トレッキング用デイパックの選び方 サイズ(容量)、構造、防水対応、フィット感など
アウトドアライターの高橋庄太郎さんの取材をもとに、トレッキング用デイパックを選ぶときのポイントをご紹介します。ポイントをおさえて気に入ったデイパックを見つけましょう。
天候と目的に合わせたサイズ(容量)で選ぶ 容量の目安は15~35L、冬にはもっと大きめを
バックパック(ザック)の大きさは「容量」、つまり「L(リットル)」で表します。小型であればあるだけ身軽に動くことができますが、レインウェアやドリンク、食料などの必要な装備類が入りきらなければ困ってしまいます。
「デイパック」は日帰り登山を主目的としており、容量の目安は15~35L。暖かい時期にしか山には行かないという方は小さめでも間に合いますが、分厚い防寒着や保温ボトルなどが加わって荷物がかさばってしまう冬には少し大きめのサイズが必要です。山中で温かい食事を作りたいという方は、クッカーやバーナーを収納する分、さらに大きめを選びましょう。
天候や目的によってトレッキングをするときの荷物量は異なります。日帰りなのか何泊するのかで、荷物の量に合ったサイズのトレッキングデイパックを選びましょう。
超軽量のデイパックで選ぶ
登山の荷物はなんとか軽量化したいもの。荷物を減らすだけではなく、デイパックそのものの軽量化にも目を向けてみることも。
ただし軽ければ軽いほどいいという訳ではありません。背中のワイヤーフレームが入ってなかったり、ショルダーハーネスが肉薄だったりしますので、必ずチェックしましょう。1kgを切るデイパックもたくさん選択肢がありますので、ぜひ超軽量であなたに合った最強のデイパックを探してみてください。
トレッキングスタイルに合っている構造かで選ぶ フロントアクセス、フロントポケット、ボトムコンパートメント、ハイドレーションシステムなど
トレッキングスタイルによって使いやすいデイパックの構造は異なっています。フロントアクセス、フロントポケット、ボトムコンパートメント、ハイドレーションシステム、トップポケット、レインカバーがあるかどうかは使いやすさに大きく影響を及ぼします。
デイパックの細部の構造まで確認してから選ぶようにしましょう。
フロントアクセスは奥にある荷物を取り出しやすい
フロントアクセスがあるデイパックは、前面からメインコンパートにある荷物を取り出せます。とくに荷物が多く取り出したいものが、デイパックの奥のほうに埋もれてしまっている場合には便利です。
荷物が多く容量の大きなデイパックを持って行かなければいけないときは、フロントアクセスがあるデイパックを選ぶとよいでしょう。
すぐ取り出したいものを入れておくフロントポケット
デイパックの外側のフロントポケットに荷物を入れておくと、移動中でも素早く取り出すことができます。フロントポケットには、雨具や地図、移動しながら食べるもの、予備の靴ひもなどの荷物を入れておくと便利です。
移動中に何度も取り出す可能性がある荷物があるときは、フロントポケットがあるデイパックを選んだほうがよいでしょう。
ポケットがどの部分に付いているか、それがどんなサイズなのかで、トレッキング用デイパックの使い勝手は大きく左右されます。たとえば、サイドポケットが大きな形状であれば1L以上のドリンクボトルも収められますが、小さい形状だと500mL程度となります。
また、大きめのウエストポケットにはスマートフォンや登山地図が収納できるものの、大きすぎれば歩行時に腕が当たり、ストレスが溜まってしまうでしょう。また、太めのファスナーは破損しにくいですが、バックパックが重くなる原因に。反対に細めのものは軽いですが、壊れやすくなります。細部をチェックし、自分の好みに合わせて選びましょう。
