クリエイティブ向けデスクトップPCの選び方 CPU、ストレージ、メモリ
ITライターの海老原 昭さんに、クリエイティブ向けデスクトップPCを選ぶときのポイントを4つ教えてもらいました。

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好きなとこに持ち運んで使えるノートPCは便利だけど、クリエイティブな作業ならデスクトップPCが使いやすい!
CPU性能で選ぶ
ITライター
CPUのコア数が多いほど処理能力が向上する
クリエイティブ系の作業をするのであれば、CPUはとにかくパワフルなものに限ります。インテル系CPUの場合、Core iシリーズの上位モデルでもいいですが、とくにハイエンドなプロ向けの場合、超マルチコア構成が可能なXeonシリーズも選択肢に入ります。また、同じシリーズでも型番の数字が多い、上位モデルを選びましょう。
CPUの処理能力には、クロック周波数も重要ですが、最近はソフト側がマルチコア環境に最適化されているため、CPUのコア数が多いほうが、分散された作業を同時にこなすことで、素早く処理を終わらせられるため、多コア・低クロック構成のほうが、少コアで高クロックなCPUよりも速い場合があります。いずれにしても処理の根幹となる部分なので、できるだけいいものを選ぶといいでしょう。
GPU性能で選ぶ
ITライター
ビデオ編集などグラフィック処理にGPUは不可欠
クリエイティブ用途の多くでは、グラフィック性能も重要になります。高解像度なビデオ編集や3D CGなどを快適に扱うには、GPUも高性能なものを選びましょう。表示が速いだけでなく、GPUの処理能力をグラフィックではなく演算に使う「GPUコンピューティング」の観点からも、高グレードなGPUを搭載していることが望ましいです。
NVIDIAであればGeForce GTX16x0シリーズ以上、プロユースならQuadroシリーズを、AMDであればRadeon Vegaシリーズを選び、その中でも予算の範囲で、できるだけ上位グレードを選びましょう。
ストレージ性能で選ぶ
ITライター
クリエイティブ系では扱うデータが大きくなるため、ストレージも大容量である必要があります。さらに大きなデータを快適に処理するために、ストレージの速度自体も高速であるほうが望ましく、結果として大容量の高速SSDを搭載しているのがベストです。
こうした構成は当然値段に跳ね返ってくるため、予算次第では、メインのストレージだけ高速にして、データの保存は大容量だが安価なHDDに頼るなどの回避策を講じておくといいでしょう。
SSDを選ぶ場合、SATA接続よりもPCIe接続、なかでもNVMe対応のものが高速なので、こうした構成を選びましょう。
メモリの容量で選ぶ
ITライター
画像編集で16GB以上、ムービーなら64GB以上
大容量データを扱う場合、作業スペースとなるメモリもできるだけ大量に搭載していることが望ましいです。最近はソフトが確保するメモリの容量が格段に増えているため、写真やイラストなど2Dの作業であっても16GB以上、できれば32GBほどあったほうが望ましいですし、4Kムービーや3D CGであればも視野に入れたいところです。
メモリは後から増設することもできますが、安定した動作にはメーカーや速度などを合わせる必要があるため、できるだけ最初から大容量のものを選んでおいた方が無難です。
デスクトップPCおすすめ5選 クリエイティブ向けに最高のパーフォーマンスを!
ここまで紹介してきたクリエイティブ向けデスクトップPCの選び方のポイントをふまえて、海老原 昭さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

HP『 Z2 Tower G4 Workstation』
本体サイズ | 169×435×356mm |
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CPU | Xeon E-2124G(3.4GHz、4C/4T) |
GPU種類 | NVIDIA Quadro P400 2GB |
ハードディスク種類 | HDD(SATA、7,200rpm) |
ハードディスク容量 | 500GB |
メモリ | 8GB DDR4 SDRAM |
パワフルなのにリーズナブルなエントリークラス
日本のワークステーション市場でシェアNo.1のHPが販売する、エントリークラスのワークステーションです。標準では4コアのXeonプロセッサーと、GPUにNVIDIA Quadro P400を搭載しており、本格的な業務用というわけにはいきませんが、これから3D CGやCADなどを学ぶ学生などが自宅用に導入するには最適でしょう。
標準構成では500GBのHDDですが、カスタマイズでM.2接続の「HP Z Turboドライブ」が選択でき、SATA接続のSSDと比べてはるかに高速なストレージ環境を実現できます。保証期間も3年と長く、入門用として安心して選べる1台です。

Dell『Precision 7920 タワー デスクトップ ワークステーション』

出典:i.dell.com
本体サイズ | 218×566×433mm |
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CPU | Xeon ブロンズ 3104(1.7GHz、6C/6T) |
GPU種類 | NVIDIA Quadro P400 2GB |
ハードディスク種類 | HDD(SATA、7,200rpm) |
ハードディスク容量 | 1TB |
メモリ | 16GB(8GB×2)2666MHz DDR4 ECC RDIMM |
最大のパフォーマンスを引き出すフルタワーワークス
クリエイティブの現場でも多く採用されているDELLのハイエンドワークステーションモデルです。XeonプロセッサーとNVIDIA Quadroシリーズの組み合わせを、拡張性の高いフルタワーケースに収めており、負荷の高い業務にも堪えるパワーを発揮します。
拡張性としては、2倍幅のGPUカードを最大3枚搭載可能、ストレージは最大10台までのSATA/SASドライブ、または4台までのM.2およびU.2 SSDを搭載可能で、こうした拡張に備えて巨大な容量の電源も搭載しています。あらゆる用途に使用可能なモンスターマシンとして、今選択できる最上の構成を詰め込んだ1台に仕上がっており、最上を求めるならこれで決まりでしょう。

