介護歩行器とは シルバーカーとの違い
自立歩行が困難な方が使用する「介護歩行器」。キャスターがついたタイプは「歩行車」とも呼ばれています。歩行器・歩行車は、筋力低下や足腰に強い痛みを感じる方が使う補助器具。
歩行にとくに問題がない方が、荷物を運びやすくするためや、座るために使う「シルバーカー」とは異なるので注意が必要です。
介護歩行器を使うメリット 足腰の負担を軽減し歩行をサポート
歩行器を使うことで得られるメリットは大きくふたつあります。まず、足腰にかかる負担を軽減すること。足腰に痛みをかかえている方や、筋力が低下している方が、歩行器に軽く体を預けることにより体重が分散されます。その結果、身体の弱った部位にかかる負担をやわらげてくれるのです。
次に、体のバランスを整えることで安定した歩行をサポートすること。高齢者の方は運動能力や反射速度が低下しているため、歩行中ふらつきがちです。歩行器を使うと体重を支える面積が広がり、姿勢が安定します。姿勢が安定するとふらつきが減り、歩きやすくなるのです。
介護歩行器の選び方 種類やサイズは身体状況や目的を考慮して!
歩くことを助けてくれる便利な歩行器ですが、たくさんの種類やサイズがあるため、どれを選ぶのが正解なのかわかりづらいですよね。
歩行器を選ぶポイントは、ふたつ。まずは、どう使いたいのか目的をはっきりさせること。次に、使う方の身体状態に合わせて選ぶこと。
このふたつのポイントをおさえれば、使う方にも介助する方にも快適な一台が選べるでしょう。
使う場所と目的に合わせて種類を選ぼう
おもに室内で使うのか、外出時に使うのかで選ぶ歩行器は変わります。屋内用は、段差が少ない場所での歩行を助けるように設計されています。狭い廊下やトイレでも使えるように工夫されているものも多いです。
一方、外出で使う場合は「屋外用」か「屋内・屋外両用」の歩行器を選びます。4つのキャスターがついた四輪歩行器と呼ばれるタイプで、大きな車輪のものなら多少の段差は乗り越えられます。荷物を運ぶための収納がついたものや、買いものカゴを乗せられるものなど、生活に合わせて選べます。
また、歩行器の収納サイズも確認しておきましょう。車に乗せることがあるなら、車に乗せやすい収納サイズ・重さをチェックします。
左右のフレームを交互に動かして進む「交互式歩行器」
左右のグリップを交互に動かして歩行する屋内用歩行器です。1歩ずつ歩行を確かめながら進む、室内でのリハビリに適しています。
「固定式歩行器」と違い、つねに歩行器の脚が床についた状態になるので、より姿勢が安定しやすいでしょう。体のバランス感覚が衰えていると、左右に腕を動かしながら足を出すタイミングをはかるのがむずかしい場合もあります。
腕の力で持ち上げて進む「固定式歩行器」
左右の手でグリップを握り、本体を持ち上げながら前に進む屋内用歩行器です。ゆっくりと1歩ずつステップを確かめながら歩くことができるので、足腰の痛みで連続した歩行が困難な方に適しています。
固定式歩行器は本体を持ち上げる必要があるため、腕の力が必要。腕の筋力が弱っている高齢者には、使いこなすのがむずかしい場合もあります。歩行器を持ち上げる腕の力がない方は、この後ご紹介する「前輪つき固定式歩行器」を選ぶといいでしょう。
腕の力が弱くても進める「前輪つき固定式歩行器」
前の2脚にキャスターがつき、「固定式歩行器」より軽い力で動かせる屋内用歩行器。
