コンパクトデジタルカメラの選び方
それでは、コンパクトデジタルカメラの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の8つ。
【1】画質で選ぶ
【2】便利なサポート機能で選ぶ
【3】撮りたいものに合わせてレンズの焦点距離で選ぶ
【4】撮りたいものに合わせて必要な機能で選ぶ
【5】バッテリー1本で何枚撮れるか
【6】ファインダーの有無で選ぶ
【7】モニター画面の大きさで選ぶ
【8】用途に合わせて予算で選ぶ
上記の8つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】画質で選ぶ
写真を撮影するなら、やはり画質が気になりますよね。最近はスマホのカメラも画質がとてもよくなってきているので、高画質のコンパクトデジタルカメラを選んで差をつけましょう。
機種によっては一般的なコンパクトデジタルカメラのイメージセンサーより大きい「1型」や、レンズ交換式カメラで見られる「APS-Cサイズ」を搭載しているものもあるので、買う前に比較してみましょう。
▼イメージセンサーが大きいものを 画質にこだわるなら
イメージセンサーは撮像素子とも呼ばれ、レンズから入ってきた光を電気信号に変換する部品。センサーサイズなどのように、「センサー」と略されることもあります。
高画質な写真が撮れるかどうかは、レンズとイメージセンサーで決まります。なるべく大きなものを選んだほうが、高画質な写真を撮ることができるでしょう。
作例で見るRICOH(リコー)『GR III』の実力 「クロップ」「イメージコントロール」モードで撮影
昔から多くの熱狂的なファンを獲得しているRICOH(リコー)の『GR III』。そして『GR』といえば画角。というわけで、この動画では『GR III』の特徴がわかるよう「28/35/50mm」でのクロップ撮影を試みました。あわせて『GRⅢ』の「イメージコントロール」モードで表現力もチェック。後半では、初代『GR』とも比較しながら撮影してみました。
▼F値が低いものを 美しいボケのある写真を撮るなら
F値とは、カメラのレンズの明るさの値。F値の値が低いほどレンズが明るく、高性能といえるでしょう。
一般的に、写真を撮るときの光を絞ると画面全体にピントを合わせやすくなり、開くと少しボケた写真を撮ることが可能。背景のピントをボカして被写体にピントを合わせたいときなどは、絞りを開くことによってきれいに撮影できます。
ちなみにボケはF値だけでなく、イメージセンサーの大きさとレンズの焦点距離も重要な要素。画角に対してイメージセンサーが大きいほどレンズの焦点距離が長くなり、F値が同じでも大きなボケが得られます。
▼ISO感度が高いものを 夜間撮影をするなら
ISO感度は、国際標準化機構(International Organization for Standardization)の略字。もともとフィルムの感度をあらわす値なのですが、フィルムを扱うメーカーごとに規格が異なると混乱してしまうため、感度をあらわす国際基準としてISO感度が定められました。
夜間撮影の際は光が少ないので、ISO感度が高いものを選んだほうがいいでしょう。しかし、現在大手メーカーから発売されているすべてのコンパクトデジタルカメラは、ISO1600以上が設定でき、夜間の撮影に困ることはありません。
暗所の撮影ではISO感度だけでなく、レンズの明るさも考慮しましょう。また、イメージセンサーが大きいほど高感度での画質に有利です。
【2】便利なサポート機能で選ぶ
