防災頭巾の選び方
防災頭巾の役目をしっかり果たすものかを確認して選ぶのが大切です。ここでは、防災ファシリテーター・南部優子さんへの取材をもとに、防災頭巾の選び方を解説します。ポイントは以下のとおり。
【1】衝撃への強さ
【2】日本防炎協会認定品から選ぶ
【3】耳穴があるか
【4】適切なサイズ・色
【5】耐久性
これらをおさえて、しっかり防災対策を行っていきましょう。一つずつ解説していきます。
【1】衝撃への強さで選ぶ
地震が起きると、棚の中にしまっておいた本や雑貨などが落ちたり、窓ガラスが割れて破片が飛んできたりする可能性があります。そういった飛来物からしっかり頭を守るために、衝撃への強さが最も大切です。
防災頭巾の内側にプロテクターを備えているものなど、衝撃に強いタイプが多々登場しているのでチェックしてみてください。
【2】一定水準を満たした日本防炎協会認定品から選ぶ
日本防炎協会認定の製品には「認定ラベル」がつきます。事業所番号が記載されているため、製造元の所在も明確になるので安心です。火災から頭部を守るためには、燃えにくさが大切。
公益財団法人日本防炎協会では、防災頭巾などについては、防炎性能試験と衝撃吸収性試験、毒性に関する審査を行なっています。試験や審査に合格し、日本防災協会に防炎製品として認定された商品は、一定の水準を満たしていると考えることができるため、まずは日本防災協会認定品から選ぶようにしましょう。
また、洗濯したとしても防炎性は保持できるので安心ですよ。ためらわずしっかり着用できるように、定期的に洗濯するなど清潔に保っておきましょう。
【3】耳穴があるものを選ぶ
避難しているときに音が聞こえにくいと、周りの状況に気づくのが遅れ、危険にさらされるかもしれません。外の音を聞き取りやすくする耳穴が施されているものを選びましょう。
子どもの場合、頭の大きさが小さく、耳穴の位置がずれてしまう可能性もあるため、耳穴が2穴ついているタイプだと安心です。
【4】かぶる人に合ったサイズ・色の商品を選ぶ
防災頭巾は、地震や火災が発生したらすぐに使えること、また避難している間にずれたり脱げたりしないことが重要です。頭にフィットするかどうかも大事なポイントになってきます。とくに子ども用の防災頭巾の場合はサイズの確認が必要です。
学校に通う児童や生徒の場合、子どもの成長にあわせてフィットする大きさかどうかをこまめに確認しましょう。
大きめのものを購入したくなりますが、あまり大きいとずれてしまって前が見えなくなり、かえって危険です。製品の大きさや内寸(対応する頭のサイズ)、適応年齢の目安などが表示されているものを選ぶようにしましょう。
また、高齢者や子どもでも自分でさっと取り出してかぶれるよう、頭巾やカバーを目立つ色にするなど、覚えやすいものにしておくとよいでしょう。
首まで保護できる長さかチェック!
防災頭巾は、頭頂部だけでなく首も保護できると、より安全性が高くなります。子どもの場合、頭頂部から肩までの長さの平均が、6歳児で約26cm、10歳児で約29cmといわれていますので、長さ40cm以上あれば肩まで覆うことができます。
可能であれば、防災頭巾をかぶった状態の写真などでどのくらいの長さなのかを確認しておくとよいでしょう。
【5】長期間保管できる耐久性の高さで選ぶ
防災頭巾は避難訓練のときに使うくらいで何年も経過することが考えられますが、なかの詰め物がウレタンのみだと経年劣化が進んで衝撃吸収性能が極端に低くなってしまうため、素材に注意しましょう。
また学校で保管する場合、背もたれや椅子に置く座布団としてなど、日ごろから使用することもあるでしょう。その場合、防災頭巾が毎日押しつぶされていることになり、なかの詰め物が片寄ってしまったり、生地が破れたり毛玉ができたり劣化する可能性もあります。
詰め物が片寄らない縫製になっているものや、傷みにくい生地を採用している防災頭巾を選ぶようにしましょう。
>> 防災・危機管理ファシリテーターからのアドバイス
いざというときに使える状態であることが大切!
防災頭巾は、いざというときに使えない状態だと持っていても意味がありません。購入時だけでなく、定期的な品質チェックを忘れずに行なってください。
子ども用のものは夏休みや春休みに持ち帰ったときに袋から取り出して、子どもの成長具合と頭巾のサイズが合っているか、中綿の片寄りや生地の傷みがないかなどをチェックしましょう。
大人用の場合は、防災の日や地域の避難訓練などの機会を使って、年に1度くらいは備蓄の整理と一緒にメンテナンスすることをおすすめします。
防災頭巾のおすすめ9選
うえで紹介した防災頭巾の選び方のポイントをふまえて、防災ファシリテーター・南部優子さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。今日から災害への備えにぜひ役立ててください。
▼乳幼児用

