ソフトシンセとは
Native Instruments(ネイティブ・インストゥルメンツ)社ソフトシンセ製品の数多くをバンドルした満足度の高いオールインワン・パッケージ
ソフトシンセとは、「ソフトウェア・シンセサイザー(software synthesizer)」の略語で、コンピュータ上でシンセサイザー機能を提供するソフトウェアのことです。
広義にはCPUによって音信号を合成するソフトウェアすべてを指しますが、狭義には歴史的に専用ハードウェアで提供されてきた楽器用シンセサイザーの発音回路を、コンピュータソフトウェアによってデジタル信号処理で再現したもの、およびその楽器としての類型を指します。また、実体がないため「ヴァーチャルシンセ(virtual synth)などと呼ばれることもあります。
ピアノやギターなどのメロディ楽器だけでなく、多様なシンセシス(音の合成方式)によって、実在しないような楽器のサウンドも含め非常に多様な音色が使い分けられる上、ソフトウェアなので物理的な場所もとらない優れものです。一方、ソフトウェアだからこそ、機種により得意な音色や機能、動作環境も千差万別です。複雑なシステムにより音を合成する機種も多く存在します。
ソフトシンセの選び方と5つの注意点 初心者におすすめ
サウンドクリエーター・内藤 朗さんに教えていただいた、ソフトシンセを選ぶときのポイントは5つ。自分のPCスペックが各機材の推奨環境を満たしているかチェックすること、起動タイプとプラグインフォーマットの種類もよく確認すること、大容量の機種でHDD(SSD)を使う場合はそちらのスペックにも注意すること、ユーザー認証のためのデバイスが必要であるか(同梱されているか)どうかを確認することです。
(1)WindowsかMacか対応OSをチェック
昨今市販されているほとんどのソフトシンセはWindows、MacのどちらのOSにも対応しています。そのため、新たに購入する場合は、それほど気にする必要はありません。
しかし、Windows10ではなく、Windows7対応といった古いバージョンのソフトシンセを利用する際は注意が必要です。ほかにも、ソフトシンセのメーカーによってはMacでのDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)操作を前提としてつくられているものもあるため、こうした製品の場合、インタフェースや使い勝手に影響が出てしまう可能性もあります。
お使いのPCがMacであれば、迷わずMac版を購入するようにしましょう。
(2)PCスペックが推奨環境を満たしているかチェック
ソフトシンセはPC自体をシンセサイザー化するものです。当然ながら、ハードウェアとソフトウェア、両方のスペックを満たしている必要があります。まず使用しているPCのCPU、HDDやSSDの空き容量、メモリ容量などが、推奨スペックに適しているかどうかをチェックしましょう。
基本的に、推奨環境はメーカーサイトの製品ページなどに記載されていますので、それらを参考にすると良いでしょう。また、推奨環境として「CPU***以上(***以上推奨)」のような表記もよく見ることでしょう。できる限りストレスなく使用したい場合は、記載のスペックを満たす環境で使用するのがベターです。
(3)起動タイプとプラグインフォーマットをチェック
ソフトシンセは、PC上でそのまま起動して使用するスタンドアローンのタイプと、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)上でプラグイン音源として起動・使用するタイプがあります。製品によって、これらの起動方法への対応の可否が異なります。
スタンドアローンの起動タイプ
スタンドアローンタイプのソフトシンセサイザーは、DAWを起動させることなくPC上でそのまま利用できます。なおスタンドアローンタイプのソフトシンセサイザーのデメリットは、DAWと連動できないという点です。作曲用としては起動できず、あくまで演奏専用の起動になります。
DAWのプラグインとして起動するタイプ
プラグイン形式にはVST、AAX、AUなど複数のフォーマットがありますが、検討中のソフトシンセがすべてのフォーマットに対応しているとは限りません。購入前にソフトシンセだけでも使用できるスタンドアローンのものかどうか、自分の使用しているDAWで使用されるプラグインフォーマットに対応しているかどうかなども確認が必要です。
(4)HDD(SSD)の容量や回転速度もチェック
最近のサンプリング音源系ソフトシンセは、音色の元となるサンプル素材の容量が数GBから数十GBに及ぶものまでさまざまです。PCに負担をかけないよう、インストールするために専用HDDやSSDを用意したほうがいい場合も。
HDDは7,200回転を推奨されることが多いので、購入時にはディスク回転速度もおさえておきたいポイント。これは使用するPC環境次第ですが、SSDならサンプルの読み込み速度(あるいはストリーミング速度)が向上する傾向にあります。しかし、HDDに比べるとドライブ自体の破損やトラブルが生じた際の復旧が難しいというデメリットがあるため、よく検討することが大切です。
(5)ユーザー認証方式をチェック
ソフトシンセの多くは、メーカーサイトでユーザーアカウントを作成し、製品のシリアルナンバーを登録することで使用できるようになります。しかし、製品によっては、eLicenser(イーライセンサー)やiLok(アイロック)などの認証デバイスが必要なケースも。これらは製品には含まれず別売りとなっていることも多いので、購入前は認証方式についても調べておきましょう。
ソフトシンセのおすすめ9選 初心者に最適な入門ソフトシンセや人気のSERUM(セラム)など
選び方のポイントをふまえて、おすすめのソフトシンセを紹介します。
NI社珠玉のオールインワン・パッケージ
フードメニューのトッピング全部乗せのような、Native Instruments(ネイティブ・インストゥルメンツ)社ソフトシンセ製品の数多くをバンドルした満足度の高いオールインワン・パッケージです。EDMやテクノ、ポップス・ロック、ジャズ、クラシックなど多岐のジャンルやニーズに応えるパッケージ構成でさまざまな楽曲制作に活用できます。
また、制作作業において使用する音色は多岐にわたり、そのときどきによって好みや必要とする質感は異なってきますが、そのニーズの多くに充分に対応してくれるパッケージ構成です。

