歪み系エフェクターの種類・タイプ
歪み系エフェクターには、「オーバードライブ」「ディストーション」「ファズ」などがありますが、実はそれぞれを分類する明確な定義はありません。一般的には歪む強さによっておおまかに分けられています。
使うシーンを選ばない「オーバードライブ」
オーバードライブを使えば、アンサンブルをたもちながらも歪んだギターサウンドが楽しめます。セッティングによっては、ギターソロで予想外な歪みを演出することも可能です。
ソロだけではなくバッキングなどにも活用できるので、はじめて歪み系エフェクターを使うという方にも向いています。
へヴィメタ・パンク・ロック系にピッタリの「ディストーション」
オーバードライブよりも深く強く歪ませたいというときには「ディストーション」を選んでみましょう。
パンクやロック系にもピッタリ合う荒っぽいサウンドを演出することもできます。「オーバードライブ」ではものたりないというときにも適しているでしょう。
クラシックロックを思わせる「ファズ」
アンプのゲインを上げて得ていた歪みサウンドを、手軽に再現できるようにしたエフェクターがファズです。今はシリコン製のトランジスタが基本ですが、60年代サウンドを狙ってゲルマニウム・トランジスタを使用しているタイプもあります。
歪み系エフェクターの選び方
それでは、歪み系エフェクターの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の3つ。
Point.1:迷ったときには定番商品を選ぼう
Point.2:歪み系でもデジタルを選んでいい
Point.3:ブースターとして使う方法もある
上記の3つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
Point.1:迷ったときには定番商品を選ぼう
どれを選ぼうか迷ったときには、定番商品を購入してみてください。定番の歪み系エフェクターは利用している人も多いので、動画などで実際のセッティング例を見ることもできます。
エフェクターは希望のセッティングを見つけるまでがたいへんなので、定番の歪み系エフェクターを使いながら自分が求めるサウンドを探してみるのもいいでしょう。
Point.2:歪み系でもデジタルを選んでいい
歪み系エフェクターはアナログに限る、という意見もよく耳にします。デジタルは音がやせる、デジタル特有のクセが出る、などがその理由ですが、それはひと昔前の話。最近のデジタルエフェクターは劇的に音質が向上しているので、歪み系だからアナログ、と決めて考える必要はありません。最新の技術によって著名な真空管アンプのサウンドをリアルに再現できるものもありますし、ノイズが少ないのもデジタルのメリットですから、デジタルのものを積極的に選んでもよいと思います。
ただしアナログのエフェクターと混在させる場合は、電源を別々にとらないとノイズを生じることがあるので注意してください。
Point.3:ブースターとして使う方法もある
ブースターとして歪み系エフェクターを使っている人も多くいます。ゲインやドライブなどを上げずにレベルだけを上げれば、出力を増幅するブースターとして使えます。アンプとの組み合わせでより強く歪ませることもできますし、ソロのときだけブーストして、歪みの音色をあまり変えず、音をつぶさずに音量を上げる、といった使い方もできます。
ただし、機種によってはゲインを下げても歪むことがありますし、それぞれのエフェクターの持つ音の個性が強く出る機種もあります。必ずしも狙い通りのサウンドになるとは限らないので、可能なら店頭で自分のギターやアンプ、あるいはそれに近い構成で試奏して選びましょう。
歪み系エフェクターおすすめ11選
上記で紹介した歪み系エフェクターの選び方のポイントをふまえて、おすすめ商品を紹介します。

歪んでも表情豊かにプレイできるオーバードライブ
真空管アンプで用いられる回路設計を採用、まさに真空管アンプのような歪みを得られるオーバードライブです。
粗っぽく軽い歪みはジャンルを問わず使えますが、ピッキングの強弱で歪みの色合いが変わり、表情のあるドライブサウンドでプレイできるところは、「ブルースドライバー」のネーミングのとおりブルース向きといえるでしょう。ブースターとして使うのにもおすすめです。
轟音のような太く攻撃的なサウンドを生み出す
国産エフェクタメーカーであるEffects Bakeryのファズペダルです。かわいらしい見た目からは想像できないような太く轟々しいサウンドが特徴で、分厚くてゴツいロシア製アーミーグリーンファズを彷彿させます。ギターだけでなく、ベースにも使えるしっかりとボトムのきいた音質が魅力です。
ヘビィなサウンドのみならず、安定したディストーションのような歪みを鳴らすこともできるうえ、リーズナブルな価格でもあるので、初めてファズを使う方にもおすすめの一品です。
JCM800を再現し幅広い音作りが可能なペダル
マーシャル「JCM800」のハイゲインサウンドを再現したJHSのオーバードライブ・ディストーションペダル。5つのコントールはアンプのような操作感で音作りができて、オーバードライブからヘヴィなブリティッシュ・ハイゲインまで、幅広いゲイン設定が可能です。
「Angry Charlie」の3代目となるこちらのモデルには、3バンドEQが搭載されており、理想とするサウンドを細かく作り込めます。低域と高域が強調されたドンシャリサウンドを作りたい方におすすめのエフェクターです。

オーバードライブ/ブースターの世界的定番のミニ版
ブースターとしてもよく使われており、プロアマ問わず世界中に愛用者がいる『TS9』の小型版です。
自然な歪みで真空管アンプとの相性がよいところ、サスティンがよく伸びるところなどはほとんどTS9そのまま。それがわずか9センチほどの小型サイズに収まっているので、気軽にギグバッグに入れて持ち運べます。アンプの歪みに物足りなさを感じたら、ぜひ試してもらいたい製品です。