3歳くらいまでの乳幼児にかぶせやすい防災頭巾
今回ご紹介するなかでは、もっとも小さい防災頭巾。生地や芯材は難燃加工素材を使用し、日本防炎協会認定品です。
はじめから頭の形状にあわせ、立体構造になっているため、乳幼児でもさっとかぶせることができます。
専用の収納袋がついているのですが、巾着袋の底の部分がマジックテープで仮止めされたようになっていて、袋をぶら下げて収納しておき、いざというときには紐をあけなくても、底のマジックテープをはがしてすぐに取り出すことができ、ちょっとした工夫がうれしい商品です。
▼小学生用

耐熱耐火アルミ加工
生地、芯材に難燃加工のポリエステルを使用し、外側全体に耐熱耐火アルミ加工を施した日本防炎協会認定品です。全体がアルミの銀色をしているため、炎天下に集合したときでも日光を反射してくれます。
長さが49cmと長めで、肩の下のほうまでかかります。小学生から高校生まで長く使える大きさです。サイズ展開は、小学校低学年以下用(小)と小学校低学年以上(大)の2種類です。
内側にポケットがついていて、マスクを収納できます。購入時に1枚ついています。椅子の背もたれになるカバーとセットの商品もあります。

学用品のメーカーが開発したつばつきの防災頭巾
文具や学用品でおなじみのナカバヤシが製造している防災頭巾。表生地、裏生地、中綿ともに防炎・難燃の素材を使用している日本防炎協会認定品です。
耳穴が2つあり、耳の位置の調整がしやすい点、つばがついて顔の保護がしやすい点、ホイッスルがついているため緊急時に大声を出さなくても居場所を示せる点が特徴になっています。
学校の椅子に座布団や背もたれとしてカバーなしでセットし、いざというときにすぐ外してかぶることができます。ブルーとピンクの色が展開されています。
比較的求めやすい価格のため、成長が早く使い方も荒くなりがちな子ども用として、こまめに買い替えることもでき、おすすめです。
中わたがたっぷりで衝撃に強い防災頭巾
生地と中わたに難燃性の素材を使った防災頭巾です。燃えにくいだけでなく、中わたがたっぷり入っているので衝撃に強いのが特長で、いざというとき、頭部をしっかりガードします。
付属のゴムバンドは、取り外しが簡単にできます。また、名札がついているので、緊急の際のお迎え時、頭巾を脱がなくても名前を確認できて便利です。
やわらかな日本製生地の防災頭巾
ゴムまわりにも難燃性の生地を使用した、日本防災協会認定の防災製品です。
肌ざわりのよい日本製の生地で作られているため、防災頭巾装着時のストレスが軽減されるのがうれしいポイント。やさしく頭部を守ってくれる、子どもにおすすめの防災頭巾です。耳穴つきなのでまわりの音が聞きやすくなり、避難時に慌てなくてすみます。
また、名前欄が頭巾の外側についているため、緊急避難時にご家族の名前を確認しやすく便利です。
いざというとき、笛が自分の居場所を知らせてくれる
緊急時に自分の居場所を知らせるための笛がついている、防災クッションです。また、両側に耳穴がついているので、周囲の音を聞き取りやすく、避難時の不安を軽減してくれるでしょう。サイズが長めのため、落下物などから頭や顔だけでなく肩まで守ってくれます。
カバーをつけたままでも座布団や背もたれとして使えるため、学校のイスにセットしておくと、いざというときすぐに着用できます。
燃えにくく、火災時も安心の防災クッション
表地と裏地のどちらにも防炎生地を採用し、中わたには、難燃ポリエステルわたを使用した、日本防災協会認定防炎クッションです。炎から遠ざけると自動的に火が消える機能があるのもポイント。両面に耳穴があいているので、クッションをかぶっても周囲の音を聞き取れます。
付属のベルトがいすの背もたれにかけられるので、ふだんは背もたれやクッションとして利用できます。

全面キルティングで丸洗いOK。安心の6年保証付き
静岡の防災用品会社の製品です。生地にも詰め物にも難燃性の素材を使用している日本防炎協会認定品です。サイズは、幼児用、小学生用、中学・高校生用、大人用の4種類あります。イエロー、オレンジ、レッド、ブルーの4色。(大人用はオレンジ1色のみ)はっきりとしたカラー展開です。
表裏にキルティング加工され、中綿が片寄りにくくなっています。ネットに入れてソフト洗いすれば丸洗いもでき、衛生的に使えます。
この商品の最大の特徴は、無償修理保証がついている点です。専用カバーをつけて使用した場合に限りますが、小学生用、中学・高校生用の防災頭巾は6年間、幼児用防災頭巾は3年間、ほつれや破れができたとき無償修理してくれます。
▼中学生~大人用

