ベルモットとは? ハーブやスパイスが香る
バーなどに行くとよく見かけるベルモット。ハーブなどの材料で香り付けされており、食前酒やカクテルに使われることの多いワインの一種です。
ベルモットは、ワインの分類上では「フレーヴァードワイン」に属します。一般的にベルモットは白ワインにニガヨモギなどの香草やナツメグなどのスパイスを配合して造られています。褐色のような色合いのものもありますが、それはカラメル色素による色味であり、ベースに使われているのはあくまで白ワインです。
癒されるお酒とも呼ばれ、芳醇な香りを放ち、疲れた夜に飲めばふっと力が抜けるような味わいが魅力です。
シェリーとの違いは?
ベルモットと同じように白ワインをベースに作られているのが「シェリー」です。シェリーは、工程のなかで蒸留酒をブレンドし、あえてアルコール度数を挙げたお酒です。
白ワインとほかのお酒が混ざった独特な香りや風味を感じられ、ベルモットとは異なる魅力を堪能できます。ベースは同じですが、作り方も香りも異なるので、同じお酒だと間違えないようにしましょう。
ベルモットの選び方 食前酒やカクテルとして楽しめる
ここからは、ベルモットの選び方をご紹介します。ポイントは下記。
【1】ベルモットの種類から選ぶ
【2】好みの香りかチェックしておく
【3】どんなカクテルを作りたいか、飲み方を考える
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】ベルモットの種類から選ぶ
ベルモットには、甘口のスイートベルモットと、辛口のドライベルモットの2種類があります。自分好みの味わいを選びましょう。
甘さが魅力の「スイートベルモット」
甘い味わいが特徴の「スイートベルモット」。おもにイタリアで作られていたことから、イタリアン・ベルモットとも呼ばれます。スイートベルモットのなかで、さらに「ロッソ」と「ビアンコ」のふたつに分けられ、ロッソはハーブの香りや苦味を感じやすく、ビアンコはハーブの風味が控えめでスッキリとした飲み心地です。
そのため、甘口だからと選ぶのではなく、より自分の好みに合うものを選ぶことが大切です。ハーブの風味を楽しめるベルモットらしい味わいを楽しみたい人にぴったりです。
クセのない味わいの「ドライベルモット」
ドライベルモットとは、甘さだけでなく、ハーブの風味も控えめに作られた辛口タイプです。おもにフランスで作られていたことからフレンチ・ベルモットと呼ばれることもあります。クセのない味わいが特徴的で、シンプルなおいしさがストレートで飲みやすいと人気を集めています。
また、味のクセがないことから料理に使うことが多いのも魅力です。幅広い用途で活躍するタイプなので、ベルモットのおいしさを多彩な方法で楽しみたい人におすすめです。
【2】好みの香りかチェックしておく
ベルモットはハーブやスパイスの香りが特徴のお酒です。そのため、ベルモットの香りが自分の好みに合わないと苦手に感じて飲みづらくなってしまいます。
また、ベルモットのなかにはフルーツなどの香りを加えて、香りのクセをおさえているものもあります。商品の説明やレビューなどを参考にして、無理なく飲める香りのベルモットを手に入れましょう。
【3】どんなカクテルを作りたいか、飲み方を考える
ベルモットは、そのままロックで飲んだり、炭酸で割ったりしてもおいしいのですが、マティーニやマンハッタンなどをはじめ、カクテルの材料にもなるお酒です。そのため、作りたいカクテルと相性のよいベルモットを選ぶというのもいいでしょう。
おすすめ商品の紹介欄では、それぞれのベルモットと相性のよいカクテルも紹介しますので、そちらも参考にしてください。
ベルモットのおすすめ13選 人気のチンザノやノイリー・プラットなど
ここからは、ベルモットのおすすめ商品をご紹介します。飲み方も考えながら、気に入るベルモットを見つけてみてください。
バーテンやシェフが愛用する辛口の定番
辛口ベルモットの定番、ノイリー・プラットのドライ。ベースの白ワインのブドウには南フランス産のピクプールとクレレットを使用し、2年間熟成させています。そこに20種類以上のハーブを漬け込み、さらに薫り高く芳醇な仕上がりに。もちろんカクテルに使用しても楽しめますが、オンザロックや炭酸割りのスプリッツァーとして香りを楽しむところからはじめるのはいかがでしょうか。
また、ノイリー・プラットのドライは熱を加えても香りが飛ばないことから、多くのシェフが料理酒として愛用しています。これがあれば、自宅でも本格的な味わいの料理が作れるようになるかもしれません。
世界一のシェアを誇る辛口ベルモット
エクストラ・ドライは、ベルモットを使ったカクテル「マティーニ」の語源にもなったマルティーニ社製のワインとなります。1863年にイタリアのピエモンテ州で創業した、歴史と伝統のあるベルモットメーカーです。
そのラインナップのなかでも、最もすっきりとした味わいで、辛口派の方に人気が高いのが、このエクストラ・ドライ。心地よい柑橘類の果実やハーブの香りと白ワインに由来するコクと旨味から爽快な飲み心地が味わえます。カクテルにするなら、ジンと合わせたマティーニはもちろんのこと、スイートベルモットと合わせたベルモット・ハーフ&ハーフ、マティーニのジンをテキーラに変えたテキーニなどもおすすめです。
