スイッチングハブとは? 2つ以上の有線LANケーブルを振り分けれる中継装置
スイッチングハブとは、有線LANケーブルでネットワーク受信をする際、2つ以上の有線LANケーブルに振り分けることができる中継装置のこと。通常のLANポートの場合、大抵が4つまでLANケーブルをつけることができますが、スイッチングハブを経由することで5つ以上、有線でネットワーク接続することが可能になります。
少し詳しく説明すると、以前までは「リピーターハブ」と呼ばれる、スイッチングハブに似た機能の装置が一般的でしたが、接続するとネットワークデータを転送しっぱなしという事象が起こっていました。その欠点を改善したのがスイッチングハブになり、より使い勝手のいい装置となったのです。
スイッチングハブの選び方 ポート数は必要数+3、ネット回線に合う製品、素材は金属製
家電コンシェルジュの松本レイナさんに、スイッチングハブを選ぶときのポイントを教えてもらいました。スイッチングハブを選ぶ際には、どのような点に注目するとよいのでしょうか?
【1】ポート数は「必要なポート数+2〜3」を目安に
モノレビュアー・家電コンシェルジュ
パソコンやテレビなど、接続する機器の種類や数は人によってさまざまです。2、3台程度であればあまり気になりませんが、5、10台と多くの機器を接続する場合は、ポート数をチェックする必要があります。
商品によってポート数に違いがあるので、接続する機器の数に合ったモデルを選びましょう。その際は、ピッタリの数を搭載した商品よりは、2つ3つポート数に余裕がある商品を選ぶのがおすすめ。新しいネットワークに繋げたい機器を購入した場合も、すぐに対応できますよ。
ただ、著しく接続数が多いモデルはほぼプロ用。数が多くなればなるほど価格も上がるため、あまりポート数が多すぎる商品は、コスパ面を考えるとあまりおすすめできません。
必要なポート数+αくらいの商品をチョイスしましょう。
【2】ネット回線のスピードが「100Mbps以上か以下か」で製品を選ぶ
モノレビュアー・家電コンシェルジュ
スイッチングハブに接続した機器がインターネットに接続して送受信をおこなう場合、ネット回線のスピードがどの程度出ているかチェックすることをおすすめします。
ネット回線が高速な場合、スイッチングハブも高速通信に対応していなければ、スピードダウンしてしまうことも。商品によって出せる上限のスピードが決まっていますので、回線速度に合わせて商品選びをおこないましょう。
回線のスピードテストをおこない、100Mbps以上の速さがある場合は1000Mbps(1Gbps)対応モデルがベター。2~30Mbps程度であれば100Mbps対応モデルでもじゅうぶんです。
【3】素材は放熱性の高い金属製がベター
モノレビュアー・家電コンシェルジュ
金属製ケースが熱を逃がしてくれる
常時電源がオンの状態で使用することの多いスイッチングハブでポイントになるのが廃熱です。最近ではファンを搭載しないことで静音性を高めているモデルが多くあるものの、このタイプは熱がこもりやすくなるデメリットもあります。
ケースに金属を使用している商品であれば、放熱性にすぐれているため、熱がこもる心配が少なく済みます。
複数の機器を同時に使う、物持ちのよい商品を選びたいという方であれば、本体が金属製の商品を選ぶとよいでしょう。
【4】その他の便利機能をお好みでチェック
(a)ファンレス設計だと静音性が高い
ファレンス設計とは動作音を押さえて起動してくれる設計のこと。ファレンス設計のスイッチングハブであるなら、寝室の近くにパソコンを置いた場合でも動作音が気になる場所でも静かにネット回線を利用することができます。しかし、熱を溜めやすいというデメリットもあるため、動作時間や接続ポート数といった部分もしっかり注目しておきましょう。
(b)給電方式は「内蔵型」か「プラグ型」か
スイッチングハブは、電源が内部に搭載されている「内蔵型」か、ACアダプタを付けることで給電を行う「プラグ型」に分かれます。
内蔵型はコンセントも必要なく、すっきりとした見た目になりますが、熱を溜めやすい傾向にあります。逆にプラグ型は熱を溜めにくいですが、コードが見えてしまうのとコンセントの近くでないと使用できません。
モノレビュアー・家電コンシェルジュ
見た目をすっきりさせやすい「内蔵型」がおすすめ!
マルチタップに電源プラグを挿し込むとき、大きなアダプタがついていると、隣のコンセントと干渉して手間取ることがありますよね。
電源を内蔵したモデルであれば、プラグは一般的なサイズで済みます。同じようなスペックで悩んだときは、内蔵モデルの方が場所を取らないためおすすめですよ。
(c)PoE機能で、接続と給電を一緒に
