「ソイル」とは? 水草の育成・エビの飼育に欠かせない
ソイルとは、水槽の底に敷く底床(ていしょう)のこと。水草育成やエビの飼育欠かせないものです。ただの土とは違い、丸い粒状に焼き固められているのがソイルの特徴。この形状により細かい泥などが舞うのを防止して、通水性を保つことができます。
また、水草が育つための栄養を含んでいることも大きなメリット。汚れや生体の毒になる物質を吸着する作用があり、多孔質なので微生物やバクテリアが定着しやすい環境を作ることができます。
一方で、掃除しているときに型崩れしてしまったり、養分がなくなっていくので1年程度で交換する必要があるというデメリットも。
ソイルの選び方
まずは、ソイルを選ぶときのポイントをご紹介します。どのようなアクアリウムにしたいかでソイル選びは変わります。ぜひチェックしてみてください。
ソイルの種類で選ぶ
ソイルは「吸着系ソイル」「栄養系ソイル」「セラミック系」に分かれます。それぞれの特徴をふまえて、適したタイプを選びましょう。
吸着系ソイル|エビやメダカの育成に
吸着系ソイルは、生体にとって害となる物質や汚れを吸着し、濁りを抑える働きがあります。底面フィルターと併用することで、より安定した水質を維持できます。シュリンプやメダカの飼育でソイルを使いたいと考えている方は、吸着系ソイルがおすすめです。
栄養系ソイル|水草育成におすすめ
栄養系ソイルは、栄養成分が豊富に含まれているので水草の育成に適しています。腐葉土が含まれる黒土を原料としているソイルなどもあり、水草がしっかり育ちます。栄養が豊富なゆえに、苔(コケ)やバクテリアが発生しやすく、水が濁りやすいというデメリットがあります。
セラミック系ソイル|コスパが高い
セラミック系のソイルは、土などを焼き固めて作られており、形崩れしにくいのが特徴です。多孔質でバクテリアが繁殖しやすいため、水質の浄化作用も期待できるでしょう。
セラミック系はほかの2種類のソイルより、吸着力や栄養面で劣るものの、長期間使用できるのが魅力です。ソイルの交換回数を減らしたい方や、コストパフォーマンスを重視したい方に向いています。
粒の大きさで選ぶ
ソイルの粒の大きさは、パウダータイプと呼ばれる小粒のものから、存在感のある大粒のものまでさまざまです。通水性や生体との相性を考慮して選びましょう。
ノーマルタイプ|通水性が高く、値段が安い
一般的なノーマルタイプは、粒が大きいぶん通水性にすぐれており、コケが生えにくいという特徴があります。底面フィルターとの併用にも適しています。
価格が安いうえに、長持ちするのもメリット。形が崩れにくいので掃除しやすいという点もポイントです。ただし、水槽が小さいと粒の存在感が出てしまうので、見栄えを重視したい方は大きめの水槽で使うといいでしょう。
パウダータイプ|水草が抜けにくい
パウダータイプは、ノーマルタイプに比べて価格は高いですが、粒が細かいので水草が抜けにくいというメリットがあります。前景草を植えるときや、茎の細い水草を植えるときに重宝します。
おすすめの使い方は、最初にノーマルタイプから敷いていき、最後にパウダータイプで表面を覆う方法です。これにより水草が植えられやすくなり、見た目にもきれいな底床となります。
生体に合わせてソイルのpHを選ぶ
ソイルには、水槽内のpHを調整してくれる働きも持っています。ソイルのpHは、おもに中性~弱酸性。水草やビーシュリンプには、弱酸性のソイルを選ぶといいでしょう。
一方、グッピーやプラティなどは弱アルカリ性の水質を好みます。生体によって適した水質が異なるため、ソイルのpHを確認することが大切です。
ソイルの色で選ぶ
水草のレイアウトは、ソイルの色によって景観の印象が変わります。黒は引き締めた印象をあたえ、暖色系の茶色は全体的にやわらかい印象をあたえます。
また、一般的には黒色のソイルは茶色にくらべて栄養分が多い傾向にあります。水草の成長速度を考慮して、色を選ぶのもポイントになります。
ソイルおすすめ5選 吸着系ソイルをご紹介
ここからは、吸着系ソイルのおすすめ商品を紹介します。Amazonや楽天などの通販サイトの人気のものばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
水洗い不要!天然ソイルで魚や水草にやさしい
水洗い不要ですぐに水槽にセットできる天然ソイルです。弱酸性の軟水に水質を保つので、水草に最適。流木のアクなども、綺麗に吸着して取り除きます。粒が潰れにくいため水草が根を張りやすく、長持ちするのでお掃除も簡単です。また、多孔質な形状となっているため、硝化バクテリアに最適な環境となり、最大限に生物ろ過の効果が発揮されます。
主成分の、天然鉱物ベントナイトを特殊配合した粘土鉱物モンモリロナイトが、ミネラルを水槽内に放出し、水質の維持と魚の健康を維持する優れたソイルです。
水草育成の定番品!硬めで崩れにくいソイル
水洗い不要ですぐに使えるソイルです。通気性、保水性、透水性を兼ね備えており、簡単に水草が育成できます。原料は無菌状態で加熱処理した「火山灰土」「黒ぼく土」で、それらが扱いやすいよう改良された自然造粒です。素材は天然のものを使用しており、着色していないので、安心して使えます。
水草の育成に必須である、硫酸カリやヨウリン酸などが含まれています。バクテリアがよく繁殖し、しかも定着しやすいため、透明な水の環境の維持が可能です。流木のアクも、優れた脱色能力により、綺麗に取れます。
驚異のろ過能力!水草・熱帯魚・シュリンプに最適
弱酸性(pH6.2~pH6.7)の軟水に水質を保つので、水草の育成や弱酸性の軟水系の生態(シュリンプ、ディスカス、エンゼルなど)の飼育繁殖に最適なソイルです。特殊製法で超多孔質になっており、高いろ過能力を発揮します。水質調整の手間や、大量の水替えの手間がいりません。流木のアクなどの色素や有害物質もしっかり吸着します。
水洗い不要で使用可能ですが、フィルターは必ず設置してください。最大限に能力を発揮するため、底面フィルターの使用を推奨します。
水づくりの知識不要!誰でも簡単にセッティング
底面フィルターとの併用で、強力に水質を安定させるソイルです。微生物が定着するのを促し、有害物質を分解してくれます。水草の発根や生育に最適。軟水で弱酸性の水質を好む、水草やビーシュリンプ、エンゼルフィッシュやテトラ、ディスカスやアピストなどに最適です。
水槽で魚を飼育する場合、「フィルター」が必須ですが、ブルカミアを使った底面ろ過方式なら、「フィルター」は不要です。ただし広瀬推奨のろ過方式で使用した場合に限りますので、注意しましょう。ブルカミアがろ過材となり、水質のPHの安定や緩衝を保ち、水の交換頻度を大幅に減少できます。吸着能力が高いので、流木のあく抜き作業も必要ありません。
水草・熱帯魚・シュリンプに最適!吸着系ソイル
欧米諸国はアジア、アフリカなど世界中のアクアリストから高評価の吸着系ソイルです。原料に阿蘇の火山灰を使用しており、水の透明度を上げ、弱酸性の水質を維持する性能に優れています。水草のほか、弱酸性軟水環境を好む熱帯淡水魚やエビなどに最適です。
ノーマルタイプは特に人気が高く、粒が大きくてつぶれにくくなっています。酸素の豊富な水が、水草の根まで行き渡る特殊な構造なので、水草が密生したレイアウトにもおすすめなソイルです。
専門家が選ぶソイルおすすめ6選 プラチナソイルやマスターソイルなど!
つづいて、水辺の動植物に詳しい早坂 誠さんに選んでいただいたおすすめ商品をご紹介します。

