シングルモルトウイスキーとは? ハイボールにも最適!
シングルモルトウイスキーは大麦麦芽のみを使用して、単一の蒸留所の原酒(モルト)で造られたウイスキーのことです。
トウモロコシを使用したものをグレーンウイスキーとよび、複数醸造所の原酒や、グレーンウイスキーをブレンドしたものをブレンデッドウイスキーといいます。
造っている蒸留所の個性が引き出されているのが特徴です。どのような土地で造られているのかによって、香りや味わいが異なるのも注目したいポイントです。
お気に入りの蒸留所や産地を探すという楽しみ方もありますよ。
シングルモルトウイスキーの選び方
シングルモルトウイスキーにはたくさんの銘柄があるため、自分好みのひとつを見つけるのはなかなかたいへんかもしれません。
そこで、味わいや香りなどの特徴から、シングルモルトウイスキーの選び方をまとめました。産地や飲みやすさも異なりますので、しっかりチェックしてくださいね。
産地から選ぶ
シングルモルトウイスキーは産地によって風味や味わいがかなり変わってきます。
自分が求める味わいに近い産地を探すのが重要です。シングルモルトウイスキーのなかでも定番の産地とその味わいをまとめましたので、ぜひ参考にしてみてください。
スペイサイド:グレンフィディックやマッカランの産地
スコッチウイスキーの名産地で、スコットランド北部にあるスペイサイド産のウイスキーは、飲み口がやわらかく花のような香りが楽しめる特徴があります。
味、香りともに洗礼されバランスのよさを感じられます。独特なクセの強さがあまりないので、初心者の方でも比較的飲みやすいでしょう。
代表的な銘柄はグレンフィディック・マッカラン・グレンリベットがあります。また、日本人の嗜好にも合うシングルモルトウイスキーといわれています。
アイラ島:ラフロイグやアードベックの産地
クセのあるピート臭が強く、ウイスキー愛飲家にも人気の高いアイラ産。
アイラ島は生産地として島の名前で呼ばれています。スモーキーで癖の強いピートがきいたシングルモルトウイスキーで、ある程度ウイスキーを飲み慣れている方に向いています。
海沿いの蒸留所で潮風を受けながら熟成されており、潮の香りも特徴です。飲み方はロックがおすすめですが、もともとの香りが強いため、水や炭酸で割ってもしっかりとその風味が感じられます。
ラフロイグやアードベックなどは大人気で品薄になりかけることもしばしばです。
ハイランド:グレンモーレンジィやクライヌリッシュの産地
華やかで甘い香りを楽しみたい方は、スコットランド北部のハイランド産がおすすめ。フローラルやフルーティな香りに、まろやかな味わいが特徴です。
食後やリラックスな時間にぴったりなウイスキーといえるでしょう。そのほかにも、女性や初心者に飲みやすいハチミツのようなテイストのものもありますよ。
ローランド:オーヘントッシャンの産地
口当たりがやわらかいのが特徴の、スコットランド中部・ローランド産のシングルモルトウイスキーです。全体的に甘みがあるので、飲み口が軽く感じられます。ソフトでまろやかな印象を与えるでしょう。
定番の銘柄はオーヘントッシャンです。ローランド産は蒸留を3回している蒸留所が多く、その分雑味が減ります。軽い仕上がりとなるので個性を残しながらも飲みやすいウイスキーです。
キャンベルタウン:スプリングバンクの産地
スコットランド・キンタイア半島の先端に位置するキャンベルタウン。ここで生産されるシングルモルトウイスキーはクリーミーさを感じられます。ウェッティーで塩気があり全体的に華やかな香りもプラスされています。
