アウトドア用鉈(なた)の選び方 種類と形、刃の形状、持ち運びやすさ、握りやすさをみる
山岳写真家・荒井裕介さんに、アウトドア用鉈(なた)を選ぶときのポイントを教えてもらいました。
ポイントは下記の4つ。
【1】鉈の種類で選ぶ
【2】鉈はどんな刃物かを知り、用途に合ったものを選ぶ
【3】移動する際の持ち運びを想定
【4】柄の形は握りやすさを意識
上記のポイントを押えることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】鉈の種類で選ぶ 剣鉈、腰鉈、海老鉈など
鉈には多くの種類があり、「剣鉈」はブレードの先がとがっているのが特徴。細かな枝を切ったり、皮むきなどにも向いていて、包丁代わりに利用することもできる汎用性に優れた鉈です。
刃が長方形の鉈を「腰鉈」といいます。焚き火やストーブ用の巻割り、細かな枝や藪を払うのに適しています。刃が重いので、振り落とすことで、斧のように薪をたたき割ることができます。
「エビ鉈(海老鉈)」は刃の先端に石がついている特殊な計上の鉈です。刃こぼれしにくいため、キャンプだけでなく、庭の草木を払いたいときなどのガーデニングにも利用できます。
【2】鉈はどんな刃物かを知り、用途に合ったものを選ぶ 片刃か両刃か、重量バランスも
鉈は日本のフィールドナイフなのですが、片刃、両刃があり、用途別にも種類が別れます。その多くは大型で先端が重くなっているものが多く、少ない力で作業が行なえるようになっています。
もともと剣鉈は比較的歴史が浅く、折れた刀で作ったのが最初と言われていて、ナイフと手斧の中間に位置する刃物のため、日常作業が一本でこなせるようになっています。
小型であっても手元ではなく、ブレード(刃)部分に重量バランスがあり、遠心力を利用して使用できるものを選びましょう。
【3】移動する際の持ち運びを想定する 取り回しやすいものを
取り回しやすく、持ち運びやすい鉈を選ぶことも大切です。ただし、刃渡りが短い鉈は持ち運びに便利ですが、薪割りや枝切りなどが難しくなるので、携帯性と機能性を合わせてチェックするようにしましょう。
フィールドといってもさまざまですが、キャンプ場なら薪割り鉈で充分です。つねに腰に下げておく必要はありません。
また重量も重要なポイントになります。歩きでの移動が多く、携帯したい場合は、できるだけ取り回しのよいものを選択するのが好ましいです。
鉈は先端の重い刃物なので、ある程度小型でも必要な打撃を加えられるのが特徴です。移動手段を考慮に入れて選ぶのも大切なポイントになります。
【4】柄の形は握りやすさを意識して選ぶ
鉈を選ぶときには、柄が握りやすいかどうかもチェックしたいところです。一般的に、太さが均等な鉈よりも、「刃に近づくほど柄が細くなっているタイプ」の方が握りやすくなります。
デザインを重視した鉈もありますが、実用性はあまり高くないので、使いやすさ重視で選びたいという方は、柄の形と持ちやすさを意識した方がいいでしょう。
鉈おすすめのメーカー
豊国鍛工場
高知県にある創業1946年の和式刃物専用ブランドです。農山林刃物を中心にあつかっており、完全オーダーメイドの鍛造刃物にこだわり続けています。
400年の伝統を守りながら、時代に合わせたモノづくりにも挑戦を続け、3Dコンピュータによる刃の制作をしています。
ユニフレーム(UNIFLAME)
新潟県にあるアウトドア用品キャンプ用品の総合メーカーです。主にキャンプ用のテントからガスバーナー、アウトドアテーブル、鍋など幅広く商品展開をしています。
社名の由来でもある、ユニークな炎(フレーム)を創造するという理念のもと、湯飲みに見立てたサーモカップや焚き火専用のスタンドなど、遊び心も兼ね備えた商品も作っています。
アウトドア用鉈(なた)のおすすめ9選 使いやすい、キャンプの薪割りで活躍
うえで紹介した鉈の選び方のポイントをふまえて、山岳写真家・荒井裕介さんに選んでもらったおすすめ商品、編集部で選んだ商品を紹介します。

入手しやすさとコスパがいい鉈
ホームセンターなどでも入手可能な両刃鉈です。キャンプ場での薪割りならこれで充分でしょう。刃が交換式で手入れもかんたんなので、刃を研ぐのが苦手な人でも大丈夫。まさにビギナー向けの入門鉈といえます。
入門用といっても、職人が現場作業で使うことを考慮に入れた作りになっているので、本格的な作業もこなせます。これから鉈を使いはじめて、徐々にステップアップしたい人におすすめの1品です。
安来鋼を使って熟練の職人がつくる
「鋼典」は本職用の高級刃物として一つひとつを熟練の職人が創り上げているブランド鉈のひとつ。薪割り用としてはもちろん、園芸用、登山用、板材整理などにも使えます。
手入れをしながら、じっくり長く愛用したい人向いている商品です。
キャンプに登山、釣りなどマルチに使える
USAやヨーロッパ全域のカスタムナイフメーカーが集まったアウトドアナイフショーで、二年連続大賞受賞。過酷な切れ味のテストを6つもクリアした剣鉈です。1つ1つ、職人によって仕上げられた剣鉈は切れ味や耐久性が抜群。キャンプやきのこ採り、登山や釣りなどマルチに使用できますよ。
また、初心者の方でも安心して使えるよう、ヒルト部分にはツバがついています。ツバ輪が、ゴールド色でアクセントになっている部分もポイント。鞘はオイルステン木鞘、革ベルト付きで、鞘に閉まっても見た目がとてもかっこいいですよ。
小割りの薪に使うにはぴったりなちび鉈
