クライミングロープとは?
「クライミングロープ」とは、クリミングに使うロープのことです。かつてはザイルと同一のものを意味していましたが、現在では、フリークライミングやボルダリングなどで使用されるものを指します。「ダイナミックロープ」とも呼ばれ、フリークライミングのジャンルによって、シングル・ハーフ・ツインの伸縮性をもった3種類の太さ・形状のロープに分けられます。
クライミングロープの選び方 アウトドアライターに聞く
アウトドアライターの夏野 栄さんに、クライミングロープを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
長さで選ぶ ボルダリングなら30m~40m、岩場で50m程度が目安
クライミングロープの長さは、一般的に30~80mまで用意されており、長さや形状に応じて値段も変わります。
また、用途に合わせて、ボルダリング施設などジムでは30~40m、直線的に移動できない岩場のような場所で使用するなら50m、といった具合に選んでみてください。
太さで選ぶ 10mm以上だと強度があり握りやすい
ロープの強度は太さに比例します。目安としては、10mmの太さがあれば、万一の落下時には切れずに体を支えられる太さと言えます。また一方で、太さが10mmあると握りやすいというメリットもあります。
続いて、10mm以上の太いロープと9.5mm~9.8mmの細いロープ、それぞれの特徴やメリットとデメリットについてご紹介していきます。
太いロープ|10mm以上 メリットとデメリット
【メリット】
強度があり、衝撃の際の吸収性も高い、手で握りやすいのが特徴。墜落が多いボルダリングなどトップロープクライミングやクライマーとビレイヤーの体重差がある場合に最適。
【デメリット】
太い分、重量があるため、リードクライミングではストレスを感じやすい。
細いロープ|9.5mm~9.8mm メリットとデメリット
【メリット】
軽量のため持ち運びやすく、クリップがしやすい。
【デメリット】
太いロープに比べると強度や衝撃吸収性が劣る。ロープがやや握りづらいため、ビレイが難しく感じることも。
用途に合わせて種類で選ぶ
クライミングにはさまざまな種類があり、それぞれに対応したロープの使い方、ロープの種類があります。一般にスポーツクライミングでは1本のロープを使うシングルロープ、登山では2本のロープを別々に使うダブルロープ、アイスクライミングや沢登ではツインロープといわれる2本を1束とし、1本のように扱う方法を用います。
まずは、シングルロープ、ダブルロープ、ツインロープの3種類のクライミングロープ、それぞれ用途に合わせた選び方についてご紹介します。それぞれ特徴が異なりますので、その違いについておさえておきましょう。
シングルロープ スポーツクライミング用
スポーツクライミングの用途であれば、シングルロープがよいでしょう。シングルロープで使うロープの太さは9.4~11mmほど強度が高いのが特徴です。長さはジムなど屋内で30~40m、屋外のクライミングなら50~60mが目安です。
ダブルロープ アルパインクライミング向き
アルパインスタイルでのクライミングやマルチピッチクライミングでは、2本をひとつにして使用するダブルロープがおすすめです。必ず2本をひとつにして使用するため、片方が切れても安心です。ダブルロープでは、太さ8~9mmが目安となります。
ツインロープ アイスクライミング向き
アイスクライミングなら、ダブルロープよりも軽量で扱いやすいツインロープがよいでしょう。ツインロープは、万一アイゼンやピッケルでロープを叩いてしまっても大丈夫なよう2本使い、同箇所で支点を取りながら使うのが特徴です。直線的に登っていくため、カラビナに2本のロープを通しながら登っていきます。
防水加工されたものを選ぶ
外岩や屋外でのクライミングで使用する場合、水濡れによりロープの状態の変化を防ぐ防水加工や撥水処理、できればシールド加工が施されたものを選びましょう。
シールド加工とは、ロープの表面や中心にテフロン加工を使った耐水性が施されたものです。ロープが濡れたり汚れたりした際に劣化するのを抑制してくれます。
「UIAA耐墜落回数」の多さで選ぶ
ロープの強度を測るひとつの指標となるのが「UIAA耐墜落回数」です。この数字が多いものほど強度と耐久性があることを意味します。目安としては、シングルロープやダブルロープで5回以上、ツインロープで12回以上のものを選べば安心です。
「衝撃荷重」の値が小さいものを選ぶ
最大衝撃荷重という数字は衝撃の吸収力を示します。衝撃荷重の値が小さいほど、クライミング中に落下したときの支点または自身が受ける衝撃荷重の力の大きさが少ないため、優秀かつ安全といえます。
安全規格(適合マーク)を確認する 「PSC」「UIAA」「CE」
クライミングロープの安全性を示す目安として、次の3つのポイントを確認しておきましょう。
(1)PSCマークの有無
「消費生活用製品安全法」に基づいて適合性が確認された製品のみが表示できるマーク。
(2)UIAA安全規格への適合
UIAA(国際山岳連盟)が高い品質・安全基準に適合する製品と判断した製品に認定マークを与えられる。「UIAA耐墜落回数」という記載で、耐墜落回数の数字が多いロープほど耐久性が高くなる。
(3)CE(ヨーロッパ)規格への適合
ヨーロッパ諸国における安全性・環境席順に満たしているかを示す証。
【シングル】クライミングロープおすすめ4選 種類・重量・衝撃荷重・UIAA耐墜落回数・サイズもチェック!
ここまで紹介したクライミングロープの選び方のポイントをふまえて、アウトドアライターの夏野 栄さんと編集部が厳選したおすすめ商品をご紹介します。
まずは、シングルのクライミングロープからご紹介します。

