イタリア産白ワインの選び方 美味しいイタリアワインを堪能しよう!
ワインエキスパートの石関華子さんへの取材をもとに、イタリア産白ワインを選ぶときのポイントをご紹介していきます。
産地から選ぶ
イタリアでは、国内の20の州すべてにおいてワインづくりが行なわれています。北はアルプス山脈の麓から、南は地中海に浮かぶシチリア島まで、産地ごとにさまざまな個性を持つ白ワインが生産されており、その土地によって味わいも異なります。まずはおもな産地の特徴について解説します。
アルプス山脈のふもと、ピエモンテ州
州都トリノのあるピエモンテ州は、イタリア半島から北ヨーロッパへ抜ける街道として発達しました。そのためピエモンテは文化的にもワインづくりにおいても、フランスの影響を受けています。
トスカーナと並んで、ピエモンテはプレミアムな価格帯の赤ワインの産地。コルテーゼからつくられたミネラル分たっぷりな「ガヴィ」や、非常に珍しい品種「エルバルーチェ」を使用した白ワインも逸品です。
ティレニア海に面したラツィオ州
イタリア中部、ティレニア海に面した州都ローマのあるラツィオ州。東にはアペニン山脈が連なっており、ワインの産地として知られるトスカーナ州やカンパーニア州にはさまれています。
ラツィオ州の白ワインに使われるおもな栽培品種は、マルヴァジーア・デル・ラツィオやトレビアーノ・ジャッロなど。ローマの郷土料理「サルティンボッカ」とよく合います。
「ソアーヴェ」を生むヴェネト州
イタリア北東部、水の都で知られる州都ヴェネツィアのあるヴェネト州。温暖な気候に加え、肥沃な大地に恵まれており、ワインの生産量はイタリア内でもきわだっています。
白ワインの「ソアーヴェ」でおもに使用されているのは、ヴェネト州地域固有の白ブドウ品種であるガルガーネガです。辛口でさわやかな味わいをリーズナブルな価格で楽しめます。
エトナ火山の恵みを受けるシチリア州
イタリア南部、エトナ火山をシンボルとするシチリア島は、標高の高い地域で地ぶどう栽培が盛んです。豊富な魚介類と一緒に味わえる白ワインの生産量が多いことでも知られています。
シチリア島独自の地形から生まれる白ワインは、ほかにはないクオリティを味わいたい人にぴったりです。しかも価格は控えめなのがポイント。食前・食後酒のマルサラでも知られています。
白ワイン用のブドウ品種といえばトレッビアーノ
ワインの香りや味わいは、原料となるブドウの品種によっても左右されます。イタリアには500種以上もの土着品種が存在すると言われています。なかでももっとも多く栽培されている白ブドウ品種といえば、「トレッビアーノ」。軽くて飲みやすい白ワインを生み出す品種で、ワイン初心者の方にもおすすめです。
ほかにも「ガルガーネガ」など、数多くの品種のブドウが栽培されているので、お気に入りのブドウ品種のものを選んだりあえて未開拓のものを試したりなど、ブドウ品種から選んでみるのもおすすめです。
合わせる料理から選ぶ