初心者にも使いやすいボトムコンパートメント
デイパックの底にあるメインコンパートメントと仕切られている荷室をボトムコンパートメントといいます。移動中は取り出すことがない寝袋やテント、汚れものなどを入れておくと荷物が取り出しやすくなるので便利です。
取り出したいものが底のほうに入ってしまっても取り出しやすくなるため、パッキングに慣れていない初心者はボトムコンパートメントがついているデイパックを選ぶとよいでしょう。
歩いたまま水分補給可能なハイドレーションシステム
移動しながら水分補給がしたい方に使ってほしいのが、ハイドレーションシステムつきのデイパックです。ハイドレーションタンクにつながっているチューブを吸うと飲みものが飲めます。
わざわざデイパックのなかから飲みものを取り出すために移動をやめる必要がないため、移動中にスムーズに水分補給ができます。水分補給が必要なときに適切に補給できるため疲れにくくなり、移動ペースを維持しやすくなるでしょう。
雨にも対応できるようにしておこう 防水カバー付属か、防水構造かなど
近年のトレッキング用デイパックには、あらかじめ防水カバーが付属しているものが増えています。しかし付属していないモデルならば、別途カバーを購入する必要があります。
一方、防水素材と特殊縫製でバックパック自体をあらかじめ防水構造にし、カバーが必要ないものもあります。荷室へのアクセス部分となるファスナーには、一般的なタイプのほか止水タイプや防水タイプもあり、防水性を高めるのに貢献しています。どういった特性があるバックかしっかり見極めることも必要です。
雨蓋は雨で荷物が濡れないように守ってくれる
雨蓋は、メインコンパートメントに入っている荷物が雨で濡れることを守ってくれるカバー。また、雨蓋にはポケットがついているものが多いため、小物を入れておくことができ便利です。
天候が変わりやすい場所を移動するときは、突然雨が降ってきても荷物が濡れることを抑えることができる雨蓋つきのデイパックを選ぶとよいでしょう。
体へのフィット感が使い心地で選ぶ チェストストラップ、ウエストベルト、実際の装着感など
自分の身体にフィットするほど、疲れも軽減されます。実際に背負ってみることもトレッキング用デイパックを選ぶ際の大事なポイントです。
チェストストラップ、ウエストベルトがあるか確認
ショルダーハーネスが外に開かないようにするためのチェストストラップ、デイパックを体にフィットさせるためのウエストベルトがあると背負っているときの安定感が増します。
また、デイパックを背負っているとき、荷重を多くの部分で分散して負担していることが望ましいです。そのためにはデイパックが体にフィットして、揺れが少ないものを選ぶとよいでしょう。
テント泊などを想定した大型バックパックは、使う方の体の大きさに合わせて、ヒップハーネスや背面の長さを複数のサイズから選ぶことができ、さらにストラップやコードの調整によって微調整もできるようになっています。
しかし、デイパックはどれも小型なので、大半はワンサイズのみです。そのために、はじめから自分の体に合うものを選ばないと、違和感を覚えながら使い続けるしかなくなってしまいます。バックパック選びは、ウェア選びと似ています。できるだけ多くのモデルを実際に背負ってみて、自分の体にフィットするものを探すのが成功のカギです。
ベルト(ハーネス)やポケットをうまく使おう! 安定感を増すベルトやサイドポケット、女性モデルも
トレッキング用のデイパックを選ぶとき、メインの収納部がどのようになっているかも大切ですが、それ以外の部分も使いやすさを判断するうえで重要です。ベルトやサイドポケットなど細かい部分に注目していきましょう。
安定感が増すベルト(ハーネス)