コンパクトデジタルカメラを選ぶときは、サポート機能も調べましょう。手ブレ防止やスマホとの連携など、撮影の手助けとなるさなざまなサポート機能があります。
▼光学式手ブレ補正機能つき
手ブレ補正は、カメラ初心者の方でもきれいな画像を撮影する手助けをしてくれる機能です。大切な思い出に撮影した写真も、手ブレでピントが合っていないのではとても残念ですよね。
ほとんどのコンパクトカメラで採用されている光学式手ブレ補正は、その名のとおりレンズ光学系の一部を移動させてブレを補正します。ブレに影響されずピントを合わせやすいので、初心者の方でもきれいな写真を撮影することができるでしょう。
▼スマホとの連携のよさ
最近のコンパクトデジタルカメラにはWiーFiが搭載されていて、スマートフォンとの連携がしやすくなっています。撮影した写真をカンタンにスマホやパソコンに転送することができ、手軽に友達とシェアしたり、SNSにアップしたりできますよ。
またBluetoothでスマホとペアリングして、撮影したらその写真をスマホへ自動転送できる機種もあります。
▼自撮りに適した機能
自撮りは画面を見て撮影する必要があるので、画面が回転するかどうかがポイント。また片手でシャッターを押せるよう、軽量なものを選ぶ必要もあります。カメラによっては美肌補正機能もありますので、購入前に調べてみてください。
【3】撮りたいものに合わせてレンズの焦点距離で選ぶ
焦点距離とは、レンズの中心である「主点」からイメージセンサーに結像するまでの距離で、一般的にはズーム機能と呼ばれるもの。焦点距離が長いほど写真に写る範囲が狭くなり、また同じ焦点距離でも、イメージセンサーの大きさによって写る範囲が変わります。ここでの焦点距離は、35mm判換算したものです。
広角レンズは手前を大きく、奥を小さく写すので、遠近感を誇張した写真が撮れます。広々とした風景を撮影する際は、18〜26mmでの範囲で撮影することで、より一層ダイナミックな写真を撮影できるでしょう。
100mm前後のいわゆる中望遠域は、人物を自然な遠近感で撮影したり、身近なモチーフを切り取るのに適した焦点距離です。スポーツ観戦など、かなり遠距離の被写体を撮影するときは、望遠側が300mm以上の望遠撮影に強いコンパクトデジタルカメラを用意しましょう。
【4】撮りたいものに合わせて必要な機能で選ぶ
コンパクトデジタルカメラを購入する前に、まず自分がなにを撮影したいかをイメージしましょう。被写体やシーンによって、必要な機能が異なります。たとえば、ほとんど動きのない近くにある花を撮影するのと、動きのある遠くの野鳥を撮影するのでは、重視する機能が違うのです。
▼マクロ機能のよさ 接写撮影するなら
マクロ撮影とは被写体に近づき、クローズアップする撮影方法。背景をボカして被写体を引き立て、美しく見せる効果もあります。最短で1cmまで近寄れるものもあり、接写撮影にピッタリです。
ただしコンパクトデジタルカメラでは、ズームレンズの広角側でもっとも寄れる機種がほとんど。広角なのでボケにくく、遠近感も強調されやすいため、花や虫などの撮影は意外と難しいかもしれません。また1cmまで近づくと、自分やカメラの影が画面に入りやすいので注意が必要です。
▼シャッター速度の速さ 動くものを撮るなら
動きがある被写体を撮るなら、シャッタースピードが大事です。大事なペットや子どもの、大切な瞬間をのがしたくはないですよね!
最近では、ほとんどのコンパクトデジタルカメラが1/2000秒以上の高速シャッターを備えています。ただしハイスピード撮影をするためには、明るいレンズや高感度が必要になる場合も。また、レンズは望遠寄りになることが多いでしょう。
【5】バッテリー1本で何枚撮れるか

