い音など、幅広いサウンドが作れます。
「ベース用コンプレッサー」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ベース用コンプレッサーの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのベース用コンプレッサーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ベース用コンプレッサー使い方のアドバイス エフェクトのかけ過ぎには要注意
コンプレッサーは、音の変化が比較的わかりにくいエフェクターです。慣れないうちは効果がないような気がして、ついかけ過ぎになってしまうことがあるので注意してください。かけ過ぎると、音が引っ込んでしまったり、抑揚がなくなったり、不自然にブツ切れになったりしてしまうことがあります。
エフェクターをオン/オフしながら原音と聴き比べて、不自然なサウンドになっていないかどうか確認しながら設定するようにしましょう。
ベース用コンプレッサーに関するQ&A
コンプレッサーを使うときに最低限何が必要ですか?

ベースとコンプレッサー本体のほか、シールド2本以上、アンプ、電源や電池などの付属品が必要です。
コンプレッサーとリミッターは同じですか?

違います。コンプレッサーは音の粒を揃えるのにたいし、リミッターは一定以上の音をカットするものです。
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自分の好みや奏法にあわせて選ぼう
ベース用コンプレッサーの選び方をご紹介してきましたがいかがでしょうか。
おさらいですが、まずは自然なサウンドか人工的なサウンドか自分の好みや奏法によって選びましょう。そのうえで、とくに初心者の方は操作性がシンプルでコントロールが容易な機種を選ぶのがぶなんです。慣れてきたら、目的に応じてあえてギター用を選ぶのも選択肢のひとつです。
あなたにぴったりのベース用コンプレッサーを見つけ、音楽ライフを充実させてみてはいかがでしょうか。
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90年代にプロドラマーとして活動、その後、音楽ライターとして書籍、雑誌などの執筆を行なっている。 DTM、PCオーディオ関連の著書、DTMソフト、シンセサイザーの日本語マニュアル制作など多数。 Webでは2007年~2009年までサイトAll Aboutで「ロック」のガイドを務めたほか、音楽情報サイトBARKSでは国内外の数多くの有名アーティストのインタビュー、ライブ取材などを行なっている。 得意分野はAOR、ハードロック、フュージョン、80年代。