ポータブル外付けSSDとは? データ記録デバイス
SSDとは「Solid State Drive(ソリッド ステイト ドライブ)」の略で、メモリーが用いられたデータ記録デバイスのことです。パソコンのストレージとしては「HDD(ハード ディスク ドライブ)」が一般的ですが、SSDが低コストに大容量で製造できるようになってから、一般的なPCにも搭載されることが多くなってきました。
本記事でご紹介するポータブル外付けSSDは、基本的に持ち運んで使用することを目的として製造されています。そのため大きな特徴として、記録媒体として使用されているのがディスクではなく、メモリーです。これにより、コンパクトなもの、軽量なものなど、様々な持ち運びしやすいタイプが展開できるようになっています。また、持ち運んだ先を考え、耐衝撃性にも強いため、外出先で写真を撮るようなカメラマンをはじめ、人気となっています。
SSDとHDDはどう違うの?
SSDとHDDとの大きな違いは、HDDよりもはるかに処理速度が速いこと、そして作動音が抑えられていることです。それは、SSDは内部に磁気ディスクが組み込まれておらず、データの読み込みについての物理的動作がないため。
また、前述しましたが、持ち運びを前提としているため、耐衝撃性能に優れており、少しの衝撃でもデータが飛ぶといった可能性が抑えられています。近年では、カメラやPCだけでなく、スマホやタブレットに使用できるものもあり、利用頻度が増えています。
ポータブル外付けSSDの選び方
ITライターの海老原 昭さんへの取材のもと、ポータブル外付けSSDを選ぶポイントをご紹介いたします。
【1】保存容量の目安を知ろう
『500GB以下』:データの一時的な保存に向いている
一般的に流通しているポータブル外付けSSDの容量は128GB〜1TBです。その中でも、500GB以下は、外出先での写真・動画データ、文章データ、またパソコンの高速化のためのデータ移動などにピッタリの容量です。
例えば、写真データでは、400万画素の写真1枚あたり約2.0MBほど。1000万画素でも約4.5MBほどです。そのため、写真だけであるなら、500GBは十分すぎる容量になります。また、文章ファイルはWord1ページあたり約10KB、100ページで約1MBとなります。そのため、かなりの容量があることがわかります。同様にPCの高速化のためのデータ移動も、500GB以下で十分です。
『500GB~1TB』:データのバックアップに向いている
500GB以上の場合は、高画質の写真や、文章・資料データ、自分のパソコンデータ、家庭用&PCゲームなど、本当に様々なデータのバックアップに使用する際にピッタリでしょう。
近年では、スマートフォンやノートPCでも256GB以上が当たり前になってきましたが、まさにもう一台、スマホやノートPCを持っているのと同じか、それ以上の容量になります。非常に容量であるため、使いきれないと思いがちですが、高画質や動画、文章データ、ゲームデータなどをこまめにバックアップしていると意外とストレージの空きが少なくなってきます。バックアップする容量や頻度などもイメージしながら容量を選びましょう。
(※)ポイント:500GB以上だとHDD保存とほぼ同じ使い方ができる
SSDはHDDと比べて容量あたりの価格が高く、大容量データはHDDに、そこまで大きくないデータの移動用にSSD、という住み分けがなされてきました。ところが近年、SSDが普及するにつれて価格も大幅に安くなり、最大容量は2TBクラスまで到達し、1TBクラスで1万円代前半という製品も登場しています。
ポータブルHDDと比べるとまだ高いのですが、1TBあればノートPCなどのバックアップ用としてもかなり余裕が出てきます。USBメモリ替わりと割り切るなら100〜200GB程度の小容量の製品でもいいですが、余裕があれば500GBクラス以上を選ぶと、HDD的な使い方もできて幅が広がります。
【2】接続規格に対応しているか確認
『USB接続』:手軽に持ち運びたい方にピッタリ
USB接続は、USBコネクタより有線でつなげることで、設置・データの移動をすることができる一番手軽な接続方式です。コンパクトなサイズのものも多々あり、持ち運びに便利です。USB Type-Cケーブルに対応している製品もあり、新型のMacBookなどに使用できるので、活用の幅が広がっています。
『exFAT規格』:Windows・MacのPCを使用している方にピッタリ