美しい響きで幅広く使えるデジタルオーバードライブ
デジタルのオーバードライブですが、いわゆるデジタル臭さがなく幅広く使える商品です。その理由はBOSS独自のMDP技術を採用したこと。ピッキングのニュアンスや音程はもちろん、弦の種類、和音か単音か、などさまざまな要素を解析して、演奏した音に対して最適な処理をするため、複雑なコードでもつぶれず、きれいな響きで鳴らせます。
軽いクランチサウンドからつぶれたディストーションまで、ジャンルを問わず使えるオーバードライブです。

憧れのマーシャルサウンドを手軽に出せる
あのマーシャルのサウンドを手軽に出せることで人気の高いディストーションです。図太くパワフルな歪みサウンドが得られるのは初代『GUV'NOR』と同様ですが、新たにDEEPスイッチを搭載。
これは『JCM2000』に搭載されるものと同じく低域をブーストするもので、マーシャルらしい迫力ある低音を鳴らせます。クリーンサウンドのトランジスタアンプでもかなりマーシャルっぽい音を出せます。ロックギタリスト必携のディストーションです。

世代を超えて愛されるファズの代名詞
ファズといってほとんどの人がまず思い浮かべるのがこの『ビッグマフ』でしょう。ジミ・ヘンドリクスをはじめ、数多くの著名ギタリストが使用してきたことで有名ですが、その特徴は激しい歪みと長く伸びるサスティンです。
美しい響きとは無縁の荒々しさがあり、微妙なピッキングのニュアンスの表現も少々苦手な部類ですが、そんなことよりとにかくパワフルで強く歪んだ音がほしい、という人におすすめ。とくにクラシックロックには必須ともいえるエフェクターです。

幅広い歪みを作り出せる日米コラボのエフェクター
BOSSの『BD-2』と、アメリカの人気エフェクターブランドJHSの『Angry Charlie』という、両社を代表するドライブペダルを1台に詰め込んだ欲張りな商品です。
それぞれのエフェクターを単独で動作できるほか、並列や直列の接続、さらには両者のミックスも選択でき、BD-2の得意な軽い歪みのクランチサウンドから、Angry Charlieのマーシャルのようなハイゲインサウンドまでカバー。作れない歪みはないというくらい、幅広いサウンドを作れるオーバードライブです。
ナチュラルな音質でアンプを選ばず使える
Fulltoneの『OCD(OBSESSIVE COMPULSIVE DRIVE)』は、多くのギタリストが愛用する定番のオーバードライブペダル。特にソリッドステートアンプとの相性が抜群ですが、自分のアンプが使えない場面でも、ピッキングに対する反応性が失われず、理想のサウンドメイクを叶えます。迫力のある低音域が特徴のため、基本的にはアンプで低音を上げる必要がありません。
またストラトキャスターなどのシングルコイル・ピックアップのエレキギターの音圧を上げたい方に、特におすすめのエフェクターです。低音に比べ中域の膨らみが少ないので、ソロ弾きよりリフ向きといえます。
あらゆるジャンルに対応し理想の音づくりを叶える
1978年に発売されて以来、プロ・アマ問わず、さまざまなギタリストから支持され続けているBOSSの定番ディストーション。コントロールつまみは3つとシンプルながら、マイルドなオーバードライブからエッジのきいたディストーションまで、幅広いサウンドメイクが可能です。
DS-2とともに、NIRVANAのカート・コバーンが使用していたことでも有名なエフェクター。クセが少なく、扱いやすい安定したサウンドのうえ、比較的安価で手に入るのも魅力。強い歪みサウンドではない分、音が潰れすぎないため、アンプのGAINをマックスに回しても、ピッキング・ニュアンスへの反応がしっかり得られます。
定番の「Fuzz Face」をコンパクトに再現
定番ファズとして古くから人気の高い「Fuzz Face」をコンパクトにし再現した、Fuzz Face Miniシリーズのひとつ「FFM3」。ジミヘンのシグネチャーモデルでもあり、王道のファズサウンドから個性的なサウンドまで楽しめるエフェクターです。
Fuzz Faceのサウンドが好きで、エフェクターボックスに収めたいギタリストにおすすめ。ファジーな音質でありながら、太くスムースなサウンドが得られます。安定感のあるサウンドのためどんなアンプとも合わせやすく、ライブでも活躍できる逸品です。
「歪み系エフェクター」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 歪み系エフェクターの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの歪み系エフェクターの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
歪み系エフェクターに関連する記事のご紹介
まとめ
憧れのギタリストと同じ音を出すには、同じエフェクターを使うのが近道です。そのためには、ライブに行ったとき、あるいはTV番組やDVDでライブ映像を見るときに、ギタリストの足元にも注目してみましょう。
ビッグネームになってからも、コンパクトエフェクターを使い続けているアーティストは多いもので、スタックアンプを並べているギタリストでも、コンパクトのオーバードライブが足元に置いてあったりします。どのエフェクターを使っているのかをよく見て、音作りの参考にしましょう。
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90年代にプロドラマーとして活動、その後、音楽ライターとして書籍、雑誌などの執筆を行なっている。 DTM、PCオーディオ関連の著書、DTMソフト、シンセサイザーの日本語マニュアル制作など多数。 Webでは2007年~2009年までサイトAll Aboutで「ロック」のガイドを務めたほか、音楽情報サイトBARKSでは国内外の数多くの有名アーティストのインタビュー、ライブ取材などを行なっている。 得意分野はAOR、ハードロック、フュージョン、80年代。