イタリア産白ワインの選び方 ワイン専門家が解説!
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関華子さんに、イタリア産白ワインを選ぶときのポイントを5つ、教えてもらいました。
ワインの個性を左右する産地から選ぶ
カンパーニャ州を代表する銘柄。
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
イタリアでは、国内の20の州すべてにおいてワインづくりが行なわれています。北はアルプス山脈の麓から、南は地中海に浮かぶシチリア島まで、多様な気候や土壌を活かしながら、産地ごとにさまざまな個性を持つ白ワインが生産されています。
このような産地ごとの個性(これをワイン用語で「テロワール」といいます)が楽しめるのも、イタリアのワインの大きな魅力のひとつです。そのため、ある程度ワインを飲み慣れている方は、ぜひ産地にも注目してみてください。
産地ごとの特色がつかめてきたら、いっそうワインが楽しくなりますよ!
アルプス山脈のふもと、ピエモンテ州
州都トリノのあるピエモンテ州は、イタリア半島から北ヨーロッパへ抜ける街道として発達しました。そのためピエモンテは文化的にもワインづくりにおいても、フランスの影響を受けています。
トスカーナと並んで、ピエモンテはプレミアムな価格帯の赤ワインの産地。コルテーゼからつくられたミネラル分たっぷりな「ガヴィ」や、非常に珍しい品種「エルバルーチェ」を使用した白ワインも逸品です。
ティレニア海に面したラツィオ州
イタリア中部、ティレニア海に面した州都ローマのあるラツィオ州。東にはアペニン山脈が連なっており、ワインの産地として知られるトスカーナ州やカンパーニア州にはさまれています。
ラツィオ州の白ワインに使われるおもな栽培品種は、マルヴァジーア・デル・ラツィオやトレビアーノ・ジャッロなど。ローマの郷土料理「サルティンボッカ」とよく合います。
「ソアーヴェ」を生むヴェネト州
イタリア北東部、水の都で知られる州都ヴェネツィアのあるヴェネト州。温暖な気候に加え、肥沃な大地に恵まれており、ワインの生産量はイタリア内でもきわだっています。
白ワインの「ソアーヴェ」でおもに使用されているのは、ヴェネト州地域固有の白ブドウ品種であるガルガーネガです。辛口でさわやかな味わいをリーズナブルな価格で楽しめます。
エトナ火山の恵みを受けるシチリア州
イタリア南部、エトナ火山をシンボルとするシチリア島は、標高の高い地域で地ぶどう栽培が盛んです。豊富な魚介類と一緒に味わえる白ワインの生産量が多いことでも知られています。
シチリア島独自の地形から生まれる白ワインは、ほかにはないクオリティを味わいたい人にぴったりです。しかも価格は控えめなのがポイント。食前・食後酒のマルサラでも知られています。
ワインの味わいに大きく影響するブドウ品種から選ぶ
トレッビアーノ品種のワイン。
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
ワインの香りや味わいは、原料となるブドウの品種にも大きく左右されます。
イタリアでもっとも栽培面積の広いブドウ品種はトレッビアーノという品種。軽くて飲みやすい白ワインを生み出す品種で、ワイン初心者にもおすすめです。
ほかにも数多くの品種のブドウが栽培されているので、普段からワインを飲み慣れている方は、お気に入りのブドウ品種のものを選んだり、あえて未開拓のものを試すなど、ブドウ品種から選ぶというのもよいでしょう。
合わせる料理から選ぶ
エビ、カニ、貝類を使った料理と合います。
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
ワインと食事の相性がよいことを、フランス語で「結婚」を意味する「マリアージュ」と呼ぶように、ワインは料理との相性も重視されるお酒です。
