ロードバイク用チューブを選ぶポイント
さっそく、ロードバイク用チューブの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記。
【1】タイヤのサイズ
【2】バルブの長さと太さ
【3】チューブの素材
【4】バルブの形式
上記のポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】タイヤのサイズをチェック
前提として、チューブのサイズはタイヤのサイズに合わせてピッタリのものを選ぶようにしましょう。チューブは伸縮性があるので、タイヤサイズの対応幅が広いものもありますが、できるだけタイヤのサイズに合ったチューブを選ぶのがベターです。
タイヤのサイズは、タイヤの側面に記載されていることがほとんど。定番サイズ700×23cを例に説明すると、タイヤ外径700mm、タイヤ幅23mmという意味。
自分が乗っているロードバイクのタイヤサイズを基準にピッタリのサイズのチューブを選ぶようにしましょう!
【2】バルブの長さと太さをチェック
バルブの長さと太さについて確認します。
【 長さ 】
まず長さについて、米式や英式のバルブ長は一種類ですが、仏式には大きく分けると3種類の長さがあります。計測方法はメーカーによって異なりますが、40mm、60mm、80mm前後の製品があります。選ぶ目安はリム高+15mm。
【 太さ 】
次に太さですが、インナーチューブはタイヤ幅に応じた太さのものを選びましょう。たとえばパッケージに700×18-25C(18/25・ETORTO622)とあれば、18~25Cに対応しているということ。最近は28Cを標準仕様にするバイクが増えてきているので、対応サイズを見落とさないようにしましょう。
そのため、「長さはリム高+15mm、太さは28Cが標準仕様」を目安にサイズの確認をしておきましょう。
【3】チューブの素材をチェック
チューブの素材によって、乗り心地や耐久性が変わります。素材ごとの特徴を理解して、自分に合ったものを選びましょう。
「ブチル」:高いシェアを占める合成ゴム
もっともシェアが高いのは合成ゴムのブチルチューブです。
安価で耐候、耐熱性にすぐれ、空気漏れが少ないのが特徴で、ほぼすべてのクリンチャータイヤの標準インナーチューブに使われています。ちなみに国内で販売されている米式、英式バルブはすべてブチルチューブです。
「ラテックス」:軽量でしなやかな素材
天然ゴムで作られているラテックスチューブは軽量で伸縮性が高く、しなやかで乗り心地がよいことで知られています。
弱点は価格が高価になってしまう点、品質にバラつきが起きやすい点です。また、ポリアミドを使って軽量で耐パンク性の高い新製品も登場しています。
「R'AIR」:軽さと耐久性を両立した素材
「R'AIR」は、日本の自転車用品メーカーのパナレーサーが独自開発した素材で、軽さと耐久性のバランスにすぐれています。ブチルチューブとラテックスチューブの中間的な性能です。
また、伸縮性があり、振動吸収性と路面追従性が高いのも魅力的なポイント。しなやかな乗り心地で、快適にサイクリングが楽しめるでしょう。
最初はブチル、レベルアップでラテックスを!
初心者は作業性の高いブチル素材が安心ですが、ステップアップしたらラテックス素材にも挑戦してみてください。
【4】バルブの形式をチェック
バルブの形式には、仏式、米式、英式の3種類があります。自分のロードバイクがどのタイプなのか事前に確認しておきましょう。
仏式(フレンチ):高圧に対応できる
ロードバイクをはじめとするスポーツバイクは、仏式(フレンチ)が一般的です。仏式は高圧に対応できるため、空気圧を高める必要のある細いタイヤに多く採用されています。
また、軽量なのも仏式のメリットです。スピード重視のロードレースでは、わずかな重量がバイクの加速に影響するため、軽さは重要なポイントとなります。
米式(シュレーダー):丈夫で耐久性にすぐれている
米式(シュレーダー)は、丈夫で耐久性にすぐれているため、マウンテンバイクなどの太いタイヤに多く採用されています。空気口が太く、空気もれしにくい構造になっており、オフロードや長期的な使用に適しています。
米式は頑丈で耐久性が高い反面、重量があるのがデメリット。レースなどでスピードを重視したい場合にはやや不向きかもしれません。
英式(ウッズ):取り扱いがかんたんで安価
英式(ウッズ)は、一般的なシティサイクルに多く採用されています。多くの日本人にとってなじみのあるタイプといえるでしょう。仏式や米式よりも取り扱いがかんたんで、安価なのがメリットです。
その一方で、英式は高圧に適さないため、ロードバイクやマウンテンバイクといったスポーツバイクではほとんど見かけません。
バルブ穴とインナーチューブは互換性がない
応急処置として、米式と英式用リムは兼用バルブナットを使えば仏式を使えますが、基本的にバルブ穴とインナーチューブのバルブは互換性がありません。
ロードバイクは空気圧が高いので仏式、クロスバイクでは仏式だけでなく米式も採用されています。英式バルブはシティサイクルに多く使われ、スポーツバイクで使われることは稀(まれ)です。
代表的なメーカー・ブランド
ロードバイク用チューブを取り扱う代表的なメーカーをご紹介します。商品を選ぶときの参考にしてみてくださいね。
Panaracer(パナレーサー):日本を代表するブランド
パナレーサー(Panaracer)は、日本生まれの自転車用品メーカーです。1952年にパナソニックグループのナショナルタイヤ株式会社として創業。その後グループから離脱し、現在のパナレーサー株式会社となりました。
パナレーサーは開発と生産拠点を日本国内に持っており、メイドインジャパンとして世界に誇れる品質のアイテムを数多く展開しています。取り扱うチューブの種類が豊富なのも特徴で、ライトモデルから本格仕様のものまで幅広くそろっています。
Continental(コンチネンタル):レースでも使用される本格仕様
コンチネンタル(Continental)は、ドイツを代表する自動車部品およびタイヤメーカーです。ロードバイク用チューブをはじめとする高性能なタイヤ用品を展開しており、数々の自転車ロードレースでもコンチネンタル製のものが選ばれています。
ロードバイクで本格的なライドを楽しみたい方にぴったりなメーカーといえるでしょう。
ロードバイク用チューブおすすめ9選
ここまで紹介した選び方のポイントをふまえ、自転車ジャーナリストの菊地武洋さんと編集部が選んだおすすめの商品をご紹介します。