「exFAT」はPCを使用している方にピッタリで、Windows、Macの両方のOSに対応している規格です。また、製品によってはその他のPCのOSに対応しているものもあるので、手軽に使用できます。
『SATA規格』:PCやゲームをする方にピッタリ
SATA(Serial ATA)は、ほとんどのパソコンやゲーム機に搭載されている一般的な規格です。現在はバージョンもアップし「SATA Ⅲ」が主流になりますが、「SATA Ⅱ」「SATA Ⅰ」も対応しています。
『M.2規格』:自作PCをする方にピッタリ
M.2接続は、自作でオリジナルPCを作る方には馴染みが深い規格です。基本的に、自作PCのマザーボード部分に直接設置するためのSSD。先ほど紹介した「SATA Ⅲ」などにも対応している、利便性の高い方式です。
しかし、こちらの規格はそもそもマザーボードに対応していないと使用できませんので、しっかり購入前にマザーボードとの互換性もチェックしましょう。
(※)ポイント:コネクターの種類も念のため確認しておきましょう
SSDはHDDと比べるとはるかに高速で、インターフェースがボトルネックになってしまう場合もあるほどです。
最近はUSB Type-Cポートを採用するパソコンが増えており、MacなどはノートPCを中心に、全面的な切り替えが進められています。SSD本体にケーブルが内蔵されている場合、そのコネクターがType Aだと、パソコン側で使えない(変換ケーブルが必要)というケースもあります。内蔵タイプはケーブル忘れがなくなって便利なのですが、こうしたデメリットもあるため、気をつけましょう。
【3】転送速度はどこを見ればいいの?
データ転送速度に関しての表記は「USB●●」と書かれた部分を確認しましょう。機能の進化は「USB2.0」→「USB3.0」→「USB3.1」とアップグレードしています。もちろん、デバイス本体との互換性もありますが、最近の主流は「USB3.0」「USB3.1」です。これを選べば、転送にストレスを感じることは少ないでしょう。
(※)ポイント:インターフェースの種類によって速度が変わります
現在主流のポータブルSSDは「USB 3.1 Gen.1(5Gbps)」を搭載していますが、搭載するSSD自体が高速なタイプであれば、「USB 3.1 Gen.2(10Gbps)」や「Thunderbolt(20Gbps以上)」などの高速インターフェースを搭載したものが理想的です。ただし、これは使用するパソコン側がそれらのインターフェースを搭載している場合に限ります。
【4】持ち運ぶことを考え、コンパクトなものを選ぶ!
ポータブル外付けSSDだからといっても、やはり重いもの、サイズが大きいものも製品として展開されています。重いもの、大きいものは、バッグに入れた際、邪魔になったり、バッグを重くしてしまうので、価格や容量などとのバランスを見ながら、できるだけコンパクトなものを選びましょう。
(※)ポイント:50gを切る製品もあるので、コンパクトなものを探してみよう!
SSDはHDDと違って、物理的な形状の制約はほとんどありません。内蔵用SSDは取り付けの問題もあって2.5インチHDDと同じ形状のものが多いですが、M.2 SSDのようにメモリカードのような形状にもできる自由度があります。
外付けSSDにしても同じことで、内部は極めて小さなコントローラーチップとメモリチップだけですから、ポータブルHDDよりはるかに軽く小さなものが作れます。ポータブルHDDがおよそ200g前後の製品が多いなか、ポータブルSSDは50gを切るものも珍しくありません。
またサイズも名刺サイズやそれ以下、あるいはユニークな形状のものがあり、持ち運びの邪魔にもなりにくい製品がたくさんあります。ただし、どれも小さく軽いので、HDDほどわずかなサイズや重さを気にする必要はない、といえるかもしれません。
【5】持ち運びを考えるなら耐衝撃性も見ておきたい
ポータブル外付けSDDの魅力のひとつが、耐衝撃性です。持ち運びが多くなるからこそ、少しの衝撃でデータが飛んでしまうのは避けたいところ。製品によっては落下テストをパスしたものや独自の衝撃テストを設けているものまであります。持ち運びを考えている方は、ぜひ耐衝撃性能は確認しておきましょう。
【6】セキュリティー対策はあるに越したことはない