トレッキング用デイパックには、ウエストベルトが付いているものといないものがあります。ウエストベルトを腰にまわしてバッグを固定することで、荷物のズレを防ぐことができます。また、ウエストベルトにポケットが付いていると、コンパスや地図などよく使う小さいものをしまっておくのにとても便利です。
なお、デイパックより大きいサイズのバックパックにはウエストベルトより低い位置で固定するヒップベルト(ヒップハーネス)が付いています。これは、肩にかかる荷重を分散させて支えるためのもので、骨盤の位置に合わせて使います。ウェストベルトとは役割が違いますので、混同しないようにしたいですね。
女性専用デイパックとは
デイパックのフィット感を左右するのは、主にハーネス類の位置や大きさ、太さです。女性専用デイパックは、これらが女性の体形に合わせて作られていて、たとえば、ショルダーハーネス(肩ひも)は胸に当たりにくいように工夫されています。
まだバリエーションはそう多くはないものの、女性の方は背負い心地を試してみるのもいいでしょう。おしゃれでかわいい女性向けのデザインもたくさんありますので探してみてください。
自分に必要なディテールと、サイズ感を考えよう アウトドアライターからのアドバイス
トレッキング用のデイパックには、さまざまなタイプがそろっています。まずは体に合って荷物の重さを感じさせないものを選び、各部へのポケットの有無や防水性などの機能性を重視しましょう。
できるだけ小型のほうが身軽に行動できるのは間違いありませんが、アウトドアギアの中でも、ある程度は「大は小を兼ねる」性質をもつのがバックパックというものです。自分にはじゅうぶんだと思うサイズ感よりも、少しだけ大きいものを選んでおくと失敗が少なくなります。
トレッキング用デイパックおすすめ4選|プロと編集部が厳選 グレゴリー、ノースフェイス、モンベル、オスプレーほか
ここまで紹介したトレッキング用デイパックの選び方のポイントをふまえて、アウトドアライター&プロデューサーの高橋庄太郎さんに選んでもらったおすすめ商品、編集部で選んだ商品を紹介します。

荷物を瞬時に取り出せる「3ジップ」システム
Y字型に付けられたジッパーは同社オリジナルで、わざわざ下のほうに手を伸ばさなくても奥のものがすぐに取り出せ、ひじょうに便利な構造になっています。
小型のデイパックサイズながら、背面の長さを無段階で調整でき、背の高さに関係なく良好なフィット感を得られます。フロントとサイドを合わせたポケットはとても大きく、伸縮性に富んでいて、脱いだウェアやグローブ、ボトルまで多様なものを収納できます。

このサイズでも二気室構造で、背面調整もOK
内部が上下二つの荷室に分かれ、下部からも荷物を取り出すためのジッパーが付いているという、いわゆる二気室構造。重量はかさむとはいえ、そう大きくはないサイズでこのような仕組みを持っているものは少なく、荷物のパッキングにはとても有用です。
また、背面の長さが微調整できる点も小型モデルらしくなく、包み込むようないわば大型バックパックの特徴を持った小型バックパックともいえるでしょう。背面のパッドと一体になったウエストハーネスは体を包み込むようなフィット感。荷物が重くなりがちな方でも、体への負担をあまり感じずに済みます。
機能的なデイパックはクライミングブランドならでは
スイスのアルパイン・クライミングブランドである『マムート』のデイパック。トレッキングや登山に必要な装備を、内部メッシュポケットをうまく使うことで機能的に収納できます。
前面に外付けポケットやキャリーハンドルがあり、応用範囲が広いデイパック。すっきりとしたデザインで、草木にも引っ掛かりにくいです。

GREGORY(グレゴリー)『サルボ18』
背中に風が通り、汗をかいても蒸れにくい!
