クッキング温度計の選び方 生活コラムニストに聞いた
生活コラムニスト・ももせいづみさんに、クッキング温度計を選ぶときのポイントを教えてもらいました。
まずは何に使うのかを考えて 揚げ物・お菓子作り・パン作り・ミルクの温度調整など
生活コラムニスト
炒め物や煮物など、普通に日常の調理を行うぶんには、温度を測る必要はほとんどありません。料理用の温度計が欲しいと思う背景には、必ず「目的」があるはずです。
赤ちゃんのミルクやコーヒーのドリップの水温を測りたい、揚げ物の油の温度を測りたい、冷凍食品や肉の塊の中心にしっかり火が通っているかを調べたいという人もいるでしょう。パンの発酵やチョコレートのテンパリングのほか、野菜類を新鮮によみがえらせる50℃洗いや、低温調理の温度管理において、クッキング温度計は必需品となってきます。
それぞれ、目的によって適応する機種は違ってくるので、何にいちばん使いたいのかをはっきりさせてから選んでいきましょう。
タイプから選ぶ
温度計には、昔ながらのアナログ式と、最近の主流であるデジタル式があります。
アナログ式|環境にもやさしい温度計
アナログ式の温度計は鍋に差した状態で使用できるので、両手が空いたまま他の調理に移れるというメリットがあります。
温度表示の確認には少しだけ戸惑うかもしれませんが、たいして難しいものでもありません。デジタル式とくらべても電池交換の必要がなく、環境にも優しいと言えます。
デジタル式|温度表記が見やすい!
4~6秒で計測できるクッキング温度計。スティック部分が長いので、熱源に近くても手が熱くなりにくい設計。
生活コラムニスト
電池で動くデジタル表示のスティック(プローブとも呼ばれます)型の温度計は、安価で気軽に買えるものが多いものです。スティックを差し込めば水や油などの液体も、肉やパン生地などの固体中心部の温度もかんたんに測ることができるので、いちばん手軽な選択肢と言えるでしょう。温度を正確に測るためには、スティックの先端から2cm以上を対象に接触させるようにします。
ただし、温度がわかるまでの時間は数秒程度、なかには10秒以上かかるものもあり、機種によって異なることに注意が必要です。温度管理に迅速さが求められる用途の場合は、温度の測定が早いものを選ぶようにしてください。
防滴、防水とうたわれていても、電池の入った本体部分は洗えないという機種もあるので、清潔に保ちたい人は完全防水タイプを選びましょう。
非接触で衛生的な赤外線タイプにも注目!
表面の温度だけ測定したい場合は、食材に触れることなく清潔に使える赤外線型の温度計がおすすめ!
生活コラムニスト
食品に触れることなく温度がわかる赤外線式の温度計は、計測時間がとても短く、本体が汚れないので清潔です。レストランなど衛生管理が大切な場所でも広く使われています。
ミルクやお湯の温度をサッと測りたいときや、チョコレートのテンパリングなどにとても便利です。ただし、赤外線でわかるのは食品の表面温度だけなので、ローストビーフなどの中心の温度を測りたいときには向いていません。
対象物に触れずに測定できるので、食品だけでなく水槽やお風呂の水温の確認にも使えます。料理専用の機種からアスファルトの表面温度などを測るための工業用まで幅広く作られているので、用途、大きさ、価格を比較して選んでみてくださいね。
使えない熱源があることに注意して
生活コラムニスト
デジタル式スティック型の温度計は、IH調理器などの磁気を発生させる熱源での使用を避けるように注意書きに明記されています。全く使えないというわけではありませんが、繰り返し長時間使うと正確な計測ができなくなる場合もあるので、IHで加熱しながらの使用は避けたほうが無難です。多くのIH調理器は温度設定ができるので、そちらで温度管理をするようにしましょう。
また、オーブンの中に入れられる機種も限定されています。長時間高温状態を保つと壊れてしまう機種もあるので、揚げ物の油の温度管理やオーブン、石窯、燻製器などの温度管理には専用の温度計を選びましょう。
ちょっとしたプラス機能で使い勝手アップ
設定温度になったらアラームでお知らせ! 温度管理が大切な調理をするときにとても助かりますね。
生活コラムニスト
食品の中心部を一定時間、設定温度で加熱することは食中毒予防にもなるので、温度計は家庭の衛生管理にも役立ちます。こうした用途に使用する場合は、あらかじめ設定した温度に達したことをアラームで知らせてくれる機能が付いた、スティックタイプの温度計が便利です。
また、ホールドボタンが付いていると、食材から離しても測定した温度が変わらないので、温度を目の近くで確かめることができます。自動オンオフ機能があれば、うっかり電源を切り忘れても一定時間を経過すると電源が切れるため、電池の消耗を防げます。
ちょっとした機能で使い勝手もアップするので、チェックしてみましょう。
こまかい数値が計測できる温度計を選ぼう
ローストビーフのように火加減が難しいものを調理する場合、細かな数値まできっちりと計ることのできる温度計が欠かせません。0.1℃単位まで計測できる温度計ならば細かな温度調節もしやすくなり、失敗を減らせるかもしれません。
もちろん、こうした温度計は料理の上級者だけではなく、初心者こそ持っておきたいところです。温度調節が簡単な温度計がひとつあることによって、いつもよりワンランク上の調理を行うことができるでしょう。
表示は大きくてシンプルなものをがベター
いつでも、誰でも使える温度計を探すなら、表示にはこだわりたいところです。最も重要なのは温度表示の大きさ。小さな表示は見づらく、人によっては使いにくく感じてしまいます。
また、温度以外の余分な情報が入ると、使い慣れていない人は戸惑うものです。できれば温度を表示する部分は大きく、誰が見てもわかるシンプルなものを選ぶのが良いでしょう。
上手に活用して、毎日の料理をグレードアップしよう 生活コラムニストからのアドバイス
生活コラムニスト
家庭用のクッキング温度計は、現在はスティック型と赤外線型が主流です。また「ワイン」「日本酒の燗」「ロースビーフ」「ステーキの焼き具合」など、ひとつの目的専用に作られた業務用の温度計もいろいろあります。探してみると、こんな用途のものも?と驚くような温度計も。
クッキング温度計は、家庭にひとつ必ずないと困るというアイテムではありません。しかし、温度を測ることでおいしくなる料理はたくさんあり、さらには食の衛生も管理できるようになります。楽しく選んで活用してみてくださいね。
クッキング温度計のおすすめ12選 非接触の赤外線タイプも!
うえで紹介したクッキング温度計の選び方をふまえて、生活コラムニスト・ももせいづみさんと編集部で選んだおすすめ商品を紹介します!

