マイクスタンドの選び方
元大手楽器メーカー勤務のピアノ講師・山野辺祥子さんに取材をして、マイクスタンドの選び方のポイントを教えていただきました。選ぶポイントとして大きく下記の2つになります。
【1】スタンドのタイプで選ぶ
【2】用途に合ったマイクスタンドから選ぶ
用途やマイクスタンドの種類をよくチェックすることが大切です。ぜひマイクスタンド選びの参考にしてください。
【1】スタンドのタイプで選ぶ
マイクスタンドは、その形状やサイズから大きく5つのタイプに分かれています。それぞれの形状と特徴について紹介します。
ストレートタイプ
ストレートタイプのマイクスタンドは、マイクスタンドのなかでも、ポピュラーでスタンダードな形状です。地面から垂直に伸びる形のため、場所をとりません。身長差がある人が連続して使用する際にも、上下にスライドすることで高さを調整できて便利です。
土台になる部分は、重りとなるディスクがついているタイプと、三脚状になっているものがあります。
ブームタイプ・ショートブームタイプ
地面から伸びたスタンドに、斜めに伸びたアームがついているものが、ブームタイプやショートブームタイプのマイクスタンドです。ギターなどの楽器の弾き語りや朗読などで使われているのを見ることがあるでしょう。
マイクがついているアーム部分の可動域が広く、マイク使用中に立ったり座ったりする際などに便利です。ただしストレートタイプよりも場所を取るため、使用する場所のスペースが確保できるかどうか確認が必要です。
卓上スタンドタイプ
ゲーム配信など、パソコンのすぐそばにマイクを置いて使用したい場合は、コンパクトな卓上タイプを選びましょう。スタンドもコンパクトで、アームも短く作業の邪魔をしにくいつくりになっています。床置きタイプのスタンドよりも軽量のため、持ち運びもかんたんです。
なかにはグースネックタイプという、アーム部分がガチョウ(goose)の首(neck)のように湾曲し、好みの角度や距離に設定できるものもあります。
デスクアームタイプ
マイクスタンドは意外と場所を取るものです。動画制作の際など、デスクという限られた場所で作業をする際には、とくにマイクのスタンドが邪魔になることもあるでしょう。その場合にはデスクの端にクランプで取りつけできるデスクアームタイプを選ぶといいでしょう。マイクを使用しないときには、アームを曲げれば収納に場所を取ることもありません。
ただし、クランプを使用していることで、デスクにキズが入るリスクがあります。使用前にキズがついても問題ないデスクか確認しておきましょう。場合によっては緩衝材をクランプに噛ませて使用する方法をとってもいいでしょう。
【2】用途に合ったマイクスタンドから選ぶ
マイクスタンドは、どれも同じように見えるかもしれませんが、実は、使用の用途によって、適しているタイプが異なります。
使用の用途は大きく3つあり「ボーカル用」「楽器用」「パブリック用」に分類され、それぞれ特徴があります。ひとつずつ見ていきましょう。
ボーカル用
ボーカル用のマイクスタンドとしてよく使用されているのが、「ストレートタイプ」と「ブームタイプ」です。使用するスペースが限られているときには、立って使用する場合はストレートタイプを選ぶといいでしょう。
また楽器の弾き語りや朗読劇など座って使用する場合には、ブームタイプを選ぶと邪魔になりません。その場合は、マイクの可動域のスペース確保に注意しましょう。
楽器用
楽器の音を拾ったり、演者の音声を拾う場合には、ブームタイプのマイクスタンドを選ぶといいでしょう。可動域が広いので、一時的に離れた場所にマイクを向けることもできます。
またブームタイプにも、さらに「ショートブームタイプ」と「オーバーヘッドタイプ」があります。ショートブームタイプは、バスドラムなど低い位置から発せられる音を拾う際に活躍します。またオーバーヘッドタイプは、ドラムのシンバルなど高い位置から出る音を拾うのに適しています。
パブリック用
会社や学校での発表の際などには、スタンドタイプや卓上スタンドタイプなどが用いられます。卓上スタンドタイプは、机上に資料などを置いて発表する場合などに便利です。
机のスペースが足りない場合は、机の端にクランプで設置するデスクアームタイプを使うことで、より机上を有効に使えます。よりフィットしたマイクとの距離感を設定したいのであれば、自在にネック部分の角度が変えられるグースネックタイプを選ぶといいでしょ。
使用用途に合ったサイズ感のマイクスタンドを 元大手楽器メーカー勤務のピアノ講師がアドバイス