多様な合成方式で積極的にサウンドメイクできる
シンセサイザーとしての機能が充実しているのはもちろん、計1万4,000以上のプリセットサウンドを選んで使用するだけでも充分な使い応えがあるのが、『Omnisphere 2』。内蔵のウェーブテーブル方式、グラニュラー方式などさまざまなシンセシスを活用した音色作りもできます。
また、オーディオファイルを読み込んで音色への互換および編集ができるなど、オリジナルのサウンドメイクを積極的に行なうことができます。プリセットを使用して、音色の独自性を演出したい方に注目してもらいたい製品です。

ドラムの音色に特化した定番モデル
DAWで曲作りをはじめる際、まず内蔵ソフトシンセを使用してMIDIの打ち込みパートを作っていきます。より多彩な表現を求めていくと、さまざまなニーズが生じますが、なかでも「ドラムの音色にもっとこだわりたい」という声は多いです。そこで、『Addictive Drums 2(アディクティブ・ドラムス2)』の出番。ドラム音色に特化した定番モデルのひとつです。
各打楽器の音色やボリュームバランスの調整がかんたんにでき、プリセットのリズムパターンを好きなドラム音で演奏させられるなど、使い勝手のよさは専用音源ならでは。ドラムに特化したソフトシンセを求めているなら、ぜひ候補に入れておきたいソフトのひとつですね。

オーケストラ系シンセの音源がコンパクトに
Vienna(ビエナ)は、高品質のオーケストラ系ソフトシンセメーカーとしてよく知られており、そのサウンドエッセンスがコンパクトにまとめられているのが、『VIENNA SMART ORCHESTRA(ビエナ・スマート・オーケストラ)』。多くの人にとって、本格的なオーケストレーションによる曲作りをいちからはじめるのは、容易なことではありません。
しかし、本製品ならオーソドックスなオーケストラ楽曲制作だけでなく、映画のサウンドトラック、RPG系ゲームのBGM制作などにも重宝できるだけでなく、入門用オーケストラ音源としても最適。もちろんクラシカルな雰囲気の曲作りを目指したい人にも使用してもらいたい製品です。

EDM系シンセサウンドを求めているならばこちら
『SERUM(セラム)』は、ウェーブテーブル方式を採用したソフトシンセ。ウェーブテーブル方式とは、複数の異なる波形で構成されたウェーブテーブル波形をもとに音色加工を行なっていく音源方式です。ウェーブテーブル波形を連続的に変化させることで複雑なサウンドの多様性を得られます。
本製品では、この音作りのもととなるウェーブテーブルの編集が容易にできるのが大きな特徴。また、最近のEDM系ミュージックで使用される定番ソフトシンセのひとつとして知られています。EDM系のシンセサウンドを求めている人にはマストアイテムといってもいいくらいおすすめな製品です。
「最高のピアノ音源」の新しい指標
Ivory Grand Pianos IIは、合計77GB以上のサンプルを使用した、バーチャル・グランド・ピアノ音源です。88キー各鍵盤を、最大10段階のダイナミックレベルで収録(Bosendorfer Imperialは、1オクターブの拡張低域部も収録)。また、各サンプルは一切ループ無しで、無音に至るまで自然な減衰を32-bitで収録しており、ステレオ位相も完璧な仕上がりになっています。
コスパ重視だけじゃない
Trilianは、アコースティック、エレクトリック、シンセのすべてにおいて、最高のベース音を提供するソフトウェア音源です。エンジン部には、Spectrasonicsのフラッグシップ・シンセサイザーOmnisphere同様、自社開発の「STEAM」エンジンを採用しています。
音色の中心となるのは34GBのコア・ライブラリー(Trilogyの10倍以上!)。スライドなど様々なアーティキュレーション、Stylus RMXと同期可能なアルペジエイター、30種類のエフェクトも内蔵しているので、使い込むほどに新しい演奏表現を発見できることでしょう。
本格派のオーケストラ音源
洗練された操作、卓越したパフォーマンス、美しい自然なサウンドクォリティを実現した高品位の楽器を60以上おさめたコンプリートオーケストラ音源コレクション。iLokシステムで1ライセンスで3デバイス(PC、iLokキー問わず)に同時アクティベート可能。
「ソフトシンセ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ソフトシンセの売れ筋をチェック
Amazonでのソフトシンセの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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ソフトシンセはPC環境を念入りに確認してから
ソフトシンセを購入して、いざ使おうとしたときにきちんと動作しない原因は、製品の動作環境を満たしていないケースが多く、動作環境の改善によってほとんどの問題が解決できます。購入前には、OSやプラグインフォーマットといったソフトウェア的な仕様、HDDやSSDなどハードウェア的な仕様について、メーカーサイトの記載事項やパソコンのスペックなどを改めて確認しましょう。
不明な点がある場合には、製品を購入する前に、各メーカーのサポート部門へ問い合せることをおすすめします。使用パソコンのスペックやDAWなどを把握して、具体的に伝えることでより詳細なサポートが受けられ、ピッタリな製品が見つけられることでしょう。
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