ホームシアタースピーカーとは
ホームシアターとは、スピーカーの数によって異なる2.1ch・5.1ch・7.1chなど、映画館の音響を家庭で再現するシステムのこと。
現在は映画以外に海外ドラマやゲーム、一部テレビ放送も5.1ch以上のサラウンドで制作されていて、その迫力や臨場感を家庭で目指すシステムがホームシアタースピーカーです。
現在では独立した本格的なホームシアターシステムだけではなく、テレビの前に置けるワンボディタイプの商品も登場していて、手軽さからホームシアターの主流になりつつあります。
ホームシアタースピーカーの種類
ホームシアタースピーカーには大きく分けて、「サウンドバータイプ」「セパレートタイプ」「マルチスピーカータイプ」の3種類があります。求める音響や部屋のデザインによって変わりますので、しっかりチェックしましょう。
サウンドバータイプ:省スペースに設置可能で、設定もかんたん
サウンドバータイプは音が1カ所、もしくは付属のスピーカーからの2カ所から出るタイプ。テレビ台の上にワンボディのスピーカーを置くだけで、バーチャルサラウンド技術により、映画で用いられる5.1chの音響空間を再現してくれます。
設置スペースを取らずコンパクトで、簡単に設置や設定がすることができます。また、テレビの近くに置くため、テレビ周りのインテリアとしても使用できます。ホームシアター入門にピッタリのタイプです。
また、下記の2本の記事リンクからは、おしゃれなサウンドバーや、導入が簡単なシアターバーなどの音響機器を紹介しています。ぜひチェックしてみてください!
セパレートタイプ:迫力ある音! 後々の拡張もできる
セパレートタイプはスピーカーのほかに低音だけを再生することができるウーファーを設置することのできるタイプ。音が1カ所から鳴るタイプより臨場感があるので、省スペースで迫力のある音が聴けます。
とりあえずホームシアタースピーカーを使ってみたい方やテレビのインテリアデザインとしても使いたい方におすすめです。
マルチスピーカータイプ:大迫力の臨場感を求めるならこれ!
マルチスピーカータイプは複数のスピーカーやウーファーを部屋のいろいろなところに設置して楽しむことができます。映画館の重低音も家庭で再現できますし、部屋の様々な場所に設置でき、接続もHDMIか光デジタルケーブルで繋げるものも多いです。
まるで映像のなかの世界に入ってしまったかのような臨場感を感じられるでしょう。
ホームシアタースピーカーの選び方
それでは、ホームシアタースピーカーの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の5つ。
【1】ch数ごとの特徴
【2】音声フォーマットの出力形式
【3】サラウンドの種類
【4】ケーブルの接続方法
【5】部屋の広さに合うサイズ
上記の5つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】ch数ごとの特徴を確認
ホームシアタースピーカーを選ぶ際はch数の特徴も抑えておきましょう。大きく分けて2.1ch、5.1ch、7.1chの3種類あります。
●2.1ch:コンパクトに使いたい方向け
2.1chは前にふたつのスピーカーにサブウーファーがついたものです。5.1chや7.1chよりは安い価格で購入でき、コンパクトにまとめたい方向けです。
しかし、部屋の広さによっては音響に物足りなさが残ります。
●5.1ch:映画鑑賞に最適
映画鑑賞に適しているのは5.1chで、前後にふたつずつ、センターにひとつ、サブウーファーがひとつセットになったタイプ。
映画の臨場感ある音源を再現できたり、また、ライブ映像などの重低音が聞き取りやすいといったメリットもあります。
●7.1ch:5.1ch以上の臨場感を求める方向け
前後左右にひとつずつ、センターひとつ、後方にふたつ、サブウーファーひとつがセットになったのが7.1chタイプです。5.1chよりさらにスピーカーが多く、「5.1chでは満足できない!」「更なる臨場感を求めたい!」という方向けといえるでしょう。
【2】音声フォーマットの出力形式を確認
より臨場感や迫力ある音を求めているのであれば音声フォーマットやサブウーファーの有無、出力についても確認してみましょう。音声フォーマットが「DTS-HD」や「Dolby TrueHD」など最新のものに対応していれば、音声の臨場感がより高まります。
サブウーファーはメインのスピーカーでは表現できない低音域を出すスピーカーですので、より広い音域をカバーできます。スピーカーの出力は出せる音の大きさを表しています。迫力を求めるなら最大出力の数字が大きいモデルを選びましょう。
【3】サラウンドの種類を確認
フロントバータイプでは前にのみスピーカーを使っているため、コンパクトにまとまりますが、立体的な音を表現するには限界があるといわれています。
しかし、各メーカーではバーチャルサラウンドやリアルサラウンドという独自技術を使って、音が立体的に聴こえるシステムを搭載しているため、迫力のある音を楽しむことができます。
また、映画や音楽、スポーツといったコンテンツの種類によって、音のサラウンド設定を変えることができる機能が備わった商品もあります。
【4】ケーブルの接続方法を確認
●有線接続
主流はHDMIケーブルによる有線接続。スタンダードなスピーカーケーブルで繋ぐタイプは音質面ではベストです。しかし、AUX・光デジタル・USBなどの有線接続もあり、対応したケーブルを持っていなければスピーカーから音を出すことができないため、注意が必要です。
●ワイヤレス接続
ほかにBluetoothによる無線接続もあります。ワイヤレス接続に対応したモデルを選べば、スピーカーケーブルを伸ばすことなくスピーカー同志の接続を簡単にできます。お持ちのテレビがどれに対応しているのかチェックし、選ぶようにしましょう。
【5】部屋の広さに合うサイズも確認
ホームシアタースピーカーを購入する際はサイズにも注意しましょう。とくにセットシステムはスピーカー自体のサイズや個数をしっかり確認しておきましょう。確認を怠ると、設置する段階で部屋のサイズに合わなかったということも。
最近では小さいサイズのホームシアタースピーカーも出てきているので、部屋のサイズに合ったものを選びましょう。
メーカー別の特徴や個性
ホームシアタースピーカーは、メーカーによってそれぞれ特徴があります。
例えば、スピーカーメーカーはナチュラルサウンドならYAMAHA、鮮明に鳴るサウンドならMonitor AudioやELAC、Hi-Fiオーディオ級の高音質ならB&Wなど。
メーカー・シリーズにはそれぞれ音の個性があるので、可能なら自分の耳で音を確かめてみることが重要です。
SONY(ソニー):最先端技術をいち早く搭載した製品が多い
映像・音響製品を数多く販売するソニーは、ホームシアタースピーカーも手がけています。最先端の技術をいちはやく搭載した製品を多く発売していますから、新しい技術をより早く体験してみたいという方はソニー製のスピーカーが有力な選択肢になるでしょう。
CDを超える情報量を持つハイレゾ音源の再生に対応している機器が多いことも特徴。映画だけでなく音楽鑑賞にも活用できます。
YAMAHA(ヤマハ):音にこだわるオーディオファンも納得
楽器やスタジオユースの音響機材からホームオーディオまで幅広くオーディオ製品を手がけるメーカーです。ホームシアターシステムとしては、かんたんに設置できるバータイプのスピーカーから本格的なオーディオ再生もできるAVアンプや単品スピーカーの販売までおこなっています。
楽器メーカーらしく原音再生にこだわって設計されたモデルも多く、音にこだわりのあるオーディオファンもうならせる実力機も多数展開しています。
BOSE(ボーズ):豊富なラインナップが魅力!
重低音やノイズキャンセリング性能にすぐれたヘッドホンで有名なBOSEはホームシアターシステムも手がけています。
ラインナップには、かんたんに設置できて価格も手ごろなサウンドバータイプと、やや高価ながらコンソールを中心に複数のサテライトスピーカーを配置して本格的な立体音響を実現する「Lifestyleシリーズ」があります。
JBL:低音を重視する方におすすめ
JBLといえば、プロユースのスタジオ機材や高級スピーカーで有名なハイエンドオーディオブランド。しかし近年は、比較的安価な価格で購入できるバータイプのシアターシステムやBluetoothスピーカーなども数多く販売しています。
JBL製のサウンドバーを導入することで、手軽に憧れのJBLサウンドを体験できます。
おすすめ商品の比較一覧表
おすすめ13選|サウンドバータイプ
まずは「サウンドバータイプ」のホームシアタースピーカーをご紹介いたします。


