爬虫類用ライトの選び方 亀・リクガメ・フトアゴヒゲトカゲの日光浴に
ここからは、犬猫以外のペットドクターでエキゾチックアニマルの専門医である霍野晋吉さんにお話をうかがい、爬虫類用ライトを選ぶときのポイントについてご紹介していきます。
UVBを照射する「紫外線ライト」を選ぶ
紫外線は波長により「UVA」「UVB」に種類分けされています。とくに、爬虫類に欠かせないのが「UVB」です。カルシウムの摂取を助けるビタミンD3を補うUVBは照射量が不足すると、重大な疾患に陥る可能性があります。
UVA
UVAには脱皮や食欲促進、生殖機能を刺激する働きがあります。
UVB
UVBには骨や歯の形成に必要なカルシウムの吸収を促進するビタミンD3を体内に作り出す働きがあります。
体温調整に必須の「バスキングライト」
バスキングライトには、全方向に可視光と赤外線を放射する散光型と、後ろが鏡になっていて、前方の狭い範囲にだけ照射する集光型があります。いわゆるバスキングライトと呼ばれる商品の多くは、集光型を指します。ケージの温度管理ならびにホットスポット目的であれば、集光型がおすすめです。
バスキングライトは、赤外線をふくんだ光を照射しケージ内に日光浴できるスポットを作り出します。爬虫類は自ら体温を調節することができないため、日光浴をすることで体温を上げ、生理機能の調整やビタミンD3の摂取を行っています。
両方の機能を兼ね備えた「水銀灯タイプ」
水銀灯タイプは紫外線ライトと赤外線ライトの両方を照射することができます。通常は、紫外線ライトとバスキングライトを併用しなくてはなりませんが、水銀灯タイプがあればひとつで2つの役割を果たすことができます。ケージまわりをすっきりさせたい方におすすめです。
生息地に適したUVB照射量の紫外線ライトを選ぶ
紫外線ライトは、UVBの強さを「2.0」「5.0」「10.0」のように数字(%)で選ぶことができます。たとえば砂漠でのUVB照射量、熱帯雨林での照射量といった具合です。飼育している爬虫類の生息地に合わせて、照射量を選ぶようにしましょう。
紫外線ライトには2種類ある
紫外線ライトやバスキングライトには、直管タイプ(蛍光灯型)とコンパクトタイプ(電球型)の主に2つの形状に分けられます。ここでは、それぞれの特徴についてご紹介します。
直管タイプ(蛍光灯型) ケージ内全体に紫外線を照射
直管タイプは、ケージ天井部に取り付ける蛍光灯型で、ケージ内全体に紫外線を照射することができます。
コンパクトタイプ(電球型) スポットで紫外線を照射
コンパクトタイプは、電球型の紫外線ライトで、ソケットに取り付けて使用するタイプです。特定の範囲に限定して紫外線を照射するため、小型のケージ用になります。
ライトのW数を選ぶ 動物の種類・ケージのサイズに合わせて
紫外線ライトもバスキングライトも動物の種類やケージのサイズに合ったW数を選ぶようにしましょう。紫外線ライトの場合、W数にかかわらず、紫外線量が同じであればUVB照射量も同じになります。
ただし、UVB照射量は距離が離れるほど減ってしまいますので、コンパクトタイプのように、ケージの外に設置する場合は、距離に応じたW数のものが必要になります。
【爬虫類用】紫外線ライトのおすすめ4選 サイズ・タイプ・消費電力もチェック!
爬虫類用ライトの選び方のポイントをふまえて、霍野さんと編集部が厳選したおすすめの爬虫類用ライトであるバスキングライトをご紹介します。ここからは、ビタミンの生成を促す紫外線ライトと可視光で温め効果がある赤外線を照射するバスキングライト、さらに両方の機能を兼ね備えた水銀灯ライトを取り上げました。まずは、紫外線ライトからご紹介していきます。
爬虫類にとって最適なUVBを照射するランプ
紫外線を必要とする爬虫類に、飼育下で不足がちな紫外線を人工のランプで補うことが可能な商品です。ヒルヤモリ、グリーンイグアナ、パンサーカメレオン、ウォータードラゴン、ファイヤースキンク、ホシガメ、アカアシガメ、水棲ガメなどを飼育可能です。
ケージ内で自然に近い明るさを再現するために「ナチュラルライト」との併用をお薦めします。
熱帯の強力な太陽を再現
UVB蛍光管とホットスポットを作るバスキングランプを一つにしたライトです。熱帯の太陽光を再現し、強力なUVA・UVBを発するので、自然界に近づける色を再現させたい人向けの商品です。
また、爬虫類の自然界同様の活動サイクルを再現させることができるため、繁殖する確率が高くなる可能性もあります。
爬虫類にとって必要な紫外線(UVA/UVB)照射
紫外線(UV)を浴びることで新陳代謝を行い活動している爬虫類などに対し、屋内飼育下で不足しがちな紫外線(UV)を補うことができる優れた商品です。
強めなUV量なので、砂漠やサバンナに生息するリクガメやトカゲなどの爬虫類に適しています。有効照射距離は約50cmまで可能で、最適な紫外線を照射します。
熱帯地方の自然光の紫外線波長バランスを再現
熱帯地方の自然光の紫外線波長バランスを再現した商品です。
強い紫外線が必要な熱帯産のカメ、イグアナ、アガマ、スキンクなどにおすすめで、丈夫な体を作るために「紫外線UVB」が成長を促進します。60cm水槽に対応しております。
【爬虫類用】バスキングライトのおすすめ6選 サイズ・タイプ・消費電力もチェック!
ここでは、可視光で温め効果がある赤外線を照射するバスキングライトをご紹介します。