というのも、料理とワインの相性がよければ、お互いにその持ち味を引き立て合ってくれるので、どちらもよりいっそうおいしく味わえるからなのです。
ここで紹介するおすすめのワインには、それぞれの相性のよい料理も紹介しているので、ぜひ料理と合わせることもイメージしながら選んでくださいね。
地元で収穫したぶどうから醸造されたワインは、郷土料理ともよく合います。イタリア郷土料理とのマリアージュも満喫しましょう。
ワイン法における格づけや表示から選ぶ
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
イタリアでは、ワイン法の規定により、ワインの品質に応じて格づけが定められています。
従来の格づけでは、上から順に、D.O.C.G.、D.O.C.、I.G.T、V.d.T.の4等級に分類されていましたが、2010年5月から施行された新しいワイン法では、D.O.C.G.とD.O.C.がD.O.P.に統合され、I.G.TがI.G.P.、V.d.T.がVinoに変更されました。法律は改正されたものの、現在でも従来どおり、ワインにD.O.C.G.やD.O.C.、I.G.Tと表示されているものもあります。
そのため、このような格づけもワイン選びをする際のひとつの目安となるでしょう。
【参考】イタリアワインの格づけ
D.O.Cに格付けされるワイン。
V.d.T.(Vino da Tavola)……テーブルワインを指し、等級としては一番下。
I.G.T.(Indicazione Geografica Tipica)……地理特性表示ワインのこと。生産地の名前を利用する際にその地域のブドウを少なくとも85%以上は使用することが義務づけられる。
D.O.C.(Denominazione di Origine Controllata)……統制原産地呼称ワイン。生産地、栽培方法、ブドウ品種、最大収穫量、最低アルコール度数、熟成方法などを、規定どおりに生産過程をふまなければならない。瓶詰めの前に、必要条件を満たしているかの審査、化学・物理検査が商工会議所によって行なわれる。
D.O.C.G.(Denominazione di Origine Controllata e Garantita)……保証付き統制原産地呼称ワイン。イタリアワインの格づけの中で一番厳正な規定が設けられている。申請の前に少なくとも5年間、D.O.C.のカテゴリに属していなければならず、農林省、商工会議所の化学・物理検査を受け、ひとつひとつのボトルには政府が認可(ガランティータ)したことを証明するシールが貼られる。
つくり手から選ぶ
フォンタナフレッダ『ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ』
伝統と革新の両立に取り組んでいます。
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イタリアは世界でもっともワインの生産量が多い国で、全国でワインの生産が行なわれていることもあり、それだけ多くのワインのつくり手が存在します。
つくり手ごとにブドウの栽培方法や醸造方法などが異なるため、たとえ同じ地区の同じ品種のブドウからつくったワインであっても、つくり手が異なればそのワインの個性もがらりと変化するのです。
ある程度ワインに習熟されている方は、つくり手の歴史や取り組みなどにも目を向けながらワインを選ぶと、よりワインへの理解を深めることができるでしょう。
イタリア産白ワインおすすめ6選 伝統的なワイン作り、軽快な白ワインなど
ここまでに紹介したイタリア産白ワインの選び方のポイントをふまえて、日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの石関華子さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

