登山用GPSのメリットとは? スマホアプリにはない
近年では、スマホで無料ダウンロードできる登山アプリのなかでも、登山GPSアプリやコンパスの機能を備えたものが多く販売されています。しかし、スマホアプリの場合は充電が切れる可能性も考慮しなければなりません。
比較的やさしい登山であれば、登山地図などを代表とするエリアマップがあればじゅうぶんだと思います。しかし、はじめて挑戦する山や、雪山といった本格的な登山などでは、遭難といった万が一のことを考えると、登山GPSがあると非常に安心です。
登山用GPSの選び方 遭難防止!山登りの生命線
アウトドアライターの夏野 栄さんに、登山用GPSを選ぶときのポイントを教えてもらいました。これを参考にしつつ、山登りの心強い相棒を見つけましょう!
捕捉している衛星の種類をチェック
登山用GPSは機種に応じて捕捉している衛星が異なります。単一のものから複数捉えるものまで、購入前に必ずチェックしておきましょう。
GPS
GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)という名称は、実は位置情報取得端末の総称ではなく、米国軍事衛星を指す言葉です(※今回は便宜上、以下の項から「位置情報取得端末の総称」として「GPS端末」という単語を使用します)。
グロナス
ロシアが運用している衛星測位システムのことを「GLONASS」といいます。Global Navigation Satellite Systemの略で、GPSと併用することでより精度の高い測定ができます。
みちびき
日本でも「みちびき」という衛星を飛ばしていて、JAXAが2010年に打ち上げています。みちびきに対応した端末も登場しています。
そのほか国の位置測位に関する衛星の名称も異なります。中国の衛星は「北斗」、EUの衛星は「Galileo」です。
どの衛星に対応しているのかというポイントは、その商品がどんな言語に対応しているのかを示す指標であることも多いです。また複数の衛星に対応するマルチ端末もあります。まずは対応している衛星を確認しましょう。
なるべく地図が入っているものを選ぼう
シンプルなGPS端末には、地図がないモデルもあります。もちろんGPSとして機能してくれますが、地図なしGPS端末を使うのであれば、基本的な地図とコンパス、高度計によってルートを確保できるスキルがほしいところです。
それぞれで価格差はあるものの、「ラクである」という点も踏まえ、できれば地図ありのGPS端末を選びましょう。
防水防塵・耐久性をチェック!
対応している言語は必ずチェック
『GPS端末』には、上記で書いたように、米国のGPSのほか、ロシアや中国、EUの衛星を使った位置情報端末があります。最近では海外からもネット通販で手軽に商品を購入できる傾向があり、商品を選ぶ選択肢も増えてきました。
そのうえで、「安くいいの発見!」と中国から購入した端末を起動してみると、「オール中国語だった……」そんなオチも増えています。英語が問題ない方は英語モデル、やっぱり日本語が親しみやすいという方は端末の言語をよく確認してから選びましょう。
そのほかの機能にも注目
登山用GPSはGPS機能以外にもさまざまな機能がついてますが、電子コンパスと気圧高度計機能があるものもおすすめです。
止まっていても方位を把握できる「電子コンパス」
意外と知られていないのですが、GPSは移動した位置から方位を算出しているため、静止した状態だとコンパスが利きません。しかし、電子コンパスを内蔵している機種であれば、地磁気で常に検出しているため止まっている状態でも方位を正確に把握することができます。
そのほか、登山の山行を記録を残したい方には、GPSロガーを使うことをおすすめします。GPSロガーとは「移動した経路をGPS衛星を利用し、記録する装置」です。登山用のGPSロガーを使うことで、移動した経路を記録することができます。
正確に高度を把握できる「気圧高度計」
気圧の変化で高度を算出する機能です。GPSの高度は水平精度よりも誤差が生じやすいといわれています。しかし、この気圧高度計の機能をもった機種では、高度の誤差を最小限にしてくれます。
登山用GPSおすすめ6選 本格的な登山に!人気のガーミンなど
ここまで紹介した登山用GPSの選び方のポイントをふまえて、アウトドアライターの夏野 栄さんと編集部がおすすめの商品をご紹介します。対応言語や機能などから自分にぴったりの端末を探してみましょう。