ワンボディで最上位「Dolby Atmos」対応
テレビの前に設置できるサウンドバーで、立体音響の「Dolby Atmos」、そしてソニーが独自に開発した高さ方向の空間が広がる技術「Vertical Surround Engine」を搭載したホームシアタースピーカーの最上位モデルです。
ハイレゾ対応のうえ、センタースピーカーを追加した3chスピーカーユニットという構成は一般的なサウンドバーと比べても圧倒的に豪華です。
まずシンプルに音がよく、テレビ、映画、そして音楽も音のクリアさが抜群。ワイヤレスサブウーファーで設置性も問題ありません。
設置しやすくて、とにかく高音質のサウンドバーを探している人にピッタリです。

BOSE(ボーズ)『Bose Soundbar 500』
高級感がありインテリア性も高いバースピーカー
シンプルながら洗練されたデザインのバースピーカー。高級感があり、ソニーの薄型テレビ「ブラビア」とよく調和するデザインになっています。
サウンドバーとサブウーファーは無線接続できるため、サブウーファーをどこに配置してもケーブルが邪魔になることもなくすっきり設置できるところもうれしいポイントです。
スピーカーユニットには磁性流体スピーカーを搭載、高精度で音の歪みを低減するとともに音圧のアップも実現しています。
ハイレゾ音源の再生や、mp3などの圧縮音源をハイレゾ相当の高解像度にまでアップスケーリングする「DSEE HX」にも対応。音楽鑑賞に使っても充分実用に耐えうるサウンドバーです。
おすすめ1選 |セパレートタイプ
続いては、「セパレートタイプ」ホームシアタースピーカーをご紹介いたします。
おすすめ3選 |マルチスピーカータイプ
最後は、「マルチスピーカータイプ」のホームシアタースピーカーをご紹介いたします。

