防災スリッパの選び方 防災ファシリテーターに聞く
防災ファシリテーターの南部優子さんに、防災スリッパを選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。
【1】踏み抜き防止機能
【2】暗闇でも履きやすく、移動時に脱げにくいもの
【3】コンパクトに収納できるもの
上記のポイントを押さえることで、あなたに合った防災スリッパをさがしてみてください。
【1】足の裏を守る「踏み抜き防止機能つき」の底を選ぶ
大きな地震が発生したとき、部屋にはものが散乱します。天井や壁が崩れたり、照明器具が落ちてきたり、ガラスが飛散したり、食器が散乱したりと、床の上はかなり危険な状態になります。また、避難所までの外の道も、なにが落ちているかわからないなかを進まなくてはなりません。
普通のスリッパだと、踏んだときにガレキが突き抜けて負傷するおそれがあります。このため、防災スリッパは踏み抜き防止機能がついた素材を使ったものが安心です。スリッパそのもので探しにくい場合は、インソールを踏み抜き防止のものにする方法もあります。
耐踏み抜き性能については、JIS規格かJSAA規格の基準以上のものを購入するようにしましょう。
【2】暗闇でも履きやすく、移動時は脱げにくいものを選ぶ
地震は突然やってきます。真っ暗のなか、手探りで身の回りのものを探すような状態になることも考えられます。足を保護するものも、暗闇でもさっと履けることが重要ですから、普通の室内スリッパと同じように足を入れるだけで履ける形のほうが使いやすいです。
ただ、スリッパは足を持ち上げたときに脱げやすいため、できるだけ足が固定しやすい形状のものを選ぶようにしましょう。
たとえば、甲の部分が深めになっていたり、非常時だけかかとにベルトがつけられるタイプだと足が固定しやすくなります。かかとを踏んでも履けるスニーカーやスリッポンをスリッパ代わりに使うこともできます。
【3】避難所で使う場合はコンパクトに収納できるものを選ぶ
避難所での生活は、体育館などに集団で身を寄せることになります。トイレが外にあるなど、避難所の床は出入りする人の泥やホコリがあって汚れやすくなっています。
避難所のスリッパは、室内を土足で汚さないためにとても重要なアイテムとなります。このため、自宅での危険防止用とは別に、避難所での生活用のスリッパを、非常持ち出し袋に入れておくことをおすすめします。
大勢の避難者がいる場所で使うスリッパは、出入り口に脱ぎっぱなしにしておかず、土足に履き替えたとき手に持っておけるよう、携帯性・収納性にすぐれたものがよいでしょう。
防災スリッパのおすすめ3選 防災ファシリテーターが厳選
うえで紹介した防災スリッパの選び方のポイントをふまえて、防災ファシリテーターの南部優子さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

ふだん使いしやすい軽さ。ベルトで固定可能
スリッパのなかに2.5mmのポリカーボネートの防護板が入っていて、床に飛散したガラスなどから足を守ってくれるスリッパです。
中芯が鉄板やステンレスのものに比べると軽量で扱いやすく、また色味も落ちついたベージュ色なので、ふだんづかいのスリッパとして家で履きなれておき、いざというときには、夜間の停電時でもいつものようにさっと履いて足を守ることができます。
甲にはマジックテープ(面ファスナー)でベルトがつけられていて、非常時にはベルトをかかとに回して固定することで、脱げにくくすることができます。
女性でも扱いやすい踏み抜き防止機能付きスリッパ
スリッパのなかの素材がポリエステルの積層素材になっています。JIS規格の基準(1100N)を上回る数値(1310N以上)を出しており、踏み抜き抵抗性にすぐれています。
ポリエステル素材なので、強度のわりに重すぎるほどでもなく、扱いやすいスリッパです。また、色は汚れが目立ちにくいダークグレーで、サイズは23.0~26.0cmの1種類。男女兼用となっていますが、やや小ぶりなので、とくに女性におすすめです。
ダイニングやリビングなど、食器やガラス製品が多く置かれているところでふだん使いのスリッパとして使うのもいいですね。