Photo by Waldemar Brandt on Unsplash
コンパクトデジタルカメラはスペックによって、1本のバッテリーで撮影できる枚数が異なります。近所でちょっとしたものを撮影するだけなら100枚程度でじゅうぶんですが、旅先での利用が目的なら200枚以上撮影できるといいでしょう。
もちろん、コンパクトデジタルカメラ用の予備バッテリーがあれば、バッテリー切れを起こしても安心。なかには、スマホ用のモバイルバッテリーを使って充電可能なものもあります。
【6】ファインダーの有無で選ぶ
基本的にコンパクトデジタルカメラは背面モニターを見て撮影しますが、ファインダーのあるものを選べば、より本格的に写真を撮影することができます。ファインダーはしっかり構えられるため手ブレ防止になりますし、望遠撮影でも被写体を狙いやすいのがメリット。また、明るい屋外で背面モニターが見づらい場合にも有効です。
しかし、ファインダーがついたものは少し重くなります。またファインダーがついていないものは低コストなので、ちょっとした撮影に使うだけならファインダーなしのほうがいいかもしれません。
【7】モニター画面の大きさで選ぶ
コンパクトデジタルカメラの背面モニターは、大きいもののほうが画面が見やすくなります。旅行に持っていくなら、軽量なものを選ぶといいでしょう。
また、タッチパネルタイプのコンパクトデジタルカメラもあります。タッチで機能設定ができたり、ピントを合わせたいところをタッチで指定できるのがメリット。また、再生画像をスワイプで送ったりピンチアウトで拡大したりと、スマホ感覚で扱うことができますよ。
【8】用途に合わせて予算で選ぶ
スマホのカメラもいいけど、やっぱりカメラで写真を撮りたいという方は、3万円未満のモデルがお手軽でおすすめ。せっかくコンパクトデジタルカメラを買うなら、ある程度画質や機能にこだわりたいという方は、3~6万円くらいのモデルがいいでしょう。さらに本格的に写真を撮影したいという方は、6万円以上のモデルもあります。
高額のコンパクトデジタルカメラは機能の数よりも、イメージセンサーの大きさやレンズの明るさなど、高画質に寄っている機種が多いです。どのような目的で写真を撮りたいのか、どのような機能がほしいのかを考えて、適切な価格帯のコンパクトデジタルカメラを選びましょう。
スマホでは撮れない写真撮影を楽しもう 写真家よりアドバイス
写真家
今や、多くの方がスマホで写真を撮る時代。コンパクトデジタルカメラはその名のとおり携帯性にすぐれているのが特徴ですが、それもスマホで可能になりました。しかし、コンパクトデジタルカメラには、スマホでは苦手な望遠撮影や水中撮影ができる機種、レンズ交換式カメラに匹敵する高画質を持つ機種などさまざまなタイプがあります。自分の撮影スタイルに合った、しかもスマホでは不可能な写真が楽しめる機種を選びましょう。
「コンパクトデジタルカメラ」のおすすめ商品の比較一覧表
【3万円未満】コンパクトデジタルカメラおすすめ4選 写真家と編集部が厳選!
まずは、3万円未満の手軽に購入しやすい商品を紹介します。ちょっとした撮影に使いたいという方は、こちらから選んでいきましょう。
写真家
富士フイルム『FinePix(XP140)』は、夏は海に潜って水中撮影をしたり、冬はスキー場で撮ったり、レジャーにピッタリ。28mm相当の広角レンズやスマホとのペアリングなど機能も充実しており、手軽にタフカメラが楽しめる高いコストパフォーマンスが魅力です。