米国流の高音質ホームシアター
BOSEはホームシアターの本場・米国で人気のブランドです。日本では少数派となったリアル5.1chスピーカーシステムを発売しています。
『Lifestyle 650 system』はセンタースピーカー、BOSEの独自設計による小型サテライトスピーカー「OmniJewel」の4本、そしてベースモジュールを組み合わせたリアル5.1chシステムを構築。接続に必要なコンソールユニットも付属しています。
実際のサウンドはリアル5.1chならではの方向感と、圧倒的な重低音を感じられます。
非常に高価ですが、ほかに選択肢のない本格派のシステムです。
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ホームシアタースピーカーシステムの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのホームシアタースピーカーシステムの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ホームシアタースピーカーの接続の仕方
テレビにホームシアタースピーカーを接続する際は、大きく分けて「通常のHDMI出力」と「ARC対応のHDMI出力」の2つの種類に分けられます。
通常のHDMI出力の場合

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通常のHMDI出力の場合、テレビとホームシアタースピーカーをHDMIで接続した後、デジタルオーディオ入力も接続します。
ブルーレイレコーダーなどのAV機器がある場合は、テレビではなく、ホームシアタースピーカーにHDMI接続することで、3機種を接続します。
ARC対応のHDMI出力の場合

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テレビやホームシアタースピーカーがARC対応であった場合は、さらに簡単です。テレビとホームシアタースピーカーの、ARC対応同士のHDMIを接続。
その後、ブルーレイレコーダーなどのAV機器がある場合は、ホームシアタースピーカーにHDMI接続するだけです。
上記、2つのうち、どちらに対応しているか確認し、接続してみましょう。
ホームシアタースピーカーの疑問を解説
本項では、ホームシアタースピーカーについての疑問について解説していきます。設置方法や購入する際の注意点を意識するだけで、より音にこだわりながら映画を見ることができますよ!
ホームシアタースピーカーは配置によって音が変わる?
セパレートタイプのシアタースピーカーは、それぞれが視聴位置(リスニングポイント)に向かうように配置することを基本とします。低音と比べて高音は直進性が高いため、トールボーイ型のスピーカーを使ったり、スピーカースタンドで高さを調整したりしてツイーターユニットが耳の高さに近くなるようにセッティングすると満足感が得やすいでしょう。
また、スピーカーの背面と壁との間に一定の距離(目安としては30センチ程度)をおいたほうが、クリアで締まりのある音を得やすくなります。
スピーカーの置き方についての注意点
スピーカーの配置ひとつで臨場感が変わってくるので、設置方法や配置確認が必要です。
スピーカーは床や棚に直置きせず、間に防振ゴムなどをはさむようにすると、自然な音になります。
日本オーディオ協会では、一般家庭での5.1chオーディオの配置ガイドラインとして、自分を真ん中と考えてセンタースピーカーを12時の位置に、フロントスピーカーを1時と11時の位置に、リアスピーカーを4時と8時の位置に設置し、すべてのスピーカーを等距離に置くのを推奨しています。
高さに関してはフロントスピーカーが耳の位置に、リアスピーカーはそれより少し高い位置が理想です。
中古で購入する場合の注意点
スピーカーユニットのなかでも傷みやすい部分がウーファーユニットを支える「エッジ」といわれる部分。ウーファーエッジにウレタン製のものが採用されているととくに劣化が早く、数年程度でボロボロになって脱落してしまうこともあります。
中古でスピーカーセットを購入する際は、カバーを外せるなら目視でエッジを確認、外せないなら音を出してみて、しっかりコシのある低音がでているかどうかを確認してから購入するといいでしょう。
まとめ
映画などの映像コンテンツをより臨場感をもって楽しむためには、テレビの大きさなどの視覚面だけではなく、コンテンツを耳で楽しむ音響面にもこだわりたいところ。しかし、ホームシアターと聞くと本格的な5.1chスピーカーを想像してしまい、ハードルが高いと思ってしまう人も多いかもしれません。
最近のトレンドはテレビとセットで設置するサウンドバーが主流です。バーチャルサラウンド技術の進歩で、Dolby AtmosやDTS Virtual:Xといった最新の立体音響までも導入されるようになり、じゅうぶんに満足できる水準になっています。
映画やゲームの音をよくしたいと思ったら、いきなりリアル5.1chに挑戦しようとは思わず、まずはワンボディのサウンドバーからはじめてみましょう。そして、この機会にぜひシアターシステムを導入して映像コンテンツをもっと楽しんでください。
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