ポップガードの効果とは リップノイズをカット!
ポップガードはナレーションやボーカルなど、音声の録音をおこなう際に、ポップノイズやリップノイズを軽減するために使われるアイテムです。
このポップノイズやリップノイズとは、主にパ行を発生するときに目立ちます。そのまま録音すると、耳障りな音も録音されてしまいますが、ポップガードがあればカットしてくれます。
さらに、ノイズの除去だけでなく、呼吸に混じる湿気やツバからマイクを守る効果もあり、コンデンサーマイクのようなデリケートなマイクを使っている場合、準備しておきたいアイテムです。
マイクは空気振動を電気信号に変える変換器。しかし、声だけがマイクが拾う空気振動ではありません。エアコンからの風や人間の息等も空気振動の一種。これらも一緒に収録されてしまいます。
こういった環境では再生時に『ボコッ』『フー』というようなノイズも一緒に収録されてしまいます。それを防ぐのがポップガード。
人間の声には100Hz以下の低音はほとんど含まれていないため、100Hz以下をカットする素材でマイクを覆うことで、余分な音がカットされ声だけがクリアに収録できるようになります。
ポップガードの選び方 音響機器のプロがおすすめする
まずは用途を確認。歌の録音やトーク配信など、用途によって素材によるコストを抑えられるかもしれません。そのあとに使用環境に合わせた設置方法やメンテナンスのしやすさなどをチェックしておきましょう。
使用する音源や環境に合わせて素材を選ぶ
ポップガードには網の目が粗い金属製と目がこまかなナイロンや布製のものがあります。使用する音源や環境によって使い分けることが必要です。
ブレス音除去メインならローコストの「ナイロン・布製」
ナイロンや布製のポップガードは、網の目がこまかく、人間の息のように大きな空気振動を軽減させる場合の使用に最適です。しかし、布やナイロンは高音を吸収する性質があるため、高い音を発する楽器には不向き。
ナイロンや布製のポップガードでは網の部分を取り換えられるものもあります。数年から10年程度で取り換えるといいでしょう。
高音域重視なら洗って使える「金属製」
一般的な金属製のポップガードは網の目が粗く、人間の息の音を大きく減少させることはできません。半面、高域特性がいいため高い音でもロスなく通過させることができます。そのため、人間の声よりも高い周波数で演奏される楽器等に使用されることが多いようです。
またメンテナンスもかんたんで、ウェットティッシュで拭く程度でOKです。
マイクに合った設置方法で種類を選ぶ
マイクの形状と寸法によって取りつけ方法が異なります。マイクスタンドにはさむだけでいいものから、ネジ止めが必要なもの、取りつけ用のアダプターや金具が必要になるものなど、さまざまなタイプがあります。
かんたんに取り付けられる「クリップ式」
クリップ式は手持ちマイクやマイクスタンドの支柱にはさみ込める大きさのクリップがついています。手持ち用のマイクで暫定的に収録する際には手軽に使用できて便利。その半面こまかな位置の調整には限界があります。
常時固定して使用するというよりは簡易的なもの、一時的なものと考えた方がいいでしょう。
ネジでしっかり固定する「クランプ式」
クランプ式はマイクスタンドの支柱にネジを使って固定する方式です。ポップガードがしっかりと固定されますし、音源との距離や向きをこまかく調整することができます。日常的につけ外しを行なうような構造ではないので常用の固定マイクでの使用に向きます。
最近のラジオ局ではパーソナリティの目の前に大きなマイクがあることでゲストとの会話をしにくくなるので、カゴ型は減りクランプ式が多くなってきています。
マイクに直接取り付ける「カゴ式」
レコーディングスタジオでも使用されている本格的なもの。クランプ式のポップガードが一方向にのみ効果があるのに対して、より広い角度からの音源に対して効果があります。
カゴ式のポップガードは、使用するマイクの形状や大きさによって最適なものを選択する必要があります。マイクによってはオプション別売りされている専用のポップガードしか使用できない場合も。また、その多くは高価な傾向があります。
使用環境やマイクに合わせて選ぶ
マイクによっては特定のポップガードしか使用することができなかったり、思ったような効果がでない場合もあります。また、同じマイクを使用していても使用環境が変われば、ベストのポップガードも変わってきます。初心者の方には使用しているマイクメーカーが別売りしているポップガードが無難かもしれません。
しかし、お気に入りのマイクとすぐれた他社製ポップガードを組み合わせることにより、さらに高性能な収録システムになることも。録音機材選びも楽しみのひとつです。
カバーの大きさに注目
マイクの形状によっては大きめのポップガードを選ぶ必要があります。
また、カゴ型のポップガードは特定のマイクを想定して設計されているものが多く、現在使用しているマイクに適合するかをじゅうぶんに確認しなければなりません。確認ができない場合はメーカー発売のオプションを使用するのが無難です。
マイクとの距離にも気をつける
マイクとポップガードの距離は近すぎると効果がなくなり、離れすぎると音声のレンジが狭くなるので2〜10cm程度の適切な距離で使用しなければなりません。
ポップガードを使用した状態でマイクにわずかに息を吹いてチェックしてみましょう。決してマイクに大きく息を吹きかけないでください。
メンテナンスのしやすさも要チェック
ポップガードは余分な空気振動を減少させるだけでなく、飛沫からマイクを守るという役割もあります。ウェットティッシュで拭くことができるかどうか、丸洗いできるかどうかも重要なポイントです。
ナイロン製や布製のポップガードの場合、その寿命は数年から10年程度といわれています。網部分だけを交換するのか、本体交換なのかもチェックのポイントです。
ポップガードのおすすめ9選 ボーカルマイクに最適、プロ仕様など
ここからは、ポップガードのおすすめ商品を紹介します。さまざまな用途に合わせた素材のものを厳選したので、環境に合うものを見つけてみてください。

