サラウンドヘッドホンとは
サラウンドヘッドホンは、通常のイヤホンよりも臨場感があり、より立体的な音が楽しめるヘッドホンのこと。近年ではお家映画を楽しむ際やゲーミングでワンランク上を目指す方が選ぶなど、一般に普及してきているイメージがあります。
一般的なイヤホンとの違いは、内蔵スピーカーの数。基本的にイヤホンのスピーカーは左右一つずつ付いているのに対し、サラウンドヘッドホンは、各イヤーマフの中にスピーカーが複数個付いています。そのため、複数個のスピーカーから様々な音を流すことで、まるで音に包まれるような臨場感のある立体的な音を楽しむことができるんです。
そんなサラウンドヘッドホン。様々な種類の商品が販売されていて、用途によって音の出方が違うんです。選ぶポイントをしっかり押さえて購入することで、より映画やゲームを楽しむことができますので購入前は確認しておきたいところです。
サラウンドヘッドホンの選び方
それでは、サラウンドヘッドホンの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の5つ。
【1】シアター向けか、ゲーム向けか
【2】イヤーマフの種類
【3】使用環境に合わせて接続方式
【4】チャンネル数
【5】ヘッドセットかどうか
上記の5つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】シアター向けか、ゲーム向けか、用途をチェック
サラウンドヘッドホンは、もともとホームシアター系の製品として登場し、映画などのサラウンド音声を楽しむものとして発展してきました。しかしながら、近年はゲーミングヘッドホンのひとつとしてもバリエーションが広がってきています。
HDMIや光などのデジタル入力がメインなど、使い勝手の面ではどちらも同じですが、包まれ感や臨場感など音質・音場ともに問われるシアター向けに対し、ゲーム向けは遅延のなさや定位の確かさなどスペック面での要求度が高く、結果として異なる性格の製品となっていたりします。まずは、シアターとゲーム、どちらをメインに据えるかを定めてから製品選びをはじめましょう。
【2】イヤーマフの種類をチェック
サラウンドヘッドホンのイヤーマフ(耳当て部分)は、大きく「密閉型」と「開放型」の2つに分けられます。音の感じ方や用途が変わりますので、しっかりチェックしておきましょう。
●開放型:音が通り、自然な音声を感じられる
開放型は、逆に、ヘッドホンから出る音声がイヤーマフを通して外へ聞こえるタイプ。
音楽や音声の通りがいいため、自然で心地のいい音を体験することができます。さらに、高い音から低い音までしっかり表現してくれるため、リアルな音声をしっかり感じることができます。
●密閉型:音を遮断し、音楽や音声に集中できる
密閉型は、耳全体を覆い、音が外に漏れないように設計されたイヤーマフ。さらに、外からの音も遮断してくれるので、電車や飛行機といった移動中や、映画視聴など、音声をしっかり聞きたいという方にピッタリ。
低音もしっかり聞き取れるため、ロックやハードロックなど、重低音を重視して視聴したい場合にも重宝するでしょう。
【3】使用環境に合わせて接続方式をチェック
サラウンドヘッドホンは、無線接続タイプと有線接続タイプの2つが存在しています。使い勝手の面では無線接続タイプが断然有利ですが、音質や遅延の問題など、いくつかのデメリットも抱えています。
とはいえ、サラウンドヘッドホンの無線接続には2.4GHzの独自方式を採用している製品が多いため、Bluetoothワイヤレスとは桁違いの接続安定性があります。
音質や遅延がそれほど気にならなければ、無線接続タイプが有力候補となるでしょう。
【4】チャンネル数をチェック
サラウンドヘッドホンは、チャンネル数が5.1chのものだけでなく、7.1chや9.1chなどに対応しているモデルもあり、ブルーレイなどに収録されている高音質なサウンドを7.1ch以上で再生するには、HDMI端子で接続することとなります。
とはいえ、PS4などをのぞけば、Nintendo SwitchやゲーミングPCなどのゲーム機器やゲームソフトのサラウンド音声は5.1chがメイン。接続も光デジタル端子が主流です。
