電動自転車の前提知識 サイクリングアドバイザーが解説
「電動自転車」とはどのようなタイプの自転車なのか、また「電動自転車」と「電動アシスト自転車」の違いはなにか、サイクリングアドバイザーの日向涼子さんに解説していただきました。
電動自転車とは? モーター単体のみで自走可能な自転車
電動自転車とは、モーター単体のみで自走可能な自転車のことで、法律上は「第一種原動機自転車」として免許とヘルメットが必要な乗り物です。
電動アシスト自転車とは?
一方の電動アシスト自転車は、搭乗者がペダルをこがないと走行できません。文字通り「ペダルをこぐとモーターが連動して走行をアシスト」してくれる自転車で、おもに次のような特徴があります。
・こぐ力が少なく済み、坂道などの走行環境に左右されずいつでも快適に走れる。
・現在、日本の道路交通法上では一般的な「自転車」と同じ扱いとなり免許の必要がない。
・スピードがのるにつれて徐々にアシスト力が弱まり、時速24kmを超えるとアシスト機能が切れる。(製品によってアシストレベルが異なり、最大スピードが時速24kmまで出ないものもある。)
快適な走行性能に加えて、「自転車に乗れる人なら誰でも」という気軽さも手伝って、ヤマハで1993年に発売されて以降、爆発的なヒットをとげている商品です。
既に自転車で通勤通学をしている方の中には、坂道がつらくて目的地へ着く前に疲れてしまうと感じている人はいませんか? そんな方には電動自転車をおすすめします。
電動自転車の選び方【4つのポイント】 安心して子供乗せできる!
サイクリングアドバイザーの日向涼子さんに、電動自転車の選び方を教えてもらいました。ポイントは下記の4つ。
【1】種類や使用シーンを明確に
【2】機能をチェック
【3】付属品の有無をチェック
【4】配送方法や配送料金をチェック
上記のポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。
【1】種類や使用シーンを明確に
電動自転車の歴史は1993年11月1日にヤマハPASから始まりました。
発売当時は普段の買い物にシティサイクル(ママチャリ)を使う人をターゲットとしていましたが、現在は
通勤通学にも使えるシティサイクルタイプ
子どもの送り迎えに便利な子どものせタイプ
コンパクトな小径車タイプ
クロスバイクやロードバイク
マウンテンバイクなどのスポーツバイクタイプ(e-Bike)
も登場し、普段使いから趣味など幅広い層に向けたモデルが発売されています。
また、20インチ以下は電動ミニベロと呼ばれ、楽に漕げてかつ小回りが利くのがメリットです。
自分がどのようなシーンで電動自転車に乗るのかイメージすることで、必要なモデルを絞り込むことができます。
【2】機能をチェック
電動自転車を多目的で使用をする場合、機能で選ぶという方法もあります。とくにバッテリーは大きなポイントになるでしょう。バッテリー容量によって1回で走れる距離が異なり、使用目的によっては充電にかかる時間を考慮する必要があります。
万一、バッテリーが切れた場合、ギアのシフト段数も走りに大きく影響します。一般的に電動自転車のシフト段数は3~5段と少なめですが、スポーツタイプ(e-Bike)の場合は多い傾向にあります。
重量も30kg前後あるものが多く、とくに子どものせタイプは重いモデルが多く、小径車やe-Bikeは軽量なものもあります。ただし、軽量になるとバッテリー容量が少ないことがあるので注意が必要です。
【3】付属品の有無をチェック
シティサイクルタイプのものを買う場合にはほとんど問題ありませんが、スポーツタイプの電動自転車(e-Bike)を購入する際には付属品の有無を確認しましょう。
シティサイクルでは標準装備されていることが多いライト・泥よけ・スタンド・鍵などが別売りのこともあります。
さらには、仏式バルブ対応の空気入れが必要なこともあります。また、スポーツタイプはスピードが出るので、身の安全を守るためヘルメットを購入しておくと安心です。
これら付属品の合計は、おおよそ3万円程度かかります。e-Bikeの購入を検討している場合は、予算から付属品の引いた差額が本体にかけられるお金ということになります。
【4】配送方法や配送料金をチェック
インターネットで電動自転車を購入する場合、どのような状態で届くのかは気になるところでしょう。もし、自転車の組み立てに不安がある方は「完成車組み立て」の状態で届くものを選ぶことで解決します。
組み立てに別途料金がかかる場合には、自転車本体と合計していくらになるのか購入の前に計算しておかないと予算オーバーする場合もあるので注意が必要です。
電動自転車のおすすめメーカー 国内の人気メーカーや海外製も!
それでは、電動自転車のおすすめメーカーを紹介します。一概にはいえませんが、メーカーによって得意なタイプが異なる傾向にあります。
一般的なシティサイクルタイプでは、ヤマハやパナソニック、ブリヂストンなど国内メーカーが有名です。また、シティサイクルタイプの商品を発売しているメーカーの多くは子供乗せタイプにも力を入れています。
なお、小径車は海外製品の人気が高く、デザイン性にも優れたものが多くあります。
e-Bikeと呼ばれるスポーツタイプの場合、国内メーカー・海外メーカーともに人気がありますが、クロスバイクタイプが得意なメーカーもあれば、ロードバイクやマウンテンバイクタイプなど、本格的なスポーツバイクに力を入れているところもあり、金額的な相場も異なります。
Yamaha(ヤマハ)
普段使いで人気の「PAS」シリーズのほか、「YPJ」シリーズといったスポーツタイプの電動自転車もラインナップしており、選択肢が幅広いのも特徴です。
Panasonic(パナソニック)
通勤通学や買い物などの普段使いであれば「ビビ」シリーズがおすすめ。子どもをのせる場合であれば「ギュット」シリーズのほか、小径車やスポーツタイプの開発も積極的に行っています。
BRIDGESTONE(ブリヂストン)
走行しながら充電できるバッテリーや力強い安定走行が評判で、特に通勤通学など毎日自転車を使う人たちに人気があります。
電動自転車のおすすめ商品 折りたたみ式や口コミや評判の高いモデルも!
ここまで紹介した選び方をふまえ、サイクリングアドバイザーの日向涼子さんに、電動自転車のおすすめ商品を紹介していただきました。
▼おすすめ4選|シティサイクル

