登山用ヘルメットの必要性とは?
登山では何が起こるかわかりません。落石、転倒、滑落……。登山用ヘルメットは、自然の中にいるからこそ起こりうる危険から、頭部を守るために必要なアイテムです。
登山では、舗装された道は数少なく、危険な悪路も歩くことになります。また、岩肌が丸見えな道もあったり、登山人口によっては、山の上部の混雑による落石事故も起こります。長野県や北アルプス、南アルプスをはじめ、山域によっては「ヘルメット着用奨励山域」を設定している山域もあります。自分の身の安全を守るために、ヘルメットをはじめ、万全な準備が必要になります。
ヘルメットを着用するシーン
・岩場が多く山岳
・地面が滑りやすい山道
・クライミング・岩登り
・ヴィアフェラータ
・雪山
・キャニオニング など
上記のシーンでは特にヘルメットの着用をおすすめします。各シーン、常に危険が伴うため、推奨地域でなくても着用し、安全で楽しいアウトドアにしてくださいね。
登山用ヘルメットの選び方
それでは、登山用ヘルメットを選ぶ際のチェックポイントをご紹介します。ポイントは下記の5点。
・安全性能
・素材、構造
・サイズ、フィット感
・重さ、通気性等の快適性
・ヘルメットのフロント面
上記の5つのポイントを抑えることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】安全性能をチェック
安全性能をチェックする際は、「EN規格(EN 12492)」「UIAA規格(UIAA 106)」の2つのうち、どちらか(もしくは両方)の安全基準規格に適合しているかを確認しましょう。
各安全基準規格は発行元が違い、EN規格は欧州の統一規格。UIAA規格は、国際山岳連盟が制定した登山用品の統一規格です。どちらも厳しい安全基準のため、ヘルメットとしての安全基準を満たしています。
何が起こるかわからないからこそ、しっかり安全基準は確認しておきましょう。
【2】素材、構造をチェック
登山用のヘルメットは、「ハイブリッド(ハードシェル)」と「インモールド」の2種類に分けられます。それぞれ特徴を見ていきましょう。
ハードシェル:耐衝撃性能の高いABS樹脂を使用
耐衝撃性能の高いABS樹脂などを使用したヘルメットです。手頃な価格帯のものが多いので、はじめての登山用ヘルメットとしてもおすすめです。デメリットとしてはやや重量があるという点が挙げられます。
インモールド:スポンジに強コーディングしたもの
インモールドタイプは軽量なスポンジ系の素材の表面に耐衝撃性の高い素材でコーティングしたタイプのものです。厚みはありますが、とても軽量で通気性の高いデザインのものも多いので夏場の登山などにおすすめです。
【3】サイズ、フィット感をチェック
ウェアと同様、身につける道具であるヘルメット。まずはサイズやフィット感が自身の頭部にマッチしていることが絶対条件です。こまかくサイズ分けされているヘルメットや、日本人の頭に特化したデザインのインナーをもつヘルメットなど、大きさからフィット感まで多数ラインナップされています。
まずはメジャーで頭部を計測して数字を算出します。その数字をもとに、各商品が明記している該当サイズを選びます。商品ごとにサイズ感は異なるため、ここは各商品によって異なります。一般的には~58cmがSからM、60cm以上がL以上というサイズ感が目安です。
基本的にはジャストサイズを選びますが、よりソフトにかぶりたい場合にはワッチキャップをかぶり、ワンサイズ上のヘルメットを選ぶと快適です。
フードとの相性も確認
山は気候が変動しやすいことから、レインウエアを身につける機会も決して少なくありません。なので、レインウエアのフードをヘルメットの上からかぶることができるのかという点はしっかりとチェックしておきたいポイントです。また、チャックが上までしっかり閉まるのかという点も確認しておきましょう。
【4】重さ、通気性等の快適性をチェック
登山において道具の重量は常に重要なポイントですが、頭部に乗せるヘルメットの重さは、通常のザックの重量以上にコンディションに影響します。ヘッドランプが苦手な方や貧血症ぎみの方はとくに要注意。首から上の重量は可能な限り軽くしたいところです。
ベンチレーション(通気をよくする機能)の有無、あるいはサイズによって放熱効率が大きく変わる点も見逃せません。またヘルメットのデザインやボリュームは、フードとのマッチングに影響します。雨天時やガスが出ているときなど、登山でフードをかぶるシーンは多くあります。その際にヘルメットをつけたままフードをかぶれるかという点もあわせて考慮しましょう。
【5】フロント面がフラットかどうかチェック
ハードに実用したり、拡張を考えているなら、フロント面の形はやはりチェックしておきたいポイントです。最近では山岳用ヘルメットの商品も増え、デザインも多様になりつつあります。
なかにはフロント面の中央が隆起していたり、斜めに尖っているデザインのものもあります。その場合、ヘッドライトを安定して止められず、上や横にズレて最悪固定できない場合があります。また、アクションカメラをヘルメットにマウントしたいという際にも、同様の不都合があります。
