ベルモットとはどんなお酒?
バーなどに行くとよく見かけるベルモット。ハーブなどの材料で香り付けされており、食前酒やカクテルに使われることの多いワインの一種です。
実はベルモットはワインの一種で、ワインの分類上では「フレヴァードワイン」に属します。一般的にベルモットは白ワインにニガヨモギなどの香草やナツメグなどのスパイスを配合して造られています。褐色のような色合いのものもありますが、それはカラメル色素による色味であり、ベースに使われているのはあくまで白ワインです。
癒されるお酒とも呼ばれ、芳醇な香りを放ち、疲れた夜に飲めばふっと力が抜けるような味わいが魅力です。
「シェリー」と混同しないように!
ベルモットと同じように白ワインをベースに作られているのが「シェリー」です。シェリーは、工程のなかで蒸留酒をブレンドし、あえてアルコール度数を挙げたお酒です。
白ワインとほかのお酒が混ざった独特な香りや風味を感じられ、ベルモットとは異なる魅力を堪能できます。ベースは同じですが、作り方も香りも異なるので、同じお酒だと間違えないようにしましょう。
ベルモットの選び方 ワインエキスパートに聞く!
ベルモットの選び方をチェックしていきましょう。ワインエキスパート・石関華子さんのアドバイスも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ベルモットの味わいから選ぶ
ベルモットは甘口のスイートベルモットと、辛口のドライベルモットの2種類があります。自分好みの味わいを選びましょう。
甘さが魅力の「スイートベルモット」
甘い味わいが特徴の「スイートベルモット」は、さらに「ロッソ」と「ビアンコ」のふたつに分けられます。ロッソはハーブの香りや苦味を感じやすく、ビアンコはハーブの風味が控えめでスッキリとした飲み心地です。
そのため、甘口だからと選ぶのではなく、より自分の好みに合うものを選ぶことが大切です。ハーブの風味を楽しめるベルモットらしい味わいを楽しみたい人にぴったりです。
クセのない味わいの「ドライベルモット」
甘さだけでなく、ハーブの風味も控えめに作られたのが辛口の「ドライベルモット」です。クセのない味わいが特徴的で、シンプルなおいしさがストレートで飲みやすいと人気を集めています。
また、味のクセがないことから料理に使うことが多いのも魅力です。幅広い用途で活躍するタイプなので、ベルモットのおいしさを多彩な方法で楽しみたい人におすすめです。
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
甘口のほうは、主にイタリアで作られていたことからイタリアン・ベルモット、辛口のほうは、主にフランスで作られていたことからフレンチ・ベルモットと呼ばれることもあります。
同じベルモットでも、甘口か辛口かでその味わいは全く異なるので、きちんとチェックしないと「こんなはずでは……。」ということにもなりかねません。
好みの香りかチェックしておく
ベルモットはハーブやスパイスの香りが特徴のお酒です。そのため、ベルモットの香りが自分の好みに合わないと苦手に感じて飲みづらくなってしまいます。
また、ベルモットのなかにはフルーツなどの香りを加えて、香りのクセをおさえているものもあります。商品の説明やレビューなどを参考にして、無理なく飲める香りのベルモットを手に入れましょう。
どんなカクテルを作りたいかで選ぶ
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
ベルモットは、そのままロックで飲んだり、炭酸で割ったりしてもおいしいのですが、マティーニやマンハッタンなどをはじめ、カクテルの材料にもなるお酒です。そのため、作りたいカクテルと相性のよいベルモットを選ぶというのもいいでしょう。
おすすめ商品の紹介欄では、それぞれのベルモットと相性のよいカクテルも紹介しますので、そちらも参考にしてください。
歴史の深さか新世代かで選ぶ
ベルモットの起源は古く、最古のお酒といわれているワインが作られてからほどなく作られたといわれています。そのため、長い歴史のなかでさまざまな風味が加えられ、多くのベルモットが誕生しました。
そして今もなお、新しいブランドが作られているベルモットですが、古くからある伝統的なベルモットと新進ブランドを飲み比べてみるのはいかがでしょうか。
ベルモットのおすすめ15選 ワインエキスパートと編集部が厳選!
ここからは、ワインエキスパートの石関華子さんと編集部が選ぶ、ベルモットのおすすめを紹介していきます。