踏み抜き防止機能もついた折りたたみ携帯スリッパ
折りたたんでポーチに格納できる携帯スリッパです。中素材がポリエステルの積層素材になっており、折り畳める手軽さと、JIS規格の基準(1100N)を上回る数値(1310N以上)の踏み抜き抵抗性を備えています。
女性用は22.0~24.0cmのグレー、男性用は24.0~26.0cmのブラックと、2種類あります。ややぴったりした履き心地になるため、男性には若干小さく感じる方もおられるかもしれません。
携帯用ポーチに入れればとてもコンパクトになり、非常持ち出し袋に人数分入れておいてもかさばりません。また、ふだんからカバンに入れて旅行や出張の足回りに活用することで、いざというときに備えておくのもおすすめです。
【番外編】非常時に役立つ「安全シューズ」や「インソール」も紹介! 防災ファシリテーターが選ぶ
防災ファシリテーターの南部優子さんに、防災スリッパのほかに安全シューズやインソールなどもご紹介いただきました。こちらも参考にしてみてくださいね。

薄くたためるモックシューズでしっかり足をホールド
大正から続く老舗の安全靴メーカーが作成したモックシューズで、履いたときのフィット感が大きいです。JIS耐踏み抜き試験の基準を満たすインソール「ソールバリア」を内蔵。ソールはポリエステル製で柔らかく、しなやかに曲がります。
このシューズは、S・M・Lの3種類の展開です。細かなサイズ区分はないため、ふだんはスリッパ代わりに室内で気軽に履くルームシューズとして使うのがよいでしょう。非常時には避難用の靴となり、インソールが足を守ってくれます。
また、足の甲の部分を畳んで重ね合わせ、かかとのゴムで止めるとかなりコンパクトになります。避難所の室内シューズとして非常持ち出し袋に入れておくのもおすすめです。

中敷きでいつものルームシューズに安全をプラス
ポリエステル製の白い中敷きです。一見ごく普通のインソールに見えますが、これでもJIS耐踏み抜き試験の基準を満たしています。
やわらかくて曲げやすく、はさみでかんたんに切れるため、いつものシューズなどすっと入れられます。スリッパだと浮き上がってしまいますが、スリッポンタイプのルームシューズを用意してなかに敷いておけば、自分の足にあったものをふだんから履いておくことができ、いざというときに足をしっかり守ることができます。
「防災スリッパ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 防災スリッパの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの防災スリッパの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
「JIS規格」「JSAA」規格について 防災ファシリテーターが解説
JIS(日本工業規格)は、工業標準化法に基づき制定された国家規格で、「JIS T8101 安全靴」の付加的性能のひとつに耐踏み抜き性が定められています。
JSAA(プロテクティブスニーカー規格)は、(公社)日本保安用品協会が認定するもので、スニーカータイプの安全作業靴に対してJIS規格に準じた基準値が定められ、付加的性能のひとつに、耐踏み抜き性があります。
耐踏み抜き性能の認定基準は、JIS規格、JSAA規格ともに、くぎが貫通する時の力が1,100N以上とされています。
JIS規格、JSAA規格ともに基準を満たしたものにはマークがつけられるのですが、この規格は安全靴もしくはプロテクティブスニーカーに対するものであり、スリッパでは形状が異なるうえ他の安全性能を満たしづらいことから、マークがついた商品を探すことは難しいです。このため商品説明で、「JIS規格」もしくは「JSAA規格」と同程度の基準を満たしていると明記した商品を選ぶと安心です。
【関連記事】そのほかの防災グッズもチェック! 備えあれば憂いなし!
底だけでなく表素材も丈夫な商品を選ぼう 防災ファシリテーターからアドバイス
スリッパは破れやすい商品です。底の素材だけでなく、甲の部分もできるだけ丈夫な素材を選ぶようにしましょう。ビニールやウレタン素材は劣化が早いので注意が必要です。布素材も使用状況によって裂けたりします。
踏み抜き防止のスリッパなどでは、中芯が金属だと露出した部分で足を切ってしまうかもしれません。こまめに損傷具合を確認して、少しでも芯が見えるような状態になっていたら履き続けず、新しいものを調達するようにしましょう。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
出版社の編集・執筆、地域NPOの政策企画・広報、危機管理コンサルタントを経て独立。 多彩な分野でファシリテーター兼編集ライターとして活動中。 編集・執筆の経験を生かした計画・マニュアルなどの各種資料作成・製本・出版や、企画会議運営・板書経験を活用したワークショップ・イベントの設計・運営、防災コンサルタント経験による各種調査・研究・組織開発支援など、公共団体や研究機関・企業・NPOとのプロジェクトを数多く実施している。