指向性のあるコンデンサーマイクに
一般的な手持ちマイクではなく、レコーディングなどに使用される本格的なコンデンサーマイクに使用されるポップガードです。この種のポップガードに使用するマイクは音源に対して平行にして収録するので、マイクの横側が網部分になるように取りつけます。
金属製で高域特性もよく、とくに楽器に使用するのに最適です。

高域特性に拘ったパンチングメタルのポップガード
マイクスタンドの支柱に付属のネジで取り付けるクランプ式。パンチングメタルといわれる小さな穴がたくさん開いている金属板を使用しています。
パンチングメタルは穴の大きさや密によって数多くの種類がありますが、本製品は網の目がこまかいパンチングメタルを使用しているため、人間の息にも効果的。しかも高域特性がよく、ボーカルから楽器用まで幅広く使用できます。

ボーカルマイクに最適
手持ちマイクをマイクスタンドに取りつけた状態でボーカル用として使用する場合に最適なポップガード。人間の息にもっとも効果があると言われているナイロン製です。
また、ナイロン製は網の目がとてもこまかいため水分の付着に弱いマイクに飛沫が飛ぶことを防止することにも役立ちます。直径150mmで、代表的なダイナミックマイクに合うサイズとなっています。

シュアーのコンデンサーマイクに
多くのシンガーに愛用されているボーカル用マイクSM-58で有名なアメリカのシュアー社のポップガード。同社のコンデンサーマイクに使用するためのオプションとして発売されているものですが、汎用性が高く、他社のマイクに組み合わせて使用することもできます。
とてもベーシックな構造のボーカル収録用のポップガードです。

プロ用機材で有名なAKGのポップガード
オーストリアを拠点とし、ドイツやスイスでも人気のアーカーゲーのポップガード。アーカーゲーはマイクだけでなくヘッドホンやミキサーの技術を有するプロオーディオのトップブランドです。
このポップガードはとてもベーシックなもので汎用性が高く、多くの場合満足のいく製品ですが、そのぶんややハイコストになります。