UNIFLAMEは1985年創業、日本のアウトドア用品キャンプ用品総合メーカーです。某キャンプアニメのツアーコラボグッツとして、シェラカップを製作したことでも知られています。こちらの鉈は、荷物をあまりかさばらないようにしたいときや、太い薪割りをしない際にぴったりなサイズ感です。
メイン鉈としては小さく、物足りない感じもするかもしれませんが、熟練された職人による美しい仕上がりの鉈は、お気に入りの1本になるでしょう。グリップエンド部分にUNIFLAMEのロゴプレートが付いており、ファンには堪らないものになっています。
1丁1丁高温鎚打ち!丁寧な職人の技を堪能
切れ味と耐久性に特化した最高級鉈です。極軟鉄と高級刃物炭素鋼白紙鋼を鍛接鋼付けして、1丁1丁高温鎚打ちしているからこそ仕上がったものです。また、職人によってつくられたものなので、工業製品にはない職人の温もりが感じられますよ。
鞘入全長は約420mmに、刃渡りは約210mmとやや大きめ。両刃タイプなので、右利きの人でも左利きの人でも扱えるという利点があります。そのほかにも、力が均等にかかるので真っ直ぐに切れるという利点もあり、太い薪割りをするのに適した鉈ですよ。
高級感ある腰鉈バンド付き鞘が魅力的
刃渡り165mm 、柄部分180mm、全長345mmの比較的大きい鉈です。片刃なので、刃先が薄く、切ることや削ることに適しています。また、よい鋼でつくり上げているので、耐摩耗性が特化しており、切れ味のよさに驚くことでしょう。
薪割り用の鉈は持っているけれど、もう1丁サブで欲しいという方にもおすすめ。付属品には、取扱説明書、高級感ある腰鉈バンド付き鞘が付いていますよ。キャンプ時腰に下げていたら、渋くてかっこいいかもしれませんね。

かの有名な鍛冶屋の剣鉈
1本1本火造りされ、伝統の技術が生み出す無骨で美しい鉈です。真鍮(しんちゅう)製の「ヒルト」(ナイフの刃から指を守るためのガードの素材)が付けられ、安全性も確保されています。
フィールドで扱いやすいサイズで、ラフな作業からこまかい作業までカバー。サビに強いとされる黒槌目(製法のひとつ)で仕上げられていることから、上級者でも満足のいく1品です。
ビギナー、ベテランにかかわらず、冒険をさらに楽しくしてくれること間違いなしです。
テコの原理で薪を折る溝付き
キャンプ用品を数多く手掛けるユニフレームの鉈。薪割りのしやすいがしやすいように、刃の部分に薪折り用の溝があり、細い薪や枝を挟んで折ることができるようになっています。
ゴム系素材のグリップも持ちやすい形で、専用のケースが付いているところもポイント。小型の薪ストーブなどをよく使うキャンパーによいでしょう。
切れ味が抜群!薪割りが楽しくなるかも
刃の形状は両刃、材質は鋼付なのでメンテナンス時に研ぎやすく、刃が欠けにくいことが特徴です。また、厚みもしっかりあるので、切れ味がよく何本も薪を割りたくなってしまうかも。
重量が少し重めなので、持った際に扱いにくいと感じるかもしれませんが、切れ味を体感することで重さにも納得するでしょう。シンプルな鞘が付いており、腰に装着して安全に持ち運べますよ。邪魔な枝を切りたい時やBBQ、キャンプ時に使う薪割りで大活躍する1丁です。
「アウトドア用鉈」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする アウトドア用鉈の売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでのアウトドア用鉈の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
鉈がないときの巻き割はナイフも代用可能
鉈をもっていない場合は、ナイフでも薪を割ることができます。一般的にその行為をバトニングと呼ばれていて、薪にナイフのブレードを当てて、上からスパイン(峰)を別の薪でたたき下ろす方法です。
前提として、鉈は遠心力を使い薪を割りますが、バドニングはてこの原理で薪を割ります。あまり無理してバドニングをすると、ナイフが壊れてしまう恐れがありますので注意ください。
バドニングをする際には、フルタングナイフ(フルタングとはハンドル部分まで鉄鋼を挟んでいるナイフのこと)が一般的には耐久性があり好ましいと言われていますが、それよりも大事なことはブレードつけ根の強度が低いとぽっきりとおれてしまうので、ナイフを使ってバドニングする場合には、付け根の強度に注目するようにしてください。
アウトドア用鉈に関連する記事のご紹介
薪割りの他にも目的に合わせた鉈(なた)選びを アウトドアナイフとしても使える
源流釣りを楽しむ方であれば大型の鉈を持っていてもいいかもしれません。ただ、狩猟者の方でなければそこまで大型の剣鉈は必要ありません。
キャンプ場やフィールドで薪を割る、焚きつけを作るのであれば角鉈や薪割り鉈で充分です。
また、切っ先がとがっている必要は必ずしもなく、基本は重さと靭性で割る、切る、削るを行うのが作業用の鉈だと思ってください。
鉈を使って何をしたいのか、目的を考えて選ぶようにしましょう。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
ブッシュクラフト、狩猟、ULスタイル、沢登りなど様々なアウトドアに取り組む。海外生活の経験もあり銃器やトイガンにも造詣が深い。 アウトドア料理やビンテージアウトドアアイテムのレストア、道具作りにも造詣が深く自作アイテムのみでの山行も行う。 フェールラーベンのアンバサダーとしても活動している。