コンパクトデジタルカメラの魅力
コンパクトデジタルカメラとは、一眼レフやミラーレスカメラよりも小さなサイズのデジタルカメラです。コンデジともよばれています。小さくて軽いため持ち運びに便利。特に1万円台~2万円台で購入できるモデルはエントリーモデルにあたり、種類も豊富で、手軽に写真を撮りたいときに向いています。
本体とレンズが一体になっているので、レンズ交換の手間なくすぐに写真が撮れるのも魅力です。高額ズームなど、いろいろな機能が搭載されています。
1~2万円台のコンパクトデジタルカメラの選び方
それでは、1万円台~2万円台のコンパクトデジタルカメラの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の5つ。
【1】必要最低限の機能を備え、価格を抑えた機種が王道
【2】Wi-Fi転送など必要な機能で選ぶ
【3】被写体に合った光学ズーム倍率や焦点距離に注目
【4】撮影シーンにあったISO感度やF値の数値を選ぶ
【5】根強いニーズ。3大メーカーは販売を継続
上記の5つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】必要最低限の機能を備え、価格を抑えた機種が王道
映像素子(イメージセンサー)が大きいほど、きれいな写真が撮れます。一方、映像素子が大きいコンパクトデジタルカメラほど価格が高くなります。予算を考慮しつつ映像素子数をチェックしましょう。
1万円台・2万円台の、低価格なコンパクトデジタルカメラ(コンデジ)とスマートフォンの搭載カメラを比べると、写真の画質を大きく左右するセンサーのサイズはほぼ同じです。
つまり、低価格なコンデジをおすすめするのは、どうしても予算を抑えたい人ということになります。なんでも安いに越したことはないですが、このクラスのコンパクトカメラではとくに「安いは正義」なのです。「必要最低限の機能を備え、価格を抑えた機種」が、低価格なコンデジの王道といえるでしょう。
そのため、コンデジの購入動機としてスマートフォンの搭載カメラとの差別化を考えている人には、実売5万円以上で大型1.0型イメージセンサーを搭載した、中~高価格帯のコンデジをおすすめします。
【2】Wi-Fi転送など必要な機能で選ぶ
コンパクトデジタルカメラには、手ブレ補正、防水防塵機能やWi-Fi転送など製品によって搭載されている機能が異なります。撮影シーンや使い方に応じた機能のあるものを選びましょう。
たとえば、屋外撮影が中心なら防水防塵機能があるものが向いています。
今は、撮った写真を日常的にSNSに投稿している人も多いと思います。スマートフォンでしか写真を撮らない人が増えたのも、コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)からはかんたんにSNS投稿できないと思っている人が多いからではないでしょうか?
しかし、最近はほとんどのコンデジにWi-FiやBluetoothが内蔵されており(低価格機種はWi-Fiのみ)、外出先でも比較的手間なく写真をスマートフォンに転送できます。Wi-Fi非搭載の機種でも、記録メディアを取り出してスマートフォンやパソコンと有線接続するなどの方法で写真を転送することはできますが、あまり実用的とはいえません。
外出先でのSNS投稿を想定している人は、Wi-Fi搭載機種を選びましょう。
【3】被写体に合った光学ズーム倍率や焦点距離に注目
広角での撮影や、遠くのものなど被写体に合ったレンズの焦点距離や光学ズーム倍率をチェックしましょう。コンパクトデジタルカメラはレンズ交換ができません。レンズの焦点距離が小さいほど広角撮影ができるので、風景などを撮りたいときに向いています。一方、焦点距離が大きくなると遠くのものをきれいに撮れるようになります。
また遠くのものを撮りたい場合、光学ズーム倍率の高いものが選択肢になります。
1万円台・2万円台の低価格コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)とスマートフォン搭載のカメラの最大の違いは「光学ズーム」です。
光学ズームとは、レンズ性能だけでズーミングする機能のことで、多くのコンデジに採用されています。一方、ほとんどのスマートフォンは、写真をデジタル的に小さく切り取ってズーミングする「デジタルズーム」を採用しています。光学ズームには画質の低下はありませんが、デジタルズームの場合は望遠になるほど画質が低下します。
また同じ光学ズームでも、倍率は機種によって異なります。一般的な撮影では、8-10倍(35mm判換算200mm程度)で充分ですが、45倍(1,080mm)という機種もあります。遠くのものをより大きくきれいに撮りたい人は、より高倍率な機種を選びましょう。
【4】撮影シーンにあったISO感度やF値の数値を選ぶ
撮影シーンや撮りたい写真に合わせて、ISO感度やF値もチェックしておきましょう。
デジタルカメラが光をとらえる能力を数値化したのがISO感度です。ISO感度が高いほど撮影した素子を電気信号に変えるスピードが速くなります。手ブレが起きやすい室内や夜間撮影も、ISO感度が高いとシャッタースピードが上がるのでブレが起きにくくなります。ただし、ISO感度が高いと写真が粗くなるのも覚えておきましょう。