楽器の演奏時や講演会などで主に使用されてきたマイクスタンドですが、今や動画配信などまで用途が広がったことで、さまざまなタイプの商品が販売されるようになりました。
マイクスタンドを選ぶ際はまず安定性を重視しましょう。拾いたい音がきちんとマイクに取り込める状態を維持できるものを探してみてください。またマイクを設置するスペース内にアームや土台が収まるかどうかも重要です。
マイクスタンドのおすすめ商品をご紹介 ピアノ講師・元大手楽器メーカー勤務の山野辺祥子さんと編集部が選んだ
▼【ストレートタイプ】マイクスタンドおすすめ6選
ここまで紹介してきたマイクスタンドのタイプのなかから、まずはストレートタイプのマイクスタンドのおすすめ6選をご紹介します。
ドラムなどの愛好家も多いTAMA(タマ)の『ストレートスタンド(MS200)』です。重さも十分あるので、三脚部がコンパクトでも安定感があり、使いやすいでしょう。

せまいスペースでも大活躍
三脚部分を一般的なマイクスタンドより短めに作っているため、スペースに余裕がない場所でも活躍します。高さは910~1,550mmの間で調整でき、使用する人が入れ替わる場合にもかんたんに高さ変更が可能です。
マイク取りつけ部のネジは3/8となっていますが、5/8用変換アダプターを利用することで、5/8取りつけネジを使用するマイクホルダーでも装着できます。
マイク装着部分がクリップだから取りつけかんたん
こちらのマイクスタンドは、マイク取りつけ部分がネジ込み式ではなくクリップタイプになっているため、マイクの付け外しがとてもかんたんに短時間で行なえます。直径18~35mmのマイクが対象ですが、クリップではなくネジを使用して固定したい場合は、3/8から5/8へとネジを変換できるアダプターが付属されています。
スタンドの高さは815~1,460mmまで調節でき、折りたたむとコンパクトに収納が可能です。
強風時など安定しない環境でも使える
ベース部分が鉄鋳物になっているため、強風が吹く屋外や少し傾斜のある場所でもしっかりとマイクを立てることができます。有線でのマイクを使用する際には、コードクランプでマイクコードをスタンドに固定しておけば、コードに引っ掛かって転倒するなどの事故も防げるでしょう。
高さは908~1,515mmまで調節可能。ロックナットは3/8ですが、5/16用変換アダプターがついています。
使用中も片手で高さ調節が可能
高さを1,100~1,820mmまで、片手でボタンを押すだけで調整できるマイクスタンドです。使用中の微調整もかんたんに行なえるのがうれしいポイント。マイク装着部分は3/8のねじ込み式になっています。
ベース部分は、折り畳み可能な三脚になっているので、移動や持ち運び、収納の際もスペースを取らず便利です。
スタイリッシュで、操作性にも富んだスタンド
耐久性としっかりした重量のあるベースは数回回すだけでシャフトから取り外し可能。イベント後の撤収の際にもコンパクトかつスピーディに作業を行なえます。シャフトには、静音性に富んだクラッチがついているため、使用中のマイクの高さの調整も、ノイズを気にすることなくぴたっと好みの高さに調節可能です。
高さは、883~1,626mmまで対応しています。
持ち運びに便利な軽量スタンド
こちらのスタンドは高さを820〜1,950mmまで調整可能ですが、収納時にはφ60mm×710mmまでコンパクトにまとまるマイクスタンドです。収納に場所をとりません。また重量も、780gととても軽量。持ち運びにも便利。
マイクホルダ―は硬質ゴムでできており、しっかりマイクをホールドします。φ55mmのマイク対応です。
▼【ブーム・ショートブームタイプ】マイクスタンドおすすめ5選
続いては、ブームタイプやショートブームタイプのマイクスタンドのおすすめ5選をご紹介します。
QUIK LOK(クイックロック)『A-50 スタジオブームスタンド』は便利なキャスターつき。セッティングの移動が発生する現場でフレキシブルに使用できるでしょう。

キャスターつきスタンドなので移動もらくらく
ベースの三脚部分にロックつきのキャスターがついているので移動もかんたん、アームが約200mmまで伸びますが、使用中はしっかりとマイクを支えてくれるので、プレイに集中できるでしょう。
ケーブルクリップが付属されており、有線のマイクや機材を使用する際にもコードがまとめられるため、ステージ上の見栄えもよく、移動もスマートにできます。
低い位置からの音も逃さない
バスドラなど低い位置からの音を拾うのに適したロータイプのマイクスタンドです。ギターの弾き語りなど、着座しての演奏などにも向いているでしょう。アーム部分は440~800mmまで長さの調節が可能です。