電動自転車の元祖「PAS」
この世に電動自転車を誕生させたヤマハの「PAS」シリーズは、誕生からさまざまな進化を続け、今に至ります。
その中でも、「PAS With DX」は細部にまでデザインにこだわり、普段使いだけでなくサイクリングでも人気が高い商品になっています。
こちらのモデルにはスマートパワーアシストが搭載。坂道では自動でアシストが強くなり(約1.5倍)、逆に負荷の少ない平坦路には自動でパワーをセーブしてくれるので、走行中に操作の手間がありません。
また、こぎ出しは滑らかかつパワフルな発進で、信号が多い都心部にお住まいの方でも走りだしのストレスが軽減されます。
標準装備のバスケットは、幅362×奥行282×高さ219mmの大容量なので、たくさん買い物しても収納することが可能です。

家族で使えるベーシックモデル
落ち着いたデザインにより世代を問わず使いやすいブリヂストンのエントリーモデル。電動自転車の導入を検討している人におすすめなお手頃価格の1台です。
価格だけでなく、乗り降りしやすい低床設計も高評価。サイズも24インチと26インチがあるので乗車可能最低身長は135cm~と、家族みんなで使うことが可能です。
後輪のリング錠を施錠するとハンドルも同時にロックする「一発二錠」の機能を搭載。
さらに、ディンプルキーの採用でピッキングにも遭いにくくするなど、盗難の不安を軽減してくれます。
フル充電(約2時間)で約36km(オートエコモードの場合)の走行ができるので、さまざまな用途にお使いいただけます。

走りながら自動充電できる
ブリヂストンが販売している両輪駆動は、なんと走っている最中にモーターが発電を行い、自動で充電をしてくれる、という優れもの!
家での充電が不要なわけではありませんが、長く走ることができるだけでなく、バッテリー寿命が従来よりも1.5倍長持ちします。通勤・通学の距離が長い、うっかり充電を忘れてしまいがちな方におすすめです。
また、メンテナンスの必要性が少なく、サビない&外れないベルトドライブを採用、パンクに強いタイヤが標準装備されているため、毎日乗るというヘビーユーザー向きともいえます。
また、両輪駆動なら下り坂のブレーキも左ブレーキを握ると前輪に搭載されたモーターブレーキが作動して、スピードの出すぎを防いでくれるので、安心です。