PoE(Power over Ethernet)とは、LAN端子から給電もできる機能のこと。LANケーブルを接続することで、ネットワーク回線だけでなく、給電もできるため、他にACアダプターなどが必要なくなります。
よく利用されるものとしては、玄関や駐車場などの監視カメラが主になります。もちろん、通常のスイッチングハブに比べ高額になりますが、防犯や機能性を求める方に人気の機能となっています。
【6】念のため確認しておきたいスイッチングハブの便利機能
下記で説明するスイッチングハブの機能は、ほとんどの製品に搭載されているものですが、機種によっては搭載されていないものもあります。必要な機能・欲しい機能があれば、下記を参考に抜け漏れのないように商品を選びましょう。
●オートMDI/MDI-X
実はLANポートにはMDIとMDI-Xの2種類の規格があり、接続先に合わせて変えなければなりません。その手間をなくし、オートで接続構造を変えてくれる機能がオートMDI/MDI-X機能です。これがあることで、接続の手間をなくし、簡単にしてくれます。
●全二重送信
ネットワークの通信方式は、「単向通信」「半二重送信」「全二重送信」の3種類があります。「単向通信」はデータ送信が一方向通行のタイプ、「半二重送信」は一方通行のデータ送信を交互に順番で送受信するタイプ、そして「全二重送信」は同時にデータ送信を行えるタイプ。
「単向通信」<「半二重送信」<「全二重送信」と機能性が上がっていきますが、スイッチングハブのほとんどは、機能性が一番高い「全二重送信」に対応しています。こちらもしっかり確認しておきましょう。
●オートネゴシエーション
LANには、1000BASE-T・100BASE-TX・10BASE-Tの各速度に対応した規格があります。オートネゴシエーション機能は、これらの速度規格を自動で判別し、最適な速度でデータ送信してくれる機能です。これにより、パソコンの古い・新しいに限らず快適なデータ送信ができるので、一般家庭でも通信環境の整備に手間がなくなります。
●ブリッジ接続
「ネットワーク」→「ルーター1」→「ルーター2」→「PC」といったように、ルーターを2つ連結させて使用したときに活躍する機能です。一般家庭ではまれに、オフィスなどではよくある事象ですが、上記のように接続すると、ルーターの1と2は別々のネット回線と認識され、ネットワークがうまく作動しないことがあります。それを、1つのネットワークとして認識させ、快適にネット接続させる機能がブリッジ接続です。こちらも、ほとんどのスイッチングハブに搭載されていますが、念のためチェックしておきましょう。
おすすめメーカー・ブランド
エレコム(ELECOM)
エレコム(ELECOM)は、パソコンやスマートフォンの周辺機器を製造・販売している有名メーカー。スイッチングハブに関しては、家庭向けの3〜5ポートの低価格モデルやオフィスで使用する10以上のポート数のモデルまで幅広く展開しています。
また、サポート体制もしっかりしており、問合せサービスやマニュアル動画までしっかりユーザーをサポートしてくれます。
バッファロー(BUFFALO)
バッファロー(BUFFALO)は、外付けHDDや無線LANなどのパソコン周辺機器から、テレビの外付けHDDといった製品まで製造・販売している有名メーカー。
スイッチングハブに関しては、こちらも家庭向けの3〜5ポートのモデルから、オフィス向けの製品まで展開しています。また、製品によっては、音楽情報のハイレゾデータの以降をストレスなく行えるものや、消費電力を抑えた節電モデルまで幅広いニーズに答えた商品があります。
ネットギア(NETGEAR)
ネットギア(NETGEAR)は、ネットワーク機器を取り扱うメーカー。基本的には、企業向けの製品が多いですが、こちらも家庭向け・オフィス向けのスイッチングハブも展開しています。
基本はオフィス向けということもあり、機能性が高い製品が多く、セキュリティ性能の高いモデルや1000BASE-T以上の高速通信に対応したモデルまで展開しています。値段も、機能によって幅があり、安価なものから高額なものまでラインナップされています。
TP-Link(ティーピーリンク)
ティーピーリンク(TP-Link)は、中国に拠点を置く、無線LANルーターといったパソコンやスマートフォン関連のネットワーク機器を製造・販売しているメーカー。
スイッチングハブも同様に展開しており、安価な製品が数多くラインナップされているのが特徴。また、値段だけでなく、機能性も決して低くはなく、コストパフォーマンスの高い製品が数多く存在しています。
スイッチングハブおすすめ6選 エレコムやバッファローなど
上で解説した選び方を踏まえ、家電コンシェルジュの松本レイナさんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

