電工ナイフとは? カッターナイフとの違いは? 電気工事士試験でも使う
電工ナイフは、主に電気工事で使うための工具で、VVF・VVRケーブル(Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type・Round-type cable:600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平形・丸形)のビニール被覆部分を削ったり、剥ぎ取ったりするためのナイフです。 電気工事士技能試験の指定工具には、電工ナイフを含むナイフが定められいます。
刃の厚みがある カッターナイフとの違い①
VVF・VVRケーブルの内側にある芯線被覆や芯線を傷つけないように、電工ナイフはカッターナイフに比べて刃の厚みがあります。外装部分に切り込みを入れるときに、必要以上に深く入ってしまうのを防ぎます。
作業をする際の安定性 カッターナイフとの違い②
一般的なカッターナイフは刃が薄いため、横方向に力が分散しやすく、ケーブルのさまざまな処理に不向きです。刃の厚みがある電工ナイフは滑りにくく、作業が安定して行えます。グリップ部分にも適した素材を用いている製品が多いです。
電工ナイフの選び方 折りたたみか固定刃か、グリップと刃の素材、全長をみる
電工ナイフにはさまざまな種類があります。本体形状の違いやグリップや刃の素材の違いなど、それぞれの特徴からどのように選んだらいいかを見極めましょう。
折りたたみタイプか固定刃タイプか
本体の形状はおもに、折りたたんで刃を収納できるタイプと、折りたたまずに鞘(さや)に収納する固定刃タイプがあります。作業性などに向き不向きがありますので、特徴を見てみましょう。
折りたたみタイプ|携帯性重視・狭い空間での利用
折りたたみタイプの電工ナイフは、刃を収納することができコンパクトになるのが特徴。狭い空間の作業時にも腰袋などから取り出しやすく、工具を小さくまとめたい方におすすめです。
固定刃タイプ|作業性・丈夫さ重視
固定刃タイプはケースが腰ベルトに取りつけられるものも多く、サッと取り出しやすいのが特徴。電工ナイフを頻繁に使う方には鞘つきタイプの方が便利かもしれません。比較的頑丈なつくりなので、太いケーブルをカットするなどの作業が多い方にも向いています。
グリップの素材をチェック ラバー加工か木製か
グリップの素材は大きく分けてラバー加工されているものと木製が主流。それぞれの特徴を見てみましょう。
ラバー加工|滑りにくい
あらかじめラバー加工されているグリップは水分に強く、汗などで滑りにくいのが特徴。安全で正確な作業の手助けになってくれるでしょう。腰袋やケースから取り出すときに落としにくいのもポイントです。固定刃タイプはラバー加工されているものが多いので、参考にしてみてください。
木製|手になじみやすい
木製のグリップは手になじみやすいのが特徴。使うほどに自分の手になじんだ形になってくれます。購入時にグリップのエッジが手にあたって痛い場合は、あらかじめヤスリで削って角を取ることも可能。また、現場によっては油分がついてしまうこともありますが、木製なら油分を吸い込んでくれるので、比較的使いやすいでしょう。
刃の素材をチェック ステンレス製か鋼(はがね)製か
刃の素材はおもにステンレスと鋼(はがね)。どちらも金属なので水分がついたら拭き取るなど最低限のお手入れは必要ですが、使用頻度などにより向き不向きがあります。
ステンレス製|サビにくくお手入れかんたん
ステンレス製の刃の特徴はなんといってもサビにくいこと。あまりメンテナンスしなくて済むので、たまにしか使わない、という方はステンレス製を選ぶといいでしょう。切れ味が鈍ってきたら、ステンレス刃にも使用できる砥石やシャープナーで研ぐのがおすすめです。
鋼(はがね)製|きちんと研げば長持ち
鋼製の刃は刃物によく使用される炭素鋼が主流。サビやすいですが、きちんと研ぐことで長く使うことができます。また、自分好みの切れ味に調整して研ぐことができるのも魅力的ですね。使用頻度の高い方や、お手入れが苦にならない方は鋼製がおすすめです。
ナイフの全長と刃長、刃の形状などをチェック 刃がホロー形状だと割きやすい
電気工事では電線の先端から10cmほど被覆を剥き、さらに内側の被覆を2cm程度剥いて電線を露出させることが多いため、ナイフの全長や刃長を基準に電線の長さを測ると作業がはかどります。自分がよく使用する長さを基準に選んでみてもいいでしょう。
また、刃の形状は、ビニールで覆われたVVFケーブルなどを割きやすいホロー形状になっているものもあるので、注目してみましょう。心線を鉛筆剥きすることが多い方は、峰が太いものを選ぶと指が痛くなりにくいです。
付加機能をチェック VVFケーブル用、絶縁タイプ、ノミとしても使えるなど
電工ナイフには、ナイフ以外の付加機能を備えているものもありますので、一部をご紹介していきます。
VVFケーブル用|割線・皮剥き機能
VVFケーブルをかんたんに加工できる割線・皮剥き機能つきのタイプ。グリップについている穴にケーブルを通すだけで、2〜4心までのVVFケーブルを割くことができます。また刃には皮剥き用の穴が空いていて、心線の皮剥きに使用することができます。VVFケーブルをたくさん加工する方には便利な機能ですね。
絶縁タイプ
電気工事の際には通電を切断して行なうのが鉄則ですが、万が一ということもあります。高電圧の箇所はとくに危険ですので、ナイフの峰がプラスチック加工されている絶縁タイプの電工ナイフを使用するといいでしょう。
ノミとしても使用できるタイプ
ナイフの先端も刃になっていて、ノミのように使えるタイプ。ブレードがグリップの後端まで貫通していてハンマーで叩くことができます。電気工事でも壁にコンセント用の穴を開けるなどの作業が必要になることがありますので、ナイフ一本で済ませられると便利ですね。
替刃があるメーカーの製品がベター ロングセラー商品や定番商品など
ナイフの切れ味が悪くなってしまったり、刃そのものが破損してしまったりすることもあります。ロングセラー商品や定番商品であれば、替刃が用意されていることが多いです。使いやすさはもちろんですが、替刃が入手しやすいかどうかも選択のポイントです。
使いやすさをしっかり吟味しましょう DIYクリエイターからのアドバイス
空間デザイン・DIYクリエイター
電工ナイフは、電気工事士の七つ道具のひとつになる、ケーブル加工の際の必須アイテムです。電気ケーブルはとてもデリケートなため、加工には慎重な作業が必要です。
そのために、作業アイテムは使いやすくなくてはなりません。手になじむのはもちろん、加工のしやすさ、メンテナンスのしやすさなども慎重に検討する必要があります。
【折りたたみタイプ】電工ナイフおすすめ ホーザン、マーベル、デンサンほか定番メーカーから
いくつかあるタイプのなかから、折りたたみタイプの電工ナイフをご紹介します。
空間デザイン・DIYクリエイター
電工ナイフならホーザン! 第二種電気工事士試験対応しているので、練習用からプロの熟練者まで幅広く使われています。迷ったらこちらの電工ナイフを検討しましょう。