つまりは映画メインか、ゲームメインかによって選ぶ商品が変わってきます。高音質な最新映画をメインに楽しむ場合はHDMI接続=7.1ch以上に対応しておきたいところですが、ゲームがメインの場合は光デジタル接続=5.1ch対応で充分満足できると思います。
【5】ヘッドセットかどうかをチェック
ヘッドセットとは、通常のヘッドホンにボイスチャット用マイクが取り付けられたモデルのこと。ボイスチャットをしながらプレイするゲームなどではヘッドセットがおすすめ。逆に、シアターを楽しむだけであればヘッドホンで問題ないでしょう。
ボイスチャットを行うゲーミング、シアター鑑賞の両方をする場合は、どちらも併用できるヘッドセットがおすすめです。ゲーミングか、シアターか、両方に使用するのか、用途に合わせて選びましょう。
エキスパートのアドバイス
オーディオ・ビジュアル評論家
5.1chか、2chか、パターンをチェックしよう
サラウンドヘッドホンには、5.1chなどのサラウンド音声入力に対応しているものと、2ch入力をサラウンド化してくれるヘッドホンの2パターンがあります。後者は、厳密にはバーチャル(のつく)サラウンドヘッドホンであって、本記事で紹介したものとは別のものとなります。
ゲームも定位感(敵の位置など)が重要となってきていますので、できれば“本当の”サラウンドヘッドホンをチョイスしましょう。
おすすめ商品の比較一覧表
【シアター向け】サラウンドヘッドホン
サラウンドヘッドホン選びに、チャンネル数は欠かせないもの。数字が大きくなるほど音が立体的になります。ブルーレイなどの高音質サウンドには、7.1ch以上がいいとされています。
そんな映画などをさらに楽しむためのシアター向けサラウンドヘッドホンのおすすめを野村さんに選んでいただきました!
▼おすすめ4選|3万円以下
DTS HeadphoneX対応ハイコスパモデル
ステレオ音声だけでなく、2chのヘッドホンで最大11.1chのマルチサラウンドを楽しめるDTS Headphone X対応のヘッドホン。カラフルなカラーバリエーションが用意されているので選択の幅も広がりますし、屋外用のポータブルヘッドホンとしても大いに活躍してくれます。
入力はアナログのみとなってしまいますが、この価格帯、この軽量さでDTS Headphone X対応を謳ったモデルは貴重といえます。映画やゲームなどの映像コンテンツをよく見る人はもちろん、自宅だけでなく屋外でもスマホなどに繋げて活用出来るヘッドホンが欲しい、という人にはピッタリの製品です。
▼おすすめ2選|3万円以上
独自技術により7.1chサラウンドを再現
ソニーのミドルクラスモデル。独自技術の「Virtualphones Technology」によって、ヘッドホンでも臨場感溢れる7.1ch音声が存分に楽しめます。また、2chや5.1chの入力音声を7.1ch音声に拡張する「DOLBY Pro logic IIx」も搭載されています。
製品はワイヤレスタイプのヘッドホンとヘッドホンスタンド型の本体がセットになり、ヘッドホンを置くことで充電が行なえます。接続端子は、ARC対応のHDMIに加えて、光デジタルやステレオも二端子も用意されています。使い勝手を重視したい人は「MDR-HW700DS」よりもこちらがおすすめです。
【ゲーム向け】サラウンドヘッドホン
続いてはゲーム向けのおすすめサラウンドヘッドホンをご紹介いたします。
ゲームソフトやゲーム機器のサラウンド音声に向いているのは、チャンネル数5.1chとされています。光デジタルによる接続が主流なので、接続方法も重視しましょう。
▼おすすめ4選|3万円以下
「THX SPATIAL AUDIO」で正確な音
人気の高い無印『Kraken』の 7.1 chサラウンドに対して、音場定位のより正確な「THX SPATIAL AUDIO」を採用することで、周囲360度にわたって高い位置精度の音響を実現したヘッドホン。
視界に入っていない敵の正確な位置を把握することができるため、巧みに使いこなせばゲーム時の優位性を確保することも可能となっています。また、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載したマイクを採用することで、仲間とのコミュニケーションも確実に行うことができます。
