家庭用の血糖値測定器の基礎知識
血糖値測定器は、自宅などでも簡単に自分の微量の血液を採取し、血糖値を測定することができる機械。毎日の食生活などにより、糖尿病が心配な方を中心に、健康を維持するため機械として知られています。
血糖値を調べるには4種類のアイテムを使用する
血糖値測定器は、基本的に4つのアイテムを使用することで血糖値を測定します。
【血糖測定器本体】
こちらが本体。採血した血液を機械で読み取ることで、血糖値を数値で表してくれます。
【センサーチップ】
本体にセットして、血糖値を図るチップ。使用する試験紙のような役割です。使い捨てが基本で、中に含まれた試薬で、血糖値を測定してくれます。
【穿刺具(せんしぐ)】
血液を採取する際の「針を刺すための道具」です。穿刺針(せんししん)と呼ばれる針をセットするための土台となります。
【穿刺針(せんししん)】
血液を採取してくれる針。こちらも基本的には使い捨てタイプです。
上記の4つのアイテムを使用し、採血を行うことで、自分の血中の血糖値を測定します。
また、上記以外にも、感染症を防ぐために、採血の前に必須となる消毒を行う【消毒綿】や、自分の血糖値を可視化するために記録していく【記録ノート】などもあります。
センサーチップは通販では購入できない
センサーチップとは血糖値測定器にセットして使用するもので、血液を測定するための試薬が含まれたものです。
測定器とは別売りになっていることが多くなっています。なぜかというと、センサーチップは試薬を含むためデリケートなもの。正確な測定のためには適切な管理が必要になってくるので、売ってる場所は限られており、ネット販売などはされていません。
処方箋を受け付けている調剤薬局で購入ができますが、必ずというわけではないので、事前に確認した方がよいでしょう。
持続測定タイプや針を刺さないタイプも登場

出典:マイナビおすすめナビ
近年、血糖値測定器の技術も進歩し、さまざまなタイプが登場しています。
例えば、CGM(Continuous Glucose Monitoring)やFGM(Flash Glucose Monitoring)。これは専用のセンサーを腕の皮膚に取り付け、皮膚の下のグルコースの数値を測定・記録するタイプ。一度針を刺すことになりますが、刺してから約14日間つけっぱなしにし、スマートフォンと連動させ、変動を見るというもの。もちろん、使用するためには専用の設備が整った施設でないといけませんが、毎日痛い思いをしなくてもよくなります。
また、京セラが発表した血糖値センサーは脈波のエコーから血糖値を”推定”する非侵襲型。手首の脈波にエコーを当て測定することで、血糖値の推定値が出るもので、スマートフォンと連動させ、健康維持に繋げようというもの。
そのほか、Add Careの「Glutrac」は、センサーを当てることで血糖値が測れるスマートウォッチです。血糖値はさまざまなセンサーによる複合算出値のため、正確な数値ではありませんが目安にはなります。もちろん、スマートウォッチのため、血圧や血中酸素レベル、心電図、呼吸など、ダイエットや健康維持のための機能も豊富です。
血糖値測定器の選び方
それでは、血糖値測定器の基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の5つ。
【1】モニター表示の大きさ
【2】腕などでも測定できるか
【3】機械操作の手軽さ
【4】血液の採取量
【5】測定データの保存量
上記の5つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】モニター表示の大きさをチェック
血糖値の測定では正しく測定し、その値をきちんと記録しておくことが大切です。そのため、操作がしやすく画面の表示が大きいものや、数値が一目でわかるようなものを選びましょう。
また、血糖値測定器は自宅だけでなく、職場や学校などの外出先でも使用することがありますので、持ち運びのしやすいコンパクトサイズのものを選ぶことも大切です。
【2】腕などでも測定できるかチェック
血糖値測定器は、指先で測るというイメージをお持ちの方も多いですが、現在では指先だけでなく、手のひらや腕、太ももやふくらはぎなどの部位でも測定できます。
穿刺(せんし:先端のとがった針を刺して検査のための血液を採取すること)する時の痛みの程度には個人差がありますが、穿刺時には多少の痛みをともないます。指先の痛みに抵抗がある場合は指先以外の部位でも測定できるものを選びましょう。
(★)ポイント:消耗品のランニングコストも考えよう!

