介護シャワーチェアとは? 介護者に安全な入浴を!
「見守ってもらえるのはありがたいけれど、ひとりで入浴できたらもっといいのに」「転倒がこわいから入浴するのがおっくうになっている」こんな悩みをもっている人にピッタリなのがシャワーベンチと呼ばれることもある、介護シャワーチェアです。
特定福祉用具のなかの入浴補助用具にあたり、介護保険で購入することもできます。介護予防や転倒防止のためにも、はやめに用意をするといいでしょう。
利用者の介護度別の種類・タイプ
体の機能のなかで、できることとできないことを考慮して介護シャワーチェアを選ぶことが大切です。ここでは、どんなタイプの介護シャワーチェアが販売されているのかみていきましょう。
▼背なしタイプ:座った姿勢が安定する人向け
自分で座ったままの姿勢をたもてる人は、コンパクトな背なしタイプの介護シャワーチェアがいいでしょう。場所をとらないので、移動するスペースを確保できない場合にもピッタリ。
座面ボードにハンドルがついているタイプなら、立ちあがりや座った姿勢をたもつときに便利です。風呂イスより座面は広く、高さもあり、すべりにくい素材を使っているので、快適に入浴できます。
▼背もたれつき:腰の筋肉が弱っている人向け
フラつきはないものの腰の筋肉が弱っているために、体を支えるサポートがあったほうが座りやすい人は、背つきを選びましょう。背つきは背中にフィットするタイプと、背もたれが低めに設計されているタイプの2種類があります。
一般的に猫背と呼ばれる円背(えんぱい)の人は、低めのタイプを選ぶと背骨の凸部を気にせず深く腰をかけることができます。
▼ひじ掛けつき:フラつきがある人向け
ひじ掛けは座位をたもち、立ち上がりをサポートしてくれるため、フラつきがある人にとっては、とても便利な介護シャワーチェアです。 ひじ掛けは、固定タイプとはね上げタイプがあり、はね上げタイプだと、浴槽への移乗がらくで入浴時に介助をしてもらいやすくなります。
足腰が弱って中腰姿勢が難しい人や、片まひや虚弱な人にとって、必須のアイテムです。
▼U字型座面:立ったり座ったりの動作が難しい人向け
体がフラつくと、立ったり座ったりといった動作が難しい場合があります。そこで、入浴中の転倒のリスクを防ぐために便利なのが、U字型座面です。立ち上がらなくても座ったままで、U字型部分にシャワーヘッドをあてて局所を洗うことができます。
介護をする人も、介護を受ける人にとっても負担が少なくなる介護シャワーチェアです。
介護シャワーチェアの選び方
それでは、介護シャワーチェアの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の3つ。
【1】座面の高さを調整できるか
【2】お尻が痛くならないかどうか
【3】折りたたみできるか
上記の3つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】座面の高さを調整できるかチェック
介護シャワーチェアの座面の高さ選びは、らくな立ち上がりや座った姿勢を保持するためにとても大切です。体の調子は日々変化しているので、快適だと感じる高さが変わることもあります。
両親へのギフトとして贈る場合には、事前に高さをはっきり決めることが難しいものです。高さを調節できるタイプはとても便利なので、選ぶときにチェックしてみてください。
【2】お尻が痛くならないかどうかチェック
座面がやわらかくヒンヤリしない、ソフトパッドを使っているタイプもあります。固い座面に座るのが苦手な人は、ぜひ肌ざわりのいいソフトパッドつきを選んでみてください。
ソフトパッドつきの介護シャワーチェアだと、おっくうに感じていた入浴時間が快適になります。お手入れがしやすいよう、ソフトパッドは取り外せるものを選ぶといいでしょう。
【3】折りたたみできるかチェック
介護シャワーチェアを購入するときは、浴室の洗い場の大きさや扉の開き方も考えてサイズを選ぶことが大切です。浴室内で移動できるじゅうぶんなスペースがないと、転倒などの原因になりかねません。
介助者がいる場合は、2人が移動できるスペースが必要です。浴室がせまい場合は、コンパクトタイプや折りたたみ式を選ぶといいでしょう。
エキスパートのアドバイス
シャワーチェアは、浴室で滑りにくく安定感があり、扱いがかんたんなものがおすすめです。座ったままでも局所が洗いやすいU字型の座面だと、介護される人が立たなくてもよいのがポイント。座面や背もたれの高さや角度が調節できるものも便利に使用できます。
また、イス自体の重さが軽いものやコンパクトに折り畳めるタイプのものは、準備や片づけがかんたんなため介護者の負担が軽くなるでしょう。
介護シャワーチェアおすすめ12選
▼おすすめ商品の比較一覧表
▼背なしタイプ