NOILLY PRAT(ノイリー・プラット)『ドライ』










出典:Amazon
アルコール度数 | 18% |
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原産国名 | フランス |
味わい | 辛口 |
バーテンやシェフが愛用する辛口の定番
辛口ベルモットの定番、ノイリー・プラットのドライ。ベースの白ワインのブドウには南フランス産のピクプールとクレレットを使用し、2年間熟成させています。そこに20種類以上のハーブを漬け込み、さらに薫り高く芳醇な仕上がりに。もちろんカクテルに使用しても楽しめますが、オンザロックや炭酸割りのスプリッツァーとして香りを楽しむところからはじめるのはいかがでしょうか。また、ノイリー・プラットのドライは熱を加えても香りが飛ばないことから、多くのシェフが料理酒として愛用しています。これがあれば、自宅でも本格的な味わいの料理が作れるようになるかもしれません。

MARTINI(マルティーニ)『ヴェルモット エクストラ・ドライ』










出典:Amazon
アルコール度数 | 18% |
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原産国名 | イタリア |
味わい | 辛口 |
世界一のシェアを誇る辛口ベルモット
エクストラ・ドライは、ベルモットを使ったカクテル「マティーニ」の語源にもなったマルティーニ社製のワインとなります。1863年にイタリアのピエモンテ州で創業した、歴史と伝統のあるベルモットメーカーです。そのラインナップのなかでも、最もすっきりとした味わいで、辛口派の方に人気が高いのが、このエクストラ・ドライ。心地よい柑橘類の果実やハーブの香りと白ワインに由来するコクと旨味から爽快な飲み心地が味わえます。カクテルにするなら、ジンと合わせたマティーニはもちろんのこと、スイートベルモットと合わせたベルモット・ハーフ&ハーフ、マティーニのジンをテキーラに変えたテキーニなどもおすすめです。

DOLIN(ドラン)『シャンベリー・ドライ』

出典:Amazon
アルコール度数 | 17.5% |
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原産国名 | フランス |
味わい | 辛口 |
フランス初のAOC認定ベルモット
シャンベリー・ドライは、フランスのアルプス山脈の麓、サヴォアに本拠を構えるドラン社のワインです。1821年に編み出されたレシピを受け継ぎ、その風味付けに使われるのは天然の高山植物のみを利用しています。まさにアルプス山脈の恵みをたっぷりと受けたベルモットと言えるでしょう。また、1993年にはワイン法で定められた厳しい基準をクリアし、フランスで初めてAOC(原産地呼称統制)に昇格したベルモットでもあります。スパイスやハーブの香りは比較的穏やかです。白ワイン本来の香りや個性も楽しめるこのベルモットは、食前酒としてストレートやオンザロックで飲むのをおすすめします。カクテルにするなら、柑橘系のリキュールやジュースと相性が良好です。

CINZANO(チンザノ)『ベルモット ロッソ』

出典:Amazon
アルコール度数 | 15% |
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原産国名 | イタリア |
味わい | 甘口 |
歴史あるチンザノ社の人気甘口ベルモット
チンザノの歴史が始まったのは1757年のこと。もともとイタリアのトリノの店でチンザノ兄弟が自家製のベルモットを提供していたところ、貴族たちのあいだで評判になったのがその原点です。チンザノ社のベルモットのなかでも、特に人気の高いのが、この赤褐色のロッソタイプ。白ワインをベースに、数種類のハーブとスパイスをブレンドし、最後にカラメルで色付けをした、甘口のベルモットの定番です。カクテルにするなら、バーボンのウィスキーと合わせたマンハッタンや、カンパリと合わせてソーダで割ったアメリカーノなどがおすすめ。もちろん、オンザロックや炭酸割りでも美味しくいただけます。

MANCINO(マンチーノ)『ロッソ ヴェルモット』

出典:Amazon
アルコール度数 | 16% |
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原産国名 | イタリア |
味わい | 甘口 |
人気急上昇中のクラフト・ベルモット
世界的なバーテンダーであるジャンカルロ・マンチーノ氏がプロデュースする、イタリアのピエモンテ州にある小さな蒸溜所で少量生産されるクラフト・ベルモット。日本では「Tokyoインターナショナル・バーショー2014」に出展し、評判となりました。ベースにはトレッビアーノ種の白ワインが使用され、そこにマルチーノ氏が編み出した独自のボタニカル・ブレンド術が加わります。ロッソはバニラやクローブ、ルバーブ、そして少し焼けた木材の香りがするのが特徴的です。カクテルなら、マンハッタンのほか、ジンとカンパリと合わせたネグローニがおすすめです。甘さとほろ苦さを楽しんでください。
チンザノ『ベルモット ビアンコ』