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ワインと食事の相性がよいことを、フランス語で「結婚」を意味する「マリアージュ」と呼ぶように、ワインは料理との相性も重視されるお酒です。料理とワインの相性がよければ、お互いにその持ち味を引き立て合ってくれるので、どちらもよりいっそうおいしく味わえます。
とくに、イタリアワインの多くは土着品種なので、その土地で栽培されたブドウと郷土料理は相性バツグン! シチリア産のワインなら魚介系パスタやカポナータ、ピエモンテのワインにはバーニャ・カウダなど、その地域のイタリアンとともにいただくのがおすすめです。
ワイン法における格づけや表示から選ぶ
イタリアでは、ワイン法の規定により、ワインの品質に応じて格づけが定められています。この格づけも、ワイン選びをする際のひとつの目安になるでしょう。
【参考】イタリアワインの格づけ
V.d.T.(Vino da Tavola)
テーブルワインを指し、等級としては一番下。
I.G.T.(Indicazione Geografica Tipica)
地理特性表示ワインのこと。生産地の名前を利用する際にその地域のブドウを少なくとも85%以上は使用することが義務づけられる。
D.O.C.(Denominazione di Origine Controllata)
統制原産地呼称ワイン。生産地、栽培方法、ブドウ品種、最大収穫量、最低アルコール度数、熟成方法などを、規定どおりに生産過程をふまなければならない。瓶詰めの前に、必要条件を満たしているかの審査、化学・物理検査が商工会議所によって行なわれる。
D.O.C.G.(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)
保証付き統制原産地呼称ワイン。イタリアワインの格づけのなかでも最上位の等級。申請の前に少なくとも5年間、D.O.C.のカテゴリに属していなければならず、農林省、商工会議所の化学・物理検査を受け、ひとつひとつのボトルには政府が認可(ガランティータ)したことを証明するシールが貼られる。
つくり手から選ぶ
イタリアは世界でもっともワインの生産量が多い国ということもあり、それだけ多くのワイン醸造家が存在します。つくり手ごとに栽培方法や醸造方法などが異なるため、同じ地区で同品種のブドウからつくられたワインであっても、つくり手が異なれば当然ワインの味わいや個性も変わります。
ある程度ワインを飲まれている方は、つくり手の歴史や取り組みなどにも目を向けながらワインを選ぶと、よりそのワインへの理解を深めることができるでしょう。
イタリア産白ワインおすすめ8選 安くておいしいデイリーワインから、最高峰の高級ワインまで
ここからは、ワインエキスパートの石関華子さんと編集部で選んだ、おすすめのイタリア産白ワインをご紹介します。
軽めの味わいはアペリティーボにぴったり!
サルデーニャ島特有のブドウ・ヴェルメンティーノ種を使ったワインです。軽やかでみずみずしい味わいで、カジュアルに楽しめるイタリアワインを探している人にぴったり。軽やかな味わいですが、香りもしっかりあります。
フレッシュで明るいニュアンスは、前菜との相性がよいです。重厚な味わいのワインとメインディッシュを味わう前に、チーズや生ハム、ナッツ、オリーブなどと合わせてアペリティーボを楽しみましょう!

初心者から上級者まで幅広く楽しめる
イタリア北部、ヴェネト州のソアーヴェ地区でガルガーネガというブドウ品種からつくられるソアーヴェ・クラシコ。
その代表的な生産者が、このワインを手掛けるイナマです。ブドウ本来の上品な果実のアロマを存分に引き出すため、伝統的な製法にこだわってワインづくりを行なっています。
ふくよかな果実味とミネラル感、そして豊かなコクも感じられるこのワインは、「非の打ちどころがない」ともいわれ、イタリアワイン初心者から中・上級者まで幅広い方におすすめです。
とくに相性のよい料理は、ボンゴレビアンコや塩でいただく天ぷらなど。

バランスのとれた味わいでコスパ抜群!
イタリアにおいて栽培量の多い白ワイン用のブドウ品種、トレッビアーノからつくられているワインのなかでも、とくにおすすめの1本がこちら。
イタリア中部のアドリア海に面したアブルッツォ州で、コストパフォーマンスにすぐれたワインを生産しているグランサッソが手掛けるトレッビアーノ・ダブルッツォです。
黄桃やかりんなどのような甘い香りとバランスの取れた味わいが特徴で、生ハムやサラミ、白身魚のソテーなど、幅広い料理と合わせて楽しめます。

中世の伝説に由来する軽快な白ワイン
D.O.Cに格づけされるラッツィオ州の有名な銘柄のひとつで、12世紀にこの地のワインに感銘を受けた旅の行者が、あとから来る司教のために居酒屋の入り口に「エスト! エスト!! エスト!!!」と書き残したのが、その名前の由来になったのだそうです。
このワインを手掛けるカンティーナ・ディ・モンテフィアスコーネという生産者協同組合では、1,000名近い会員が、収穫したブドウのうち、とくに良質なブドウを選別してワインづくりを行なっています。
ミネラルのような香り、素直で軽快な印象の白ワインで、デイリーワインにもぴったりです。軽めの前菜やサラダなどとよく合います。