浴室内に圧迫感を与えないコンパクトタイプ
シール式のクッションマットがついているので、ひんやり感が苦手な人も快適に使える介護シャワーチェア。座面には穴があいているので水きれがよく、手入れがしやすいため清潔に使えます。
軽くて取り扱いしやすいアルミニウムフレームの脚部には、座面の高さを7段階で調節できるボタンつき。幅広い体格の人に対応できるすぐれものです。
座面クッションはすべりにくいドットパターンを採用
丸い突起状のエンボス加工がほどこされた座面クッションは、ほかでは見ないユニークな仕様。すべりにくく、快適な座り心地の介護シャワーチェアです。クッションは、手入れがらくなはめ込みタイプのEVA樹脂を使用し、いつも清潔に使えるのがポイント。
4本の脚の広がり角度や、工夫された脚先ゴムのおかげで倒れにくいデザインのため、ゆったり座れます。
▼背もたれつき
大きな座面の左右に、立ち上がりに役立つ持ち手つき
とても大きな座面と背もたれで、使う人の体をしっかりサポート。ゆったりワイドな座面は、清潔感のあるホワイトカラーなので、おしゃれな雰囲気が漂っています。
実用的な持ち手が座面の左右についているので、立ち上がりや座位をたもつために使用できて便利です。使用にあたっては組み立てが必要なので、家族が手伝ってあげましょう。
小柄な人に合う最小座面高さ28cmのミニチェア
小柄な人のために設計された介護シャワーチェア。最小座面高さ28cmなので、小さな体でもしっかり座ることができます。白内障などの視力に疾患のある人は、ボンヤリとしか見えていないため、この赤のようなはっきりしたカラーを選ぶことが大切です。
小柄な家族のために合う介護シャワーチェアを探している人は、ぜひ検討してみてください。
骨盤をサポートする座面と背もたれで背筋が伸びる
骨盤をしっかり保持する介護シャワーチェア。浴槽の壁に横づけできるため、座ったまま浴槽またぎが可能に。背筋がスッと伸びる座面と背もたれのおかげで、体を洗ったり、浴槽をまたいだり、立ち座りなどの動作がスムーズにできます。
座面と背もたれのやわらかいクッション素材が体圧をしっかり分散するので、快適な座り心地を求めている人にピッタリです。
折りたたみ幅が20cmで、コンパクト収納が可能
背もたれが低いローバックタイプの介護シャワーチェア。猫背と呼ばれる円背の人がとても座りやすいタイプです。背骨の凸部が背もたれにあたり深く座ることができない人は、ローバックタイプを試してみてください。
ほかにもメリットとして、大きな背もたれに邪魔されることがないので、背中をしっかり洗えることがあげられます。コンパクトな形状なのでせまい浴室でも活躍してくれるでしょう。
座面の左右には姿勢保持に役立つ波型の持ち手つき
ポップな明るいカラーが魅力の、すべりにくい足ゴムがついたコンパクト設計の介護シャワーチェア。浴槽壁の真横に置いて使えば、浴槽またぎがスムースにおこなえます。やわらかパッドは外して洗えるため、いつも清潔。
介護シャワーチェアには見えないカラーとデザインで、家族みんなで使える風呂イスを探している人にもおすすめです。
▼ひじ掛けつき

島製作所のシャワーチェアは、アルミ製で軽いです。折り畳めて扱いがかんたんな商品を探している人におすすめ。
コンパクトに折りたたんだ状態で自立するすぐれもの
軽量で衝撃に強いEVA樹脂を使っています。座面と背もたれ部分は取り外し可能。脚についたゴムキャップも外せるので、お手入れがかんたんで清潔にたもちやすい介護シャワーチェアです。
本体はアルミ製で約3kgと軽量なので、できるだけ軽いものを探している人にぴったり。入浴時間が楽しくなるような鮮やかなカラーもポイントです。

イーストアイのシャワーチェアは、座面が幅広く、体格がよい人でも利用できる商品です。折り畳むとコンパクトで操作もかんたんです。
大柄な人でもゆったり座れる、ひじかけ内寸54cm
ワイドな座面は、おしりをしっかりホールドする座面形状型なので、すべらずゆったり座れます。やわらかなひじ掛け部分は、座面のさらに外側に装着されているので、ひじかけ内寸は54cmと幅広いのが特徴です。
大柄な体格の人が、体をゆだねられる介護シャワーチェアを探しているならぴったり。組み立てには工具は必要ないので、かんたんに設置可能です。
ゆったり座れる座面には防カビ「ユクリア」加工済み
ワンタッチで折りたたみできるので、ひとりで入浴する人にやさしく介助者の負担も軽減できる介護シャワーチェア。背もたれレバーを握るだけ、チェアのうしろ脚起点でもかんたんに座面を閉じることができます。
片手で座面をワンタッチ開閉できるので、腰を曲げる必要がないのがポイント。かんたんに折りたためるチェアを探している人にぴったりです。
大きすぎずやわらかくて使い心地のいいひじ掛け