寿命が長いハロゲンランプ! 60cm以下ケージに
日本製の集光型のハロゲンランプのバスキングライトです。ハロゲン電球は通常の白熱電球に比べてパワーがあるため、保温力と明るさが増すのはもちろん、ライトの寿命も長いのが特徴。国産なのでクオリティーが高く、安心できます。
種類は27Wと50Wのふたつしかないので、約60㎝サイズの中型以下の水槽やケージで爬虫類を飼育している方におすすめの商品です。

ワット数種類多し! ケージに最適なサイズが選べる
これから爬虫類を飼い始める人で、バスキングライトで悩んでいるならば、ぜひこの「サングロー バスキングスポットランプ」を使ってください。集光型のライトで、同じメーカーの「サングロー タイトビーム バスキングスポットランプ」よりも太陽光に近い色をしています。
ワット数は25W、50W、75W、100W、150Wと幅広いので、爬虫類やケージの大きさに合わせて選べます。コストパフォーマンスも非常にすぐれていて、爬虫類の飼育初心者はもちろん、飼育に慣れた方にも扱いやすいランプです。

自然の太陽光に近い! 集光型爬虫類ケージ用ライト
マルカンのバスキングライトは集光型のライトで、太陽光に近い色の光を出すのが特徴です。
爬虫類にとって自然の太陽光に近い光は、食欲が増して体内バランスを維持しやすくなります。飼い主にとっては、自然の太陽光に近い光を選ぶことで生体がきれいに見えるでしょう。
30Wと50Wの2種類しかないので、約60cm以下の中型以下の水槽やケージで爬虫類を飼う方におすすめです。

集中照射可能な集光型! ホットスポット作りに便利
タイトビームという商品名のとおり、狙った場所に集中的に照射できるのが特徴です。ただし、光がやや赤色を帯びているので、太陽光の質とはかけ離れています。
集光型のライトなのでホットスポットが作りやすく、同じワット数でもほかの商品より温かくなりやすいのがメリット。そのため、乾燥したところに生息しているフトアゴヒゲトカゲやリクガメなどの飼育に適しているのはもちろん、保温性が高いので省エネにもなります。
ワット数は25W、50W、75W、100W、150Wの5種類から選択可能です。乾燥地域に生息している生体向きです。

反射鏡がダブル構造! 30%以上明るさアップ
集光型のライトで反射鏡が二重構造のため、同ワット数の一般的なバスキングライトよりも30%以上明るいのが特徴です。かなり明るいので、ほかのメーカーのライトを購入するときよりひとつ下のワット数を選ぶといいでしょう。
25W、50W、75W、100W、150W、250Wの6種類があるので、大型の爬虫類に使えるライトもあります。大型の爬虫類を飼っている方や、少ないワット数のライトを使うことで電気代を節約したい方にもおすすめです。

