防振双眼鏡を選ぶポイント テクニカルライターが解説!
テクニカルライターの石井英男さんに、防振双眼鏡を選ぶポイントを教えていただきました。
使用するシーンと目的に合わせて選ぶ
防振双眼鏡を選ぶときには、まず何の目的に使うのかをはっきりさせてください。野外と屋内のコンサートでは求められる性能も違ってくるので、使うシーンも決める必要があります。
注意が必要なのがネット通販などで購入する場合です。目的とシーンを明確にしてから選ばないと、せっかく購入しても使いものにならない場合もあります。
コンサートや舞台鑑賞に使うときの選び方

Photo by Unsplash
コンサートで双眼鏡を使うときは、屋内でもみやすい性能が必要です。会場の広さとか明るさも影響してきますね。
コンサートや舞台鑑賞は屋内になるので、防振双眼鏡を選ぶにはそれに合わせた性能が必要になります。具体的に紹介していきましょう。
鑑賞に集中できる防振スイッチを選ぶ
手ぶれ補正スイッチがスライド式がのため、ボタン式のように押し続ける必要がなく、常に手ぶれ補正機能オンにできる。
メーカーや機種によって防振機能の使い方が異なります。コンサートや観劇の場合は一度押せばオフにするまで手ぶれ補正が続くワンプッシュ式が便利。
ボタンを押している間だけ防振機能が作動する方式は、バードウォッチング用に開発されたものなので屋内使用は向いていません。
ワンプッシュ式の製品には、5分間など決められた時間だけ作動するタイプもあります。
IT・テックライター
防振双眼鏡は、防振機能(手ぶれ補正機能)のオンとオフをスイッチで切り替えられるようになっています。
製品によってはそのスイッチがボタン式で、押してる間のみ防振機能がオンになるものもありますが、長時間観察する際にボタンをずっと押し続けるのは面倒。スライド式など、防振スイッチをロックできる機構になっているほうが便利です。
会場の大きさに合わせて倍率を選ぶ
コンパクトなボディながら14倍の倍率を実現。屋外でのスポーツ観戦などに適したモデル。
防振双眼鏡にはズーム機能がないので、選ぶときは倍率がとても重要になります。コンサートや舞台鑑賞の場合は会場の大きさに合わせて倍率を選んでください。
一般的なホールや広いドーム会場のアリーナ席なら6~8倍程度。ドームの2階席などのようにステージまで距離がある場合は10倍以上の倍率が必要でしょう。
注意したいのは、倍率が高くなるほど視野が狭くなるという点。動く相手をみるときに疲れてしまいます。
IT・テックライター
防振双眼鏡は、カメラでは当たり前になった手ぶれ補正機能を搭載していることが特長です。通常の双眼鏡の場合は10倍を超えるような高倍率では三脚を使わないと、ぶれで観察がかなり厳しくなりますが、防振双眼鏡なら12~15倍程度でも手持ちでじゅうぶん利用できます。
屋内スポーツの観戦やコンサートなら6~10倍程度、屋外スポーツの観戦やバードウオッチングなら8~12倍程度がおすすめです。
長時間の鑑賞なら重さと口径をチェック
口径30mmにして、倍率12倍。なにより軽量コンパクトな防振双眼鏡。
防振双眼鏡は一般の双眼鏡よりもモーターなどの電子部品や乾電池を内蔵しているので、サイズも大きく重量があります。舞台やコンサートを長い時間鑑賞するなら、重さをチェックして選んでください。
口径が大きい方がはっきりみえて便利ですが、その分重くなるので口径の大きさもチェックする必要があるでしょう。コンパクトな軽量タイプの方が鑑賞に集中できて楽しめます。
IT・テックライター
双眼鏡は同じ倍率なら口径が大きいほど、像が明るくくっきりと見えます。しかし、そのぶんサイズが大きくなり、重量も重くなります。防振双眼鏡は手ぶれ補正機構と電池を内蔵していますので、口径が同じなら普通の双眼鏡よりも重くなりがちです。
口径は30mm程度あれば、いろいろな用途に対応できます。重量は手持ちで長時間使うのなら、600g未満の製品がおすすめです。
アウトドアに使うときの選び方
アウトドアで使うときは舞台鑑賞とは違う選び方があります。外で使用するときに必要な機能についてご紹介しますので、選ぶときの参考にしてください。
夕暮れに使うなら大きめの対物レンズを
外で使用する場合、いつも明るい太陽の下とは限りません。夕暮れなど光量が足りない時間帯にみてみたい風景もあります。そのようなときは対物レンズつきの防振双眼鏡を選んでください。
対物レンズは双眼鏡の前方についているレンズのこと。口径が大きいほど暗くてもはっきりみえますが、重さも増えるので携帯性が落ちます。
昼間の明るいときにしか使わないならレンズ径30mm程度、夕暮れなどは40~50mmぐらい必要でしょう。
急な雨を想定して防水性能をチェック
完全防水仕様。水に沈まない構造で、水深1m地点で5分間耐えうるほどの防水性能をもつ。
アウトドアでは急に雨が降ることがあります。また湿気の多い場所や水辺などでも使用するので、曇り止めや防水機能のついた防振双眼鏡を選びましょう。
また船を利用したりマリンスポーツでも使う場合は完全防水のものが必要です。アウトドアで使用する場合は、どのようなシーンで使用するのかによって防水機能をチェックしてください。
実視界は6度あるとよい
実視界6度(1000mにおける視界105m)、見かけ視界55.3度。手ぶれ補正が連続約10時間持続。
実視界とは、双眼鏡を固定した状態で見ることができある範囲のことです。実視界が広いほど、目標をとらえやすくなります。そのため、目安として6度程度あるものを選ぶとよいでしょう。
眼鏡をかけているならアイレリーフが長いものを
アイレリーフは17.5mmと長めで、眼鏡をかけていても気にならない。約422gという軽さも魅力。
双眼鏡には前方の対物レンズと、目で覗く接眼レンズがあります。双眼鏡をみるときは裸眼を接眼レンズに当てた方がみやすくなります。
メガネをかけている方は接眼レンズと目の間にメガネが入るので、アイレリーフの長いものを選ぶようにしてください。
目安は接眼レンズから目を当てる部分までの距離が15mm以上。これぐらいならメガネをかけたままでもみやすくなります。
IT・テックライター
アイレリーフの長さも気をつけたいポイント。アイレリーフとは、双眼鏡の視野が欠けることなくすべてを見ることができる、目と接眼レンズの適切な距離のことです。アイレリーフが長ければ、目をレンズから離して双眼鏡を覗くことができるので、目が疲れにくいというメリットがあります。
とくに眼鏡をかけている人にはアイレリーフが重要。眼鏡をかけたまま双眼鏡を使うことができるアイレリーフが15mm以上の製品をおすすめします。
防振双眼鏡のおすすめ5選 倍率・口径・サイズ・重量・電源・防振スイッチの有無で選ぶ!
ここまで紹介した選び方のポイントをふまえ、石井英男さんならではの視点で、おすすめの商品を選んでいただきました。