仕事のデータを入れたり、プライベートな写真を多数保存する方は、ぜひセキュリティの強さも見ておきましょう。ポータブル外付けSSDを持ち運んだ際、どこかに置き忘れてしまったり、バッグごと電車に忘れてしまうことも考えられます。そんなとき、例えば、ICカードによるロック解除機能、自分のスマートフォンをかざして解除するタイプ、パスワード方式のタイプなど、セキュリティ性能に優れたものも多数販売されています。しっかりセキュリティ対策できるものも検討しておきましょう。
有名メーカー・ブランド
SanDisk(サンディスク)
「SanDisk(サンディスク)」は、カリフォルニアに拠点を持つ大手半導体メーカー。様々な企業のデータ管理も請け負っており、信頼性は抜群です。また、生産しているフラッシュメモリの品質は随一で世界的に有名です。
BUFFALO(バッファロー)
「BUFFALO(バッファロー)」は、愛知県名古屋市に本社を構える、「ユーザー志向」を掲げる大手メーカー。Wi-FiルーターやUSBなど、数々のパソコン周辺機器を製造しています。また、大手ならではのサポート体制も充実しており、満足度の高い製品が展開されています。
サムスン(Samsung)
サムスン(Samsung)は、テレビをはじめとした電子機器からパソコン周辺機器まで扱う、韓国の大手総合家電メーカーです。代表的な製品は「Galaxy」ブランドのスマートフォンなどで、同時にSSDも展開しています。
シリコンパワー(Silicon Power)
シリコンパワーは、本社を台湾に置き、日本・オランダなどに支社を持つ、メモリーカードなどが代表的な有名メーカー。製品のクオリティが高いだけでなく、データの保護性能も一流。そして、全ての製品が永久保証という、魅力的な製品を展開するメーカーです。
ポータブル外付けSSDおすすめ10選 ノートパソコン、スマホ対応など
ここまで紹介した選び方のポイントをふまえ、おすすめの商品をご紹介します。

防水・防塵の堅牢なポータブルSSD
USB 3.1 Gen.2接続に対応したポータブルSSDです。サンディスクはフラッシュメモリー製品で世界的なシェアを持つ企業であり、SSDでもその高性能・高信頼性は受け継がれています。
エクストリームポータブルSSDシリーズは読み取り速度も550MB/秒と高速で、通常のSSDとしても優秀ですが、さらに1,500Gもの耐衝撃性に加え、防水・防塵性能がIP55クラスであり、雨や流水、目立つ大きさの粉塵が中に入らないため、アウトドアや工事現場での作業にも向いたタフネス仕様が特徴です。

高コストパフォーマンスなスタンダードSSD
バッファローの外付けSSDの標準モデルです。ボディカラーはブラックとホワイトの2種類で、容量は最大で1TBのモデルが販売されています。
落下時などの対衝撃性能は米軍のMIL-SPECをクリアしており、安くても信頼性はバッチリ。ポータブルSSDの入門モデルとしてもひじょうに優秀なコストパフォーマンスに優れる1台です。

USBメモリの置き換えならケーブル直結タイプ
細長い形状のケースにUSBケーブル(Type Aプラグ)が直結されたコンパクトなSSDです。ケーブルが付属しているので、ケーブルを忘れて接続できないということがありません。
SSDは一般に低容量なモデルほど読み書き速度が遅めになる傾向にありますが、本機は120GBの低容量モデルでも400MB/秒以上の読み書き速度を誇ります。

超高速なThunderbolt 3対応SSD
世界有数のフラッシュメモリメーカーでもあるサムスン電子が販売する、最大でUSB 3.1 Gen.2の4倍にあたる40Gbpsの帯域を持つ「Thunderbolt 3」をインターフェースに採用した外付けSSDです。
使用するフラッシュメモリはNVMe接続で、帯域幅は双方向で64Gbpsにも達します。これだけの高性能なフラッシュメモリを使っていることもあり、読み込み速度は2800MB/秒、書き込み速度は2300MB/秒と、ほかのSSDの4〜5倍にも達します。妥協なき高性能を求めるユーザーならこの1台で決まりでしょう。

SSDならではのユニークな形状に充実の性能
SSDらしいという意味ではこれ以上ないというくらいSSDらしいのがシリコンパワーの『Bolt B80』です。UFOのような円盤型のアルミ製ボディは、HDDには絶対マネのできないデザインです。
直径わずか75mm、重さも53gと小型・軽量ですが、米軍が定めるMIL-SPECを満たす耐衝撃性に加え、USBポートにゴムキャップをつければIP68の耐水・防塵性能も発揮します。