ベースは丈夫なダイカスト素材を使用しているので、不安定な場所でもしっかりとマイクを支えてくれるでしょう。折り畳み時には470×375×110mmととてもコンパクトにまとまるため、持ち運びや収納にもたいへん重宝します。
ブームとストレートの2Wayで使用可能
こちらのスタンドは、ストレートスタンドとしてとブームスタンドとして2Wayで使用可能です。ブーム部分を外すだけでストレートスタンドになるので使用目的に合わせてスタイルが変えられてコスパもよく、収納にも便利でしょう。
マイクの取りつけ部分も3/8インチ、5/8インチのアダプターがついているため、使用できるマイクの幅も広がります。
国産楽器メーカーが手掛けたマイクスタンド
TAMAは、星野楽器が手掛けるドラムのブランドです。ドラムのことを知り尽くしているからこそ、至近距離でマイクを支えるスタンドにもこだわっています。たとえば、一般的に側面につけられることが多い、ブームを調整するためのナノーブルを上部に取りつけることで、右利き・左利きを問わず設定者がスムーズに調整できるようにしたのもそのひとつ。
ブームは510mmあるので、コンパクトなボディながら、機材の邪魔をせずしっかりとマイクを支えます。
2本のマイクを同時にセット可能
ストレートスタンドと、ブームスタンドの2Wayで使用可能なマイクスタンドです。そのうえ、ストレートスタンドとブームスタンドそれぞれに同時にマイクをセットできるため、省スペースになりステージ上もすっきりとするでしょう。
マイクホルダーはクリップタイプと硬質ゴムのホルダーが用意されているので、マイクに合わせて選べます。三脚の先にはゴムキャップがついていて、床などをキズつけない配慮もうれしいポイントです。
▼【卓上スタンドタイプ】マイクスタンドおすすめ6選
机上での作業が多い方に向けた卓上スタンドタイプのマイクスタンドを6選、厳選しました。
KIKUTANI(キクタニ)『マイクミニスタンド DS-28』は、グースネックタイプの卓上スタンドです。台座がしっかりしているため、マイクの扱いに慣れていない方でも角度の調整がしやすいでしょう。

角度の微調整が可能なグースネック
ゲーム中継やライブ配信の際に、体を動かしたことによりマイクの位置が合わなくなることがありますが、こちらのグースネックタイプのスタンドであれば、片手でもかんたんにぴったりの位置にマイクを合わせられます。台座が鋳物になっているため重量感があり、少し傾斜したような場所でもしっかりとマイクを支えてくれるでしょう。
マイク取りつけ部は5/8のネジ式です。オプションでマイクホルダーの装着も可能。
折り畳み可能で、移動にも
コンパクトな折り畳み式マイクスタンドです。使用しないときは、アームを畳むだけ。長さ220×厚み60×横幅80mmのサイズになり、移動や収納の際に場所を取りません。また本体の重量が300gととても軽量であることもポイントです。
マイク取りつけ部は、3/8のネジ式となっています。オプションで5/8ネジ変換アダプタの使用も可能です。
グースネックタイプの卓上スタンド
こちらは、アーム部分が330mmのグースネックになった卓上スタンドです。柔軟に角度を変えられるため、ゲームの実況やライブ配信などの途中で微調整が可能です。
ベースとアーム、マイク取りつけ部はそれぞれ分解可能となっているので、コンパクトに収納でき、移動の際もカバンのなかにコンパクトに収まります。
5/8変換アダプターとマイクホルダーが付属されているので、手持ちのマイクに合わせて使用できます。
クリップ式でマイクをかんたんに固定
φ35mmまでのマイクをクリップで固定するタイプの卓上スタンドです。高さは120~175mmまで無段階で調整できるため、使用する机などにあわせて、調節できます。
マイク取りつけ部は、5/8のネジ式になっており、5/16用変換アダプターが付属されているので、手持ちのマイクに合わせて取りつけ方法を選べます。
25~30mmのマイクに使えるホルダ―つき
マイク角度を自在に変えられる、マイクホルダーつきのスタンドです。φ25~30mmまでのマイクに対応していますが、ホルダーを取り外し、3/8(本体)、5/8(アダプタ使用)のネジで固定することも可能。
アームは260~366mmに伸縮できるアジャスターがついているので、高さを調整しながら快適に使用できます。
裏面には転倒とキズを防ぐラバー素材
5/8ネジを使用して固定するタイプのマイクスタンドです。高さは203~311mmまで調節が可能となっています。
