シングルバーナーの選び方
アウトドアライター・キャンプブロガーのSAMさんにお話をうかがい、シングルバーナーを選ぶときのポイントについてご紹介していきます。ポイントは下記の3つ。
【1】燃料の種類を選ぶ
【2】ガスボンベと使用機器のメーカーを揃える
【3】用途に合わせて種類を選ぶ
上記のポイントを押えることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】燃料の種類を選ぶ CB缶・OD缶・ガソリン
まずは、CB缶・OD缶・ガソリンといった燃料の種類とそれらの特徴から見ていきましょう。
CB缶
CB缶とは、カセットコンロで使用されるボンベ缶です。扱いやすく、スーパーなどで手軽に比較的廉価で入手できるため、馴染みある方も多いかもしれません。
CB缶を使用するシングルバーナーの多くは、燃料を本体に設置してワンタッチで着火できる商品がほとんど。アウトドア初心者はもちろん、シングルバーナーとカセットコンロの両方を持ち運ぶ方に向いています。
OD缶
OD缶とはアウトドア缶のことで、アウトドアらしい雰囲気を感じる、まるっとした見ためが特徴。CB缶と比べてハイパワー、強い耐圧性を持っています。
ほかの燃料と比べ高価格帯ですが、OD缶を使用するバーナーはCB缶と同じくカートリッジ式で、着火も取りかえもカンタン。「手間暇かけずにもっとアウトドア気分を楽しみたい!」という方向けです。
ガソリン
シングルバーナーで使用するガソリンといえば、揮発性が高く強い火力と熱量をえられるホワイトガソリンが知られています。CD缶やOD缶との大きな違いは、風が強かったり気温が低かったりする環境でも安定した威力を発揮してくれることと、価格がお手頃な点。
ただし液体の状態で販売されているので、持ち運びと燃料のセッティングに少し手間がかかります。加えて、着火前に燃料タンクに空気を送り込むポンピングという作業も必要です。
ホワイトガソリンを使用するシングルバーナーは、安定した火力がほしい方や、使い方に慣れたベテランの方向けです。
【2】ガスボンベと使用機器のメーカーを揃える
キャンプ用の燃焼機器にはいくつかの燃料形式があり、ガソリンかガス(アウトドア缶=OD缶、カセットガス=CB缶)に大別できます。
一般的には各社専用の燃料で揃えると互換性があり便利だとされています。ただ、シングルバーナー自体小さいわけですし、燃料自体も決して大きなものではないので、さほどそれを気にせずキャンプスタイルやブランドの好みを優先するというのも大いにアリです。
【3】用途に合わせて種類を選ぶ 一体型・分離型
ここでは、用途に合わせたシングルバーナーの種類についてご紹介していきます。
一体型のシングルバーナー
一体型のシングルバーナーは、本体と燃料が一体となった構造をしています。余分な部品がなく、コンパクトでシンプルな見た目となります。
ただしガスを燃料とする場合は、ガス缶を本体の下部に設置する必要があります。その結果、鍋などを使用する場合に地面からある程度距離ができ、安定性が損なわれがちです。アルコールを燃料とする商品もありますが、カートリッジ式ではないためどうしても少し扱いにくくなってしまいます。
一体型のシングルバーナーは、小さな鍋やヤカンを使用することが多い方や、持ち運びのラクさを重視する方に向いています。
分離型のシングルバーナー
分離型のシングルバーナーは、本体と燃料をホースでつなぐ方式になっています。本体を地面に近い場所に設置することができ、鍋を置いたときに安定しやすいです。
ただし一体型と比べると、場所をとりがちです。さらに鍋自体は安定しても、本体と燃料がひっぱりあう形になるので、地面がでこぼこしている場合は両方をうまく設置する必要があります。
家族でキャンプをするなど比較的大きめの鍋で調理をしたい方、コンパクトさよりも使用時の安定感と安心感を求める方に向いています。
シングルバーナーおすすめ14選 出力・ガス消費量・燃焼時間・ゴトク径もチェック!
ここからは、アウトドアライター・キャンプブロガーのSAMさんと編集部が厳選したおすすめのシングルバーナーをご紹介します。

