水草の種類・タイプ
水草には、大きく分けて「水に浮かべるタイプ」と「水中で育てるタイプ」の2種類があります。一つひとつ解説していきます。
▼水に浮かべるタイプ
水に浮かべるタイプ(浮いて育つもの)はメダカが卵をつけやすく、睡蓮鉢など上から見る容器で育てる場合、鑑賞用水草としてもおすすめです。
時には鳥やネコなどからメダカが身を隠す傘にもなり、いいことづくめですが、光の要求度が高いのと、寒さに弱いものが多いという点は考えなければなりません。
▼水中で育てるタイプ
水中で育てるタイプ(地面に根が生える性質のもの)は、葉の形や色など多種多様で、水槽で横から鑑賞するのに適しています。
また、しっかりと根を生やす水草は水流に負けないため、きれいな水景を維持しやすい特徴があります。
メダカ用水草の選び方
それでは、メダカ用水草の基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の4つ。
【1】光や照明の要求度
【2】耐寒性
【3】水草の成長速度
【4】無農薬かどうか
上記の4つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】光や照明の要求度をチェック
水草は自然界の幅広い環境で世界中に生息しています。池や湖など、太陽が燦々と照りつける場所で育つものもあれば、木々の下でやさしく光が降り注ぐ場所で、川の流れに揺らめきながら育つものもあります。そのため、水草の種類によって光の要求度が異なります。
室内飼育で太陽光並みの強い光が必要な水草を入れるには、水草用の照明が必要になるということです。屋外飼育であれば光の心配はいりません、室内で飼育する場合はその水草が室内の明かりで育つのかをまずは確認しましょう。
【2】窓辺で育てる場合は耐寒性をチェック
意外と見落としがちなのが気温、水温の耐性です。観賞用として販売される水草の多くが赤道付近に自生している種類であるため、熱帯地方が原産の水草は日本の冬に耐えきれず、寒さであっという間に枯れてしまうこともよくあります。
屋外はもちろん、室内環境でも水槽用ヒーターがなく、窓の近くに置いている水槽の場合、水温が10℃以下になってしまうこともあります。寒い時期に購入する水草や、冬を越えさせようとする水草は、原産地を含めた耐寒性を事前に確認して、冬でも美しい緑を維持できるようにしたいものです。
【3】水草の成長速度をチェック
とにかく管理を最小限に抑えたい、という方は成長がゆるやかな水草を選ぶことをおすすめします。水草が伸びることはいいことですが、成長をそのまま放置してしまうと水面を覆いつくしてしまい、ほかの水草に光が当たらなくなったり、メダカが水草に絡まって身動きがとれなくなったりします。
浮き草であれば増えた分を手で取り除く処理を、地に飢えて伸長するものは途中で短くカットする処理を行う必要があります。ただ、その時間も惜しいという方や、時折眺めるだけの方にはゆるやかに育つ種類をおすすめします。
【4】無農薬かどうかチェック
水草は海外のファームからくるものも多いのですが、そのような水草には貝や虫などの駆除を目的に農薬がしみ込んでいることがほとんどです。その農薬は甲殻類であるエビ達に影響を及ぼすことがあります。
メダカなど魚には全くと言っていいほど害はないので、魚だけの飼育では心配しなくて大丈夫です。エビなどと合わせて飼う場合は、農薬処理済みのものや国産のものを選ぶと安心して水槽に入れられます。
メダカ用水草のおすすめ商品
それでは、おすすめのメダカ用水草をご紹介いたします。
▼おすすめ3選|水に浮かべるタイプ
▼おすすめ6選|水中で育てるタイプ
▼おすすめ商品の比較一覧表
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▼おすすめ3選|水に浮かべるタイプ
それでは、メダカ用水草のおすすめを紹介します。まずは、水に浮かべるタイプの水草です。ぜひ参考にしてくださいね。

メダカを増やしたい方におすすめ
メダカの水草としてはとても有名な水草です。ホテイソウの根の部分にメダカがたくさんの卵をつけるので、メダカを増やしたいという方はこちらがおすすめです。
卵がついた株をそのまま別の容器に移動すれば、卵や稚魚の生存率も上がります。生育条件が合うとつぎつぎと子株を増やして水面を覆っていきます。そのようなときはランナーを手で切り離すだけで株数をコントロール可能。
注意すべき点として、熱帯性の植物のため、寒さに弱いということと、強い光の下でないと枯れやすいということです。暖かくて明るい場所で使うのがおすすめです。

室内でも屋外でも使える万能水草
名前のとおり、カエルが乗りそうな丸い葉が特徴的な浮き草です。葉の1枚1枚は直径1〜3cm程度にしかならないので小型の容器で飼う方におすすめです。こちらもメダカが卵をつけやすく、産卵用としてもよいでしょう。水中の栄養を吸って根が下の方にぐんぐん伸びていきます。
そのため水質浄化は早いのですが、伸びすぎると魚が絡まってしまうので適度な長さに根を切ってください。明るさだけしっかりと確保できれば、室内でも屋外でも使いやすい水草です。