後ろの2脚を持ち上げながら、前のキャスターを動かして歩きます。歩行中、前のめりに倒れないように、グリップに体重がかかるとキャスターのストッパーが作動するしくみです。
前輪歩行器よりもさらに小さな力で動く「屋内用四輪歩行器」
4脚すべてに車輪がついた屋内用歩行器。歩行器のなかに体を預けるようにして立って使います。
「前輪つき固定式歩行器」よりもさらに軽い力で動かすことができ、キャスターのおかげで方向転換もラク。ただし動かしやすい反面、前のめりになりやすいので、バランスを崩さないよう注意して歩く必要があります。
外出での歩行を助けてくれる「屋外用四輪歩行器(歩行車)」
足腰が弱い高齢者の外出をサポートする「屋外用四輪歩行器」。メーカーによっては「歩行車」と呼んでいる場合もあります。
屋内用に比べて大きな車輪が4輪すべてについており、グリップを握って体を支えながら歩きます。小まわりがきき、大きな車輪のおかげで多少の段差は乗りこえられるでしょう。グリップにはブレーキがついているので、坂道でもスピードを調整しながら歩くことができます。
使う方の身体状況に合わせて選ぼう
歩行器を選ぶときにもっとも重要なのが、使う方の身体状態に合っていること。安全・快適に使うために、使う方の身長や姿勢、どの部分が弱っているのかなど、身体状態を確かめたうえで選びましょう。
身長や姿勢に適したサイズ選びを
歩行器を選ぶうえで重要なのが、「高さ」が合っていること。ほとんどの歩行器はグリップの高さを調整できますが、とくに背が高い方や低い方、腰が曲がった円背の方は選び方に注意が必要です。
さらに、体重を支えるときに腕を伸ばすことができるのか、ひじを曲げた状態になるのかによっても、どのタイプの歩行器を選ぶのか、どの高さが使いやすいのかが変わります。不安な方は、購入前に専門家に相談してみましょう。
負担なく使える重量かをチェック
歩行器は使いやすさを考えて軽量にできているものがほとんどで、多くは2~3kg程度です。しかし、体に強い痛みがあったり筋力低下があったりする高齢者が使う歩行器は、少し重量が重くなるだけでも操作性は大きく変わります。無理がない重さのものを選びましょう。
介護用歩行器を使う方の身体機能に合わせて選びましょう 福祉住環境コーディネーターよりアドバイス
DIYアドバイザー・防災士・福祉住環境コーディネーター2級
介護歩行器や歩行車の多くは、リハビリに多く使われています。身体機能に合わせて器具を的確に選ぶ必要があり、器具を使ってリハビリをすることで身体機能を復活させることが可能。また住宅事情によっても、器具の選択肢が変わる場合がありますが、まずは使う方の身体機能に合わせて選ぶことが重要です。
介護歩行器【交互式】おすすめ2選 種類で迷ったらスタンダードモデルや安心のブランドを!
まずは「交互式」タイプの介護歩行器を、福祉住環境コーディネーターが厳選してご紹介していきます。それぞれの歩行器で異なる特長があるので、あなたのニーズに合った一台をみつけてくださいね。
DIYアドバイザー・防災士・福祉住環境コーディネーター2級
イーストアイ『セーフティーアーム交互式(KSARC)』は、交互式の歩行器で、歩行訓練に使われます。4本の足がしっかり体を支えてくれるので、安定して自分のペースで歩けるうえ、床からの立ち上がりや座った状態からの立ち上がりもスムーズにできるでしょう。家のなかでステッキだけでは不安な方におすすめです。