キャンベルタウンといえば、華やかな香りのなかにもピートがきいているスプリングバンクが有名ですが、そのスプリングバンクのピートをさらにきかせたロングロウも人気があります。
ブランドによってウイスキーのクセや香りが異なります。
スカイ島などがあるアイランズ:タリスカーの産地
スコットランドの周りに点在する小さな島のことをアイランズと呼びます。その中でもスカイ島は荒々しい天候に左右される島です。そこでつくられているウイスキーが人気のタリスカーです。海の荒波が島にぶつかり潮風が吹きつける影響を強くうけたウイスキーです。強い塩気を感じるためハイボールとの相性抜群です。
日本(ジャパニーズ):山崎やイチローズモルトの産地
日本人が飲む前提で、日本人の味覚に合わせて造られていて、繊細かつ穏やかな味わいが特徴的です。クセが強くないものが多く、ウイスキー初心者の方にもおすすめ。
さわやかな味わいとすっきりとした口当たりが楽しめます。
熟成樽から選ぶ
シングルモルトウイスキーは、熟成させる際に木で造られた樽を使用します。この樽の木材の種類によって、できあがるウイスキーの味わいや風味が変わってきます。そのため、樽の種類から好みの味わいの1本を見つけるというのもおすすめです。
代表的な樽の種類とその特徴についてチェックしましょう。
チョコレートのような華やかな甘みの「シェリー樽」
ウイスキーに上品な香りと華やかさを与えてくれるのがシェリー樽です。シェリー樽は高級ウイスキーにもよく使われており、重厚感がありながら、ドライフルーツやチョコレートのような甘さのあるウイスキーを生み出します。
シェリー樽にこだわっているシングルモルトの有名なブランドとしては、「マッカラン」などが挙げられます。
カラメルのような甘味の「バーボン樽」
まろやかな口当たりと甘味が特徴なのがバーボン樽です。現在もっとも多く使われているのがバーボン樽で、キャラメルやバニラなどのクリームのような丸みをウイスキーに与えます。
シェリー樽と比べて軽やかで甘い香ばしさが感じられます。場合によっては、バーボン樽の後にシェリー樽に寝かせて、香りを加える手法で造られることもあります。
バニラやナッツのような香りの「オーク樽」
お酒を熟成するのによく使われている、楢(ナラ)や樫(カシ)などのオーク材によって造られているオーク樽は、バニラやナッツのような香りをウイスキーに与えてくれます。
オーク樽により熟成されたウイスキーは、バニラやナッツの香りに加え、淡い黄金のような色合いをしていることが特徴です。見た目からもゴージャスな雰囲気を感じられますね。
香木のような香りが特徴の「ミズナラ樽」
繊細な味わいをウイスキーに与えてくれるミズナラ樽。ミズナラとはブナ科の広葉樹で、ウイスキー樽としてサントリーがはじめて使用したことでも知られています。
香木のような香りが感じられるのも特徴的で、日本のみならず、国外でも広く支持されています。
熟成年数で選ぶ
ウイスキー本来の味を楽しみたい方には、最初の飲みごろを迎える時期だといわれている10~12年ほど熟成したものがおすすめ。味や香りといったウイスキーの個性を強く感じられます。
そのシングルモルトウイスキーが持っているそのものの味わいをじっくりと楽しみたい、という方は10年前後熟成されたものがいいでしょう。
より深みが増したシングルモルトウイスキーを味わいたいという方は、長期熟成されたものを選びましょう。15年から25年、さらに30年と熟成する年数が進めば進むほど樽の影響が現れてきます。
熟成年数によって味わいや香りが変化するため、好みの銘柄を見つけたら年数にもこだわってみましょう。
有名な銘柄にも注目!