タニタ『デジタル温度計 スティック温度計(TT-533)』

出典:Amazon
測定範囲 | -50~240℃ |
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サイズ | 幅216×高さ36×奥行16mm |
重量 | 約33g(電池含む) |

ThermoPro『キッチン料理温度計(TP02S)』
















出典:Amazon
測定範囲 | -50~300℃ |
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サイズ | 幅220×高さ30×奥行30mm |
重量 | - |
4~6秒で計測できるロングタイプ
4~6秒で計測でき、スティック部分が13.5cmのロングタイプなので、熱源に近くても手が熱くなりにくい機種。こうしたスティックタイプの温度計で正確な温度を測るには、先端から2cm以上をお湯や食品に触れさせる必要があります。この機種は先端が尖っているので、ローストビーフや鶏の丸焼きなどでも、しっかりと差し込んで温度を測ることができて便利。
また、10分使用しないと自動的に電源が切れる機能が付いているので、ついうっかり放置して電池を消費してしまうこともありません。ホールドボタンは付いていませんが、本体が長いので液晶画面は見やすいと思います。安価ではありますが、応用範囲の広い温度計です。

AINYPET『防水 クッキング用温度計(GXSTWU)』


















出典:Amazon
測定範囲 | -50~300℃ |
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サイズ | 幅260×高さ30×奥行15mm |
重量 | 約37g |

dretec(ドリテック) アラーム付温度計 料理用 デジタル 防滴 O-263WT ホワイト














出典:Amazon
測定範囲 | -50~300℃ |
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サイズ | 幅255×高さ34×奥行15mm |
重量 | 約35g |
設定温度になったらアラームでお知らせ
設定した温度になるとアラームで知らせてくれる機能が付いた温度計。温度表示とにらめっこを続ける必要がないので、温度管理が大切な調理をするときにとても助かります。たとえば、パン種の発酵や、チョコレートのテンパリングに重宝するでしょう。
また、食中毒対策として、お肉や冷凍食品の中心に温度計を挿し、十分な加熱が行われているかどうかを確かめるのにも有効です。食中毒なら75℃に達したのち1分以上加熱、ノロウィルスは85~90℃になったのち90秒以上の加熱で防げるといわれています。
こうした温度にアラームを設定しておくと調理時間の管理がしやすいですね。防滴タイプなので、丸洗いはできません。

貝印『非接触で測れる赤外線温度計(DH7280)』














出典:Amazon
測定範囲 | 0~250℃ |
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サイズ | 幅51×高さ132×奥行27mm |
重量 | 68g |

MYCARBON『赤外線 非接触 温度計』
















出典:Amazon
測定範囲 | -50℃~380℃ |
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サイズ | 幅43×高さ150×奥行93mm |
重量 | 125g(電池含む) |
食品にも使える工業用のハイスペックタイプ
シェフやパティシエなどのプロも愛用しているという赤外線温度計。少しゴツゴツとしたデザインではあるものの、わずか0.5秒で正確な計測が可能です。工業用として熱いアスファルトから、水槽の温度まで測る用途として使われています。もちろん、食品用としても申し分ない使い勝手です。
油や液体、料理や冷凍食品の温度などが簡単に測れます。ただし、赤外線で測れるのは、あくまでも表面温度だけです。たとえば、ローストビーフの中心部の温度などは測れないので、用途に合わせて使い分けるようにしてください。食品だけではなく、テレビや冷蔵庫、水槽の温度などを測ることもできるので、さまざまな用途に使えます。

