登山用腕時計の必要性
登山用腕時計とは、その名の通り、登山の際に便利な機能がそろった腕時計のこと。ペース配分を考えた時に、腕時計で時間を測ることは大切になりますが、それ以外にもたくさんの機能が付随されています。
例えば、山の高度や気圧を表示する機能。この機能により高山病などへの対策をいち早く準備することができます。また、方角を示すコンパス機能。その他、雨天時にも耐久性のある防水機能や耐衝撃性など、登山であると嬉しい機能があります。なにが起こるかわからない登山だからこそ、しっかり選んでおきたいところです。
登山用時計の選び方 登山愛好家監修
登山愛好家のカメラマン・山崎友貴さんに、登山用時計を選ぶときのポイントを3つ教えてもらいました。
登山用時計は多機能=便利というわけではない
フリーエディター&SUV生活研究家
ビギナーが登山用品の購入を検討するときに、腕時計は比較的優先順位の高いアイテムになっています。昨今、各時計メーカーとも登山専用を謳った商品に力を入れており、どのモデルも「多機能」がウリになっています。
そのほとんどのモデルにはトリプルセンサーが搭載されており、方位、気温、高度、気圧の計測が可能です。たしかに多機能は魅力的で便利ですが、やはり時刻を確認することがメインですよね。
例えば方位ですが、エキスパートならコンパスは精度の高いものを別に持つことが多いです。高度を気にしながら登るのはビギナーの頃だけですし、気温については腕時計の表示はひじょうにアバウトです。
日の出や日の入り時刻についても、それを踏まえて事前の山行計画を立てるのが常識ですから、時計でその日に確認するということはほぼありません。使うとすれば、気圧の変化を示すグラフ。急激な気圧の変化を知ることで、豪雨や落雷などを避けることができます。
信頼性と堅牢性で選ぶ
フリーエディター&SUV生活研究家
どんな状況下においても、止まらないという「信頼性」や、岩にぶつけたり水に浸したりしても壊れないという「堅牢性」が大切と言えるでしょう。
ただ、トリプルセンサーのようにいろいろな情報が可視化できるのは、ギミックのひとつとして楽しいことは確かですね。
防水性能を確認したい
フリーエディター&SUV生活研究家
近年販売されている登山用時計は、ほとんどが「10気圧」もしくは「100m」以上の防水性を有するものがベーシックとなっています。これ以下の防水性能を一般的に「生活防水」と呼ぶのですが、生活防水は汗や雨滴に耐える程度のものであり、時計を水中に浸けると故障する場合があります。
安価なアウトドア用時計の中には、生活防水機能しか有していないモデルもあるので、こういった商品は避けた方が無難です。
「山では水中に入ることなどない」と考える人もいますが、川を渡る途中に転んで、不意に時計を水中に浸けてしまうこともあります。また冬は雪の中で使うこともあるので、防水性能は重視したいポイントです。
行動中に電池切れだけは避けたい事態
フリーエディター&SUV生活研究家
昨今、登山用時計で熱いのが、カシオやスントから次世代時計として続々発売されている、「スマートウォッチ」です。PCなどと連動させることで、簡単なルートナビゲーションをさせることができ、ユーザーから注目されています。
一方で、登山エキスパートからはある性能面で実用に耐えうるか疑問視されています。それは、電池切れです。カシオの最新モデルでも、電池駆動時間は3日。つまり、ロングの山行となれば、途中の山小屋で充電が必要となります。当然ながら、充電器の携行で荷物が重くなるというデメリットも発生します。
おすすめは、ソーラー充電を備えたモデル。約10年間は電池交換も不要ですし、山行中に電池切れという事態も避けられるでしょう。
登山用時計おすすめ11選

Photo by Daniil Silantev on Unsplash
上記で紹介した登山用時計の選び方のポイントをふまえて、山崎友貴さんと編集部が選んだおすすめ商品を紹介します。

CASIO(カシオ)『PRO TREK PRW-3100-1JF』












出典:Amazon
重量 | 68g |
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表示タイプ | デジタル |
計測機能ほか | 方位計測、高度計測、気圧計測、温度計測、電波受信機能、日の出・日の入り時刻、ほか |
防水性能 | 10気圧防水 |
ソーラー充電対応 | ○ |

SEIKO(セイコー)『プロスペックス アルピニスト(SBEL001)』










出典:Amazon
重量 | 約72g |
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表示タイプ | デジタル |
計測機能ほか | 方位計測、高度計測、気圧計測、温度計測、電波受信機能、登山データ記録、Bluetooth通信、ほか |
防水性能 | 10気圧防水 |
ソーラー充電対応 | ○ |
センサーの精度はさすがセイコー
モデルチェンジをするごとに、洗練されたデザインになっていくセイコーの「アルピニスト」。SBEシリーズは、スントやプロトレックと比べても見劣りしないモデルと言えるでしょう。
もちろん性能面でも隙はありません。高度、気圧、温度、方位といったベーシックな計測機能はもちろんのこと、スマホアプリと連動させることで、日本百名山や人気の山の登山計画を時計にインストールすることができちゃいます。
実際に山に出かけると、出発や下山の時刻、平均歩行速度などを自動で記録し、後からアプリで確認することもできます。またスマホとリンクする度に時刻修正をしてくれるのも便利な機能のひとつ。
センサーの精度も業界随一で、高度の誤差が少ないすぐれものです。

LAD WEATHER(ラドウェザー)『センサーマスター(LAD004)』














出典:Amazon
重量 | 約57g |
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表示タイプ | デジタル |
計測機能ほか | 方位計測、高度計測、気圧計測、天気予測・気温計測、ほか |
防水性能 | 3気圧防水 |
ソーラー充電対応 | × |