Third wave『ドスパラ raytrek XT』
本体サイズ | 207×509×440mm |
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CPU | Core i7-9700(3.00~4.70GHz、8C/8T) |
GPU種類 | GeForce GTX1660Ti 6GB |
ハードディスク種類 | SSD(M.2 SATA)+HDD |
ハードディスク容量 | 500GB(SSD)、2TB(HDD) |
メモリ | 16GB(8GB×2) DDR4 SDRAM |
コスパの高いAdobe CC推奨モデル
ドスパラのクリエイティブ向けPC「reytrek」シリーズの中で、ミドルレンジに当たるモデルが「XT」です。CPUは6コア・12スレッドのCore i7−9700、GPUはNVIDIA GeForce GTX1660Tiと、クリエイティブ系のPCとしてはミドルレンジの性能ですが、XeonやQuadroといったプロ向けのパーツを使っていないため、同等の性能で安価に仕上がっています。
メモリは16GB、ストレージも500GBのSSDと2TBの組み合わせで、速度と容量を両立。PhotoshopやIllustrator、Premiere ProといったAdobe CC系ソフトの推奨動作環境をクリアしており、これらのアプリが快適に動作することが期待できます。ハイアマチュアや学生はもちろん、プロの作業用としてもピッタリな、コストパフォーマンスの高い1台です。

Mouse Computer『DAIV-DGZ530E4-S2-CS』
本体サイズ | 190×490×490mm |
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CPU | Core i5-9400(2.90GHz、6C/6T) |
GPU種類 | GeForce GTX 1660 6GB |
ハードディスク種類 | SSD(M.2 SATA) |
ハードディスク容量 | 256GB |
メモリ | 32GB(16GB×2)PC4-19200 DDR4 |
大容量メモリ搭載で快適なハイアマチュア向けマシン
マウスコンピュータのクリエイティブ向けブランド「DAIV」シリーズのうち、エントリー〜ミドルレンジにあたる「DGZ」シリーズのPCです。チップセットにメインストリーム向けの「Z390」を採用したシリーズで、構成次第ではプロ向けの性能も実現可能ですが、どちらかといえば汎用パーツでコストパフォーマンス高めに仕上げるのに向いていると言えるでしょう。
おすすめ構成の「E4-S2-CS」は、CPUはCore i5、GPUはGeForce GTX1660ですが、メモリを32GB搭載しており、買ったままでも大きなデータをかなり快適に使えるはずです。ストレージは256GBのSSDなので、ここはもう少し強化したいところですが、拡張性の高いケースになっているので必要に応じて増設していけばいいでしょう。3Dよりは2Dの画像や写真の処理などに向いた構成です。

Lenovo『ThinkStation P330 Tower』
本体サイズ | 165×376×328mm |
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CPU | Core i3-8100(3.60GHz、4C/4T) |
GPU種類 | 内蔵(インテル UHD グラフィックス 630) |
ハードディスク種類 | HDD(SATA、7,200rpm) |
ハードディスク容量 | 1TB |
メモリ | 8GB DDR4 2666MHz UDIMM |
コンパクトなタワー型ワークステーション
Lenovoの「ThinkStation P」シリーズは、主に3D CGやCADといった負荷の高いクリエイティブ用途向けのシリーズです。フォームファクターは超省スペースからフルタワーまで幅広く用意されていますが、今回おすすめする「P330 Tower」は、XeonプロセッサーとNVIDIA QuadroシリーズのGPUが選択できるワークステーション級PCです。
比較的コンパクトなミニタワー筐体にパワフルな性能を詰め込んだシリーズで写真やCAD、3D CGなど用途別に多彩な構成のパッケージが用意されています。どの構成を選べばいいのかわかりにくいときは、こうしたパッケージを選べば、概ね間違いない性能が選べる点は便利です。
ただ、全体的にメモリだけは少なめなので、ここだけ増設するのがおすすめです。
「デスクトップPC」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする デスクトップ クリエイティブの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのデスクトップ クリエイティブの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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ITライターからアドバイス クリエイティブ向けPC選びに迷ったら……
ITライター
ゲーミングPCもクリエイティブに使える
クリエイティブ向けのPCの構成は、どのパーツも高性能なものを要求してくるため、結果的にゲーミングPCに似てきます。
ゲーミングPCとクリエイティブPCの違いとしては、ゲーミングPCはケースやパーツのデザインが派手だったり、光ったりするといったギミックに力が入っているなど、主に外見面が中心で、ゲーミングPCはクリエイティブ用途としても優秀な選択肢になることは覚えておくといいでしょう。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
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※2021/01/22 コンテンツ修正のため、記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 平野慎也)
大学在学中よりパソコン総合誌、Windowsプログラミング誌、Mac専門誌の記者/編集者として活動し、その後輸入自動車やカーナビ等のマニュアル翻訳/制作などを経て、フリーランスとして現在に至る。 キャリアは25年目に突入。専門はアップル製品だが、WindowsもAndoridも周辺機器もソフトも等しく愛する何でも屋。