最上級の乗り心地を実現する日本製チューブ
お気に入りのクリンチャータイヤの性能を極限まで引き出したいなら、プロ選手も絶賛するソーヨータイヤのラテックスチューブを試してみましょう。ラテックスは伸縮率が高く、耐パンク性能にもすぐれるだけでなく、しなやかな乗り心地で昔から高い評価を得ています。
ただし、安定した品質を保つのが難しく、コストも高いのが弱点。それでも、一度使ったらやめられないという人が多いようです。ソーヨーのチューブは紫外線劣化を防ぐためにアルミで梱包されるなど、細部までこだわり抜いた上質なインナーチューブです。

唯一の28C対応ラテックスチューブ
趣味の世界でコストパフォーマンスを優先するのは無粋ですが、インナーチューブのような消耗品の場合、どうしても費用対効果を意識してしまいます。
ヴィットリアのコンペティションラテックスは、性能にもコストにもシビアな走行距離の多いロングライダーや選手から人気の逸品。バルブ長は51mm、太さは19-24Cと25-28C用の2種類があります。流行の28Cに対応する唯一のラテックスチューブというだけでなく、バルブコアも交換できます。

ブチルゴムの弱点を克服した軽量チューブ
ブチルゴムは空気の漏れが少なく、製品の性能がバランスよく安定しているのが魅力です。R'AIRは軽さと耐久性を追求しているので、山や丘陵の上り坂に設定されたコースを走るヒルクライマーから人気を集めています。
チューブが薄いので慎重に作業する必要はありますが、従来品よりも2.1倍の伸縮性があり乗り心地がよくなると評判です。
また、ラインナップが充実しており、バルブ長や対応するタイヤ幅も豊富で、バルブコアが外れるモデルもあります。

手頃な価格で、幅広くタイヤサイズにマッチする
スポーツサイクルを扱うプロショップで、もっとも見かける機会が多いのがドイツのタイヤメーカー、シュワルベのインナーチューブ。価格も手頃でバルブ長も豊富に用意されています。
また、伸縮率が高いので1サイズで18-28Cまでカバーできるのも、ほかにない特徴です。軽量タイプと比べると重量はありますが、ゴムが肉厚でパンクしにくいのが高評価となりリピーターも多いチューブです。