HOZAN(ホーザン)『電工ナイフ(Z-683)』












出典:Amazon
全長 | 70mm |
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刃長 | 205mm |
材質 | 刃:刃物用炭素鋼、グリップ:天然木 |
重量 | 120g |
MARVEL(マーベル)『電工ナイフ(MEK-60)』

出典:Amazon
全長 | 195mm |
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刃長 | 60mm |
材質 | - |
重量 | 115g |
KNIPEX(クニペックス)『電工用折りたたみナイフ(16 20 50 SB)』

出典:Amazon
全長 | 120mm |
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刃長 | 80mm |
材質 | 刃:ステンレス鋼、グリップ:プラスチック |
重量 | 85g |
DENSAN(デンサン)『電工ナイフ(DK-670A)』








出典:Amazon
全長 | 180mm |
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刃長 | 65mm |
材質 | 刃:8cr13mov(鋼材) |
重量 | 150g |
DENSAN(デンサン)『ストロングナイフカッター(DKF-175)』








出典:Amazon
全長 | 175mm |
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刃長 | - |
材質 | 刃:高炭素鋼、グリップ:ステンレス・エラストマー |
重量 | 160g |
【固定刃タイプ】電工ナイフおすすめ MIRAI、フジヤ、タジマほか人気メーカーから
いくつかあるタイプのなかから、固定刃タイプの電工ナイフをご紹介します。
空間デザイン・DIYクリエイター
電工ナイフは芯線がキズつかないように、切れすぎず、切れなすぎずといった、まさに絶妙な切れ味でなければいけません。そんなちょうどよい切れ味が『DM-11』。プラスしてVVFケーブルを割る機能があるため、初心者の方にうれしいですね。
『FK01-180』は刃がとてもコンパクトで使いやすいです。刃が短いのでサクサクと作業が可能です。カッターナイフのように使えることから、電工ナイフ初心者の方にもおすすめです。

MIRAI(未来工業)『デンコーマック 電工ナイフ(DM-11)』

出典:Amazon
全長 | 240mm |
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刃長 | 88mm |
材質 | 刃:特殊ハガネ、グリップ:プラスチック |
重量 | 270g |

FUJIYA(フジ矢)『ポケット電工ナイフ(FK01-180)』












出典:Amazon
全長 | 175mm |
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刃長 | 50mm |
材質 | - |
重量 | 100g |
MIRAI(未来工業)『デンコーマック(ハンマー付)(DM-4)』