表皮ズレが起きにくく細めでしなやか
ベアールのタイガーはエントリーモデルながら、アウトドアでの幅広いクライミングにじゅうぶんな基本性能です。表面加工されたモデルで水に強く野外で安心して使えます。また外被と芯を接着するベアール独自の製法により、起こりがちな表皮が芯からズレてしまうリスクが軽減されています。
ビレイしやすく比較的柔らかめなフリークライミングロープをお探しの方におすすめです。
優れたハンドリング性により、高い耐久性を発揮
ロープの直径と優れたハンドリング性で、高い耐久性を発揮した商品です。
また、あらゆるレベルのユーザーに対応しています。
ジムで扱いやすいようにデザインされたロープを専用で使用することで、岩場用ロープとの使い分けが可能です。
カラーもブルーとイエローの2種類を展開しています。
撥水加工を省略することで手頃な価格を実現
撥水加工を省略したことで手頃な価格を実現した細径ロープの入門的モデルです。
細径ならではの軽さと操作性を求めつつも、上級者におすすめしたい商品です。
カラー展開もイエローと、オレンジで、細部にデザインが施されているので鮮やかでおしゃれなロープです。見た目から始めたい人にもおすすめです。
軽さと耐久性のバランスに優れたロープ
『コンタクト 9.8 mm』は、レベルアップを目指しているクライマーのためにデザインされたシングルロープになっています。
軽さと耐久性のバランスに優れており、スポーツクライミングに最適なロープで様々な使い方が可能です。
クライムレディーコイルはすぐに始めることができるようにと巻かれているので簡単に始められることができます。
【ダブル】クライミングロープおすすめ7選
続いて、ダブルのクライミングロープをご紹介していきます。
シンプルな使い心地で多目的用途に対応できるロープ
ブルージックは、荷重を加えるとしっかりと縮まり、緩めるとスライドできるシンプルな使い心地のクライミングロープです。また、耐熱性と強度にすぐれているため、多目的用途に対応可能。あらゆるアウトドアシーンで使われています。
アイツーアイタイプは、両端にわっか(アイ)があり、一貫した摩擦が得られるため結び目がより結びやすくおすすめです。本品以外にもグリーン(76cm)の展開もあります。

高性能で良コスパなダブルロープ
こちらは細身でオールラウンドに使いたい方にぴったりのダブルロープ。テフロン加工により高い防水性があり、野外の多くの局面で信頼できます。
また8.5mmという細さで1mあたり45gという軽さながら、耐墜落回数が7回、最大衝撃荷重5KNと、非常に高い耐久性があります。フリークライミングにとどまらず、アルパインクライミングからミックスルート、アイスクライミングまで幅広くおすすめです。
どんな環境でも高い性能を発揮
マルチピッチクライミング、マウンテニアリング、アイスクライミングに使用できる、汎用性の高い 8.0mm 径のハーフロープです。
高い耐久性をもち、デュラテックドライ加工を採用しているので、どんな環境でも高い性能を発揮してくれます。
男女ともに好まれるレッド、ブルーのカラー展開なので、好みのカラーで用途に合わせてロープを選ぶのも有りです。
軽量、かつ柔軟性に優れたダブルロープ
EDELWEISSのSUPER EVERDRYは最も水準が高い撥水加工処理が施された商品です。
アルパインでのロングルートやアイスクライミングに於いてその性能をいかんなく発揮しれるロープです。器具による破断にも、外被がずれて落ちることもないので安心して使用可能です。
しなやかで耐久性にも優れたロープ
しなやかな素材で操作しやすい、ツリークライミング専用のリギングロープです。カバーもコアもポリエステル製。ダブルブレードなので耐久性にも優れています。ロープ径は16mm、重量は185g/mで、しっかりとした作りのクライミングロープです。
鮮やかなイエローとホワイトカラーが特徴。トゥーフェルベルガー社は、ヨーロッパのツリーワーカーたちに支持されています。繊維ロープなどの製品を多く製造しているグローバル企業です。
日常でもアウトドアでも活躍するリギングロープ
ナイロンコアと外側に使用したポリエステルで、バランスのよい仕上がりのロープです。ポリエステルは水を吸収しにくい素材なので、アウトドアでの使用に適しています。強度と耐久性が抜群のダブルブライト構造を採用。使用中のロープの変形がなく、長期間の使用が期待できますよ。
ツリーワークやクライミングの補助ロープとしてはもちろん、プーリーシステムなどでの使用にも向いています。あざやかなオレンジのカラーが特徴です。
耐熱性に優れ、強度の高いポリエステル素材
ポリエステル素材で耐久性があり、熱にも強いのが特徴のロープです。吸水性が低いポリエステルを使用しているので、水に濡れる場所での使用でも、強度が損なわれる心配がなく安心して使用できます。ダブルブレード製法を採用しているので、高い強度を実現。安全性にも優れています。
ランヤードやブルージック、アンカー作りなど、アウトドア環境でさまざまな用途に活躍しますよ。破断強度は19kNで、CEとUIAAの両方に認証されています。
【ツイン/そのほか】クライミングロープおすすめ2選 種類・重量・衝撃荷重・UIAA耐墜落回数・サイズもチェック!
最後に、ツインのクライミングロープ、そのほかのクライミングロープをご紹介していきます。