自分にあったウイスキー選びが難しい場合は、銘柄から選んでしまうのもひとつの方法。定番の銘柄を試していき、そのなかで自分の好みを見つけていきましょう。
とくにマッカランやグレンフィディックなどは、世界でもメジャーなシングルモルトウイスキー。世界で愛され続けている銘柄はぜひ抑えておきたいですね。
シングルモルトウイスキーのおすすめ30選
ここからはエキスパートと編集部が選んだ人気のシングルモルトウイスキーのなかから定番のものから人気のものまでご紹介します。
なめらかな味で通好みのシングルモルト
クライヌリッシュは、スコットランドの北ハイランド地方でつくられています。豊かで甘いフルーティな香りで飲みやすいシングルモルトです。茶色みがかった輝く金色で、なめらかでコクとスパイシーさがある味わいが特徴。
食前・食後のどちらでも楽しめるさわやかなミディアムボディです。フィニッシュはライトかつドライなシングルモルトで、通好みのお酒を探している人におすすめします。
個性の強い独特のフレーバーが特徴
ゲール語で広い入り江の美しい窪地の意味である「ラフロイグ」。海藻や潮の香りが強く、やや塩っぽくてドライなフィニッシュが特徴です。
好き嫌いがはっきり分かれるモルトともいわれていますが、ラフロイグの強い主張に虜になる方も多く、世界中のファンから高く支持されています。英国王室御用達のシングルモルトとしても有名です。
洋梨の香りとやわらかな甘みが魅力
イギリスのスペイサイド地方でつくられたシングルモルトです。1887年創業当時から使用している湧水で造られ、伝統的な製法と味で人気があります。
イギリスの酒類専門誌が主催する蒸留酒の品評会であるインターナショナル・スピリッツ・チャレンジで金賞を受賞するなど、高い評価を得ています。淡い金色で、洋梨やレモンなどのフルーティな香りとやわらかい甘みが魅力です。
スモーキーさと繊細な甘さが調和した個性的な味わい
強烈なスモーキーさを持ちながら、繊細な甘さを感じる個性的で独特な味わいのあるシングルモルト。ピーティー・パラドックス(矛盾)として親しまれています。
フィニッシュはドライで、深みのあるビートの香りが口のなかで広がります。一度飲むとクセになる方が多く、2008年にワールド・ウィスキー・オブ・ザ・イヤーを受賞した人気のモルトです。
タリスカーを代表するモルトとして愛されている
生産地のスカイ島は、厳しい自然環境でミストアイランドと呼ばれるほど、濃霧に覆われる地域。その荒々しい自然のなかで造られたタリスカーは、スモーキーさとドライフルーツの甘みを感じる味わいで、輝くような金色をしています。
10年のときを経たタリスカーは、食欲をそそる甘みとペッパーを感じるフィニッシュで、タリスカー蒸留所を代表する商品として人気。バランスがよく、ストレートでも飲みやすいモルトです。

「ザ・マッカラン」はシングルモルトのロールスロイスともたとえられる、最高峰のシングルモルトウイスキーのひとつ。THE MACALLAN(ザ マッカラン)『シェリーオーク12年』は、こだわりのシェリー樽で12年間以上熟成させた原酒を使用しており、フルーティーな芳香とまろやかな口あたりが特徴です。
優雅な気分を味わえる金色の色調、甘いバニラの香り
自社で原木の選定から樽づくりまで、徹底管理してつくられたシェリー樽を使っています。最低12年間熟成された原酒のみを使用しているので、優雅でリッチな味わいが楽しめます。甘いバニラの香りがふわっと広がります。
黄金色の色調に、華やかでラグジュアリーな味わいが特徴的。ドライフルーツを思わせる甘味と、ほのかなスパイスが重厚感さえも感じさせてくれます。

200年以上もの歴史のあるアイラ島最古の蒸留所、ボウモア。BOWMORE(ボウモア)『12年』は、「アイラの女王」とも呼ばれる、気品ある味わいが特徴のシングルモルトウイスキーです。ほのかな潮の香りに、スモーキーさとフルーティーさの絶妙なバランスが楽しめます。
さわやかな香り! アイラ島最古の蒸溜所
アイラウイスキー特有のピート香が楽しめるシングルモルトウイスキーです。ボウモアは長く愛されているアイラ島最古の蒸溜所。
海に面する貯蔵庫で熟成されており、ほのかに潮の香りを感じます。また、柑橘系の香りやハチミツのようなまろやさもあり、クセの強いアイラウイスキーのなかでは比較的飲みやすいのも注目したいポイントです。

「日本のウイスキーの父」といわれる竹鶴政孝氏が理想の地として選んだ北海道余市で造られています。石炭直火蒸留による力強く重厚感のある味わいが特徴的。日本でのウイスキー造りを夢見た竹鶴氏の情熱が感じられる1本です。
北の大地でゆっくりと育った余市のシングルモルト
澄み切った空気のなかで造られた北海道余市産のシングルモルトで、ほのかに甘味のある味わいが特徴的です。世界でも珍しい石炭直火蒸留から生まれた原酒は、ゆっくりと熟成されることで重厚感を深めています。
やわらかな香りと、豊かで芳醇な果実の香りがバランスよく感じられるでしょう。穏やかなオークの香りとスモーキーな余韻も楽しめます。
こだわりの熟成樽でバニラの口当たりを再現!