圧倒的な軽さを誇る新世代チューブ
恐らく、この10年でもっとも話題をさらったインナーチューブといえば、オーストリアにあるRTIスポーツ社のチューボリートでしょう。一般的なブチルチューブと比較して重量は1/3、バルブの材質まで樹脂を使うほど徹底した軽量化が施されています。
また、耐貫通性能は2倍とパンクに強いのも大きなアドバンテージです。リムの温度が上がらないロードバイクのディスクブレーキ用は23gと驚くほど軽いので、ヒルクライムの決戦用パーツや携帯用スペアチューブとしても最適。
タイヤマイスターの心意気を感じる
ドイツのタイヤメーカー Continental 社は、自転車用タイヤを100年以上に渡って作り続けています。今日では、厳格なドイツ職人の技と最新設備が融合し、高品質なタイヤを世に送り出しています。この「Race28」はコンチネンタルを代表するチューブのひとつ。
やや重さはありますが、その分厚さがあって丈夫。まさに「質実剛健」を体現しているチューブです。非常にパンクしにくいので、通勤や配達の仕事などでロードバイクに乗るなら、是非おすすめしたいチューブです。
軽さを極めるならおすすめの一本
自動車のタイヤでおなじみの、ブリヂストンが発売しているロードバイク用タイヤチューブが「EXTENZA」シリーズです。薄さ0.6ミリのプチブルチューブは驚くほどの軽さを実現し、ロードバイクの走行性能を余すところなく引き出します。ただし走行性と引き換えに耐久性が低いため、こまめなメンテナンスは必須なので注意しましょう。
通勤などの普段使いよりもレースやヒルクライムなど「ここ一番!」というところで使用したいチューブです。
安心と信頼の国産チューブ
iRC-TIRE は、1926年設立、名古屋市に本社を置く「井上ゴム工業株式会社」のブランドです。井上ゴムは二輪車用タイヤ・チューブの専門メーカーで、歴史と伝統に培われた確かな技術力と品質には定評があります。このIRC BICYCLE TUBE 289シリーズは重量は115グラムとやや重めですが、安定した強度でパンク耐性が高く、ロードバイクのタイヤまわりには、絶対の信頼をおけるチューブとブランドです。
今回ご紹介するバージョンはバルブコアが取り外し可能で、メンテナンスがしやすいのも密かなポイントです。
期待値大のアジアメーカー
CHAO YANG(チャオヤン)は、アジアが世界から「価格」ではなく「性能」を評価されることを目指すタイヤメーカーで、製品は自転車、バイクにとどまらず自動車や大型トラックまで幅広く手がけています。
自転車部門ではオーストリアのナショナルチームを公式にサポートしており、その技術力で好成績に貢献しています。
そんな CHAO YANG からは多様な自転車用タイヤチューブが発売されていますが、今回おすすめするのがこの154シリーズです。重量と耐久性のバランスがとれたチューブで、通勤からイベントまで幅広い状況で活躍します。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする タイヤチューブの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場でのタイヤチューブの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ロードバイク用チューブに関するQ&A
チューブの寿命・交換時期は?

使用頻度にもよりますが、一般的にロードバイクやクロスバイクなどのスポーツタイプは走行距離が3000km~5000km位で寿命がくると言われています。
パンクを防ぐ走り方は?

尖ったものがたまりやすい道路の端を走らないことと、段差や石を踏む際に体を浮かせる(抜重)ことが重要です。
さらに走りを快適にする関連アイテムをチェック
チューブ素材やバルブの太さの確認も忘れずに!
本記事では、ロードバイク用チューブの基本的な知識や選び方、おすすめ商品をご紹介しましたがいかがでしたか?
ロードバイク用チューブを選ぶ際は、タイヤのサイズに合わせた上で、バルブの長さと太さもチェックすることが大切。さらに、チューブの素材、バルブの形式などの種類も確認しておくと、さらに満足のいくチューブ選びができます。
チューブは、あまり目立つパーツではありませんが、走行性能に影響力を持つ重要なパーツです。同じ空気圧でも、チューブの柔軟性によって乗り心地やブレーキング性能が変わるだけでなく、パンクのしやすさも大きく違ってきます。本記事を参考に、ぜひ自分のロードバイクの性能をアップさせてくださいね。
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