粒がつぶれにくく長期間使えるソイル
プロジェクトソイルのなかでも『エクセル』は、ほかのシリーズと比べてとてもかたいソイル。水深の深い水槽でも粒がつぶれにくいため、ソイル交換の時期を少し延ばせます。長期維持を目的にした水槽でも活躍してくれるでしょう。
ノーマル粒は8kgと2kgの2種類、そのほかに目のこまかい特選細粒が2kgで用意されています。吸着系ソイルの部類に入り、流木やエサなどから出てくる色素の吸着にすぐれています。金魚などの底床を掘りやすい魚でソイルを使用したい場合にはこちらを使用してみましょう。

クセが少なく初心者にもおすすめの吸着系ソイル
ソイル自体のクセが少ないぶん、ソイルをはじめて使う場合など扱いやすさを優先するならプラチナソイルがおすすめです。ノーマル、パウダー、スーパーパウダーの3種類の粒サイズがあります。このパウダーの粒は2.0〜3.0mmほどで、大きすぎずこまかすぎずで、とても使いやすいです。
カラーは黒と茶の2色から選べます。吸着系ソイルの部類にはいり、メダカからかんたんな水草育成まで幅広い場面で使うことが可能。45~60cm水槽の方は8Lを1袋が目安になります。奥行きを演出するために傾斜をつけたい場合は追加で用意しましょう。