香り豊かなシチリアワイン
紀元前7世紀ごろからワインづくりが行なわれていたというシチリア島。温暖な地中海性気候とエトナ山の火山灰土壌を活かし、個性的なワインが生産されています。
この『コルヴォ・ビアンコ』は、シチリアでもとくに有名な生産者であるドゥーカ・ディ・サラパルータによって、1824年の創業時よりつくり続けられている、華やかな香りとふくよかな果実味が特徴の白ワインです。
使用されているブドウ品種はボリューム感のある白ワインを生み出すインツォリアと、フローラルな香りと風味高さが特徴のグレカニコ。エビやカニなどの甲殻類や貝類を使った料理などと相性抜群です。

いきいきとした酸味の「ガヴィワイン」
アルプス山脈の麓にあるピエモンテ州でD.O.C.Gに格づけされる『ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ(「ガヴィ地区のガヴィワイン」の意)』。
ピエモンテ州の南東部に位置するガヴィ地区のコルテーゼというブドウ品種を使用してつくられるワインのみが、この「ガヴィワイン」を名乗ることができます。
そのなかでも19世紀からワインづくりを行なってきた歴史ある生産者、フォンタナフレッダが手掛けるこちらのワインは、コルテーゼの特徴でもある柑橘系のアロマといきいきとした酸味が感じられ、レモンを絞った白身魚のフライや生牡蠣などと抜群の相性です。
エスニック・中華とも相性がよいイタリアワイン
さっぱりとした香りと上品な甘さが感じられるワインです。バナナや熟したリンゴ、洋ナシ、黄桃のほか、オレンジの花のニュアンスも感じられます。
辛口ではありますが、優雅な甘さも持ち合わせているのがポイント。
食後のデザートのほか、ベトナム料理・中華料理との相性もよいです。さまざまな料理と合わせて楽しんでください。
料理と合わせて楽しみたいオーガニックワイン
白い花や白桃、トロピカルフルーツを思い起こさせる華やかな甘い香りが特徴のオーガニックワインです。まろやかな果実味とおだやかな酸味の奥に、わずかなほろ苦さを感じます。
すっきりとした味わいで、料理と合わせて楽しめるワインを探している人にぴったりです。ぜひ、パスタやピザはもちろん、シーザーサラダやカルパッチョなどと合わせて楽しんでください。
※Amazonは1本、楽天市場・Yahoo!ショッピングは12本の価格です。
「イタリア産白ワイン」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 白ワインの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの白ワインの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
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白ワインに合うイタリア料理
白ワインに合うイタリア料理は、ピッツァ・マルゲリータやアクアパッツァのほか、カプレーゼや魚介のフリットなど、実に豊富です。
ピッツァ・マルゲリータには、華やかな香りですっきりとした味わいのワインがよいでしょう。カンパーニャ州の土着品種・フィアーノ種を使ったワインはとくに相性がよいです。アクアパッツァは、魚を白ワインで蒸し煮にした料理。合わせるワインは、料理に使われたワインと同じような味わいのものがぴったり。
カプレーゼや魚介のフリットといった前菜には、軽やかでみずみずしい味わいの白ワインを選ぶのがポイント。軽やかな味わいの白ワインなら、次に飲むワインの味を邪魔しません。
食後のドルチェには、トスカーナ州でつくられている「ヴィンサント」という甘口ワインが適しています。
産地や品種などで飲み比べるのも楽しい ワイン専門家からメッセージ
高品質ながら手ごろな価格のものが多いイタリアの白ワイン。デイリーワインにもぴったりなので、ぜひ気になったものからお気軽に試してみてください。
もし気に入ったものがあれば、同じものをリピートするのもよいですが、同じ産地や同じブドウ品種、もしくは同じ生産者の別のワインを試してみるのもおすすめです。
ぜひ思い思いにイタリアの白ワインの魅力に触れてみてください。
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自分好みの逸品を探してみて
イタリアのワインとひと口に言っても、その味わいはさまざまです。濃厚でふくよかな味わいのものもあれば、みずみずしく軽やかな味わいのものもあります。それぞれの地方土着のブドウ品種を使ってつくられているワインも多いので、イタリアの白ワインを選ぶときは使われているブドウ品種にも注目してみましょう。
イタリアの白ワイン選びに迷ったときは、記事中で紹介した選び方のポイントや銘柄を参考に自分好みの銘柄を探してみてください。
カジュアルに楽しめる銘柄もたくさんあるので、イタリア料理と合わせて楽しみましょう!
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埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。 現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。