安定感抜群の三輪電動自転車
電動自転車が便利だと分かっていても、ひさしく自転車に乗っていなくて走行に不安がある方や、免許返納を考えている高齢の親へのプレゼントにもピッタリな三輪タイプの電動自転車です。
こちらは、前後にバスケットがあり、たっぷり荷物を積めるので、いつも買い物が多くて、走行が不安定という方にもおすすめな電動自転車になっています。
また、新低床フレームにより前モデルよりもサドル位置が低くなったことで、乗り降りがしやすくなっただけでなく、適応身長が136cm以上と小柄な方にも対応しました。
なお、ハンドル部分で操作する「らくらくロック」で、屈むことなく前輪の施錠や開錠ができます。
後輪はダブルブレーキとなっており、左右のブレーキが同時にかかるのでしっかり停車。「ふんわりスタート」採用で発進時は穏やかにアシスト。
ポリファイバー素材を内装した「耐パンクタイヤ」はパンクに強く、自転車の操作やメンテナンスに不安がある方にもやさしい設計となっています。
▼おすすめ3選|子供乗せ

繭型チャイルドシートで安心!
フロントは「コクーンルーム」と呼ばれる繭型のチャイルドシート、リアは抜群の信頼を誇るOGK製のチャイルドシートを搭載。3人乗りも可能な「PAS Kiss mini un」は発売以来、多くのご家庭で支持されているモデルです。
15.4Ahの大容量バッテリーにより、一度の充電(約4時間)で最大78km走行(オートエコモードプラスの場合)が可能なので、長距離利用をされる方にもおすすめ。
また、状況に応じ、自動でアシストパワーをコントロールしてくれる最新機能の「スマートパワーアシスト」が搭載されているので坂道もラクラク!
幅広のタイヤで安定感は抜群。サイドからも気づかれやすい砲弾型バッテリーランプを採用するなど、ご家族みんなに安心・便利。
なお、適応身長142cm(子ども2人乗りの場合は146cm)からなので小柄な人にも嬉しい1台です。

Panasonic(パナソニック)『ギュット・アニーズ・DX』 低床フレーム設計で乗りやすい
元気な子にも安心なプレミアムチャイルドシート
「ギュット・アニーズ・DX」は乗り降りしやすい低床フレーム設計によりハンドルがふらつきにくく、スタンドを立てると同時にハンドルが固定する「スタピタ2」搭載で子どものせとして人気の高いモデルです。
高さ約260×奥行約330×幅約400mmと荷物がたっぷり入るワイドバスケットにより、いつものお買い物やおでかけにも幅広く使える電動自転車です。
チャイルドシートはクッション性が高いのでお尻にやさしく、かんたんに装着可能な5点止めのシートベルトで活発に動くお子さまにも安心です。
ちなみに、長身の方には「ギュット・アニーズ・DX・26」がおすすめです。

BRIDGESTONE(ブリヂストン)『ハイディツー』 安いのに長く使える
おしゃれなママにおすすめのハンサムバイク
ファッション&ライフスタイル誌「VERY」とコラボした電動自転車が両輪駆動になり、先ほど紹介した「アルベルトe」同様、こちらも走っている間にバッテリーが充電されます。
3人乗りに対応しているだけでなく、重心の位置を下げることで、デザイン性と走行時の安定性の両立を実現しています。
また、足がチャイルドシートにあたりにくい、溝にハマりにくいなどの工夫も秀逸です。
ちなみに後ろのチャイルドシートは標準装備、前はオプションで取り付けが可能なので、お子さんが増えたり、成長した後も、そのまま乗ることが可能なため、コスパにも優れているのがうれしいポイントです。
▼おすすめ1選|折りたたみ

イタリアの折りたたみ電動自転車
イタリアのオートバイメーカー「Benelli」が作った折りたたみ電動自転車は、スタイリッシュなだけでなく使い勝手のよい1台。
サドルを上げ、後輪を前に突き出すだけのワンタッチ・3秒で折りたたむことができ、女性でもかんたん。折りたたみ時は全長890×全幅450mmとコンパクト。
軽自動車に積んでも後部座席を倒すことなく搭載可能なので、室内保管でも邪魔にならない優れものです。
また、バッテリーはフレームに付属している場合が多いと思いますが、「mini Fold 16」はフレーム内部に格納できるので、外観をパッと見ただけで電気自動車と見抜くことは難しいのではないでしょうか。
▼おすすめ1選|ミニベロ

グッドデザイン賞を受賞のベストセラーモデル
「BESV」は台湾のスポーツバイクタイプ電動自転車(e-Bike)ブランドで、2017年に日本のグッドデザイン賞を受賞したほか、海外でも数々のデザイン賞を受賞するなど世界的な評価を得ています。
不要なものを排除し、美しくすっきりとした見た目だけではなく、独自のアルゴリズムによる駆動システムにより快適な走りを実現しています。
また、10.25Ahの高性能バッテリーにより一度の充電(フル)で90kmの連続走行が可能な点も選ばれる理由のひとつです。
さらに、走行中の衝撃を吸収してくれるデュアルショックサスペンションが前後に搭載、パワーの伝達ロスを防ぐ直結リアハブモーターを搭載しています。
快適な走行に欠かせない工夫が施された、デザインと性能が両立された高スペックな1台となっています。
▼おすすめ2選|スポーツタイプ