敷きやすく耐久性のある栄養系ソイル
かんたんに水草を育てられるようにと開発された栄養系のソイルです。栄養系ソイルにありがちな最初の白濁りやコケの発生が少なく、はじめて水草育成に挑戦する方におすすめです。
一粒一粒の比重が重く、水草を植えるときにソイルが浮いて植えづらいといった苦労が少ないのもうれしい点。粒の大きさは1サイズのみ(約1.5〜3mm)で、容量はこの9Lのほかに3Lもあります。
カラーは黒のみ。粒はかためなのでホロホロと崩れにくく、耐久性があります。また、こちらの商品は水草育成用と書いてありますが、ゆるやかに栄養が溶けだしてくるタイプでアンモニアの溶けだしも少ないうえ、立ち上がりがはやいのでエビ用ソイルとしてもおすすめです。

栄養系ソイルとしては珍しいカラバリ豊富な逸品
栄養系ソイルを使ううえで、カラーリングも気になるという方におすすめのソイルです。
リニューアル前の「マスターソイル」という商品がエビの繁殖をする方によく使われており有名なソイルなのですが、こちらはそのマスターソイルをもとに天然成分を配合した水草育成用の栄養系ソイルとして新しく出されました。
栄養系ソイルは吸着系ソイルに比べてカラーや粒のバリエーションが多くないなか、こちらは黒・茶の2色、かつサイズもノーマル、パウダー、スーパーパウダーの3種類がでています。黒のソイルを使って、なんだか全体の雰囲気が暗いなと感じる方はこちらの茶色タイプを使ってみてはいかがでしょうか。

かんたんには崩れない汚れ吸着に特化したソイル
焼きかためてあるソイルでほかのものとは少し異なるタイプです。意図的につぶそうとしない限り崩れるということがまずないので、かなり長期的に使うことができます。砂利とソイルの中間のイメージで使うとよいでしょう。
汚れなどの吸着に特化しており、メダカなどの魚飼育におすすめのソイルです。小型水槽やメダカ用の鉢にちょうどいい1L、2.5Lの2サイズ展開。カラーはこのほかに茶色もあります。

小型のエビの飼育に適したソイル
ビーシュリンプなど、小型のエビを飼育・繁殖を行なう方におすすめのエビ専用のソイルです。このソイルに練りこまれているフミン酸はエビの新陳代謝を促進し、成長や繁殖をスムーズにしてくれます。
粒の大きさはノーマルとパウダータイプの2サイズ。表面にパウダータイプを敷くとデコボコが少なくなり、エビがエサを食べやすくなり、稚エビも動きやすくなるのでおすすめです。持続的に効果を継続するために定期的に交換を行なうことをおすすめします。
「ソイル」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ソイルの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのソイルの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
吸着系のソイルは薬使用時や性能劣化時に気をつけて アクアリウム専門家からアドバイス
ソイルは水に含まれた養分を吸収してしまうという性質をもつため、魚病薬との併用を避けましょう。薬の有効成分を吸いとってしまうことになり、効果がなくなってしまうことにつながります。ソイルを使い始めたら、魚の治療はバケツや別水槽などで行なうとよいでしょう。
病気関連でもうひとつ。早いと数カ月、通常半年から2年ほど使用していると、とくにエビがポツポツと体調を崩す現象がみられるときがあります。
「ソイルブレイク」ともよばれているこの現象は、吸着する機能がなくなることでペーハー(pH)が不安定となったり、アンモニアなどが残留することで魚やエビが体調を崩しやすくなるといわれています。各メーカーの表示している交換時期を目安に新しく交換して使うとよいでしょう。
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東京渋谷の水草・観賞魚販売を中心とした店舗「sensuous」代表。 水草職人として、観賞魚業界を牽引するパイオニア的存在の一人。 独立後の2001年より水草を用いた作品を専門誌やインテリア誌に数多く発表しており、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」に登場した海女カフェ水槽を始め多くのテレビ番組セットや企画展、各イベントなどでアクアリウム作品を手掛けている。 2016年6~7月にはEテレ「アクアリウムとテラリウム」の講師での出演、 2017年・18年では水草と観賞魚の企画展「グリーンアクアリウム展」でのディレクションを担当する。 都内専門学校(アクアリスト専攻)講師。観賞魚飼育管理士アドバンス・愛玩動物飼養管理士2級・ビオトープ計画管理士2級・ビオトープ施工管理士2級。著書「水草水槽のススメ」