マストロベラルディーノ『ラクリマ・クリスティ デル・ヴェズーヴィオ ビアンコ』

出典:楽天市場
内容量 | 750ml |
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ブドウ品種 | コーダ・ディ・ヴォルペ |
原産 | カンパーニャ州 |
テイスト | 辛口 |
伝統的なワインづくりで安定感がある
「キリストの涙」を意味する『ラクリマ・クリスティ』。
カンパーニャ州を代表する銘柄のひとつで、その昔、イエス・キリストがこの地のヴェスービオ山の噴火を嘆き、涙を流した場所からブドウの樹が生い茂ったという伝説が由来となっています。
そのなかでもとくにおすすめなのが、カンパーニャ州の伝統的なワインづくりを何世代にもわたって貫き通してきたマストロベラルディーノが手掛けるこちらのワインです。
この地に古くから存在する酸味の豊かなコーダ・ディ・ヴォルべというブドウ品種が使用され、グレープフルーツのようなさわやかな香りと清々しい味わいが特徴的。
魚介のマリネやカプレーゼなどと相性が良好です。

メリーニ『エスト! エスト!! エスト!!! ディ・モンテフィアスコーネ』

出典:Amazon
内容量 | 750ml |
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ブドウ品種 | トレッビアーノ、マルヴァジーア・ビアンカ、ロッセット |
原産 | ラツィオ州 |
テイスト | 辛口 |
中世の伝説に由来する軽快な白ワイン
D.O.Cに格づけされるラッツィオ州の有名な銘柄のひとつで、12世紀にこの地のワインに感銘を受けた旅の行者が、あとから来る司教のために居酒屋の入り口に「エスト! エスト!! エスト!!!」と書き残したのが、その名前の由来になったのだそうです。
このワインを手掛けるカンティーナ・ディ・モンテフィアスコーネという生産者協同組合では、1,000名近い会員が、収穫したブドウのうち、とくに良質なブドウを選別してワインづくりを行なっています。
ミネラルのような香り、素直で軽快な印象の白ワインで、デイリーワインにもぴったりです。
軽めの前菜やサラダなどとよく合います。

ドゥーカ・ディ・サラパルータ『コルヴォ・ビアンコ』

出典:Amazon
内容量 | 750ml |
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ブドウ品種 | インツォリア、グレカニコ |
原産 | シチリア州 |
テイスト | 辛口 |
香り豊かなシチリアワイン
紀元前7世紀ごろからワインづくりが行なわれていたというシチリア島。温暖な地中海性気候とエトナ山の火山灰土壌を活かし、個性的なワインが生産されています。
この『コルヴォ・ビアンコ』は、シチリアでもとくに有名な生産者であるドゥーカ・ディ・サラパルータによって、1824年の創業時よりつくり続けられている、華やかな香りとふくよかな果実味が特徴の白ワインです。
使用されているブドウ品種はボリューム感のある白ワインを生み出すインツォリアと、フローラルな香りと風味高さが特徴のグレカニコ。
エビやカニなどの甲殻類や貝類を使った料理などと相性抜群です。

グランサッソ『トレッビアーノ・ダブルッツォ』

出典:Amazon
内容量 | 750ml |
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ブドウ品種 | トレッビアーノ |
原産 | アブルッツォ州 |
テイスト | 辛口 |

イナマ『ヴィン・ソアーヴェ ソアーヴェ・クラシコ』

出典:Amazon
内容量 | 750ml |
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ブドウ品種 | ガルガーネガ |
原産 | ヴェネト州 |
テイスト | 辛口 |

フォンタナフレッダ『ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ』

出典:Amazon
内容量 | 750ml |
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ブドウ品種 | コルテーゼ |
原産 | ピエモンテ州 |
テイスト | 辛口 |
いきいきとした酸味の「ガヴィワイン」
アルプス山脈の麓にあるピエモンテ州でD.O.C.Gに格づけされる『ガヴィ・デル・コムーネ・ディ・ガヴィ(「ガヴィ地区のガヴィワイン」の意)』。
ピエモンテ州の南東部に位置するガヴィ地区のコルテーゼというブドウ品種を使用してつくられるワインのみが、この「ガヴィワイン」を名乗ることができます。
そのなかでも19世紀からワインづくりを行なってきた歴史ある生産者、フォンタナフレッダが手掛けるこちらのワインは、コルテーゼの特徴でもある柑橘系のアロマといきいきとした酸味が感じられ、レモンを絞った白身魚のフライや生牡蠣などと抜群の相性です。
「イタリア産白ワイン」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 白ワインの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの白ワインの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ワイン専門家からメッセージ
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
産地や品種などで飲み比べるのも楽しい
高品質ながら手ごろな価格のものが多いイタリアの白ワイン。デイリーワインにもぴったりなので、ぜひ気になったものからお気軽に試してみてください。
もし気に入ったものがあれば、同じものをリピートするのもよいですが、同じ産地や同じブドウ品種、もしくは同じ生産者の別のワインを試してみるのもおすすめです。
ぜひ思い思いにイタリアの白ワインの魅力に触れてみてください。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
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※2020/12/17 コンテンツ修正のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 平野慎也)
埼玉県出身、高知県在住。一児の母。慶應義塾大学文学部仏文科卒。三越日本橋本店の洋酒担当を経てワインやビール、ウィスキーなどの洋酒全般の知識を培い、2016年、J.S.Aワインエキスパートの資格を取得。 現在はOffice Le Lionの代表として、高知県内のワイナリーのアドバイザーやワイン検定の講師を務める一方、ワインに関連する記事やコラム等の執筆も多数手がけています。2019年、日本ソムリエ協会高知支部副支部長に就任。