ワインに合うチーズの選び方
それでは、ワインに合うチーズを選ぶときのポイントを教えてもらいました。フランスチーズのエキスパートがどのような点に注目するのかチェックしてみましょう。
【1】ワインと原産地が同じチーズを選ぶ
【2】ワインと特徴が似ているチーズを選ぶ
【3】ワインと同じ熟成度合いのチーズを選ぶ
【4】クセのあるチーズが苦手な人は、食べやすいチーズから選んでみる
【5】迷ったときには盛り合わせをチョイス
上記のポイントを押えることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】ワインと原産地が同じチーズを選ぶ
ワインの産地とチーズの産地を合わせると、テロワール(土壌、地勢、気候などの特徴)が同じなので相性ばつぐんです。
たとえば、ワインの銘醸地(めいじょうち)であるブルゴーニュ地方のワインには、ブルゴーニュワインからつくられるマール(蒸留酒)でウォッシュしたものがおすすめ。
ロワール地方はワインの銘醸地でもあり、シェーヴルチーズの宝庫でもあります。シェーヴルチーズには、地元のシノンワインがぴったりです。
【2】ワインと特徴が似ているチーズを選ぶ
赤ワインには、タンニンが豊富なものが多くあります。タンニンとマッチするのは、少しクセのある風味が豊かなタイプになりますので、ウォッシュチーズなどと合わせるのがおすすめです。
白ワインは、さわやかな酸味をもっているので、たとえばフレッシュタイプのチーズなど、同じく酸味のあるチーズとの相性はよいでしょう。
スパークリングワインは、高脂肪タイプのチーズと一緒に! 弾ける泡とのマリアージュ(ワインと食べものの相性)が楽しめます。
▼酸味の強いワインには塩気の強いチーズを合わせる
酸味は度合いによって異なるので、たとえば酸味の穏やかなチーズには、ワインの酸味を和らげる製法で作られたまろやかなMLFワインを合わせるといいでしょう。また、塩気の強いチーズは、甘口のワインとの相性がいいです。
香りの強いチーズには、個性的な風味のしっかりとしたワインを! ナッツのような香りのあるチーズにはタルの香りが豊かなものを。
スパイシーなチーズにはスパイシーな風味のワインをあわせるといいでしょう。同じようにハーブフレーバーのチーズには、ハーブ香のあるワインをあわせましょう。
【3】ワインと同じ熟成度合いのチーズを選ぶ
チーズもワインも熟成によって味わいが変化していきます。その熟成度合いによって、ワインとチーズを合わせるのも選び方のひとつ。
ヌーボーのような新酒と呼ばれるワインや、フレッシュでフルーティな味わいのワインには、熟成の若いチーズやフレッシュタイプのチーズがおすすめです。熟成豊かなハード系のチーズには、熟成の進んだフルボディタイプの重厚なワインをあわせてみましょう。
▼香り豊かな銘醸ワインと熟成度の高いチーズの組み合わせはNG
原料にこだわりがあるワインを「銘醸ワイン」と呼びますが、この「銘醸ワイン」と熟成度の高いチーズの相性はあまりよくありません。
熟成度の高いチーズには独特な香りやコクがありますが、この香りやコクと合わせるためには銘醸ワインではなく、苦みのあるワインやアルコール度の高いワインを選ぶといいでしょう。
【4】クセのあるチーズが苦手な人は、食べやすいチーズから選んでみる
チーズの食べやすさから選んでみるのもおすすめです。
▼熟成しない「フレッシュチーズ」
チーズ特有の香りやクセは熟成の過程で増していくので、食べやすさを重視するなら熟成をしないフレッシュチーズを選んでみましょう。
知名度の高い「モッツァレラ」や「クリームチーズ」、「マスカルポーネ」といったフレッシュチーズなら食べた経験があるという方も多いのではないでしょうか。フレッシュチーズもワインによく合います。
▼熟成の若いチーズもチェック
食べやすさは重視したいがフレッシュチーズではものたりないという方は、熟成の若いチーズがおすすめです。
熟成4~8週間が食べごろの「カマンベールチーズ」、や、3~6カ月で熟成する「ゴーダチーズ」などは、熟成チーズがはじめてという方にも適しています。食べごろは好みによっても変わるので、いろいろなチーズをチェックしてみるのも楽しいでしょう。
【5】迷ったときには盛り合わせをチョイス
どのチーズにしようか迷ったときは、盛り合わせを選んでみるのもひとつの方法です。盛り合わせのなかから自分好みのチーズが見つかるかもしれません。
みんなでシェアして楽しみたいというときにも盛り合わせがピッタリです。盛り合わせと一緒にいろいろな種類のワインを用意しておけば、ワインとチーズの組み合わせの幅も広がります。
エキスパートのアドバイス
「チーズはワインの最良の友」と昔から言われ続けています。ポイントをつかんで、それぞれのチーズの個性に合わせたワインを選ぶことが肝心です。
「タイプ」「熟成度合い」「味わい」「同郷同士」というキーワードをうまく利用して、ぜひ相性ぴったりな組み合わせを見つけてみましょう。まさにチーズとワインのMariage、いわゆる「結婚」ですね!
ワインに合うチーズのおすすめ19選
ここまで紹介したワインに合うチーズの選び方のポイントをふまえて、おすすめ商品をご紹介します。個性豊かなフランスチーズを選んでいただきましたので、チーズの好みやお気に入りのワインに合わせて選んでみてくださいね。