ひじ掛け部分がコンパクトで、介助者が洗いやすい設計の介護シャワーチェア。ひじ掛け部分、座面、背もたれはやわらかいクッションパッドを使用しているので、やさしい使い心地です。
コンパクトに折りたため自立するので収納しやすく、取り扱いやすい軽量設計。座面と背もたれは外せるのでお手入れもかんたんで、快適に使えます。
▼U字型座面

アクションジャパンのシャワーチェアは、U字型の座面で背もたれの角度が調節できます。介護される側もする側も負担が少ないため、入浴介助の初心者におすすめの商品です。
背もたれをうしろに倒せるので背中を洗いやすい
らくに局所を洗える、U字型座面の介護シャワーチェア。かんたんに背もたれを後ろに倒せるので、背中も洗いやすく介助者の負担をやわらげてくれます。座面の奥ゆきいっぱいに取りつけられたひじ掛けのおかげで、立ったり座ったりの動作をらくにおこなえるのが特徴。
体がフラつく人が、入浴するチャンスを広げてくれる介護シャワーチェアです。
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 介護シャワーチェアの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの介護シャワーチェアの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
いきなり購入が不安な方はレンタルもおすすめ
介護保険制度の認定を受けていれば、購入金額の1割または2割負担で購入できます。ただし、特定福祉用具の指定を受けた事業者からでないと適応されません。指定を受けていない事業者から購入した場合は全額負担になります。
いきなり購入するのは不安だな。。。という人は、介護用品の専門レンタルショップなどで、実際に試してみたいイスをレンタルすることもできます。レンタル日数に応じてレンタル料が変わります。信頼のあるレンタル業者を探すことも必要です。アルコール消毒や殺菌がきちんとされているか、サイト内に記載があるレンタル業者にしましょう。
介護シャワーチェアは介護保険で購入できる
介護用品は「特定福祉用具」に指定されているため、購入後に役所へ申請すれば購入費用の一部を負担してもらえます。とくに、要介護や要支援の認定を受けている場合は、役所に申請して費用を負担してもらうほうが経済的です。ケアマネージャーなどがいる場合は相談してみましょう。ただし、ネット通販での購入は支給対象外になるケースがほとんどなので、給付の申請をする場合には注意が必要です。
自力で入浴が難しい場合は入浴用車椅子の検討も
お風呂に入浴するまでに、脱衣所で服を脱いだりする必要があります。要介護者にとっては、この何気ないひとコマもとてもしんどい動きになる可能性があります。要介護者のレベルによっては、入浴用車椅子を使うことで、脱衣所から入浴までをスムーズにしてくれるでしょう。下記リンクをチェックしてみてくださいね。
転倒を防ぐ浴室用手すりはこちら!
入浴用車椅子から立ち上がるときに注意したいのが転倒です。入浴後は浴室の床が濡れているため、気をつけていても滑って転倒してしまう危険があります。
そこで、しっかりと掴んで移動できる浴室用手すりの導入も検討してみましょう。リンク先では、11種類の浴室用手すりと選び方を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
【関連記事】介護に役立つおすすめ商品をご紹介
まとめ
介護シャワーチェアは、立ち座りや座位姿勢を保持できるようサポートしてくれます。足腰の弱った人や、体がフラつく人に向けたデザインですが、家族みんなで使っても問題ありません。視覚の能力が加齢とともに落ちるため、年配の家族にはとっさのときにすぐに反応できる赤色を選ぶといいでしょう。
今回は看護師の河井恵美さんに聞いた介護シャワーチェアの選び方や、編集部も一緒に選んだおすすめ12選を紹介しました。歳を重ねても快適に入浴できるアイテムを見つける参考にしてみてください。
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看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務していました。助産師の仕事が大好きで、25年以上この仕事をしています。 青年海外協力隊でアフリカに赴任した後、国際保健医療を学ぶために大学院に進学し、修了しました。親御さん方へのアドバイスを充実させたいと思い、保育士資格も取得して役立てています。 現在、シンガポールに住み2人の子どもを育てつつ、現地の産婦人科に勤務して日本人の妊産婦さん方に関わっています。 インターネットでエミリオット助産院を開設し、妊娠や出産、産後の様々な相談に応じています。