歴史あるチンザノ社の人気甘口ベルモット
チンザノの歴史が始まったのは1757年のこと。もともとイタリアのトリノの店でチンザノ兄弟が自家製のベルモットを提供していたところ、貴族たちのあいだで評判になったのがその原点です。
チンザノ社のベルモットのなかでも、特に人気の高いのが、この赤褐色のロッソタイプ。白ワインをベースに、数種類のハーブとスパイスをブレンドし、最後にカラメルで色付けをした、甘口のベルモットの定番です。カクテルにするなら、バーボンのウィスキーと合わせたマンハッタンや、カンパリと合わせてソーダで割ったアメリカーノなどがおすすめ。もちろん、オンザロックや炭酸割りでも美味しくいただけます。
エレガントな味わいのスイートベルモット
フランス南部で生産されているハーブワインメーカーによる、スイートベルモットです。繊細で心地よい酸味を持つ品種の白ブドウ、ピクプール種と、フレッシュで軽い味わいがたのしめる白ブドウ、クレット種のブレンド。フローラルで芳香なワインです。
2年以上の熟成を経て、熟成樽のバニラの香りも重なり、エレガントな味わいは、さまざまな食事に合わせられます。
苦みと甘みのバランスがたのしめるベルモット
イタリアのピエモンテ州にある歴史あるブランドが生産しているベルモットです。ハーブがしっかり感じられ、苦みと甘みのバランスがよいのが特徴。熟したフルーツとハーブの香りと、複雑な苦みやシナモンの味わいをたのしめます。
食前酒としても、カクテルに使ってもよく、世界中で幅広く愛用されているベストセラー商品です。
フランス初のAOC認定ベルモット
シャンベリー・ドライは、フランスのアルプス山脈の麓、サヴォアに本拠を構えるドラン社のワインです。1821年に編み出されたレシピを受け継ぎ、その風味付けに使われるのは天然の高山植物のみを利用しています。まさにアルプス山脈の恵みをたっぷりと受けたベルモットと言えるでしょう。
また、1993年にはワイン法で定められた厳しい基準をクリアし、フランスで初めてAOC(原産地呼称統制)に昇格したベルモットでもあります。スパイスやハーブの香りは比較的穏やかです。白ワイン本来の香りや個性も楽しめるこのベルモットは、食前酒としてストレートやオンザロックで飲むのをおすすめします。カクテルにするなら、柑橘系のリキュールやジュースと相性が良好です。
人気急上昇中のクラフト・ベルモット
世界的なバーテンダーであるジャンカルロ・マンチーノ氏がプロデュースする、イタリアのピエモンテ州にある小さな蒸溜所で少量生産されるクラフト・ベルモット。日本では「Tokyoインターナショナル・バーショー2014」に出展し、評判となりました。
ベースにはトレッビアーノ種の白ワインが使用され、そこにマルチーノ氏が編み出した独自のボタニカル・ブレンド術が加わります。ロッソはバニラやクローブ、ルバーブ、そして少し焼けた木材の香りがするのが特徴的です。カクテルなら、マンハッタンのほか、ジンとカンパリと合わせたネグローニがおすすめです。甘さとほろ苦さを楽しんでください。
甘味と苦味のバランスが絶妙のベルモット
「ビアンコ」とは、イタリア語で「白」を指します。その名の通り、クリアに透き通るベルモットです。白ワインをベースに、スパイスやスピリッツ、さまざまなハーブエキスを配合しています。ベルモット特有の苦味が軽めにおさえられているので、ベルモットを初めて楽しむ方にもおすすめです。
ほのかな甘みがある飲み口なので、ロックで飲むとフレッシュな芳香を楽しめます。カクテルに使う場合には、味や風味が独特のアクセントをかもし出してくれますよ。
スペイン、バルセロナ産のベルモット
太陽の国スペインのバルセロナで作られたベルモットです。アルコール度数が22%と高いのが特徴。マカベオという品種で作られた白ワインがベースです。ニガヨモギなどのハーブや柑橘類、果実を30種類以上もブレンドしてあり、独特の華やかな香りが楽しめますよ。
アペリティフや食後のカクテル用としてはもちろん、食事の時に飲むのもおすすめです。スパークリングワインで割ってカットフルーツを添えれば、地中海の香りのフルーティーなカクテルが簡単に作れます。
ベルモット特有の強い苦味が楽しめる
ニガヨモギ由来の苦味をしっかりと感じられる、ベーシックな味わいの甘口ベルモットです。ワインにハーブやスパイスが配合してあり、コクのある華やかな味に仕上がっています。
ベルモットの創始者と言われているカルパノ社は、創業当初からの伝統的な製造方法をしっかりと今に伝えているのが特徴。オリジナルレシピで、昔と変わらない味と風味を守り続けています。ベルモット特有の、強い苦味を楽しみたい人におすすめの1本です。
ハーブとスパイスが奏でる重層的な風味
1786年、イタリアのトリノで誕生した歴史あるベルモットとして知られています。最初期のレシピを忠実に守っているといい、バニラ、サフラン、ニガヨモギ、数多くのハーブとスパイスが奥深い味わいを醸し出しています。
黄金色で透明感あふれるイタリアン・ベルモット