特殊なパンチングメタルを使用
網の直径が15cmの大きなポップガード。金属製の網を使用しています。一般に金属製のポップガードは人間の息のように大量の空気が通るものには不向きといわれています。
ですが、このポップガードは空気の流れを下向きに変えるような穴があけられており、人間の声を高い周波数まで減衰させることなく使用することができます。使用時はマイクとポップガードの間を5cm程度に設定する必要があります。

Blue Yetiマイク用に特化された設計
汎用的なポップガードではなくBlue Yeti のマイク用に特化された設計です。網部分は布製で二重になっており、人間の息に対する効果は強力です。
コンデンサーマイクは金属が蒸着(じょうちゃく:蒸発させて付けること)された薄い樹脂の膜を振動板としているため飛沫に弱く、故障の原因になることもありますが、このポップガードは2枚の布で飛沫の侵入を防ぎます。

床からの振動にも強い
ボーカル収録用コンデンサーマイクに比較的多い寸法である直径46mmから53mmのコンデンサーマイク用に特化したポップガードです。
マイクがゴム紐によって中空に浮いているような構造で、人間の息のほかをポップガードで減衰させるほか、床からの振動をも軽減させることができます。手持ちマイクや角型のマイクには使用することができません。

ボーカルブースがないバンドのボーカル収録に
風防タイプのポップガード。音源方向以外から発せられる音を減少させることができます。いくつかの楽器とボーカルを同じ部屋で同時に収録する場合に、ほかの楽器の音が混入しにくくなります。
マイクの径が38mm~70mmのコンデンサーマイクに使用することが可能です。手持ちマイクや角型のマイクには使用することができません。
「ポップガード」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ポップガードの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでのポップガードの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
自作ポップガードの作り方 100均で購入できる道具で作る!
■用意するもの
・輪ゴム
・ストッキング
・カス揚げ
■作り方
①カス揚げにストッキングを被せる
②輪ゴムでストッキングをとめる
③ストッキングの邪魔な部分をハサミなどで切る
これだけでかんたんに作ることができます。しかし、当たり前ですが、自作よりも売られている商品の方が段違いで性能がいいので、その場しのぎとして使ってみたほうがよさそうです。
ポップガードに関するQ&A よくある質問
ポップガードとは?

マイクを使ったレコーディング中に、破裂音や息によるノイズを軽減する器具です。
お手入れ方法は?

金属製の場合は、水で洗い流すか、しつこい汚れは中性洗剤を30倍に薄めて洗い流します。布製の場合は、布の部分を外して手洗いで汚れを落とし、陰干しします。
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音響機器メーカーの代表から一言
ポップガードは目的によって、最適な形状・材質が異なります。スピーチ、ボーカル収録、楽器収録がおもな目的となると思いますが、スピーチに該当する動画配信サイトで使用する場合は人間の息に対して効果の高いナイロンのポップガードがおすすめ。
将来マイクを変更する場合も考えて、汎用性の高いものを選択しておくといいでしょう。
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専門は音響アンプの電子回路設計。筐体設計。真空管回路設計。2005年音響機器を開発・製造・販売する会社を設立。国内はもとより、欧州を中心に37ケ国に輸出。 2007年プロオーディオ事業、2013年ログハウス事業、2015年コンサート企画運営事業を開始。2018年から新規事業としてロシア製軍用時計の輸入を始める。その後、数ケ国の機械式腕時計や懐中時計をラインナップ。 2008年よりFM岐阜の長寿番組である『ムジカスタイル』(毎週木曜18:30~)のナビゲーターに。コラム等の執筆多数。総アクセス数370万を超えるブログは、現在も100万アクセス/年のペースで進行中。 ローカル鉄道養老鉄道支援組織『乗って残そう揖斐養老線実行委員会』会長。大垣ケーブルテレビ番組審議委員。