生地、綿、フェルトに難燃材使用
表生地、裏生地、中綿、フェルトに日本防炎協会認定品を使用しています。耳穴もついているので外の音も聞こえます。
ここで紹介しているのは、中学生~大人向けのLサイズですが、ほかに幼児用のSサイズ、小学生用のMサイズもあります。
防災頭巾には珍しい蛍光色と青色のカラー展開です。蛍光色はとても目立つため、たくさんの人が避難した一時退避場所などで家族をみつけやすくなるかと思います。
「防災頭巾」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 防災頭巾の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での防災頭巾の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
防災頭巾のお手入れ方法
普段は使うことのない防災頭巾。自宅保管や、園児や小学生が座布団や背もたれとして使用していると、ほこりや汚れが気になることがあります。また、防災頭巾は正しくお手入れをしないと災害時に本来の機能を発揮できない場合も。
そこで、ここから先は防災頭巾の正しい使い方やお手入れ方法について紹介していきます。
洗濯はOK? 「洗濯可」など洗濯表示を確認
防災頭巾は使用している材質によって洗濯可のものもあれば不可のものもあります。万が一、洗濯不可の商品を洗濯してしまった場合は、生地の防炎加工が流れ落ちてしまったり、生地が劣化したりして本来の防災頭巾の機能が発揮できなくなるおそれがあります。
そうならないためにも、防災頭巾の洗濯表示やお手入れの方法を確認しましょう。衛生的に使いたいなら、丸洗いができる防災頭巾を選ぶといいでしょう。
ヘルメットとどっちが安全?
落下物から頭を守る耐衝撃性という点では、ヘルメットの方が優れています。ただ、収納スペースをとってしまったり、首まで保護できなかったりするのがネック。
また、防災頭巾をイスなどに設置しておけば、わざわざ危険を冒してヘルメットを取りに行くこともないので便利です。
防災頭巾カバーを活用するのがおすすめ
防災頭巾を汚れから守り、衛生的に使いたいのなら「防災頭巾カバー」を活用する方法があります。防災頭巾の本体サイズはさまざまあるため、まずは本体とカバーのサイズをそれぞれ確認のうえ、ぴったりな防災頭巾カバーを選びましょう。
防災頭巾カバーは、防災頭巾を汚れから守るほか、座布団や背もたれとして使えるようになる、防災頭巾の表面デザインを変えられるなど、さまざまなメリットがあります。以下で詳しくみていきましょう。
メリット1:洗濯不可の防災頭巾を汚れから守る
防災頭巾カバーを使用すれば、汚れてしまった場合も防災頭巾本体からカバーを外して洗うだけなので、いつでも衛生的に使えます。
ほかにも、あらかじめ汚れがつきにくくふきとりやすいナイロン製や、丈夫なポリエチレン製などカバーそのものがお手入れしやすい仕様になっているものもあります。
メリット2:小学生用なら座布団や背もたれとして使える
小学生は防災頭巾の保管場所として、座布団や背もたれとして使うことも多いです。ゴムがついていていすにかけて座布団として使えるものや、いすの背にかけるスナップボタンやゴムがついていて背もたれとして使えるようになる防災頭巾カバーもあります。
防災頭巾カバーが男の子向け、女の子向けのデザインになっているものもあります。子どもの好みのデザインの防災頭巾カバーを選び、座布団や背もたれとして使うと、防災頭巾を学用品として使うことも可能です。
メリット3:そのままかぶれるタイプなら子どもでもスムーズ
防災頭巾カバーを使っていると、いざ災害時に防災頭巾として使用しようとしても、カバーを外す手間がかかることがあります。とくに、防災頭巾の取り扱いに慣れていない年齢の子どもの場合、スムーズに防災頭巾を取り出せないことも。
防災頭巾カバーのなかには、カバーをかけたままそのままかぶれるタイプの商品もあります。カバーとしても、防災頭巾の機能を損なわず災害時にさっとかぶることができます。
そのほかの「防災グッズ」はこちら
適切な防災頭巾を選んで万一の災害へ備えよう!
防災ファシリテーター・南部優子さんに教えてもらった防災頭巾の選び方とおすすめ製品の紹介とともに、便利に使える防災頭巾カバーを紹介しました。
実物を見てから決めたいという場合、ニトリなどのホームセンターや、しまむらといった衣料品店などで販売しているのでチェックしてみてください。また、手芸店や100均などで材料を購入して防災頭巾を手作りする方も多いようです。
自分や家族に適切な防災頭巾を選ぶことは、災害から命を守る行動につながります。正しい防災頭巾の取り扱い方法をおさえ、便利な防災頭巾カバーも取り入れつつ、災害への備えにぜひ役立ててくださいね。
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