F値とは絞りともよばれ、カメラに入る光を調整する機能です。ISO感度を高めてもF値を調節すると、光を多く取り入れられます。また、ボケさせて雰囲気のある写真を撮りたいときはF値を小さくします。
【5】根強いニーズ。3大メーカーは販売を継続
コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)のなかでも「低価格」とされるのは、各メーカーのエントリーモデルにあたる、1万円台・2万円台のモデルです。
実はこのカテゴリのカメラは、スマートフォンの搭載カメラに性能面で迫られているため、人気は下降気味。デジタルカメラの画質はイメージセンサーのサイズが大きいほど上がりますが、低価格なコンデジのセンサーは、スマホとほぼ同じ1/2.3型センサーでもあります。
それでも「光学ズーム」など、コンデジがスマホを上回る点はまだ多いといえます。撤退したメーカーもあるなか、「できるだけ低予算でカメラがほしい」というニーズをすくい上げるため、おもにキヤノン、ニコン、ソニーの3大メーカーが低価格なコンデジの販売を続けています。
1~2万円台コンパクトデジタルカメラおすすめ10選
上記で紹介した1万円台~2万円台のコンパクトデジタルカメラの選び方のポイントをふまえて、フォトジャーナリストの内村コースケさんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

「シンプル・イズ・ベスト」な低価格カメラ
ソニー製品のなかでもとくに低価格のコンパクトカメラで、必要最低限の機能でシンプルにまとめられている機種。
実は、スマートフォンに押されぎみな1万円台・2万円台の低価格帯コンパクトデジタルカメラは今、法人需要が多いといわれています。というのも、企業秘密をともなう画像の流出など会社の信頼に関わるトラブルを防ぐため、つねにネットとつながっているスマートフォンの業務利用を禁止している企業が増えているからです。そんな需要を見越してか、本機種はWi-Fi機能を搭載していません。
そして、光学8倍ズームなど一般的な撮影に必要充分な機能がかんたん操作で使用できます。「使わない機能は必要ない」「シンプル・イズ・ベスト」という人は多いはず。昔ながらの単純な「カメラ」がほしいという層にもむいています。
使いやすさや豊かな表現力が魅力
超画質の写真が手軽に楽しめるコダックのコンパクトデジタルカメラです。モニターは大きく見やすい2.7インチの液晶を採用し、撮影や再生も簡単に行えます。また、乾電池も対応しているので急なバッテリー切れでも電池を入れれば使えます。クロストークを抑え込んだ高解像度など豊かな表現力も魅力なのでぜひ、チェックしてみてください。

光学45倍ズームの「望遠モンスター」
手ごろな価格で、「望遠に強い」という小型センサー機のメリットを最大限にいかした機種ならこれ。45倍(24-1,080mm相当)という脅威のズームレンズを搭載しています。
広角側24mmは一般的なズームレンズつきコンパクトカメラと同等ですが、望遠側1,000mm超は飛び抜けた性能。野球場のバックスクリーンから、バッターボックスに立つ選手を画面いっぱいに捉えられる画角です。また、単純に「遠くのものを画面いっぱいに切り取る」という意味では、センサーサイズが小さいほうが有利。低価格コンパクトカメラの弱点を強みに変えた機種だといえます。
Wi-Fiも搭載しており、上位機種にある4K動画やバリアングル液晶は必要ないという方におすすめします。

遊び心満点の防水カメラ
コンパクトデジタルカメラの新しい潮流が、アウトドア向けの「タフカメラ」です。水中撮影を可能とする防水性などを備えた機種が各メーカーから出ており、画質面では低価格コンパクトデジタルカメラと同等、価格帯はワンランク以上高いものが多くなっています。そのなかで、「ファミリー向け」というコンセプトのニコンのエントリーモデルはお買い得。前モデルの『W100』からエフェクト効果とカラーバリエーションを強化した『W150』が、2019年8月2日に発売されます。
いわゆる「カメラ」としての機能は光学3倍ズーム、有効画素数1,317万画素と決して高くはありませんが、防水10m、耐衝撃1.8m、耐寒-10℃(陸上)というタフさを備えています。子ども向けの機能やポップなカラーバリエーションもラインアップしており、家族旅行用にもおすすめです。

30m防水、耐衝撃2.4mの本格「タフカメラ」
上で紹介したニコン『COOLPIX W150』の上位機種。『W150』がファミリー向けなら、こちらの『COOLPIX W300』はより本格的なアウトドアユースにも耐えられる仕様となっています。水深30mまで対応可能な本格的な防水仕様、2.4mの高さからの落下に耐えられる耐衝撃性能は、まさに「タフカメラ」にふさわしいといえるでしょう。
また、背面ディスプレイには、アウトドアで役に立つ「位置情報表示」「高度または水深表示」「高度ロググラフまたは水深ロググラフ表示」の呼び出しが可能。撮影画面にも高度や水深、気圧、水圧などを表示でき、写真にも記録できます。『W150』と合わせ、親子でニコンのタフカメラをそろえて海や山へお出かけするのも、楽しいかもしれません。
光学8倍ズームレンズを搭載!