便利なストラップホール付で持ち運びしやすい
本体重量はたったの約17g。単三アルカリ電池より軽く、コンパクトサイズで鞄やポーチ等の収納スペースを圧迫せず、持ち運びも◎。
ACアダプタやケーブルは不要なので、外出先のホテルやカフェでの作業でもストレスなく使えます。米国規格MIL-STDをクリアしているので、万一の落下でも衝撃から保存されたデータを守ってくれます。
格安で持ち運びに便利な外付けSSD
コンパクトで衝撃に強いSSDは持ち運びに便利ですが、外付けHDDと比べるとやや高価であるところがネックで、気軽に持ち歩けなかったという方もいるのではないでしょうか。
しかし、この外付けSSDなら耐衝撃性能を有しているうえ、価格も手頃なので気軽にデータの持ち歩きが可能です。
ポケットに入れて気軽に持ち歩ける外付けSSD
持ち運びがしやすいように、縦横がそれぞれ80mmずつとポケットサイズにまでコンパクトにした外付けSSDです。重量もわずか61gで携帯していることを忘れるほど軽量・コンパクトに仕上がっています。
ひんぱんに持ち運んで使っていると、うっかり落としてしまうことなどもあるでしょうが、耐衝撃性能もしっかり備えており、高さ1.2メートルからの落下にも問題なく耐えられる設計になっています。
名刺より小さい! 手のひらサイズのSSD
USB接続のポータブルデバイスです。名刺やカードよりも小さなコンパクトサイズながら高速転送を実現。パスワードによる暗号化に加え、専用ソフトウェアによるパターン認証により、セキュリティ性能を向上しています。
また、USBケーブルから電源を供給できるので、ACアダプターを持ち歩く必要がありません。振動や衝撃にも強く、大切なデータを守ります。
Thunderbolt3でMacと直接接続
USB Type-Cのほか、Thunderbolt3のケーブルが一体型になっており、最近のMacととくに相性がいい外付けSSDです。
元々SSDはHDDと比べて衝撃に強く不意のショックを受けても壊れにくいという特性があります。この外付けSSDは同社の長年の外付けHDD製造のノウハウを活かして、アルミボディとゴムダンパーにより外部からの衝撃をやわらげ、保存したデータをしっかり守れるようになっています。
「ポータブル外付けSSD」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ポータブル外付けSSDの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのポータブル外付けSSDの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ポータブル外付けSSDの寿命は?
ポータブル外付けSSDにもパソコンや家電と同じように寿命があります。SSDの寿命は5年とされています。安全に快適にパソコンを使うためにも、5年を目安に買い替えることをおすすめします。
SSDに関連する記事のご紹介! 【関連記事】
まとめ
SSDは非常に高速ですが、コントローラーチップの性能や、フラッシュメモリの速度にかなり左右されがちです。製品のパッケージなどでスペックを確認できる場合、SSDの読み込み速度(Read)と書き込み速度(Write)を探してみましょう。単位はMB/s(秒)などで記載されています。
この数値が高ければ高いほど優秀ということになりますが、実際には連続して大きなデータを書き込むのが得意で、小さなファイルをたくさん書き込むのは苦手、というケースも。また、読み込みは早いが書き込みは遅い、というものもあります。自信のない製品は読み書きの片方しかデータを公表していない場合もあります。
最近はパソコン内蔵用のNVMe SSDを流用した外付け製品が登場しており、こうした製品は非常に高速な性能を発揮できるものがあります。逆に安価な製品では、HDDと大差ないものまでありますので、価格に惑わされず、SSDならではの高性能な製品を選びましょう。
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大学在学中よりパソコン総合誌、Windowsプログラミング誌、Mac専門誌の記者/編集者として活動し、その後輸入自動車やカーナビ等のマニュアル翻訳/制作などを経て、フリーランスとして現在に至る。 キャリアは25年目に突入。専門はアップル製品だが、WindowsもAndroidも周辺機器もソフトも等しく愛する何でも屋。