イーストアイ『セーフティーアーム交互式(KSARC)』

出典:Amazon
タイプ | 交互式 |
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サイズ | 使用時:幅56×奥行49×高さ70~80cm、収納時:幅51×奥行9×高さ72cm |
重量 | 3.1kg |
高さ調整 | 〇(5段階) |
折りたたみ | 〇 |
DIYアドバイザー・防災士・福祉住環境コーディネーター2級
リハビリ用歩行器である松永製作所『交互歩行器(CMSー90A)』は、シンプルなデザインで、身長に合わせて高さ調節ができ、固定式スナップピンでかんたんで安全にロックします。前方・後方先端ゴムタイプなので、音も静かです。

松永製作所『交互歩行器(CMSー90A)』

出典:楽天市場
タイプ | 交互式 |
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サイズ | 使用時:幅55×奥行47~50×高さ73~89cm |
重量 | 2.6kg |
高さ調整 | 〇 |
折りたたみ | 〇 |
介護歩行器【固定式】おすすめ4選 コンパクトでサイズ調整できるものなど!
続いては「固定式」タイプの介護歩行器を、福祉住環境コーディネーターと編集部が厳選してご紹介していきます。
DIYアドバイザー・防災士・福祉住環境コーディネーター2級
ユーバ産業『スライドフィット(XSー128S)』は超ミニタイプなので、なかなかサイズが合わない小柄な方でも使うことができるでしょう。円背の方や小柄な方でも安心して使え、幅も50.5cmととてもコンパクトなので、送迎車で持ち運びするときにも便利です。もちろん高さ調節機能もありますので、身長に合わせて設定してください。

ユーバ産業『スライドフィット(XSー128S)』

出典:楽天市場
タイプ | 固定式 |
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サイズ | 使用時:幅50~50.5×奥行44~47×高さ55~62cm、収納時:幅50.5×奥行20.5×高さ65cm |
重量 | 1.8kg |
高さ調整 | 〇(4段階) |
折りたたみ | 〇 |
マキテック『歩行器 Walker(ウォーカー)(HKー100)』










出典:Amazon
タイプ | 固定式 |
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サイズ | 使用時:幅58×奥行44×高さ70~80cm、収納時:幅59×奥行11×高さ71cm |
重量 | 2.2kg |
高さ調整 | 〇(5段階) |
折りたたみ | 〇 |
マキテック『歩行器 Walker(ウォーカー)(HKー120)』






出典:Amazon
タイプ | 固定式 |
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サイズ | 使用時:幅60×奥行49.5×高さ77.5~87.5cm、収納時:幅65×奥行10.5×高さ79cm |
重量 | 2.8kg |
高さ調整 | 〇(5段階) |
折りたたみ | 〇 |
ユーバ産業『スライドフィット(Mー0193S)』

出典:Amazon
タイプ | 固定式 |
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サイズ | 使用時:幅47~52×奥行45~48×高さ68.5~78cm |
重量 | - |
高さ調整 | 〇(5段階) |
折りたたみ | 〇 |
介護歩行器【2wayタイプ】おすすめ2選 「交互式」と「固定式」に対応して便利!
「交互式」と「固定式」どちらのタイプにも対応している2wayの介護歩行器のおすすめを編集部が厳選してご紹介します。
Cific『歩行器 交互・固定2way式』














出典:Amazon
タイプ | 交互式・固定式 |
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サイズ | 使用時:幅53×奥行46×高さ76.5~94cm |
重量 | 2.6kg |
高さ調整 | 〇(8段階) |
折りたたみ | 〇 |
イーサプライ『介護用歩行器(EEXーRE503L)』












出典:Amazon
タイプ | 交互式・固定式 |
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サイズ | 使用時:幅52×奥行47×高さ78~96cm、収納時:幅54×奥行18×高さ78cm |
重量 | 約2.2kg |
高さ調整 | 〇(8段階) |
折りたたみ | 〇 |
介護歩行器【四輪タイプ】おすすめ6選 外出も楽しくなるおしゃれなモデルも!
ここからは、歩行器の脚すべてに車輪がついた、四輪歩行器のおすすめ商品を見ていきましょう。屋内用と屋外用では仕様が異なるので、用途に合わせて選んでくださいね。屋外用の四輪歩行器にはさまざまな外出サポート機能がついているので、使う方のライフスタイルに合った一台をみつけてください。
DIYアドバイザー・防災士・福祉住環境コーディネーター2級
日進医療器『折りたたみ式歩行車(TY157)』は折りたためる歩行車で、おもに室内で日常生活を過ごしながらリハビリができます。ベッド下にベースの部分が入るので、歩行車がベッドにより近くなり立ち上がりがラク。手すりの馬てい部分の幅が8cmあり、体全体が安定します。