もしヘッドライトやアクションカメラを使用するかもしれないという方は、フロント面がなるべくフラットなタイプを選びましょう。
人気メーカー・ブランド
本項では、登山用ヘルメットを販売する人気のメーカー・ブランドの特徴を紹介します。こちらもぜひチェックしてください。
ブラックダイヤモンド
高性能な登山用品を手がけているブランドで、ヘルメットのラインナップもとても豊富です。デザインもスタイリッシュなものが多いので見た目にこだわりたいという方にもおすすめです。
マムート
登山用品やウェアなどを取り扱う老舗ブランドです。とても信頼性が高く、プロの登山家などにも愛用されています。ヘルメットもさまざまなタイプのものが揃っており、機能性が高いことが特徴です。
ペツル
ペツルは高性能な登山用ヘルメットをいくつもラインナップしています。特にインモールドタイプのものは評価も高いので、夏場の登山向けのヘルメットを探している方はチェックしてみましょう。
カンプ
シンプルでスタイリッシュなデザインの登山用ヘルメットをラインナップしています。もちろん、機能性も高く、その多くがEN規格をクリアしていますので、信頼性も抜群です。
登山用ヘルメットおすすめ18選 ブラックダイヤモンド、グリベル、マムートなど
登山用ヘルメットの選び方のポイントをふまえ、アウトドアライターの夏野 栄さんと編集部が選んだおすすめ商品をご紹介します。商品のこまかな特徴をチェックして、納得して使える1つを見つけてみましょう。
※EN規格…欧州連合内で定められている安全規格。
UIAA規格…国際山岳連盟が定めている安全規格。
フィット感を調整して快適に
「ブラックダイヤモンド」の人気ハイブリッドタイプ、『ハーフドーム』ヘルメットの2019モデル。ダイヤルアジャスターで手軽にフィット感を調整できる仕様が魅力です。
大型ベンチレーターを8カ所装備
前後に8カ所の大型ベンチレーター装備で優れた通気性を発揮します。シェルと一体化されたヘッドランプグリップによりしっかりと固定可能です。サイズ調整はラチェット式アジェスターですばやくできます。
通気性と耐久性を両立
開口部分が広く、通気性抜群のヘルメットです。開口部分を広げた一方で、EPPとEPSの2ピース構造で耐久性もしっかり確保されています。UIAAの基準もクリアしているので、安全性を重視する方にもオススメできます。カラーも5種類展開しているので、是非お好みのものを選んでみてくださいね。
メンテナンスしやすく便利なデザイン
こちらはEPPとEPSに加えてポリカーボネートシェルで補強し、軽く高耐久のヘルメットになっています。こちらもUIAA基準を満たしており、安全性はバッチリです。パッドは裏返せるようになっており、メンテナンスが非常に簡単な点も魅力的です。もっと安全に登山をしたい方にオススメします。
大きめのサイズでジャストフィット
S/Mサイズで170gと非常に軽量で薄型のヘルメットです。こちらは開口部分が非常に多く、より涼しく快適に着用できるようになっています。もちろん耐久面も抜群でクライミングなどでもご使用いただけます。S/Mサイズでも大きめなので、これまで自分に合うサイズのヘルメットが見つからなかった方に試してほしいアイテムです。
女性の頭部に合わせたレディース向け
使いやすいデザインにこだわった女性用ヘルメット。こちらは髪を結んで着用できるようにシェルの後部が調整されており、髪の長い方でもしっかりフィットするのがポイントです。非常にリーズナブルでコスパの高い商品なので、最初に選ぶヘルメットとしても最適でしょう。
「日本人に合う形状」のジャパンフィットモデル
こちらはヘルメットインナーの幅と深さを日本人にマッチした形状にデザインしたジャパンフィットモデル。既存のヘルメットでフィットに違和感をおぼえていた方におすすめです。
日本人に合う「ジャパンフィット」規格のヘルメット
西洋人に比べて丸い形状の日本人の頭にあうように内側の幅と深さを意識したデザインです。素材にはABS樹脂を使用しています。ポリカーボン製のヘルメットに比べて軽さは劣りますが、強度は高いです。
より安全に頭部を守れる超軽量モデル
CE EN12942とUIAA106の基準をクリアしている、安全性の高いヘルメットです。サイズの調節機能は必要なものだけを押さえ、S/Mサイズで160gの超軽量ボディを実現しています。L/XLサイズは帽子の上からでも着用可能なゆとりのある大きさになっているので、登山のスタイルに合わせて選ぶのが良いでしょう。
汎用性と耐久性に優れたヘルメット
厚いABS樹脂製のシェル、ライナーにはEPPフォームとEPSフォームを使用したハイブリット構造でコンパクトでありながら頭部の保護を両立を実現しています。後頭部をより広くカバーするデザインで頭部の保護を強化しています。
しっかりとした耐久性で超軽量ヘルメット
サイドから後方にかけて広範囲に頭を保護するデザインながら、単数のベンチレーションが設置されているため、通気性はばつぐんで熱を効率的に逃がしてくれます。超軽量なインモールドタイプで、耐衝撃性能はしっかり確保しているので安心です。
折りたたんでパッキング可能
ABSプラスチック樹脂を使用した、折りたためるユニークなヘルメット。ヘルメットが必要かどうかわからない状況や平地の移動が長い状況で、ヘルメットをコンパクトにパッキングして持ち歩けるのは大きなメリットです。