BUFFALO(バッファロー)『スイッチングハブ(LSW6-GT-8NS)』




















出典:Amazon
転送速度 | 1000Mbps (1000BASE-T)、100Mbps (100BASE-TX)、10Mbps (10BASE-T) |
---|---|
ポート数 | 8 |
ファンレス○or× | 〇 |
大きさ | 幅17.3×高さ2.9×奥行8.6cm |
重さ | 370g |
放熱性にすぐれた金属製の本体を採用
高画質の映画やホームビデオも楽しめるギガビット対応モデル。8ポートと余裕がありますので、一般家庭であれば足りなくなることはほとんどないでしょう。
プリンターやパソコン、ゲーム機にテレビと、さまざまな機器をネットワークに有線接続したい方にぴったりといえます。少しポート数に余裕があるほうが、新しく機器を接続する際には便利です。7つ8つと接続予定であれば、よりポート数が多いモデルをおすすめします。
また、多くの機器を繋いで使用する際、気になるのは廃熱です。本製品には本体を冷やすファンは搭載されていないものの、素材に金属を採用することで、本体の熱を効率よく放出してくれます。
電子機器の苦手とする熱はこもりづらく、夜間でも気にならない静音性も兼ね備えたすぐれものです。

ELECOM(エレコム)『1000BASE-T対応 スイッチングハブ(EHC-G05PA-W-K)』






















出典:Amazon
転送速度 | 10/100/1000Mbps |
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ポート数 | 5 |
ファンレス○or× | 〇 |
大きさ | 幅90.4×奥行34×高さ84.5mm |
重さ | 105g |
正面からも上からもランプが見やすい
有線で接続したい機器があまりないという方であれば、よりコンパクトなこちらがおすすめ。幅9cmほどしかありませんので、パソコンやテレビの裏側などに置いて目立たなくさせることもできます。
コンパクトサイズですが、LANケーブルを5本接続でき、ギガビットにも対応。スイッチングハブとしての性能面はしっかりと備えていますよ。(もちろん、本棚の上部やテレビ台の裏などでの設置もOK。)
電源や接続先の通信状況が確認できるLEDランプが、前からも上からも見やすいのもポイント。テーブルの上に置いているときはもちろん、金属製のデスクに設置したときなど、本体を立てた状態で設置した場合も視認性はバッチリです。"

NETGEAR(ネットギア)『ギガビットアンマネージスイッチ(GS105-500JPS)』
















出典:Amazon
転送速度 | 10/100/1000 Mbpsギガビットイーサネット |
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ポート数 | 5 |
ファンレス○or× | 〇 |
大きさ | 幅94×奥行100×高さ27mm |
重さ | 270g |
LANポートを前面に設置した1台
目立たない場所に設置すると、トラブルがあった際にどのケーブルがどの機器と接続しているかわかりづらいことも。
スイッチングハブは前面と背面に差し込み口があるタイプがあり、本機種は前側にLANケーブルの差込口があるため、どの差込口を使用しているのかがわかりやすい作りになっています。
ランプとケーブルの距離が近く、光り方を見て確認もしやすい特徴があります。配線を隠したいタイプの人には向いていませんが、抜き差しが多かったり、スペースの拡張を予定している方には最適な1台といえます。
ネットワークケーブルを頻繁に差し替えたり、ネットワークテストの頻度が多い方や、素早くチェックしたいセミプロ以上におすすめなモデルです。

ELECOM(エレコム)『1000BASE-T対応 スイッチングハブ(EHC-G05MN2-HJ)』














出典:Amazon
転送速度 | 10/100/1000Mbps |
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ポート数 | 5 |
ファンレス○or× | 〇 |
大きさ | 幅127.5×奥行83.6×高さ30mm |
重さ | 330g |

tp-link(ティーピーリンク)『5ポート 10/100Mbps デスクトップ スイッチ(TL-SF1005D)』

出典:Amazon
転送速度 | (最大)200Mbps |
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ポート数 | 5 |
ファンレス○or× | 〇 |
大きさ | 幅103.5×奥行70×高さ22mm |
重さ | ‐ |

BUFFALO(バッファロー)『スイッチングハブ(LSW4-GT-16NSR)』

出典:Amazon
転送速度 | 10Mbps (10BASE-T)、100Mbps (100BASE-TX)、1000Mbps (1000BASE-T) |
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ポート数 | 16 |
ファンレス○or× | 〇 |
大きさ | 幅215×奥行130×高さ43㎜ |
重さ | 1100g |
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする スイッチングハブの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのスイッチングハブの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
【最後に】家電コンシェルジュからアドバイス
モノレビュアー・家電コンシェルジュ
規格が古いとスピードが出ない原因に
スイッチングハブが1000Mbps(1Gbps)のギガビットに対応していても、LANケーブルや接続先の機器が100Mbpsまでしか対応していない場合、スピードの上限は100Mbpsになってしまいます。
とくにLANケーブルでありものを使用している場合、規格が古くてスピードが出ないというケースが見られます。
ネットワーク全体を高速化させたい方は、スイッチングハブ以外の機器がどの規格に対応しているのかを忘れずにチェックしましょう。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2021/01/27 コンテンツ追加のため、記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 平野慎也)
カルチャー誌や家電誌、モノ系雑誌にてライター・リサーチャーとして活躍。 大ヒットとなった家電のプロモーションや、ガジェット探しなど、仕事内容は多岐にわたる。 一般的な家電から、ちょっとマニアックなものまで「イイモノはとにかく買って試す!」がモットー。 現在子育て中で、キッズガジェットや知育玩具、花火などレジャーグッズは子どもと一緒に愉しんでレビューしています。