定番中の定番、しかもリーズナブル
キャンパー、登山家、ハイカーたちに広く長く親しまれている「ジュニアコンパクトバーナー」。何よりも日本全国で求めやすいイワタニカセットガスが使える汎用性で他をリードしています。
もちろんそれだけではありません。コンパクトで軽量、安定感があり風防まで備えたゴトク。専用のハードケースも付きながら価格帯も実にリーズナブル。初めてシングルバーナーを所有するときの第1候補はまずこれではないでしょうか。

シングルバーナーの傑作
軽量でありつつ、3,600kcal/hというハイパワー、Xの形状で風の吹き抜けをなくした五徳も安定性があり実用としての高いバランスと防風性能を提供してくれます。
しかしこの『P-153』がベストセラーとして長く君臨しているのは単なる実用性だけではなくその美しい造形美があったからこそではないでしょうか。ギアとして心くすぐるメカニカルなデザイン、それでいて無駄がまったくない潔いシンプルさ。そして別売りながら存在感ある「黄色い缶」。
目の前に置いてあるだけで少し幸せになれる、数少ないキャンプ道具のひとつと言っていいでしょう。

コンパクトで、画期的な防風性能を誇る
バーナーヘッドがむき出しになったシングルバーナーでは、風に煽られると火力が弱まるのが欠点。そこでバーナーヘッドをすり鉢状にするという画期的な方法で防風性能を高めたのが、この『ウインドマスター』です。
ガスの圧力とスプリングの反発を利用して火力を調整する「マイクロレギュレーター」が付いており、スペック上は外気温が20℃であっても、-5℃であっても2800kcal/hの火力を発揮する高性能ぶり。サイズも非常にコンパクトなので、サブバーナーとしてひとつ持っておきたくなる製品です。付属のゴトクよりもう少し大きいのが欲しいという方には、別売の「大型4本ゴトク」があります。

大型シングルバーナーもアリ!
小さいばかりがシングルバーナーではありません。時にダッチオーブンさえも置ける大型タイプもひとつの選択肢になります。なにしろ耐荷重15kgという抜群の安定感と最大で3
900kcal/hという大パワー。
さらに直径20cmの大型汁受けが輻射(ふくしゃ)熱と吹きこぼれを軽減してくれるので、名前のとおり卓上スタイルにも好適。家族でダッチオーブンや鍋を囲むのもいいですね。
私はこれを所有してから、コンロが2つあるツーバーナーの使用頻度が激減しました。大がかりな料理はこれで、お湯を沸かすなどはコンパクトなシングルバーナーを使い、結果ツーバーナーに比べて50%程度荷物を減らすことができています。工夫次第でいきるユニークなシングルバーナーです。

日本が誇るニュースタンダード
もしシングルバーナーをひとつに絞れと言われたなら、筆者は迷いなくこの『ST-310』にするでしょう。とにかく使い心地がよく手放せません。
まず五徳が低く大きく安定している点。本来シングルバーナーは構造上接地面から高いところにバーナーがありますが、この『ST-310』はそれと比べると半分以下。しかも五徳自体で接地していることが意外なほどの安心感を与えてくれます。
CB缶の欠点を補うレギュレーターも付いており火力の安定に貢献しています。オプションも実に豊富。考え抜いた実用性がそのまま美しいデザインとなり所有する喜びも与えてくれる、日本が誇る工藝美の逸品と言っていいでしょう。
大鍋調理ができる低重心設計が魅力
燃料と本体をホースでつなぐ分離型で、低重心設計。大きな五徳を装備しており、直径25cmまでの鍋を使用することが可能です。大鍋を使用する場合も、3,200kcal/hのハイカロリーなので充分な火力で調理ができますよ。
手に入りやすいカセットボンベを使用するため燃料の確保もカンタン。ひとりでの使用はもちろん、ツーリングやキャンプにも役に立ちます。
手頃な価格がうれしい標準的なシングルバーナー
OD缶を使用する一体型のシングルバーナーで、価格もリーズナブル。それでいて2700Kcal/hと充分な出力があり、発火装置つきで機能面も心配ありません。小型のシングルバーナーらしいサイズと重量はどれも平均的で使い勝手よしです。
とりあえず1台シングルバーナーを買ってみたいという方や、あまりお金をかけたくない方にお手頃の1台ですよ!
分離型だからこそえられる安定感
ガスカートリッジと本体をホースで接続する分離型。重心が低くゴトクも大きめなので、より安全に調理が可能です。一体型に比べてかさばるかと思いきや、この商品は脚部がゴトクと兼用でコンパクトさも失いません。
バーナーヘッドに沿ったプレヒートパイプが燃焼熱でガスの気化を促進させてくれるので、燃焼の安定感もあります。
グッドデザイン賞を受賞したスマートなたたずまい
2015年にグッドデザイン賞を受賞した、デザイン性あふれるこちらの商品。優秀なのはその見た目だけではありません。シンプルな一体型でありながら、分離型のメリットである低重心も持ちあわせてます。
ガスカートリッジの高さによって、脚の高さが調整できるのも便利なポイント。手元にあると思わず誰かに自慢したくなる、機能美あふれるアイテムです。
歴史ある燃焼器具メーカーの伝統モデル
288個の炎口と3,600kcal/hの高出力を誇る、プリムスの伝統モデル。このバーナーが持つX字のゴトクは、鍋を乗せるとバーナーヘッドを4つに区切ります。そのため、どれかひとつの区画が消火してしまっても、残りの区画に影響を及ぼさず炎を守ってくれるのです。風で火力をたもてず悩まされているキャンパーに、ぜひ手にとってもらいたい商品です。
「シングルバーナー」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする シングルバーナーの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでのシングルバーナーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
シングルバーナーのおすすめに関するQ&A よくある質問
外気温は何度まで使用できますか?