重量感のあるベースを使用しているため、適度な高さを作業中ずっとたもってくれます。また、金属ベースの場合、机などにキズをつけることもありますが、こちらはキズや転倒を防止するためのラバー素材が貼ってあります。ビジターとして訪れた場所での使用でも心強いでしょう。
▼【デスクアームタイプ】おすすめ5選
最後に作業を行なう際にデスク上のスペースを確保したい方に向けたデスクアームタイプのマイクスタンドを5選、厳選しました。
キョーリツコーポレーション『マイクスタンド(MDS-4)』は、コンパクトに使えるグースネック仕様。必要なときに必要な場所へマイクを容易にセッティングできるので、ゲーム実況やWeb会議などの用途で扱いやすいでしょう。
フレキシブルに角度や高さを調整するグースネック
こちらはMDS-3の卓上スタンドから発展した、クランプで固定するタイプのアームスタンドです。アーム部分が60cmのグースネック仕様になっています。使用中にマイクの角度や高さが気になったらすぐに片手でも調整が可能です。
φ2.5cm対応のマイクホルダーがついていますが、3/8と5/8ネジのアダプターも付属しているため、手持ちのマイクに合わせて取りつけ方法を選べます。
角度はスプリングでかんたんに設定
デスクの端にクランプを使用して固定するタイプのデスクアームスタンドです。アームはスプリングを使用しているので、角度の変更も自在。デスクアームタイプに慣れていない人でも調整はかんたんです。重いコンデンサーマイクもしっかりと支えます。
ネジ径は5/8となっていますが、変換アダプタを使用すれば3/8ネジのマイクも取りつけが可能です。
2kgまでのマイクもしっかりホールド
デスクアーム型のスタンドは机の省スペース化に貢献しますが、机の厚みによっては取りつけができないことがあります。こちらのクランプは5cmの厚みの机でも使える幅広タイプになっています。アームは上下それぞれ約40cmのリーチがあるので、少し離れた場所にマイクを向けるのにも適しています。
5/8ネジでマイクを取りつけますが、2kgまでのマイクに対応可能です。
高さを変えてもマイクの向きは一定のまま
アーム部分の高さを変えても、マイクの向きは変わらない平行四辺形設計なので、マイク使用中に体勢を変えることが多い人にもぴったりのマイクスタンドです。700~1,100gまでのマイクに対応しています。
アームの角度調整は、アーム内部のスプリングを使用して配信中などにアームを動かしても、ノイズが発生することはありません。
アームスタンド初心者も3分で取りつけ可能
スタンドを固定するクランプを大きめにしたり、強化したスプリングにより重さのあるマイクをホールドできるようになったりと、改良が重ねられたマイクスタンドです。
クランプが大きくなったことから、スタンド全体の安定性が高まり、初心者でも説明書を見ながら3分ほどで設置が可能となっています。マイクホルダーや変換アダプタのほかに、コードを結束するためのバンドなどもセットになっているので、届いたらすぐに使えるのもうれしいポイントです。
「マイクスタンド」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする マイクスタンドの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのマイクスタンドの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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用途にあったマイクスタンドで作業効率をあげよう
今回は元大手楽器メーカー勤務のピアノ講師・山野辺祥子さんと編集部で徹底調査した、マイクスタンドの選び方と、おすすめ商品22点をご紹介しました。
マイクスタンドと一言でいっても、実は用途に合わせてさまざまなタイプがあることがわかりましたね。使用用途別にさまざまなタイプがあるということは、適合するマイクスタンドを使用することによって作業効率もよくなるということです。
使用目的にぴったりのマイクスタンドを選び、よりクオリティの高い音を拾いましょう。
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武蔵野音楽大学出身。卒業後某大手楽器メーカーの法人部に入社。 音楽教室の運営や講師指導のサポート、店舗接客、楽器セッティングなどを担当するイベントクルーとして全国を飛び回る。また、出版部に在勤中は楽譜校正、楽譜情報誌編集の経験も。 現在はピアノ講師のかたわらフリーランスライター、校正者として活動中。プライベートでは3児の母。