スパークリングワインにぴったりのチーズ
クリームを添加した白カビタイプのチーズ。まわりにふわふわとした白カビを美しくまとった、見ためも華やかなチーズです。味わいはとてもクリーミーでふわふわとした白カビの、マッシュルームのような味わいも同時に楽しめます。
バターのような濃厚な風味が、スパークリングの弾ける泡と合わさることですっきりと楽しめます。

ブルゴーニュワインにぴったり!
フランスはブルゴーニュ地方で生産される、ぶどうのしぼりかすからつくられたマールでウォッシュしたチーズ。
表皮はとても香ばしく中身はトロトロの食感。スプーンですくって召し上がってください。独特の豊かな芳香が、ブルゴーニュの赤ワインと素晴らしくマッチします。高貴なマリアージュをお楽しみください。

甘口ワインと合わせるロックフォール
青カビチーズの王様、ロックフォール。フランスのルエルグ地方、ロックフォール・シュル・スールゾン村が原産地です。規定では、村にあるコンバルー山の洞窟内で熟成されることが決められています。
味わいはピリッとした青カビの刺激としっかりとした塩味が特徴的。この塩味の強い風味には甘口ワインを合わせてみましょう。とくにロックフォールの故郷にほど近いボルドーのソーテルヌとの相性はばつぐんです。
味わいで合わせるチーズとワインの組み合わせをぜひお試しください。

AOCチーズ生産量No.1!ナッツのようなコク
フランスのAOC(原産地名称保護)チーズのなかで生産量No.1チーズであるコンテ。ハードタイプのチーズです。熟成が長くなればなるほど複雑な香りや味わいを楽しめるため、日本でも人気があります。
とくに熟成が進んだときのナッツのような香りは、タルの香りが豊かな白ワインにぴったりです。スイスとの国境近くのジュラ地方生まれのチーズ。地元では、同郷の「Vin Jaune(ヴァン・ジョーヌ)」と呼ばれる黄色ワインと合わせることが多いようです。

酸味のあるさわやかな白ワインにぴったりのチーズ
シェーヴルチーズ(山羊乳製チーズ)の宝庫、フランスのロワール地方で生産されるチーズ。シェーヴルチーズは小さめで形がユニークなものが多いのですが、このチーズも中央にわらが1本とおっていて、まきの形をしています。
また外皮が黒いのは、木炭の粉をまぶしているためです。同郷の赤ワイン、シノンとの相性がばつぐんで、カットした際の外側のグレーと真っ白な生地の色合いのコントラストが食欲をそそります。
アルノー『モンドールAOP』

シャンパーニュと同郷のチーズ、ラングル
ラングルはほのかな酸味のある味わいで、とてもキメがこまかくしっとりとしています。ウォッシュチーズ特有の強い香りも少なく、上品な香りがします。上部にくぼみがあるユニークな形状から、現地ではフォンテーヌ(泉)と呼ばれています。このくぼみにシャンパーニュを注ぐのが、大人の楽しみ方といわれています。
またフランスのシャンパーニュ地方でつくられる、スパークリングワインのなかでも格別とされる「Champagne(シャンパン)」は、同郷のウォッシュタイプチーズのラングルがよく合います。キメのこまかいしっとりとした口当たりと弾ける上品なシャンパーニュとの泡のマリアージュをお楽しみください。
Jacquin&Fils『ヴァランセAOP』
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まとめ
フランスチーズ鑑評騎士の山田好美さんへの取材をもとに、ワインに合うチーズの選び方とおすすめ商品を紹介しました。
チーズを選ぶ際は、そのチーズがもつクセや風味に着目しましょう。ワインにもさまざまな個性があるので、それぞれの特徴を把握し、ワイン側に寄りそわせる形で選ぶとマッチしやすくなります。さらにチーズの名前にその品質を示すAOPやAOCという称号が与えられていることもあるので、選ぶ際のひとつの基準にしてもいいかもしれません。
チーズ自体は味が強く、たくさん食べられるものではありません。がんばった日のご褒美や特別な日の名脇役として、ワインとともにゆっくりと味わって、ぜいたくな時間を演出してみましょう。
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ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」チーズ&ワイン講師。 英仏語講師歴20年以上。語学留学以来フランスのチーズとワインの魅力の虜となり以降ワインとチーズの資格を取得し ワイン&チーズ講師としても活動を続けています。近年は国内の生産者の動向にも注目し応援しています。