一般的に、OD缶タイプで-5℃まで使用できます。それ以下の温度になると火はとても弱まります。
異なるメーカーのボンベを使用しても問題ありませんか?

バーナーとボンベはメーカーによって接続部分が異なる場合がありますので、同一メーカーが推奨されています。万一、他社製どうしの使用で故障した場合は、保証の対象外となります。
使用後のボンベの処分方法は?

各自治体の処分方法に従って分別して捨ててください。ボンベは必ず完全に使い切ってから処分しましょう。
シングルバーナーに関するそのほかのおすすめ記事 【関連記事】
火力と共に防風性もチェック アウトドアライターからのアドバイス
スペック上の燃焼力はさまざまです。しかしスペックはあくまでもすべての条件下に当てはまるものではありません。特に気温が低いときにはガスの燃焼効率はどうしても下がり、その差が大きくなりやすいものです。
ガソリンは別にして、OD缶とCB缶ではどうしてもCB缶の方が火力が弱まる傾向にあります。また、連続使用をすると「ドロップダウン」という現象が起こり、火力が下がることがあります。
それを補うのが「レギュレーター」で、できる限り火力の安定性を補ってくれる補助装置です。一方、シングルバーナーは基本むき出しなので、風に煽られれば火力がどうしても弱まります。風に強い構造であるかどうかもチェックポイントになります。
とっておきのシングルバーナーでアウトドアを楽しもう 便利なシングルバーナーでワンランク上のキャンプを
持ち運びに便利なシングルバーナーは、ソロキャンプのメイン使いとしても、ファミリーキャンプでのサブ使いとしても役立つ便利なアイテムです。便利さをとことん追求するのもステキですが、自分好みの見た目だったり、使ってみたいメーカーの商品にトライしてみるのも楽しいものです。
サイズが大きめのもので料理を楽しんだり、気に入ったデザインのものでコーヒーのお湯を沸かしてみたり......。ぜひご自身のアウトドアのお供にピッタリな、お気に入りのシングルバーナーをみつけてください!
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キャンプブロガー、アウトドアライター、一般社団法人日本オートキャンプ協会公認インストラクター・講師、星のソムリエ®(星空案内人®)JAXA宇宙教育リーダー、光学機器メーカーマーケティングディレクター。 アウトドア誌、WEBマガジン、企業広報誌、新聞などへの取材協力・執筆活動、CMコーディネートを行っている傍ら、キャンプ体験・キャンプ料理レシピをまとめた自身のWEBサイト「 Sam-Home Sam-Camp / キャンプの宝物を探そう!」(2001年開設)並びにブログ「SAMのLIFEキャンプブログ Doors , In & Out !」(2004年開設)を運営。 サイトは通算700万人以上に利用され、ブログ投稿数は5000記事を超える。 同時に、星のソムリエ®として全国のキャンプ場や観光施設等にて夜の魅力と星空の楽しみを広めている。