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血糖値測定器は、穿刺針やセンサーチップを一回使用するごとに替えて使用するため、使う頻度が多ければ多いほど、費用がかかってきます。
消耗品のコストが低いメーカーを事前にチェックしておくことで、ランニングコストを抑えることができるでしょう。
日々使うものなので、しっかりとコスト面のことも考えて選ぶことも大切です。
【3】機械操作の手軽さをチェック
血糖値測定は基本的に毎日、数回の測定が必要となるので、測定時間が長いと負担が大きくなります。測定する時間が短いものや、かざすだけでチェックできる血糖値測定器を選ぶと手軽に測定しやすくなります。
また、機械操作が得意でない人が購入する際には、ワンタッチで使えるかんたんに操作できるタイプを選ぶようにしましょう。
【4】血液の採取量をチェック
現在販売されている血糖値測定器は、以前のものに比べると測定精度が高くなり、測定に必要な血液の採取量(検体量)も少なくなりました。
現在一回の測定に必要な採血量の平均は0.4μl程度ですが、毎日何度も測定するとなると、やはりストレスに感じてしまうもの。購入する際は必要検体量を確認し、少ない採血で済むものを選びましょう。
(★)ポイント:毎日の採血を必要としない測定器も!

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糖尿病の方にとって、毎日の血糖値測定はかかせません。しかし、毎日数回の採血を続けるのはやはりストレスに感じるものです。そこで、最新のデバイスとして毎日の採血を必要としない、モニタリングできる血糖値測定器があります。
初期の取りつけや使用方法などは、従来の血糖値測定器と同様に医療機関で説明を受ける必要がありますが、体に装着したセンサーが血糖値の変化を記録しているため、ご自身での採血の必要はありません。毎日の測定にわずらわしさを感じている方は検討してみてはいかがでしょうか。
【5】測定データの保存量をチェック
厳密な血糖値管理が必要な人は、あとから測定データを確認できるものを選びましょう。
データが残る機器なら、振り返ってチェックすることで生活習慣などの見直しすることも可能になり、あとでまとめてメモすることもできます。
目安となるのはデータ保存量の数値は、容量が大きなものならより多くのデータを残すことができるので、保存量もチェックしておきましょう。
血糖値測定器おすすめ8選
血糖値測定器の選び方のポイントをふまえたうえで、おすすめ商品を紹介します。ぜひ商品選びの参考にしてみてください。

大きいモニターとグラフ表示で使い易い血糖値測定器
この製品のコンセプトは「毎日の測定を前向きにできるように」です。毎日の測定はストレスがたまったり病気のことを気にしてしまったりとネガティブになってしまうこともありますが、毎日の測定を前向きにできるようユーザビリティにも工夫がされています。
大きなカラー画面とグラフ表示などで数値がぱっと見てすぐにわかるようになっており、2色展開のやさしいパステルカラーで毎日をサポートしてくれます。
※リンク先は本体のみとなります。

90日間のグルコース値を保存!毎日の採血が不要に
こちらの製品は上腕部にセンサーを装着することで、モニタリングすることができる新しい形のデバイスです。この製品の最大の特徴は、90日間のグルコース値データを保存できること。
センサーの装着は医療機関で行なう必要がありますが、毎日の採血を行う必要がなく指定日にセンサーをスキャンするだけでOK。これまで測定に使っていた時間をほかのことに使えるのはうれしいですね!
血糖検査に必要なものが備わったスタートキット
血糖測定に必要なものがセットになっており、かんたんに使用することができる商品です。
血糖値レベルに応じてマークが表示されるため、一目で良好な状態か確認できます。
かんたんな検査キットながらも、病院の検査室にある大型分析装置のような信頼性のある測定が可能です。
測定時間は約4秒と迅速に対応可能!
バックライトディスプレイつきなので、暗い場所でも画面が見やすく、操作しやすいのがポイント。
測定時間は約4秒と素早く血液を吸引できます。また、試験管破棄ボタンという便利な機能がついており、ボタンを押すだけでかんたんに試験紙を取り出すことが可能です。
ユニバーサルフォントでわかりやすい日本語表記となっているので、見やすい点もポイントです。
文字やイラスト、音声で分かりやすく知らせてくれる
カラー液晶で画面が大きく、シンプルな表示でわかりやすい血糖値測定器です。
エラー表示は記号ではなく、日本語とイラストで表示するため、はじめて使用する人でもすぐに原因がわかります。
また、音声ガイドも内蔵されているので、音声でも分かりやすくお知らせしてくれます。
充電式バッテリー内蔵! 無線データで転送可能
2.8インチのフルカラー液晶により表示画面が見やすく、測定結果の振り返りもかんたんに行えます。
充電式のバッテリーを採用しているため電池交換が不要。パソコンやコンセントからの充電が可能です。
Bluetoothによるデータ転送ができるため、パソコンやスマホ連動させてデータ管理ができます。

