防災レインウェアの選び方 防災ファシリテーターが解説!
防災ファシリテーターの南部優子さんに、防災レインウェアを選ぶときのポイントを5つ教えてもらいました。
【1】動きやすさ
【2】防水性能はJIS規格の数値を参考にする
【3】透湿性
【4】視認性が高いか
【5】ウェアの耐久性
上記のポイントを押えることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】動きやすいセパレートタイプがおすすめ
暴風雨になる可能性を考えると、コートタイプやポンチョタイプではなく、ジャケットとパンツに分かれたセパレートタイプをおすすめします。どの方向から風雨がくるかもわからない状況なので、しっかりと全身を包むタイプにするとよいでしょう。冬場の場合はかんたんな防寒具としても役立ちます。
サイズは衣服のうえから着用するので大きめを選ぶほうが安心ですが、極端に大きいと動きにくくて安全性を損なうため、サイズ表示をよくみて選ぶようにしましょう。
【2】防水性能はJIS規格の数値を参考にして選ぶ
防水性能は、JIS規格の耐水圧の数値を目安にするとよいでしょう。大雨のときで約10,000mm、濡れた場所へひざまずいたりして圧力がかかると11,000mm程度といわれています。
気軽にふだんから使い、災害時には避難所へ移動するときにさっと着用するイメージであれば、10,000mm~15,000mm程度でよいでしょう。
荒天時に外で捜索などの災害対応を行なう可能性があるなら、登山用の目安とされる20,000mm以上が安心です。
【3】災害対応などに参加する人は透湿性も重視しよう
荒天時に捜索活動などを行なう可能性のある人や、夏場の着用には、とくに蒸れへの対策が必要です。一般的にランニングなどの激しい運動では約1,000g/hの発汗量があるといわれています。
透湿度という発汗量を透過させる能力で表すと24,000g/平方メートル(m2)/24h程度になりますが、24時間ずっと激しく運動し続けるわけではありませんので、目安として考えると、夏場に長時間動き回る可能性のある人は、10,000~20,000gあると安心です。
ただし、透湿性能の試験には複数あり、どちらを採用したかで数値が変わります。数値はあくまで目安として考えるとよいでしょう。
どんなレインウェアでも暑いときは蒸れるため、素材だけでなく、空気抜きのスリット(ベンチレーション)などのデザイン上の工夫も重要です。
【4】孤立・遭難時や災害対応を想定するなら高視認性も重要
山や河川が近いなど、浸水で取り残される可能性がある場合や、荒天時の水防活動などを想定する場合は、視界が極端に悪いなかでも確認しやすいウェアにすることも重要です。
高視認性のJIS規格は、布の性能ではなく、交通事故から身を守る安全服のカテゴリになります。
JIS T 8127(高リスクで作業する人用)のほかに、日本交通安全教育普及協会のJATRAS 001(児童向け)、JATRAS 002(自転車通学者向け)、日本保安用品協会のJSAA 2001(一般利用者向け)の規格があります。
商品に明記されている場合は参考にするとよいでしょう。なお、この規格は平常時の通園・通学や散歩、ジョギングなどで着用するものに対する性能評価です。
ふだんから着用する方は、この規格を参考にすると安全性が高まります。
【5】ウェアの耐久性は層の多さや生地の厚みで確認
災害時の屋外は、いろいろな飛来物やガレキのなかを歩き回ることになります。とがったものに引っ掛けることもあるので、強度にも気をつけておきたいところです。
一般的に、防水透湿性素材は、ラミネートフィルムやコーティングなどで層が作られています。
また、生地の厚さは繊維や太さにもより、デニール(D)で表列されます。数字が大きくなるほど太く丈夫になります。3層でデニールの数値が大きめの生地だと、値段は高くなりがちですが、長く使えます。
防災レインウェアのおすすめ5選 防災ファシリテーターが厳選!
ご紹介した防災レインウェアの選び方のポイントをふまえて、防災ファシリテーターの南部優子さんに選んでもらったおすすめ商品をご紹介します。どれも気になる商品ばかりですが、スペックや特徴を見比べて欲しいと思える商品を探してみてくださいね。
ストレッチ性の高い普段使いOKなウェア
アメリカと日本で共同開発されたアウトドアブランド「LAD WEATHER」のレインウェアは、激しい雨でも濡れず、また蒸れにくいです。ストレッチ性にも優れており、運動やアウトドアの際にもピッタリの商品。
ジャケットとズボンに反射ロゴがプリントされており、夜間も安心ですね。