日進医療器『折りたたみ式歩行車(TY157)』

出典:楽天市場
タイプ | 屋内用 |
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サイズ | 使用時:幅68×奥行78×高さ86.5~104cm、収納時:幅34×奥行78×高さ101.5~119cm |
重量 | 約12kg |
高さ調整 | 〇 |
折りたたみ | 〇 |
DIYアドバイザー・防災士・福祉住環境コーディネーター2級
室内・屋外併用の歩行車であるカワムラサイクル『屋内外両用歩行器(KW40)』は、室内・屋外併用の歩行車。幅も含めてコンパクトにできている、シンプルデザインの歩行車です。前輪の車輪が大きく、少しの段差なら乗り越えやすい構造。もちろん高さ調節可能で、グリップも握りやすくなっています。なにかと多くなる荷物は、大容量収納バックに詰め込んで出かけましょう。収納時もコンパクトに折りたためます。

カワムラサイクル『屋内外両用歩行器(KW40)』




出典:楽天市場
タイプ | 屋内・屋外用 |
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サイズ | 使用時:幅50.5×奥行70×高さ79~89cm、座面高さ45cm |
重量 | 7.7kg |
高さ調整 | 〇(5段階) |
折りたたみ | 〇 |
アロン化成『ショッピングターン(532ー325)』




出典:Amazon
タイプ | 屋外用 |
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サイズ | 使用時:幅53×奥行73×高さ72.5~90cm、座面高さ47cm |
重量 | 約6.1kg |
高さ調整 | 〇 |
折りたたみ | 〇 |
日進医療器『着座ポジション変換機能付き歩行車 アルク』






出典:楽天市場
タイプ | 屋外用 |
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サイズ | 使用時:幅63×奥行71×高さ81~93cm、座面高さ43cm |
重量 | 11.8kg |
高さ調整 | 〇(6段階) |
折りたたみ | 〇 |
竹虎『歩行車 ハッピーミニ(117003)』










出典:Amazon
タイプ | 屋内・屋外用 |
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サイズ | 使用時:幅50×奥行57.5×高さ70~79cm、座面高さ43cm |
重量 | 6.5kg |
高さ調整 | 〇 |
折りたたみ | 〇 |
アロン化成『リトルターン 電動アシスト付(532ー319)』

出典:Amazon
タイプ | 屋内・屋外用 |
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サイズ | 使用時:幅52×奥行65×高さ74~86cm、座面高さ47cm |
重量 | 約9.1kg |
高さ調整 | 〇(6段階) |
折りたたみ | 〇 |
「介護歩行器」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 介護歩行器の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの介護歩行器の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
介護を手助けするお役立ち商品を紹介! 家族みんなで支えあう!
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介護歩行器で散歩に出かけよう! 家族と一緒に
この記事では高齢者や足腰に不安をかかえる方の歩行を助ける介護歩行器を14商品ご紹介しました。
室内専用で使うのか外出用に使うのか、それとも両方で使える歩行車を選ぶのか、そしてなにより使う方の体の状態に合っているのかを考えることが重要です。
用途と体の状態にぴったり合った、使いやすい介護歩行器を選んでみてくださいね。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/12/15 コンテンツ修正のため記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 大熊武士)
DIYアドバイザーを取得後、NHK「住まい自分流」の番組講師出演。 JAPAN DIY HOMECENTER SHOW:10回、日本ホビーショー:2回、イベントDIY講師:公民館・ホームセンター・小学校・生涯学習などで、DIY講師を行いDIY普及に貢献しています。 また、「快適住まい」をモットーに高齢者やお子様にやさしい住まいを提案しています。 最近特に注目の女性も取り組みやすいDIYも提案しています。 地域の防災アドバイザーをしています。