側頭部もガードしながら通気性もしっかり確保
大きく開いたベンチレーションが特徴的な、EDELRIDのヘルメットです。見た目通り通気性に優れており、快適に着用し続けられます。また、側面の保護範囲が広めに設計されているため、側頭部の怪我をしっかり防げるようになっています。頭位55~61cmに対応しているので、頭が少し大きい方でも着用できるはずですよ。
外側と内側の異素材ハイブリッド構造
EN規格認証済の登山用ヘルメットです。老舗登山用品メーカー「マムート」の商品。カラーは8色展開なのでお持ちの登山ウェアや靴の色に合わせてみてください。
外側はハードシェル構造で頑丈な半面、内側は衝撃を吸収するEPPおよびEPSインナーシェルという柔らかい素材の構造で、ソフトな着け心地。全方位からの衝撃に備え内側の全面にフォームパッド付き。大きめの通気口もあり、風通しがいいので夏場にも使えます。
mont-bell(モンベル)『トレッキング L.W.アルパインヘルメット』
日本人の頭部形状にフィットするデザイン
EN規格認証済で、超軽量の登山用ヘルメットです。Sサイズだとわずか225gと、従来のヘルメットとは異なる着け心地でしょう。海外のアウトドアブランドのヘルメットは頭の形の異なる欧米人向けが多いですが、本商品は国内メーカー「mont bell」が誇る独自のアジアンフィットデザインのためご安心ください。
後部の3段階に高さが調節できるダイヤルアジャスターや、ヘッドランプクリップなども備わっています。
マルチユースでも耐久性問題なしでカラバリ豊富
こちらはマルチユースモデルですが、通常の登山用ヘルメット同様EN規格適合。耐久性はもちろん、登山に使うヘルメットの要所を満たしているので登山用としてじゅうぶん活躍します。
軽量で快適性抜群の登山用ヘルメット
軽量で汗吸収パッドなどを備えていることから快適性の高い登山用ヘルメット。内部は取り外して洗濯することができ、いつでも衛生的に使用できます。シンプルでスタイリッシュなデザインも魅力。
軽量だから疲れにくい
267gと軽量で快適に装着できるヘルメットです。通気口もしっかりと確保しているため、長時間着用しても疲れにくい設計になっています。また、パッドは取り外して掃除できるので、メンテナンスも簡単です。サイズはS/MとL/XLの2種類があるので、ご自身の形にあったものを選んでいただけますよ。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用ヘルメットの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での登山用ヘルメットの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
エキスパートからのアドバイス
通常の登山でヘルメットが積極的に使われはじめたのは、比較的ここ最近です。2014年の御嶽山(おんたけさん)噴火以降ではないでしょうか。それまでヘルメットは岩登りや沢登り、あるいは一部の極所周辺用というニュアンスのアイテムでした。もちろん、噴火のような大きな落石に効力のある道具ではありませんが、一番多い事故である転倒時の頭部保護には効果的です。
重さや動きづらさ、また外観などから手が伸びにくい登山道具ともいえますが、自転車のヘルメットと同じく被害を小さくする保険になります。エントリー層でも扱いやすいラインナップも増えているため、行動時の快適さ、また納得いくデザインのアイテムを探してみてください。
登山用ヘルメットに関するQ&A よくある質問
寿命と交換時期は?

登山用ヘルメットの寿命・交換の目安は、一度でも強い衝撃を受けたとき、またはあご紐のほつれが目立つようになったときです。
自転車用のヘルメットで代用できる?

用途によって安全基準が異なります。そのため、「~用」と明記されていれば、その表記に従いましょう。登山用であれば、「UIAA 106」または「EN 12492」のいずれかの規格に適合(または準拠)している必要があります。
一緒にチェックしたいアイテム 【関連記事】
EN規格またはUIAA規格の安全基準を満たしたものを
本記事では、登山用ヘルメットの必要性や失敗しない選び方、そしておすすめ商品を紹介しましたが、いかがでしたか?
商品を選ぶ際は、必ず、EN規格か、UIAA規格かどちらかの安全基準を満たしたものを選び、その上で、素材・構造、サイズやフィット感をチェックしましょう。また、登山中のことも考え、重さ、通気性等の快適性、また、カメラがつけられるか、ヘルメットのフロント面などもチェックしておきましょう。
自然を楽しむことができるのみでなく、体を動かすことができることから、登山は幅広い層の方の人気を集めています。そんな登山をより安全に楽しむために欠かせないのがヘルメットです。一番大切なのが、自分に合ったヘルメットを探すこと。ぜひ本記事を参考に、安全で満足のいく商品を見つけてくださいね。
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