Canon(キヤノン)『10×30 IS II』








出典:Amazon
倍率 | 10倍 |
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口径 | 30mm |
サイズ | 幅127×長さ150×高さ70mm |
重量 | 約600g |
アイレリーフ | 14.5mm |
電源 | 単3電池×2、バッテリーパック/約9時間(常温〈25℃〉単3アルカリ乾電池使用時) |
防振スイッチ | ボタン式 |

Vixen(ビクセン)『ATERA H12×30』




















出典:Amazon
倍率 | 12倍 |
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口径 | 30mm |
サイズ | 幅149×長さ108×高さ62mm |
重量 | 422g |
アイレリーフ | 17.5mm |
電源 | 単4電池×2/約12時間(〈20℃〉単4アルカリ乾電池使用時) |
防振スイッチ | スライド式 |

Kenko Tokina(ケンコー・トキナー)『VC スマート 14×30』




















出典:Amazon
倍率 | 14倍 |
---|---|
口径 | 30mm |
サイズ | 幅51×長さ124×高さ147mm |
重量 | 515g |
アイレリーフ | 14mm |
電源 | CR2リチウム電池×1/約12時間 |
防振スイッチ | スライド式 |

Canon(キヤノン)『10×32 IS』










出典:Amazon
倍率 | 10倍 |
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口径 | 32mm |
サイズ | 幅142×長さ171×高さ77mm |
重量 | 約780g |
アイレリーフ | 14.5mm |
電源 | 単3電池×2/約10時間(常温〈23℃〉単3アルカリ乾電池使用時) |
防振スイッチ | ボタン式 |