毎日の通勤通学が楽しくなるスポーツバイクモデル
クロスバイクタイプの電動自転車でありながらお手頃価格を実現。通勤通学などの移動時間をスポーツ感覚で楽しめる1台です。
タイヤは700×38Cが搭載され、快適で軽い走り心地で、スポーツバイクに慣れていれば高速巡航も可能です。
8.0Ahのバッテリーは軽量でありながら約4.5時間のフル充電で約50km(ロングモードの場合)まで走行できます。
専用充電器は小型のスタンド式なので場所をとらず、泥除け、サークル錠、スタンドなどの付属品が標準装備されているので届いてすぐに乗ることができるのも嬉しいですね。
エントリーモデルながらも外装7段変速によってスポーティーな走りを実現してくれます。

マウンテンバイクタイプの電動自転車
車体が大きく見た目も乗り心地も圧倒的な存在感がある、MTBタイプのe-Bikeです。
フレームと一体化して見えるよう設計されたバッテリー形状が見た目にも美しく、設置位置が前輪に近く、車体の重心バランスにすぐれているので、一見すると本格派仕様に見えますが、実は初心者でも乗りやすい1台。
ペダルを踏み込んでからの加速が自然で心地よく、「電動自転車は発進時に急加速して怖い!」と感じたことがある方でも安心して乗ることができます。
フロントのサスペンションは手元にオン・オフのスイッチがあるので、路面状況に応じた切り替えが可能。
バッテリーは外してもそのままでも充電可能で、車体を室内保管する場合には大変便利です。
街乗りもいいですが、「XM1」のよさは特にダートでその力が発揮されます。
趣味性が高いモデルですが、e-Bikeの普及にともなって時代をけん引していくであろう遊び心ある1台となっています。
▼おすすめ商品の比較一覧表
各通販サイトの人気ランキング 電動自転車の売れ筋をチェック
楽天市場、Yahoo!ショッピングでの電動自転車の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
サイクリングアドバイザーからのアドバイス バッテリー性能や安全性の確認を
「幼児二人同乗可能基準適合」モデルか事前に確認
電動自転車はバッテリーの電池が切れると車両本体に加え、バッテリーの重さが負荷となります。そのため、坂道でバッテリーが切れた場合、その重い車体を漕がなくてはならなくなるのです。
長距離を乗りたい人はロングライド向けのスポーツタイプの電動自転車(e-Bike)を選んだり、メーカーが公開しているアシスト機能を使った場合のアシスト走行距離を把握した上で購入をしましょう。
ただし、平坦路と坂道とでバッテリーの減りは変わるので、アップダウンが多いコースを走る場合は余裕をもって走る、不安な方は予備バッテリーを持って走りましょう。その場合はバッテリー重量も選ぶ上で重要なポイントとなります。
また、「BAAマーク・SGマーク・JISマークなど安全基準をクリアしているか」の確認も必要です。
とくに、子どもをのせる前提で電動自転車の購入を検討している場合は、「幼児二人同乗可能基準適合」のモデルかどうかの確認をしましょう。適合していないものに子どもを同乗させるのは安全が確保できず、大変危険です。
あると便利な修理&お手入れアイテム特集! 【関連記事】
地域によっては電動自転車の購入に補助が出ることも! お住まいの自治体を確認
全国的に見るとまだまだ少ないですが、電動アシスト自転車の購入金額に対して、補助金が出る自治体もあります。
自分が住んでいるエリアでそういった制度がないか、一度確認してみることをおすすめします。もしかしたらお得に購入できるかもしれません。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
モデル(シュルー所属) ダイエット目的で始めたクロスバイクをきっかけに自転車の魅力に心を奪われ、生活が一変。 レースでの優勝・入賞経験もあり、イベントのゲストライダーとしても活動するが、「初心者の気持ちを忘れない」をモットーに、クロスバイクやロードバイクはもちろん、E-BIKEも含めた幅広い自転車の訴求を得意とする。 現在では自治体との連携で自転車を活用したアドバイザーもしている。 <主な著書> 「〈坂バカ〉式 知識ゼロからのロードバイク入門」(SB新書) 「日向涼子のヒルクライムナビ」(エイ出版社) 「じてんしゃと泊まる宿」(ガイドワークス)