ストレスを感じない透湿性。繰り返し洗濯可能
スポーツメーカーのミズノが手掛ける高機能ウェアです。耐水圧30,000mm以上、透湿性16,000gと防水だけでなく蒸れにくいのが特徴。
40デニールで3層構造と強度が高く、糸の1本1本に撥水加工が施されていて、繰り返し洗濯しても撥水性能が落ちにくい素材です。
高機能の割には求めやすく、また男性用・女性用のサイズ展開やカラーのバリエーションも多いため、色違いで家族分をまとめて確保しておくとか、捜索などの災害対応に向かう人用に複数確保しておくなどの使い方にもよいでしょう。
※リンク先はメンズ商品になります。

ヘルメット専用インナーフードで安全性が高い
耐水圧15,000mm、透湿性5,000gと機能性を確保しつつ、視認性もよいイエローやオレンジの色展開もあり、ドット模様の反射材もついています。サイズ展開は、S、M、L、LL、EL、4L、BLLの7種類あります。特徴的なのは「メットインフード」と呼ばれるフードの形態です。
フードがヘルメットのなかでかぶるインナータイプになっていて、襟からフードを出し、耳を出すようにフードをかぶると、そのうえからヘルメットをかぶることができます。頭部を守りつつ首もとの雨吹き込み対策ができるうえに、外の音も聞こえやすくなるため、雨天のなかでヘルメットをかぶって自転車に乗る必要がある人や、屋外作業する必要がある人におすすめです。

リュックを背負ったまま着用できるセパレートタイプ
上衣の背中にマチがあり、リュックを背負ったまま着用できるセパレートタイプのウェアです。
ふだんから通学や雨天時の自転車移動など、かばんを背負って両手をあけたい人に、とくにおすすめです。また、災害時には非常持ち出し袋を背負って避難するときにも活用できます。
避難誘導などで両手をあけたいときに便利なので、とくに荷物を持ちながら子どもや高齢者・障害者の手をひいて避難する必要がある人におすすめです。
サイズ展開は、S、M、L、LL、3L、4L、5Lの7種類あり、子どもから大人まで、家族でそろえることができます。
色はネイビーとアイボリーの2種類とベーシックな展開です。

高機能で求めやすく親子でそろえられる色サイズ展開
耐水圧20,000mm、透湿性8,000gと、耐水性にすぐれたウェアです。メンズ用、レディース用、ジュニア用とサイズ展開が豊富で、カラフルな色のバリエーションも多く、よく目立ちます。家族で色違いを持っておくなど、そろえておけます。
ふだんから家族一緒に気軽に使っておき、いざというときにおそろいで着用すれば、荒天時の避難など、視界が悪いときにも互いを見つけやすくなります。
「防災レインウェア」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 防災レインウェアの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの防災レインウェアの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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防災レインウェアを長持ちさせる5つのポイント 防災ファシリテーターからのアドバイス
レインウェアに使用される素材は、放っておくと劣化し、いざというときに雨を弾かず水がしみこんできてしまう可能性があります。
次のようなポイントに注意して、レインウェアを長もちさせましょう。
・濡れたままにしない(水がついていると加水分解してしまう)
・直射日光にあてない(紫外線で傷んでしまう)
・洗濯可能な素材の場合は洗濯して汚れを落とす(小さな汚れが透湿性を損なう)
・できるだけ吊るして保管する(折り目から素材が痛んでしまう)
・防水スプレーをかける(撥水性能は経年劣化する)
非常時用に常備するためには小さく折りたたんでしまう必要があり、悩ましいところですが、季節の変わり目で雨が多くなる前に、陰干しして防水スプレーをかけておくなどのメンテナンスをしておきましょう。
防水スプレーの樹脂はかんたんな汚れもはじくので、ふだん使いのレインウェアのメンテナンスにもおすすめです。
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出版社の編集・執筆、地域NPOの政策企画・広報、危機管理コンサルタントを経て独立。 多彩な分野でファシリテーター兼編集ライターとして活動中。 編集・執筆の経験を生かした計画・マニュアルなどの各種資料作成・製本・出版や、企画会議運営・板書経験を活用したワークショップ・イベントの設計・運営、防災コンサルタント経験による各種調査・研究・組織開発支援など、公共団体や研究機関・企業・NPOとのプロジェクトを数多く実施している。