小さな水槽での飼育におすすめ
光が充分に足りていると、すり鉢状の葉が密集してかわいらしい見た目の葉になります。光の強さによって葉のすり鉢加減が変わってくるので、光量の目安となります。小型の浮き草なので、小さな鉢や口のすぼんだ容器で飼育したいという方におすすめです。
もともと熱帯性の水草ですので、寒さには強くありません。暖かい時期や室内のヒーターが入っている水槽で育てるとよいでしょう。根に見える部分は実は根ではなく、3枚つく葉の1枚が変化して水中で根に見えているシダの仲間です。
▼おすすめ6選|水中で育てるタイプ
続いては、水中で育てるタイプの水草です。こちらも、ぜひ参考にしてくださいね。

初心者におすすめの国産水草
マツモは根がない水草として有名です。浮かして育てることもできますが、重りをつけて沈めることで美しい草体を維持できます。環境適応力も高いので初心者の方にはとくにおすすめ。市場に出まわっているマツモは外国産が多く、エビを一緒に飼っている方は農薬処理をご自身で行う必要があるのですが、こちらは国産のものなのでそのまますぐに水槽へ入れることができます。
とても使い勝手がよい水草ですが、水道水の塩素を抜かずに、その水のなかで放置しておくと溶けはじめるので注意してください。また、成長の速さと相まって栄養の要求量も多いため、葉の色が悪くなるときには液体の栄養素や魚の量を増やす対応をしましょう。
※マツモは水上に浮かべて育てることも可能ですが、美しい草体を横から鑑賞するため水槽の中で育てる方が多いことから、「水中で育てる種類のメダカ用水草」として紹介します。

手間なくかんたんに育てられる
手間を最低限に抑えたいという方はアヌビアスがおすすめです。どちらかというと日陰のような場所で育つ水草なので、室内の明りでも枯れずに育ってくれます。
また、葉もゆっくりゆっくり1枚ずつ増えて行くような成長をしますので、伸びすぎる、増えすぎるということもありません。石や流木に活着する性質があるので、すでになにかについているものを選べば水槽に沈めるだけでOKです。

秋冬の室内飼育に最適の水草
ほかの水草に比べ寒さに強く、1年を通して使いやすい水草です。寒い時期の購入ならこちらがよいでしょう。葉の色を見るとほかの水草との違いがわかると思いますが、明るさも太陽光ほど明るい光でなくてよいので、室内でメダカを飼育している方にもおすすめ。浮かせていても育ちます。
長さが気になる場合は、頭の先を残して下の方を短く切ってしまって大丈夫です。購入時の長さを心配する必要はありません。

観賞用にぴったりのさわやかな印象
昔から金魚藻として知られる水草です。北米原産の水草なので耐寒性があり、寒い時期でも使いやすい水草です。手のように広がった葉は涼やかな印象を与えてくれるため、観賞用としても人気です。植えるタイプの水草のなかではメダカが卵をつけやすく、横から観賞をする容器で卵の観察をしたいという方におすすめ。
基本的には丈夫な水草ですが、アルカリ性の水や硬度の高い水だと育成が難しくなるので注意してください。また、購入時の鉛はそのままにせず、ほどいて底砂にしっかりと植えると成長しやすくなります。

エビの飼育におすすめなコケ
管理を最小限にとどめたいという方で、小型の水槽に入れたいという方はこちらがいいでしょう。少し暗いくらいでも育ってくれるコケの仲間です。
成長速度もゆっくりで手間がかかりません。小さな石や流木にくくって沈めてしまえば水中に散らばったりせず、かんたんに育てられます。エビが大好きな水草でもあるので、エビと一緒に飼っている方はとくにおすすめです。

コケ防止に最適! 大型水槽向けの水草
丸い葉をつけてツルが伸びるような感じで成長します。成長速度が速く、浄化作用もそれに比例して速いため、コケなどの発生を抑えたいという方はこちらを入れておくとよいです。
環境適応力もあり、明るさもそれほどこだわらないので、初心者の方でも使いやすくておすすめの水草です。あまり小型に収まることはないので、広めの水槽や鉢にいれるとよいでしょう。
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最後に|エキスパートのアドバイス
水草は、メダカの隠れ家、そして水の浄化にも役立つ
水草は光を浴びて光合成することでメダカのフンから栄養を得て新しい酸素を作り出します。それが結果的に水の浄化になり、メダカが住みやすい環境づくりとなります。
メダカにとって水草は隠れ家であり、ゆりかごであり、食料でもあります。お互いが生きていくための大切な仲間です。ぜひ飼育環境に合った元気な水草をかわいいメダカのために入れてあげて下さい。
結果として長生きするだけではなく、累代にわたって飼育することが可能となり、生きものの飼育という楽しみをより一層実感できることとなります。
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東京渋谷の水草・観賞魚販売を中心とした店舗「sensuous」代表。 水草職人として、観賞魚業界を牽引するパイオニア的存在の一人。 独立後の2001年より水草を用いた作品を専門誌やインテリア誌に数多く発表しており、朝の連続テレビ小説「あまちゃん」に登場した海女カフェ水槽を始め多くのテレビ番組セットや企画展、各イベントなどでアクアリウム作品を手掛けている。 2016年6~7月にはEテレ「アクアリウムとテラリウム」の講師での出演、 2017年・18年では水草と観賞魚の企画展「グリーンアクアリウム展」でのディレクションを担当する。 都内専門学校(アクアリスト専攻)講師。観賞魚飼育管理士アドバンス・愛玩動物飼養管理士2級・ビオトープ計画管理士2級・ビオトープ施工管理士2級。著書「水草水槽のススメ」