容量18Lと、デイパックの中でも小型。フォーム材とメッシュを併用した「フリースパン・サスペンション」というシステムにより、背中とバックパック本体のあいだに隙間が生まれ、汗ばんだ背中の湿気がどんどん蒸発していきます。一般的なトレッキング以外に、近年ポピュラーになってきた、軽い荷物で走るように山中を進むスピードハイクにも向いているでしょう。
荷物を入れられるスペースは大きくないので、分厚い防寒着を必要としていない方や、暖かい季節に使いやすいタイプです。サイドポケットはかなり深く、細身のペットボトルもしっかり固定できます。
トレッキング用デイパックおすすめ4選|レディース用 女性の体形にフィット、背負いやすいなど
男性と女性で身体のシルエットは異なるもの。女性の体型にフィットするよう考慮された、レディース向けデイパックをご紹介します。
グレゴリーの独自技術を採用した背負いやすい設計
デイパックとしてはやや大きめな28Lサイズながら、女性の体型にフィットするよう設計。背面の長さを調整できる「フリーフロート・サスペンション」という独自技術など、背負い心地にも考慮されています。外観がスッキリしているのもうれしいですね。
サイドポケットやフロントポケットなど、機能性も充実。とくにヒップポケットは小物を入れるのに充分な大きさで、頻繁に出し入れするスマホやカメラなどを収納できます。
急な斜面も登れるよう頭部の可動域を確保
女性向けのシルエットに加え、背面のパネルに快適性を追求しているのが特徴。凹凸のある3Dバックパネルで、背中に触れる部分にはエアメッシュ素材を採用してます。活性炭加工が施されているため、通気性と速乾性を確保しているのが魅力です。
急斜面や岩場を登るときは、ヘッドクリアランスの機能が便利。雨蓋のベルトを調整することで、頭を上げてもデイパックのトップ部分が接触しないようになります。
立体3Dバックパネル搭載で快適な背負い心地
立体3Dバックパネルを使用しているので、デイパックが体を一体にフィットする快適な背負い心地です。素材はcorduraファブリックなので、耐久性に優れていて、トレッキングやアウトドア、キャンプなどハードに使えます。
見た目がすっきりとシンプルなデザインですが、ポケットが外側に4つ、内側に3つあるので、荷物を整理して入れられます。リュック本体の下の部分が、ヒップベルトのように体を包んでくれる新しい感覚です。
【番外編】ザックカバーもチェック! 急な雨の対策に!
トレッキングでは天候の変化で急な雨に打たれることも珍しくありません。バックパック内部への水の侵入を防ぐ、ザックカバーをご紹介します。
ポケットサイズで持ち運べる耐水性にすぐれたカバー
天頂部分のドローコードでデイパックへのフィット感を調整することが可能。収納する荷物の量に合わせてジャストフィットに調整することで、隙間から雨水が侵入することを防ぎます。
耐久性と耐水性にすぐれながら、薄手の生地を採用しているためコンパクトに収納できるのもポイント。ポケットサイズで持ち歩けるので、使用しない場合も邪魔にならないでしょう。
「トレッキング用デイパック」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする トレッキング用デイパックの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのトレッキング用デイパックの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
トレッキング用デイパック(登山リュック)の背負い方と洗い方 骨盤に合わせて閉める、使ったら汚れを拭き取ると長持ちする
トレッキング用デイパックの機能の上手に使いこなしたり、出来るだけ長く利用するためにも、正しい背負い方を覚えておきましょう。
まずはすべてのベルトを緩めたあと、ウエストベルトを骨盤に合わせて締めます。そのあとに、ショルダーストラップを肩にフィットさせるように締め、トップストラップを調整して、体にフィットさせてください。最後にチェストストラップを締めます。
洗い方は、外面の汚れはもちろん拭き取ってください。汚れやすい、肩ひもや背中パッドなどは消耗しやすい箇所です。生地に汚れが付いた状態で保管すると、劣化が早まりますので、とくに念入りに洗って乾燥までしていただくのがよいでしょう。
そのほかのトレッキングや登山で役立つアイテムはこちら 【関連記事】
トレッキング用デイパックについて5つのおさらい
1)日帰り登山を主目的とするデイパックは15~35Lの容量が目安
2)調理用のクッカーやバーナーを収納するなら大きめのサイズを選ぶ
3)体にフィットする形状かどうかをチェックする
4)ポケットの形やファスナーの太さなど細部のディティールにも注目
5)防水性などの機能性を確認する
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。 その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。