香りを豊かにするジョージーの湧水を使用し、アメリカンオークの空き樽で12年熟成させることで生まれる、バニラやハチミツのような香りが特徴的。ほかにも、トロピカルフルーツや花を思わせるフレッシュな香りも感じられます。
鮮やかで明るい黄金の色味に、豊かなコクのある複雑な味わいで、ゴージャスな気分にひたれる1本です。
ブレンダー技術にこだわった香味が豊かな一品
山崎蒸溜所が持つ多彩な原酒のなかから、ブレンダーによって選び抜かれた原酒から生まれたシングルモルトウイスキーです。ミズナラ樽貯蔵モルトと、ワイン樽貯蔵モルトのブレンドによって生まれる個性も注目すべきポイント。
フルーティーで華やかな香り、甘くなめらかな味わい、心地よい後味が特徴で、女性にも飲みやすい味わいといえるでしょう。
「シングルモルトウイスキー」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする シングルモルトウイスキーの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場でのシングルモルトウイスキーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
シングルモルトウイスキーの飲み方 安いウイスキーも美味しくなる!
個性豊かなウイスキーのおすすめの飲み方をご紹介します。度数がとても高いお酒なので、量などは好みで調整してみてくださいね。では、みていきましょう!
ストレート
ウイスキー本来の味を味わうなら、ストレートがおすすめです。
グラスにそそいで、ゆっくりウイスキーを回します。グラスの内側にウイスキーならではのワクシーさを目で見ることができます。
まずは鼻でアイラウイスキーの香りを楽しみ、口に含んで味を楽しみます。喉を通って鼻に抜けるとき感じる香りや味わいもまた違ったものを感じることができるでしょう。
しかし、ウイスキーはアルコールが40%以上と非常に高め。嗜む際は水をチェイサーとして飲むようにしましょう。
ロック
バーなどでよく見るのは、グラスに入った丸くてきれいな氷ではないでしょうか。自宅でこの氷を用意することはハードルが高いので、なるべく大きめの氷を準備するようにしましょう。
ウイスキーが氷につかないよう、グラスのフチからそそぎます。その後、マドラーで氷を1回くるっと回せばOkです。
最初はアルコール感が強いですが、徐々に氷がとけていき、アイラウイスキーがまろやかな味に変化していくことでしょう。
ハイボール(ソーダ割り)
まずは、氷をグラスに入れます。その氷の霜をとるために、一度氷を水でさっと洗います。
つぎに、ウイスキーをグラスの3割程度(自分の好みでOK)入れ、強炭酸水をグラスのフチからそそぎます。このとき、炭酸水を目いっぱいそそがないでください。炭酸水を多くいれると、ウイスキーの個性をこわすことなく、味わうことができるでしょう。
マドラーで氷を一回くるっと回せば完成です。
まとめ
シングルモルトウイスキーは、飲みやすいものから本格派なものまでさまざまです。
樽の種類や生産地、熟成年数などでおどろくほど味わいが変わるため、しっかりとチェックしましょう。
この記事でご紹介したウイスキーの選び方やポイントをもとに、自分好みのウイスキーを見つけてくださいね。
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埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。 現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。