木登りに最適
木登りにはツリークライミング専用ロープを使います。クライミングロープのなかでもロッククライミングなどに使われる伸縮性の高いダイナミックロープに対して、ツリークライミング専用ロープは木の柔軟性や短距離墜落を想定し伸びが少なくなっています。
テンドンのこちらのロープは伸びが少なくソフトな外皮。ツリー用としてだけではなく、登山用の補助ロープや懸垂降下用にもおすすめです。
補助ロープとして活躍する軽量タイプ
ツインロープとしてCEN/UIAAの規格に適合しているロープです。長時間にわたって耐摩耗性能を持続可能なドライカバー加工済み。芯にはフッ素加工を施してあるので、さらに耐久性能がアップしています。
コンパクトな軽量タイプなので、クライミングをする際の補助ロープとして常に携帯しても邪魔にならないのが嬉しいポイント。登山用ロープとしての基準は満たしていないので、確保用には使用できません。お好みのカラーを選んで携帯したいですね。
「クライミングロープ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする クライミングロープの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでのクライミングロープの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
クライミングロープに関するQ&A よくある質問
使った後に絡まってしまうのを防ぐには?

新品のロープはロールの巻き癖が残っています。そのため、毎回使った後にロープをしごくようにすると、癖がとれていきます。
ロープの寿命はどれくらい?

ロープメーカーの老舗、エーデルワイス社によれば、ロープの使用年数は5年、保管と使用年数を足しても10年を超えないこととしています。
クライミングロープに関するそのほかの商品情報 【関連記事】
用語集
ここでは、「クリップ」「ビレイ」「クイックドロー」「トップロープクライミング」「リードクライミング」など用語について解説します。どれもクライミングではよく使われる用語なので、覚えておいて損はありません。
クリップ
カラビナにロープを通すこと。クライマーの基本技術。正確にロープを通さないと、墜落時に大事故につながってしまう。
ビレイ
ロープクライミング時の「安全確保」のこと。ビレイする人をビレイヤーと呼ぶ。クライマーが登るたびにたるんでしまうロープをビレイヤーが引っ張ることで、クライマーが途中で手を離してもその高さで静止させることができる。ビレイの際に必要になるのがビレイデバイス、グローブ、ビレイ用メガネ。
クイックドロー
2個のカラビナを短いスリングで繋いだもの。別名「ヌンチャク」。
トップロープクライミング
クライマーがあらかじめ最上部から確保されたロープで登ることができる練習的なスタイル。ビレイしてもらいながら安全に登ることができる。
リードクライミング
クライマーとビレイヤーの2人1組で自然の岩場を登っていくこと。トップロープクライミングと異なり、自らロープを「クイックドロー」と呼ばれる支点にかけ、墜落距離を縮めながら登っていくスタイル。
スタイルにマッチしたロープを選ぶ アウトドアライターからのアドバイス
ロープを使うクライミングには多くの種類があります。まずはどのクライミングをしたいのかという点を明確にし、そのスタイルと合致するロープの使用方法、該当するロープを知りましょう。またインドアかアウトドアかという違いを明確にし、水対策がなされたロープかどうかを必ずチェックしてください。
最近ではクライミングロープでも細く軽いロープを求める傾向があり、細径のロープをシングルで使う方もいるようですが、エントリー層の方は基本どおりのロープを使うことをおすすめします。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
作家、マルチクリエイター、アウトドア・ファッションのライター・エディターとして活躍。 アウトドア誌やファッション誌でジャンルを超えて連載。ライトノベルやゲームシナリオを執筆。 アウトドアでは『キャンプチャリ』の制作やキャンプ場プロデュースを手掛ける。またファッションマーケットの企画運営からプロダクト開発まで幅広く活動。山岳部出身、海育ちのテンカラ師。 『BE-PAL』や『camp hack』、『OCEANS』や『MonoMax』『Fine』といったメンズ誌のほか、女性ファッション誌にも参加。