着色してある「ロッソ」もあり、そちらはリッチでスパイシー、こちらの「ビアンコ」は繊細でスムーズな味わいです。カクテルにしても、食前にそのまま飲んでも、食事の邪魔をしません。
名品種リースリングの白ワインをベースにした自然派
世界で初めて白ワインのブドウ品種リースリングをベースに作られた、自家製ハーブやフルーツがブレンドされたベルモットです。
生産者はドイツの銘醸地として知られるザール地区に広大な畑を持ち、使用するハーブや果実、花類はすべて手摘みで採集されたもので丁寧に作られています。
「ベルモット」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ベルモットの売れ筋をチェック
Amazonでのベルモットの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ワインエキスパートからのアドバイス
甘口や辛口があるだけでなく、メーカーごとにベースとなるワインも、ブレンドされる香草やスパイスの種類も比率も異なるベルモット。それだけさまざまな香りや味わいのものが存在するというわけですね。好みの香りや味わいのものを選ぶのはもちろんですが、どのような飲み方をしたいか、もしくはどのようなカクテルに使いたいかなど、その用途に沿って選ぶと失敗は少なくなるのではないかと思います。
ベルモットのおいしい飲み方・レシピを紹介!
ここからは、ベルモットのおいしい飲み方やカクテルレシピをご紹介します。
食前酒
ハーブは、食欲を刺激してくれる働きをします。ハーブを使ったお酒であるベルモットは、食前にいただくことによって、よりおいしくたのしく食事をする準備をすることができます。
そのままオンザロックとして一気に飲むのもよいですが、ソーダで割って喉の渇きをいやしながら、運ばれてくる食事を待つのもよいでしょう。
マティーニ
透きとおった透明のお酒のなかにオリーブやチェリーを飾りつけたシンプルなカクテルです。
「カクテルの帝王」といわれるマティーニ。有名な洋画のなかで、俳優たちが飲んでいたイメージが定着して、憧れの飲み物ともされることがあります。
ドライベルモットでも、スイートベルモットでも、好みに合わせて使えます。
マンハッタン
「カクテルの女王」として、「マティーニ」とともに人気があるのが、琥珀色が美しいマンハッタン。バーボンなどのウイスキーとスイートベルモットをステアして、グラスに注ぎ、チェリーを飾るシンプルなカクテルです。
英国チャーチル首相の母親がニューヨークのマンハッタンに来たときにはじめてつくられたのが名前の由来といわれています。
ネグローニ
スライスしたオレンジのフレッシュな柑橘の香りと、ベルモットなどの複雑なビターテイストの組み合わせによって、華やかで濃厚な味わいが生まれます。
ベルモットにカンパリとドライジンを氷の入ったグラスに注ぎ、よくステアし、最後にオレンジスライスを飾りつけると完成です。それぞれのお酒の割合は、好みで調整できます。
ベルモットを思う存分楽しむためのマメ知識
ドライベルモットを使った日本発祥のヘルシーカクテル
お酒の糖質を気にする方には、より糖質の少ないお酒と混ぜたカロリー控えめのカクテルはいかがでしょうか。日本発祥の「バンブー」というカクテルは、氷入りのミキシンググラスでオレンジビターズとドライシェリー、辛口のドライベルモットをステアした、スッキリとした味わいのカクテルです。
アメリカでは「食前酒として完璧」といわれ、おしゃれで飲みやすいとして女性にも人気が高いそうです。甘口が好きな人はスイートベルモットを利用することで「アドニス」というカクテルにすることもできます。
ベルモットの味はなぜ大きく異なるのか?
ベルモットは伝統的な製法はありますが、入れるハーブやスパイスなどの種類やベースとなる白ワインの種類、熟成期間に決まりがあるわけではありません。したがって、これらを変化させることで、同じ甘口でも風味が大きく変化します。ブランドによっては季節限定のフレーバーを作るところも珍しくありませんし、日本を代表する桜をハーブとして利用したベルモットもあります。
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いろいろなベルモットを楽しもう!
カクテルとして利用されることの多いベルモット。辛口のドライベルモットはカクテルだけでなく料理酒としても利用可能です。一方、甘口のスイートベルモットはハーブの風味が強く、お菓子を作るときにリキュール的な役割で利用されることもあります。飲むだけでなくさまざまな用途に使える万能ワイン。同じベルモットでも、利用されているハーブやスパイス、熟成期間で風味が全く異なりますので、自分の好きな味を追求してみてくださいね。
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埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。 現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。