水棲カメの飼育に! 水がかかっても割れない仕様
強化ガラスでできている集光型のバスキングライトで、水がかかっても割れずに安心して使えます。元気に暴れる水生のカメや、ケージ内の湿度を高めに保つ必要のあるトカゲなどのライトとして使ってください。
水がバスキングライトにつくと割れてしまい、そのたびに買いなおさないといけなかったという悩みから解消されます。 50Wと70Wがあります。
【爬虫類用】水銀灯ライトのおすすめ2選 サイズ・タイプ・消費電力もチェック!
最後に、紫外線と赤外線の両方の機能を兼ね備えた水銀灯ライトをご紹介します。
UVA/UVBを強力に照射する紫外線ライト
この商品1台で紫外線だけでなく熱量も出すことが可能なので、保温効果も担える商品です。
爬虫類専用ソケットに取り付けることができる安定器が内蔵されています。安定したUVレベルを持続するため、太陽光に近い最適な色温度(5000K)を出すことが可能です。
1台で紫外線照射とバスキングの2役
これ1本でUVBとバスキングを兼用。爬虫類に必須の太陽光、紫外線照射や体温維持、カルシウム吸収と新陳代謝を促します。本製品は砂漠地域のサバンナに棲息する昼行性の爬虫類に最適な紫外線(UV)を照射すると同時に、バスキングによるホットスポットを作ることができます。
なお、ヤモリ類などの夜行性の爬虫類には紫外線の過剰照射になりますので、使用することはできません。また、本製品は水銀灯のため、水銀灯の特性で消灯すると再点灯までに約15分かかります。
「爬虫類用ライト」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 爬虫類用ライトの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの爬虫類用ライトの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
爬虫類用ライトに関するそのほかの商品情報 【関連記事】
爬虫類用ライトに関するQ&A よくある質問
紫外線ライトをブラックライトで代用することはできますか?

できません。紫外線ライトは太陽光の代わりとなるもので、昼光色が基本です。ブラックライトでは暗すぎるため、無駄に浴びすぎて亀の健康を損ねる恐れがあります。なお、紫外線は波長により種類分けされており、290nm以下の高出力はペットに有害となります。必ずペットの生態に近い自然光を再現したライトを使用するようにしましょう。
紫外線ライトの寿命はどのくらいですか?

紫外線ライトの定格寿命は約3,000時間、およそ1年を目安に交換するのが理想です。それ以上古いライトだと、UVBの照射量が少ないか出ていない可能性があります。紫外線ライトを購入する際は、寿命も確認しておくとよいでしょう。なお、UVBはガラスやプラスチックを透過しませんので、直接あてられる位置に設置しましょう。
紫外線がちゃんと照射されているか確かめる方法はありますか?

紫外線測定器を使って紫外線量を計測することが可能です。ただし、簡易的な測定なので、あくまで目安と考えてください。
紫外線ライトの照射をタイマーで管理することはできますか?

できます。タイマーが別途販売されていますので、そうしたものを使用して照射時間を管理してみてください。冬は短く、夏は長めなど、季節によって照射時間を調整するとよいでしょう。
バスキングライトは使い勝手も考えて選ぼう ペットドクターからのアドバイス
バスキングライトは爬虫類の生活にとって重要ですが、それをどうケージに取りつけて温度設定をするかがより大切です。取りつけ方ひとつ違っても温度管理が変わります。使いやすさも選ぶうえで重要なポイントになるので、商品をよく吟味してください。
なにより、それぞれのライトには光の色などの特性があるため、飼っている爬虫類に合ったものを選びましょう。
爬虫類にとって心地よい環境をつくりましょう
爬虫類用ライトの記事はいかがでしたか? どんなライトでもいいというわけではなく、爬虫類の種類にあわせて選ぶことが大切ということがわかりました。自分の飼っている爬虫類が心地よく暮らせるためにも、しっかりとした商品を選ぶようにしましょう。この記事が参考にされば幸いです。
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皆さんはじめまして、私はエキゾチックアニマル専門獣医師の霍野(つるの)と言います。 えっ、エキゾチックアニマルって言葉知りませんか?ウサギやハムスター、インコやカメなどの犬猫以外のペットを指します。 23年前に日本初の専門病院である『エキゾチックペットクリニック』を開業しました。症例数は月に400件を超えているベテラン獣医師です。他にもエキゾチックアニマルのセミナーも企画し、沢山の医療や飼育の書籍を執筆しています。 もっとエキゾチックアニマルの情報を知りたい方は、【Dr.ツルのエキゾチックアニマル情報室】をご覧になってください。専門獣医師によるサイトですので、他にはない病気の記事も多く、とても役にたつこと間違いなしです。 ウサギの専門家による【一般社団法人日本コンパニオンラビット協会】の理事長としても、2020年10月から活動をします。こちらも、ウサギ好きな方は必見ですよ。ウサギの検定を受けてみませんか? エキゾチックアニマルに関することは勿論のこと、ご縁を感じた方がいましたら、いつでもお声かけてください。