出典:Amazon
アルコール度数 | 15% |
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原産国名 | イタリア |
味わい | 甘口 |
アレグレス『ボナント ベルモット』






出典:Amazon
アルコール度数 | 22% |
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原産国名 | スペイン |
味わい | やや甘口 |
Carupano(カルパノ)『プント・イ・メス 』
![カルパノプントイメス[リキュール750ml]](/assets/loading-gif-831efa60fcaad8b543579bb1809cf3a0cded0accde7b020d68cf390d70415d6c.gif)
出典:Amazon
アルコール度数 | 16% |
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原産国名 | イタリア |
味わい | 甘口 |
マオイ自由の丘ワイナリー『ベルモット 851』

出典:Amazon
アルコール度数 | 20% |
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原産国名 | 日本 |
味わい | 辛口 |
チンザノ『ベルモット オランチョ』
![チンザノオランチョ[白ワイン辛口イタリア1000ml]](/assets/loading-gif-831efa60fcaad8b543579bb1809cf3a0cded0accde7b020d68cf390d70415d6c.gif)
出典:Amazon
アルコール度数 | 14% |
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原産国名 | イタリア |
味わい | 甘口 |
Carupano(カルパノ)『アンティカ フォーミュラ』

出典:Amazon
アルコール度数 | 16.5% |
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原産国名 | イタリア |
味わい | 甘口 |
Gancia(ガンチア)『ヴェルモット・ビアンコ』
















出典:Amazon
アルコール度数 | 16% |
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原産国名 | イタリア |
味わい | 甘口 |
SACRED(セイクレッド)『エクストラ ドライ ヴェルモット』

出典:Amazon
アルコール度数 | 23.8% |
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原産国名 | イギリス |
味わい | 辛口 |
ROUTIN(ロタン)『ヴェルモット シャンベリー ドライ』

出典:Amazon
アルコール度数 | 16.9% |
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原産国名 | フランス |
味わい | 甘口 |
FREDINAND'S(フェルディナンズ)『ザール・ドライ・リースリング・ヴェルモット』

出典:Amazon
アルコール度数 | 18% |
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原産国名 | ドイツ |
味わい | -- |
「ベルモット」のおすすめ商品の比較一覧表
ワインエキスパートからのアドバイス
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
好みや用途に沿ってベルモットを選ぼう!
甘口や辛口があるだけでなく、メーカーごとにベースとなるワインも、ブレンドされる香草やスパイスの種類も比率も異なるベルモット。それだけさまざまな香りや味わいのものが存在するというわけですね。好みの香りや味わいのものを選ぶのはもちろんですが、どのような飲み方をしたいか、もしくはどのようなカクテルに使いたいかなど、その用途に沿って選ぶと失敗は少なくなるのではないかと思います。
ベルモットを思う存分楽しむためのマメ知識
ドライベルモットを使った日本発祥のヘルシーカクテル
お酒の糖質を気にする方には、より糖質の少ないお酒と混ぜたカロリー控えめのカクテルはいかがでしょうか。日本発祥の「バンブー」というカクテルは、氷入りのミキシンググラスでオレンジビターズとドライシェリー、辛口のドライベルモットをステアした、スッキリとした味わいのカクテルです。アメリカでは「食前酒として完璧」といわれ、おしゃれで飲みやすいとして女性にも人気が高いそうです。甘口が好きな人はスイートベルモットを利用することで「アドニス」というカクテルにすることもできます。
ベルモットの味はなぜ大きく異なるのか?
ベルモットは伝統的な製法はありますが、入れるハーブやスパイスなどの種類やベースとなる白ワインの種類、熟成期間に決まりがあるわけではありません。したがって、これらを変化させることで、同じ甘口でも風味が大きく変化します。ブランドによっては季節限定のフレーバーを作るところも珍しくありませんし、日本を代表する桜をハーブとして利用したベルモットもあります。
いろいろなベルモットを楽しもう!
カクテルとして利用されることの多いベルモット。辛口のドライベルモットはカクテルだけでなく料理酒としても利用可能です。一方、甘口のスイートベルモットはハーブの風味が強く、お菓子を作るときにリキュール的な役割で利用されることもあります。飲むだけでなくさまざまな用途に使える万能ワイン。同じベルモットでも、利用されているハーブやスパイス、熟成期間で風味が全く異なりますので、自分の好きな味を追求してみてくださいね。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部 関口信太郎)
※2020/12/04 コンテンツ追加のため記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 桑野美帆子)
埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。 現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。