富士フイルム『FinePix(XP140)』
















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SONY(ソニー)『Cyberーshot(DSCーWX350)』












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Canon(キヤノン)『IXY200』

出典:楽天市場
Canon(キヤノン)『PowerShot(SX530HS)』














出典:Amazon
【3〜6万円】コンパクトデジタルカメラおすすめ4選 写真家と編集部が厳選!
続いて、3万〜6万円のコンパクトデジタルカメラを紹介します。より性能がいいコンパクトデジタルカメラがほしいという方は、こちらから商品を選んでみましょう。
写真家
Panasonic(パナソニック)『LUMIX(DCーFZ85)』は、なんと超広角20mm相当から超望遠1200mm相当までカバーする高倍率ズームレンズを搭載。一眼レフライクなデザインで本格派の雰囲気が楽しめます。4K動画にも対応し、日常から旅行まで幅広く活躍します。

Panasonic(パナソニック)『LUMIX(DCーFZ85)』
















出典:Amazon
OLYMPUS(オリンパス)『Tough(TGー6)』














出典:Amazon
Nikon(ニコン)『COOLPIX(B600)』
































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SONY(ソニー)『Cyberーshot(DSCーHX99)』


































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【6万円以上】コンパクトデジタルカメラおすすめ3選 写真家と編集部が厳選!
最後に、6万円以上のコンパクトデジタルカメラを紹介します。メインカメラとしての利用を考えている方は、次にご紹介する商品がおすすめです。
写真家
SONY(ソニー)『Cyberーshot RX100V(DSCーRX100M5A)』は、コンパクトデジタルカメラでは大きな1型のイメージセンサーを搭載し、F1.8のツァイスレンズやポップアップするファインダーなど、小型ながら高機能と高画質を誇ります。ボディの高い質感も魅力のこだわり派カメラです。

SONY(ソニー)『Cyberーshot RX100V(DSCーRX100M5A)』
















出典:Amazon
Panasonic(パナソニック)『LUMIX(DCーTX2)』












出典:Amazon
RICOH(リコー)『GR III』














出典:Amazon
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする コンパクトデジタルカメラの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのコンパクトデジタルカメラの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
コンパクトデジタルカメラとレンズ交換式カメラの違い

Photo by Dennis Klein on Unsplash
コンパクトデジタルカメラとレンズ交換式カメラの違いは、レンズを交換できるかできないかです。コンパクトデジタルカメラは名前のとおりコンパクトで携帯しやすい反面、レンズ交換ができません。
プロのような本格的な写真を撮影される方は、やはりレンズ交換式カメラがおすすめです。しかし、コンパクトデジタルカメラは持ち運びやすいのがメリット。メインはレンズ交換式カメラを使い、コンパクトデジタルカメラをサブカメラとして持ち歩く、というのもいいかもしれません。
レンズの交換が可能か
一般的に、レンズ交換式カメラはレンズの交換が可能です。撮影の用途に合ったレンズが選べるので、本格的な写真を撮影したい方におすすめ。ただ、コンパクトデジタルカメラに比べるとやや重量があり、交換レンズの持ち運びも必要になります。
本体の重さ
コンパクトデジタルカメラの重さは、メーカーや機種によってさまざまですが、だいたい100~1000gほど。スポーツや野鳥などを撮影するプロや、ハイアマチュアが使用するレンズ交換式カメラはもう少し重いかもしれません。参考までに、プロ仕様の重量級カメラ本体で1~1.5kgくらい、超望遠レンズと組み合わせると最大6~7kg前後です。
また、三脚などの付属品も必要になるでしょう。歩くときの負担になってしまうので、旅行に持っていくならコンパクトデジタルカメラがおすすめです。
手軽さを求めるならコンパクトデジタルカメラ
プロのカメラマンが撮影するような、本格的でこだわりのある写真撮影をするなら、レンズ交換式カメラがいいでしょう。
一方、撮りたいタイミングで手軽に取り出すことができるのが、コンパクトデジタルカメラのメリット。旅先などで思い出の写真を撮りたいとき、日常でふと目にした光景を撮りたいときなど、手軽に取り出せるコンパクトデジタルカメラはとても便利です。
撮影イメージに合わせて
コンパクトデジタルカメラを価格帯ごとに分けてご紹介しました。
求めている画質から撮影をしてみたい被写体など、思い描く撮影イメージに合わせて商品を選ぶことが失敗のない購入方法です。
本記事を参考に、あなたがほしいコンパクトデジタルカメラを選んでみてくださいね。
【関連記事】コンパクトデジタルカメラの関連商品
※記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
1968年東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科を卒業。96年に写真展を開催後、フリー写真家になる。 カメラ専門誌やWebでの撮影、執筆を中心に、各種撮影やセミナー講師などで活動。作品では国内や海外の街を撮影し、ライカカメラジャパンの公式インスタグラムにも作品が掲載される。 公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。デジタルカメラグランプリ選考委員。NHK文化センター講師。