約126gという軽量さで、持ち歩きやすいカメラ。一見普通のコンパクトなデジカメですが、光学8倍ズームレンズが搭載されているのが特徴です。「プログレッシブファインズーム」の搭載により、16倍までのズームが可能。遠くの被写体を高い精度で捉え美しく撮影できます。
オートズーム機能が搭載されているので、ボタンを押すだけで被写体の人数や大きさに合わせ最適な状態になるよう調節してくれます。シンプルで操作しやすく、シャッターチャンスを逃さない手軽さが嬉しいです。
コンパクトとは思えない高性能!
軽くて手頃なサイズにもかかわらず、光学15倍ズームと高画質という魅力的なカメラです。ズームの切り替えはレバーを左右に回すだけ。デジタルズームに切り替えれば60倍と、更に遠くの被写体を捉えられます。液晶画面は3.0型と大きく見やすいほか、操作が簡単で初心者でも安心して使えます。
光学式手ぶれ補正で片手での撮影も安定。自動シーンモード(ASCN)により、撮りたい場面でカメラが自動的に最適な絞り値とシャッター速度を選ぶので、思い通りに撮影できるでしょう。
スリムなのに高画質!思い通りの写真が撮れる
薄さ19.9mmと驚くほどスリムなボディに光学8倍ズームが搭載されています。ポケットやバッグにすっぽり入るので持ち歩きがラク。ダイナミックファインズームでは16倍の望遠ズームが可能で、光学ズームより遥か遠くの被写体まで高画質で撮影できます。
レンズシフト方式の「高性能手ぶれ補正機能」により手ぶれをしっかりと抑えてくれるので、貴重な瞬間や大切な思い出を失敗することなく撮影できます。撮りたいものを一瞬で予測しピント合わせをしてくれる「ぴったりAF」も嬉しい機能です。
アウトドア派に嬉しい!防水対応スポーツカメラ
大人心をくすぐるおもちゃのようなカラーと見た目が人気です。水深約15mまでの水圧に耐えられ、地上では高さ約2mからの落下衝撃にも耐えられる強者。アウトドアやレジャーに出掛けた際に大事なカメラを破損してしまった経験がある人には、待望のカメラといえます。
屋外での撮影が必要な仕事をしている人にも、雨や衝撃に強い特徴のこのカメラは心強い味方ですね。防水や防塵機能に加え、4倍光学ズームで高画質。更にハイビジョンでの動画撮影が可能という贅沢な一台です。
【比較一覧表】料金などを比べる
【ランキング】通販サイトの最新人気! コンパクトデジタルカメラの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのコンパクトデジタルカメラの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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【まとめ】納得できるスペックのカメラを!
コンパクトデジタルカメラは、ボディが小さいぶんバッテリーも小型なものが採用されています。そのため、バッテリーのもちはあまりよくありません。スマートフォン同様、モバイルバッテリーでも充電できますが、予備バッテリーをつねにカメラと一緒に持ち歩いていると安心です。
こちらの記事では、手に入れやすい1万円台・2万円台の低価格コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)というくくりでさまざまな機種を紹介しましたが、もうワンランク上の「1.0型センサー」を搭載した中~高級コンパクトカメラもぜひ検討していただきたいと思います。
車でたとえれば、低価格コンデジとスマートフォンのカメラは軽自動車、中~高級コンパクトカメラは1,000~1,500CCの普通車というところでしょうか。
スマートフォンとの差別化が難しくなっている今、低価格コンデジは各社のラインアップの隅に追いやられつつあるのが現状です。予算が許されるならば、ワンランク上のコンデジも視野に入れてよいでしょう。自分に必要な機能をよく検討して、納得のいくカメラを選んでください。
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1970年ビルマ(現ミャンマー)生まれ。 外交官だった父の転勤で少年時代をカナダとイギリスで過ごした。 早稲田大学第一文学部卒業後、中日新聞の地方支局と社会部で記者を経験。かねてから希望していたカメラマン職に転じ、同東京本社(東京新聞)写真部でアフガン紛争などの撮影に従事した。 2005年よりフリーとなり、「書けて撮れる」フォトジャーナリストとして、海外ニュース、帰国子女教育、地方移住、ペット・動物愛護問題などをテーマに執筆・撮影活動をしている。