A&D『中心温度センサー付き赤外線放射温度計(AD-5612AMZ)』




出典:楽天市場
測定範囲 | -55~330℃ |
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サイズ | 幅40×高さ156×奥行24mm |
重量 | 約75g(電池含む) |
赤外線とスティックで表面も中心温度もOK
表面温度しか測れない赤外線と、中心温度が測れるスティック型の両方のメリットを一台にまとめた温度計です。赤外線を使えば、食品に触れることなく約1秒で表面温度が測定できます。また、サイドに付いたスティックを差し込めば、15秒で中心温度も測定可能。用途に合わせて使い分けることができる温度計です。
スープやミルクのような液体の温度を測る場合は、赤外線を使いましょう。一方、冷凍食品の解凍や肉の加熱にはスティックを挿すことによって中心の温度を確認できます。少々値は張りますが、赤外線とスティックタイプの2つを買うと思えばコスパとしてはよい買い物かもしれません。

シンワ測定『棒状温度計 H-2S アルコール0~200℃ 30cm バラ(72747)』












出典:Amazon
測定範囲 | 0~200℃ |
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サイズ | 幅6×高さ300mm |
重量 | 21g |
電池のいらないシンプルなアルコール温度計
今ではレトロにも見えるこうしたタイプの温度計のいちばんの強みは、電池が不要であること。必要に迫られたときに電池切れで使えないという心配もなく、電池のゴミも出ません。大切に長く使えば、ある意味でとてもエコな温度計と言えます。
丸洗いできることから衛生面でも優れているのがポイント。また、赤いアルコールの棒がゆるゆると上がっていくのを見るのは、少しわくわくしたりもします。多くのデジタル式の温度計は、強い磁気を発するIH調理器での使用を控えるよう注意書きにありますが、アルコール温度計であれば問題なく使用可能です。
何より価格がとてもリーズナブル。お菓子作りやコーヒードリップなどにはゆったり楽しめる、こんな選択肢もすてきなのではないかと思います。

日本計量器工業『キッチン・厨房用バイメタル温度計(油温計)(AAG17)』






出典:Amazon
測定範囲 | 50~300℃ |
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サイズ | 高さ160×直径55mm |
重量 | 55g |
ドリテック『O-603 赤外線温度計』








出典:Amazon
測定範囲 | -20~300℃ |
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サイズ | 幅約75×高さ23×奥行61mm |
重量 | 約68g(電池含む) |
ZACCARY's CK『クッキング用温度計』








出典:Amazon
測定範囲 | -50~300℃ |
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サイズ | 幅239mm(プローブ部分) |
重量 | 約19.5g |
Habor『クッキング温度計』








出典:楽天市場
測定範囲 | -50~300°C |
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サイズ | 幅150mm(プローブ部分) |
重量 | - |
「クッキング温度計」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする クッキング温度計の売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでのクッキング温度計の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
料理以外にどんなことに使える?
キッチンの温度計の用途として、料理では揚げ物やお湯、パンの生地の温度を測ったり、お菓子作りではチョコレートの温度を測ったりすることが多いでしょう。
しかし、料理以外にも、赤ちゃんのミルクの温度やお風呂のお湯の温度を測るときに役立ちます。用途によって選び基準が異なるので、温度計を選ぶ際は使用する頻度が高い基準に合わせて選ぶようにしましょう。
温度計にこだわると料理の見方が変わる 初心者にこそおすすめしたい!
料理の初心者であっても、ある程度慣れた人であっても、日常の調理に温度計を使用することはほとんどありません。揚げ物や肉料理をする場合ですら、勘や経験でぱっと済ませる人もいるでしょう。しかし、いつでも料理の味を均一に、かつ美味しく仕上げようと思うならば、温度計による計測は欠かせません。こだわりの一品を作るときこそ、失敗はしたくないものです。普段から温度計を使い慣れることで、温度計測を調理の習慣に取り入れてみましょう。
また、温度計は初心者にこそ必要なアイテムのひとつ。これから調理を始めようとする人はもちろんのこと、小さなお子さんが初めて調理を行う場合にも役立ちます。早いうちから温度計に慣れておけば、感覚に頼らずに調理することを覚えるので、結果として料理の腕前も上がるでしょう。
料理を一段と美味しくする温度計を効果的に活用しよう
ちょっとした温度管理で料理を一段と美味しく作ることができます。また、初心者には難しいとされるスポンジケーキなどのお菓子作りにも役立つでしょう。
使用の目的によってさまざまな種類があるので、この記事でご紹介した内容を参考に、自分に合うクッキング温度計を見つけてくださいね。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
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※2021/1/18 一部コンテンツと価格を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 松林麻衣)
暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。 日々の暮らしから生まれるコラム、忙しくてもゆるりと楽しく暮らすためのアイデア、時短レシピ、生き方のアドバイスは男女問わず幅広い世代から支持を集めている。 新商品や話題の家電、生活用品などのヒット予測、使用分析にも強い。「願い事手帖の作り方」「スープジャーレシピ」など著書多数。