メモリ8GB、LiveTrack装備高機能モデル
『eTrex 30xJ』の上位モデルです。『eTrex 30xJ』にはない機能として「LiveTrack」、「ワイヤレスユニット間通信」などが追加されています。また35Jは「タッチスクリーン」タイプで、内蔵メモリーは2倍強の約8GBという構成です。
LiveTrackとは、アプリケーションを介して自身の位置情報を任意の他者(家族や友人など)へかんたんに伝える機能です。登山でハンディGPSを使うならひじょうに有効な機能です。価格差はだいたい1万円ほど。どうせ買うなら高機能がいいという方には、機能豊富な35Jがおすすめです。
あらゆるフィールドで大活躍
GPSMAP64CSXは、3軸電子コンパス、気圧高度計、ジオタグ付き8MPオートフォーカスカメラを搭載。さらに、直射日光下でも見やすい2.6インチフルカラーディスプレイを採用しており、様々なアウトドアフィールドで活躍します。
抜群のGPS性能と衛星通信能力
深い森の中でも電源を入れてから10秒程度で現在の正確な位置を表示することが可能な、位置の捕捉という面で非常に優れた性能を発揮するGPSです。「日本詳細地形図2500/25000」が標準搭載されているので、等高線や登山道、崖マークなどわかりやすい表記で、目的地まで正確にGPSが導いてくれます。
米国防総省MIL規格準拠の丈夫な設計のため、耐久性能もバッチリです。

約25時間のバッテリー持ちで多機能
『eTrex 20xJ』の上位モデルです。『eTrex 20xJ』にはない機能として、「電子コンパス」、「気圧高度計」、「気温表示」が追加されています。電子コンパスや高度計をほかの端末で装備したい方なら、『eTrex 30xJ』を一台持つことで用が足ります。さすがに高度計や電子コンパスの使用で電池消費が著しく低下するということはないので、この点の装備をまとめることはありだと思います。
ちなみに「電子コンパス」はいずれの方法でも(腕時計の機能などがある場合でも)携帯することをおすすめします。私は高度計も必ず持参するようにしています。

代表ブランドガーミンの良バランスモデル
GPS端末の代表的なメーカーといえばガーミン。迷ってしまうほど多種多様なGPS端末を出しているガーミンの端末のなかでも、まず幅広くおすすめできるのがこちら。エントリーモデルではありますが、要所は押さえています。
最下限モデルには「モノクロ」タイプもありますが、こちらはカラーTFTディスプレイ。「タッチスクリーン」操作ではなくなるものの、厳冬期やグローブを装備しているシーンでは、むしろタッチスクリーンではないほうがいい(ペンを使用すれば解決可能ですが)という状況もあります。
防水性能に優れたGPS
IPX7の防水等級を誇るGPSで水に浮かぶほか、防水対策が施されたバッテリーの収納部内側にカードスロットがあるので、水にぬれる心配はありません。
3軸のチルト補正済み電子コンパスが組み込まれ、水平をキープできなくても方位を正確に表示できます。深い森や高層ビル、木の近くにいても、本製品を利用して正確に道を見つけることが可能なおすすめのGPSです。
「登山用GPS」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用GPSの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの登山用GPSの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
登山用GPSに関するQ&A よくある質問
おすすめの登山用GPSは?

「ヤマレコ」はオフラインでも使用することができ、登山計画から写真などのシェアまで一貫して行える人気アプリです。そのほか、「YAMAP」は実際に登った人の登山計画や日記なども見られます。「山と高原地図」は日本全国1,500もの山々のデータを収録。毎年データ更新が行われています。「ジオグラフィカ」はオフラインで使用でき、音声ガイド機能も付いた無料アプリです。
登山用GPSに関して気をつけるポイントは?

予備のモバイルバッテリーを必ず持参しましょう。また、電力をおさえる知恵として、「機内モード」に設定することで、電池の消費をおさえることができます。
登山用GPS以外のアイテムもチェック 登山用の時計やスマートウォッチも
スマホや時計との二刀流がおすすめ アウトドアライターからのアドバイス
スマホと登山用GPSの2台持ちでリスク対策を
「スマホのGPSアプリではダメなのか?」問題に関してよく議論があります。お伝えしたいのは、「専用端末のほうがアプリより優秀」という性能面のお話ではなく、登山や冒険では「端末を分ける」というリスクヘッジが重要ということ。山でスマホを落とし、機能しなくなるかもしれません(経験あり)。もっとシンプルに、カメラや検索で「スマホのバッテリーだけに頼る」のは負担が大きくなります。
またiPhoneで経験のある方も多いと思いますが、冬山では低温に弱いスマホはシャットダウンする可能性があります(Android端末でも経験あり)。安心して登山や冒険を楽しめるように、GPS端末とスマホのGPSアプリ、どちらも装備しましょう。
また、登山用に特化したモデルの時計も多数販売されています。こうしたものとあわせて、二重、三重の準備をするように心がけましょう。
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作家、マルチクリエイター、アウトドア・ファッションのライター・エディターとして活躍。 アウトドア誌やファッション誌でジャンルを超えて連載。ライトノベルやゲームシナリオを執筆。 アウトドアでは『キャンプチャリ』の制作やキャンプ場プロデュースを手掛ける。またファッションマーケットの企画運営からプロダクト開発まで幅広く活動。山岳部出身、海育ちのテンカラ師。 『BE-PAL』や『camp hack』、『OCEANS』や『MonoMax』『Fine』といったメンズ誌のほか、女性ファッション誌にも参加。