FPSなどのゲームで、実際の競技イベントも含めてシビアに活用したい人にもオススメできる製品です。
軽量ボディが魅力のハイコスパモデル
NGENUITYソフトウェアとの組み合わせによって「バーチャル7.1サラウンド」を実現したヘッドセット。指向性をもつ40mm口径ドライバーを搭載することで、正確、かつ迫力のサラウンド空間を実現しています。
また、マイクはノイズキャンセリング機能を搭載しており、ユーザーの言葉を明瞭に伝えてくれます。さらに、マイクは上に跳ね上げるように回転させることでミュートしてくれるなど、ハイコスパモデルとは思えない細やかな気遣いも盛り込まれています。
この製品の魅力は、なんといっても使い勝手の良さ、価格を上まわる機能性の高さです。使い勝手の良さを重視して製品を選びたい人にオススメです。
eスポーツのプロと共同開発した本格モデル
プロのeスポーツアスリートと共同開発したゲーミングヘッドセットです。ゲームの立体音響を正確に表現するため、「DTS Headphone:X 2.0」サラウンドを採用しているのが特徴です。
また、マイクブランドBlue Microphonesの技術を活用したサウンド調整機能「Blue VO!CEテクノロジー」を搭載することで、ゲーム中でも聴き取りやすいクリアな音質を実現。同時に、音声を調整することも可能となっています。
eスポーツアスリートが開発に加わっているだけに、実際のゲームで大いに役立つ製品に仕上がっています。競技にも使える本格派のヘッドセットが欲しい、という人には有力な候補となるでしょう。
▼おすすめ2選|3万円以上
ワイヤレスでも本格派!ゲームヘッドセットの新しい
A50ワイヤレスヘッドセットと充電ステーションともなるBASE STATIONとが組み合わされたシステムがこの『A50+BASE STATION』です。2.4GHzワイヤレスを採用することで、遅延が少なく接続も安定しているのが特徴です。
これまで競技用ヘッドセットといえば有線モデル一択でしたが、こちらの製品が登場してからはワイヤレスでも大丈夫かもしれない、と徐々に評判が広がりつつあります。環境の問題からシビアなFPS競技会場では厳しいかもしれませんが、自宅などでは、こちらの方が圧倒的に使い勝手が良いはずです。また、約15時間の連続使用ができることも高ポイントといえます。
FPSでも活用できる遅延のないヘッドセットが欲しい、けれどもワイヤレスの利便性も捨てがたい、という人にオススメです。
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする サラウンドヘッドホンの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでのサラウンドヘッドホンの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
まとめ
本記事では、サラウンドヘッドホンの選び方や、値段別のおすすめ商品をご紹介しましたが、いかがでしたか?
商品を選ぶ際は、シアター向けか、ゲーム向けかという使用用途をしっかり決めた上で、イヤーマフの種類、接続方式、その他、音質に関係するチャンネル数やゲームなども行えるヘッドセットかどうかなどをもチェックすると、シアター・ゲームなど、それぞれの用途に合う商品を選ぶことができるはずです。
サラウンドヘッドホンは、自宅用に使用することが多いかもしれませんが、モデルによっては外に持ち運べるタイプもあり、とても使い勝手がいいです。ぜひ本記事を参考に、新しい商品を見つけてくださいね。
【関連記事】その他のサウンドを楽しむアイテムをチェック
※記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
ポータブルオーディオやホームオーディオなどのAV機器をメインに、専門誌やモノ誌、Web媒体などで幅広く活躍。 特にヘッドホン&イヤホンに関しては、年間300以上の製品を10年以上にわたって試聴し続けるなど、深い造詣を持つ。 また、TBSテレビ「開運音楽堂」やレインボータウンFM「かをる★のミュージックどん丼885」にレギュラー出演するなど、幅広いメディアでの活動を行っている。