採血ができる箇所が多く、必要な検体量は少ない
数多くの医療機器や医療器具を販売しているニプロが手掛ける血糖値測定器のおすすめポイントは、なんといっても採血可能な箇所が多い点。指先だけでなく痛みを感じにくい手のひらや前腕部、大腿部(だいたいぶ)などでもかんたんに採血できます。
また、必要検体量が0.3μlでほかの製品と比べても少量の採血で済み、測定時間はわずか4秒。毎日の測定をより早く終えることができるのもうれしいですね。
使う人のことを考えた設計の血糖測定器
キャップの開閉で自動電源をオンオフができたり、軽い力で操作できるイジェクターなど使う人のことを考えた設計になっている商品です。
血糖値レベルをカラーで色分け表示したり、空腹時の1週間分の測定結果をグラフにして表示できたりと、測定値の傾向が一目でわかるようになっています。
音声ガイドもついているので、お年寄りやはじめての人でも安心です。
「血糖値測定器」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 血糖値測定器の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの血糖値測定器の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
血糖値測定器を使用するポイント
ここからは、血糖値測定器の使用ポイントについてご紹介していきます。
血糖測定のタイミングについて
血糖値測定を1日に何回やるか、どのタイミングで測定するかは、それぞれの治療法やその人の身体の状態によって変わります。特にインスリン治療をしている人としていない人で測定するタイミングは異なるので、気をつけておきましょう。
インスリン治療を行っている方は、低血糖かなと感じた時やインスリン注射をした前後、まあ体調不良を感じた時などに測定して血糖値を確認するとよいでしょう。インスリン治療を行っていない方は、運動をする前後や食事の前後、体調不良時などに血糖値を確認しましょう。
一般的には、
朝食前の血糖値→糖尿病の状態の確認、治療の成果の確認のため
食後2時間ぐらいの血糖値→現在の治療が適切か不十分かの確認のため
とされています。
基本的には主治医の先生と相談し、必要なタイミングで計ることが大切なので、しっかりと測定するタイミングを事前に確認しておくようにしましょう。
セルフ計測の精度について
血糖値測定器はあくまでも簡易的な測定器で、病院などで測る正確な数値と比べ10%ほど誤差があります。また、血糖値は食事の後、運動の後、勉強の後など、1日の中で数分単位に変動します。
そのため、一度の計測数値に神経質にならず、自分で血糖値を測る場合は、ある程度の誤差があることを念頭におきましょう。
使用済み針の処理方法は?
針ケースがついている場合は、必ずケースを装着し、かたい容器に入れ、さらに別の袋に入れて処分しましょう。
もし、針ケースがないものはそのままかたい容器に入れ、さらに袋へと入れて処分します。
回収先は、市区町村によって異なりますが、医療機関や主治医、薬局などで回収する説明を受けていれば各機関へ持参しましょう。もし、説明がなければ行政窓口に問い合わせて確認するとよいでしょう。
血糖測定器の販売店について
血糖自己測定器は一部の薬局などで購入できます。しかし、前述しましたが、血糖値を測定するためには、本体、穿刺器具、穿刺針、センサーの4つが必要で、「センサー」のみ通販サイトなどでは購入できません。また、試験紙などは一部の処方薬局で取り扱っている場合もありますが、たいていは取り寄せになります。必ず主治医や薬局に相談するようにしましょう。
本稿では、本体のみ、各ドラッグストアで販売しているかを解説いたします。
マツモトキヨシ、スギ薬局、ウェルシア、ヤマダ電機、ヨドバシなどは一部取り扱っている。
マツモトキヨシ、スギ薬局、ウェルシアといったドラッグストア、ヤマダ電機やヨドバシカメラといった家電量販店では、通販サイトで取り扱いがあり、実販売店では一部での取り扱いがあります。
しかし、特に実店舗では店舗の大きさや流通の問題から、血糖値測定器を取り扱っている店舗は多くはありません。マツモトキヨシをはじめとしたほとんどのドラッグストアでは薬剤師が常駐しているため、前もって薬剤師に相談し、取り寄せてもらうことも考慮しましょう。
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医療ライターからのアドバイスをチェック!
購入前に医師に相談を!
糖尿病の方にはかかかせない医療機器である血糖値測定器。現在は各メーカーからさまざまなタイプのものが販売されていますが、正しく測定し正しい値を記録することが大切です。
購入の前には医師に相談して、ご自分に合ったものを購入し、もし使いづらい場合には使用をやめてほかのものの購入を検討してください。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
臨床工学技士国家資格保有。大学病院勤務後、ライターへ転身。現在は『kakotto.』を立ち上げ、医療・バイオ・ヘルスケア分野を中心に紙・WEB問わず執筆編集に携わっています。「難しい話を分かりやすく」をモットーに、心をじんわり温めるような記事作成をお届け。当サイトでは健康にかかわるグッズや医療機器などを紹介し、皆さまの健康増進のお手伝いを致します。