SUUNTO(スント)『CORE』
















出典:Amazon
重量 | 79g |
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表示タイプ | デジタル |
計測機能ほか | 方位計測、高度計測、気圧計測、気温計測、水深計、スイミング計測、日の出・日の入り時刻、ほか |
防水性能 | 3気圧防水 |
ソーラー充電対応 | × |
リストコンピューターの超定番モデル
スントはフィンランドのコンパスメーカーとして誕生し、その後、ダイビング用コンパスで世界に名を馳せたブランドです。登山者の間でもひじょうにメジャーなブランドで、スントの時計はひとつのステータスにもなっています。
スントでは腕時計という概念がなく、「リストコンピュータ」というコンセプトで精度の高い製品造りが行われてきました。この『CORE』は、スントのリストコンピューターの中でも、もっともベーシックなモデルです。
高度、気圧、温度、方位、そして日の出・日の入りの時刻を表示するなど、機能は地味ですが、実に使いやすい一本。発売から年数が経ちますが、カラーが豊富なこともあって、老若男女問わず高い人気を誇っています。
電池交換サイクルが、意外に早いのが難点です。

CASIO(カシオ)『G-SHOCK DW-5750E-1JF』








出典:Amazon
重量 | 53g |
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表示タイプ | デジタル |
計測機能ほか | - |
防水性能 | 20気圧防水 |
ソーラー充電対応 | × |
不動のアウトドア用ウォッチの名作
登山経験を重ねていくと、登山に使う時計はシンプルに時刻を確認するもので良くなってくるもの。頑丈で過酷な状況下でも壊れない。それが一番のニーズになっていきます。
軽くて身につけやすい時計と言えば、Gショックのベーシックモデルにかなう物はありません。Gショックと言えばスクウェア型で定番の5600シリーズが有名ですが、この5700シリーズは長きに渡って海外専用だったモデルです。「スティングモデル」として、日本のコレクターの間で人気を博していましたが、2018年から日本でも販売されるようになりました。
時刻やストップウォッチ、タイマーなど機能は凡庸だが、鉄板の耐衝撃性能と20気圧防水で、シチュエーションを気にすることなく使うことができます。大きさや厚みも絶妙で、クライミングなど手を動かすシーンでも気にならない装着感がいいですね。

CITIZEN(シチズン)『PROMASTER PMD56-2951』






















出典:Amazon
重量 | 100g |
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表示タイプ | アナログ |
計測機能ほか | 時差設定機能、受信局自動選択機能、定時受信機能、ほか |
防水性能 | 20気圧防水 |
ソーラー充電対応 | × |
CITIZEN(シチズン)『PROMASTER(AS7145-69L)』

出典:Amazon
重量 | 131g |
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表示タイプ | アナログ |
計測機能ほか | 時差設定、受信局自動選択、定時受信、強制受信、衝撃検知、針自動補正、充電警告、過充電防止 ほか |
防水性能 | 潜水用防水性能(200m防水) |
ソーラー充電対応 | × |
CASIO(カシオ)『G-SHOCK(MTG-B1000XBD-1AJF)』










出典:Amazon
重量 | 171g |
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表示タイプ | アナログ |
計測機能ほか | スマートフォンリンク、自動時刻修正、フルオートカレンダー ほか |
防水性能 | 20気圧防水 |
ソーラー充電対応 | ◯ |
SEIKO(セイコー)『プロスペックス(SBEP027)』

出典:Amazon
重量 | 80.0 g |
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表示タイプ | デジタル |
計測機能ほか | デュアルタイム表示機能、パワーセーブ機能、フルオートカレンダー機能、ワールドタイム機能、発電レベル・電池残量表示機能、ほか |
防水性能 | 日常生活用強化防水(20気圧) |
ソーラー充電対応 | 〇 |
CASIO(カシオ)『PRO TREK Smart(WSD-F30)』














出典:Amazon
重量 | 約83g |
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表示タイプ | デジタル/アナログ切り替え可能 |
計測機能ほか | オリジナルアプリ、位置情報計測、スピード計測、高度計測、マップ・ルート設定 ほか |
防水性能 | 5気圧 |
ソーラー充電対応 | × |
GARMIN(ガーミン)『Instinct Tactical Black』














出典:Amazon
重量 | 52 g |
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表示タイプ | デジタル |
計測機能ほか | センサー機能、デイリースマート機能、ライフログ機能、トレーニング、計画、分析機能、アウトドアレクリエーション機能、ほか |
防水性能 | 10気圧防水 |
ソーラー充電対応 | × |
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用時計の売れ筋をチェック
Amazonでの登山用時計の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
【最後に】エキスパートのアドバイス
フリーエディター&SUV生活研究家
時計の機能はあくまでも簡易的なものと考えるべき
昨今の登山用時計は、どんどん高機能化が進んでいます。しかし、たくさん機能が付いているから便利というわけでもありません。自分に必要な機能を精査し、どの商品にするか検討したいところ。
コンパスやGPSなどは、結局別に専用のものを買うことがほとんどです。時計の機能は、あくまでも簡易的なものであることを理解しておきましょう。
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※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部 横尾忠徳)
※2020/12/14 コンテンツ追加のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 加藤佑一)
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に。登山やクライミングが趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて連載中。悩みは増え続けるアウトドア用品などの遊び道具の収納場所で、愛車のJeepラングラーもすっかり倉庫代わりに。昨今は車中泊にもハマり、住居をキャンピングカーに変えるか真剣に悩み中。