出典:Amazon
全長 | 248mm |
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刃長 | 88mm |
材質 | 刃:ステンレス、グリップ:ゴム |
重量 | - |
TAJIMA(タジマ)『タタックナイフホルスター付(DK-TN80HST2)』
















出典:Amazon
全長 | - |
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刃長 | - |
材質 | 刃:スチール、グリップ:エラストマー樹脂 |
重量 | 246g |
KNIPEX(クニペックス)『ケーブルナイフ(98 54)』

出典:Amazon
全長 | 190mm |
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刃長 | 50mm |
材質 | 刃:特殊工具鋼(油焼き入れ) |
重量 | 68g |
電工ナイフのお手入れ方法 使用後、研ぎ方、サビ防止など、メンテナンスのやり方
比較的お手入れがかんたんなステンレス製の刃のものでも、長期間メンテナンスしないと切れ味が悪くなってしまいます。日頃のお手入れは水分や汚れを拭き取るだけでじゅうぶんですが、切れ味が鈍くなったりサビが出た場合の対処方法などをご紹介します。
使用後は水分や汚れを拭き取る 日頃のお手入れ
刃に付着した水分や汚れはサビのもと。使用後には必ず拭き取りましょう。これだけでもじゅうぶんに長持もちします。
研ぎ方は自分の好みに合わせて 切れ味が鈍くなったら
切れ味が鈍くなったり刃こぼれを起こしたら、研ぐことで切れ味を復活させましょう。使用する砥石は荒砥〜中砥でじゅうぶん。刃こぼれがひどい場合には荒砥で刃こぼれした部分を整え、中砥で仕上げます。
電工ナイフは「切れれば切れるほどよい」というものではありません。切れすぎると心線にキズがついてしまうこともあります。研ぎすぎには注意しましょう。自分の好みの切れ味もあると思いますので、最初は加減がつかみにくいかもしれませんが、徐々に自分好みの加減をつかんで慣れていきましょう。
サビ防止のお手入れ方法も もしもサビてしまったら
軽いサビ程度なら、ステンレス製の場合は台所用の粉末クレンザー+サビ取り用ゴムやワインのコルク栓で、鋼製の場合は粉末クレンザー+ナイロンたわしで落とせます。頑固なサビが付着してしまった場合はヤスリや砥石を使用してキレイにしていきますが、根気のいる作業になりますので、自信のない方は刃物店にメンテナンスを依頼するのもいいでしょう。
鋼の場合なら、サビ防止に油を含ませた布で拭くだけでもよいでしょう。とくに長期間使用せずにしまっておく際などにおすすめの方法です。使用する油は、古来から日本刀の手入れに使用されてきた椿油100%のものが、酸化しにくくてよいと言われています。再度使用する際には滑ってケガをすることのないように、油を拭き取ってから使いましょう。
電工ナイフと合わせてそろえたいアイテム 砥石やVVFストリッパーなど
電工ナイフと一緒に使うことの多いアイテムです。合わせてそろえておくと、いざというとき困らずに済む商品をご紹介します。
MIRAI(未来工業)『携帯砥石(DW-1)』

出典:Amazon
梱包サイズ | 15 x 7.2 x 5.2 cm |
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重さ | 90.7g |
HOZAN(ホーザン)『VVFストリッパー(P-958)』


















出典:Amazon
全長 | 225mm |
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刃長 | - |
材質 | グリップ:エラストマー |
重量 | 210g |
「電工ナイフ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 電工ナイフの売れ筋をチェック
Amazonでの電工ナイフの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
そのほかの電工ナイフに関連する記事はこちら 【関連記事】
こまめなお手入れを心がけましょう 電工ナイフは用途に合わせたものを
電工ナイフについて、グリップや刃の素材、形状などの選び方とおすすめ商品をご紹介しました。まずはどのような商品が自分の用途に合っているかを見極めることが大切です。また、お手入れ方法についても詳しく紹介いたしましたので、長もちさせたい方はメンテナンスの参考にしてみてください。
初心者の方も熟練の職人さんも、ケガのないように電工ナイフを使用していきましょう。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/11/16 一部コンテンツ修正のため、記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 横尾忠徳)
「インテリア空間デザイン」「スタイリング」「写真」「テレビ撮影」「監修」「執筆」などフリースタイルにて幅広く活動中。 予算100万円で自身が住む自宅をフルリノベーション、古材、流木などを使った家具作りが話題となり、様々なメディアにて取り上げられている。 幼少期から物作りが好きで、何でもまず作ってみる、やってみる精神、そんな好きが高じて、趣味から現在のお仕事に発展。