FUJINON(富士フイルム)『テクノスタビ TS-X 1440』




出典:Amazon
倍率 | 14倍 |
---|---|
口径 | 40mm |
サイズ | 幅165×長さ81×高さ187mm |
重量 | 約1300g |
アイレリーフ | 13mm |
電源 | 単3電池×4、単3ニッケル・水素充電池×4 |
防振スイッチ | - |
世界最高水準の防振機能を実現
口径40mm、倍率14倍のフラッグシップモデルです。完全防水仕様なので、小雨が降るような環境でも安心して利用できます。ふたつの圧電振動ジャイロとポジションセンサーにより振動を感知し、ふたつのモーターで正立プリズムの状態を保つ仕組みです。
テクノスタビ TS 1440の後継製品で、手ぶれ補正範囲が従来の±5度から±6度に向上。センサー方式の防振双眼鏡として世界最高水準の手ぶれ補正性能を実現しています。単3アルカリ電池4本または単3ニッケル水素電池4本で動作します。アイレリーフは13mm、重量は電池別で約1,300g。重量は重めですが、屋外でも雨を気にせず使える高性能な防振双眼鏡がほしいという人におすすめです。
防振双眼鏡おすすめ5選
Canon(キヤノン)『10倍双眼鏡 防振双眼鏡(0155B002)』

出典:Amazon
倍率 | 10倍 |
---|---|
口径 | 42mm |
サイズ | 幅175.8×長さ137×高さ85.4mm |
重量 | 1030g |
アイレリーフ | 16mm |
電源 | アルカリ単3電池2本 |
防振スイッチ | ボタン式 |
Nikon(ニコン)『防振双眼鏡(STB10X25RD) 』
































出典:Amazon
倍率 | 10倍 |
---|---|
口径 | 25mm |
サイズ | 幅120×高さ103×厚さ48mm |
重量 | 約410g |
アイレリーフ | ‐ |
電源 | リチウム電池(CR2) |
防振スイッチ | ‐ |
Kenko(ケンコー)『防振双眼鏡 VC Smart コンパクト(031964)』




























出典:Amazon
倍率 | 12倍 |
---|---|
口径 | 21mm |
サイズ | 幅135×長さ120×高さ50mm |
重量 | 約405g |
アイレリーフ | ‐ |
電源 | アルカリ単3電池1本/約10時間、2本/約20時間 |
防振スイッチ | スライド式 |
富士フィルム『防振双眼鏡 FUJINON テクノスタビ (TS16X28)』














出典:Amazon
倍率 | 16倍 |
---|---|
口径 | 28mm |
サイズ | 幅148×奥行74×高さ120mm |
重量 | 約550g |
アイレリーフ | 16mm |
電源 | リチウム電池 (CR2)/約12時間 |
防振スイッチ | スイッチ式 |
Canon(キヤノン)『双眼鏡 12×36 IS III BINO12X36IS3(2421U50)』












出典:Amazon
倍率 | 12倍 |
---|---|
口径 | 36mm |
サイズ | 幅127×奥行70×高さ174mm |
重量 | 約660g |
アイレリーフ | 14.5mm |
電源 | アルカリ単3電池/約9時間 |
防振スイッチ | ‐ |
「防振双眼鏡」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 防振双眼鏡の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの防振双眼鏡の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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IT・テックライター
防振双眼鏡は、双眼鏡に手ぶれ補正機能を搭載したものですが、その威力は絶大です。双眼鏡は手持ちで使うとどうしても手ぶれが気になって、観察に集中できなくなりがち。とくに双眼鏡に慣れていない人は、手ぶれも大きくなりやすいものです。
双眼鏡を買ってみたけどうまく使いこなせなかったという人も、手ぶれを強力に抑えてくれる防振双眼鏡なら快適に利用できます。普通の双眼鏡に比べて価格はかなり高くなりますが、それだけの価値がある製品といえるでしょう。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/11/26 コンテンツ修正のため記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。 ライター歴25年。PC/ITに関するテクノロジーの解説や製品レビューを得意とする。 最近は、STEM教育や3DプリンターやCNCを初めとするデジタルファブリケーションに興味を持ち、積極的に取材や記事執筆を行っている。 また、子どもへのプログラミング教育にも関心があり、CoderDojo守谷のメンターを務めている。