登山用コンパスの選び方 山岳写真家に聞く
山岳写真家・荒井裕介さんに、登山用コンパスを選ぶときのポイントを教えてもらいました。ぜひエキスパートの選び方を参考に、自分に合ったコンパスを探してみてください。
使いやすさで選ぶ
登山用にはおもに次の4つのタイプがあります。使いやすさをひとつの基準に自分に合ったものを選んでみてください。
マップ用コンパス
マップ用コンパスは台座が透明で、地図の上に置いて距離や方角を確認するなど、地図との照合が簡単にできるのが特長です。「ベースプレートコンパス」とも呼ばれます。
レザンティック式
もともと軍用として用いられていたレザンティック式コンパスは、「軍用コンパス」とも呼ばれます。地形図とあわせて用いることで、道しるべがない道を進む際であっても現在地を把握することができ、目的地までのルートを導き出すことができます。
デジタル式
磁石ではなく、内蔵されている地磁気センサーにより感知し、位置情報や方位を測定します。 なかには、 温度や高度なども一緒に表示してくれるため、機能性を重視するならデジタル式がおすすめです。
簡易タイプ
方角のみを知ることができるシンプルなコンパスです。キーホルダータイプなどがあります。
「ハウジング」のメリット・デメリット
登山用コンパスは、「ハウジング」(コンパス内部)に液体が入った「オイル式」と入っていない「ドライ式」に大別できます。それぞれの違いをメリット・デメリットとともに見ていきましょう。
オイル式コンパス
【メリット】
ハウジング内のオイルにより針がスムーズに動き、ブレることなく正確に方角を指してくれます。
【デメリット】
冬場は粘度が高くなり、動きが悪くなります。「ウォーターハウジングコンパス」「(オイルではなく水が入ったコンパス)は、凍ってしまい、使用できないことも。コンパスによって使用可能温度が異なります。
ドライ式コンパス
【メリット】
外気温を気にすることなく使用できます。また、オイル式と比べると安価です。
【デメリット】
液体による抵抗がない分、針がブレやすくなるため、オイル式に比べると少々使いづらい場合があります。
コンパスの役割を考えて選ぶ
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
コンパスは方角を知るだけでなく、時間や距離も知ることのできる道具です。機能そのものはあまり複雑ではありませんが、使いこなせば方角だけで読図(地図を見て内容を見とること)ができたり、距離を正確に把握することもできます。
コンパスはお守りではなく使い方を学んで持つものです。縮尺がしっかりしているマップと組み合わせることで、その本領を発揮します。
一般登山道や低山では方角を知るだけでも目的地にたどり着くことができるようになりますが、そのためにはスケール付きのコンパスで読図やコンパスの操作になれる必要があります。まずは読図に必要な方位、メジャーが付いたものから選びましょう。
マップ用コンパスはそのまま地図のうえにおいて使用できる。
自らの技術や目的に応じたコンパスを選ぶ
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
読図をまず覚える。これがコンパスの使用条件です。そうすることで、コンパスの実力を最大限に発揮させられるからです。
現代ではGPSが普及しています。しかし、GPSが受信し難い場所やバッテリー切れ、不意な道迷いなど、緊急時には欠かせないのがコンパスです。
GPSなどを使用する場合でも、カード型のコンパクトなモデルを選択し携帯することをおすすめします。もちろんメインとしてじゅうぶん使えるものがほとんどですので、ビギナーの方が選んでも問題ありません。
あると便利な機能で選ぶ
続いて、あると便利な機能を見ていきましょう。使いやすさもチェックポイントです。
防水性・蓄光・携帯性などもチェック!
オイル式コンパス。スイッチを入れるとハウジング内の赤色LEDライトがコンパス内部を照射。ストラップを取り付けることも可能。
登山では、突然、天候が変わるというのはよくあること。いざというときのため、防水性のあるものや蓄光塗料が塗ってあるタイプを選ぶようにしましょう。発光するものなら、暗闇のなかでも文字盤を読み取ることができます。
また、ストラップやキーリングが付いたものであれば、手軽に携帯することができ、即座に文字盤を見ることができて便利です。
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
方位、縮尺以外にコンパスにあると便利な機能はストラップやネックループです。ネックループは地図を頻繁に確認する際に首に掛けておけて便利です。
とても便利ですが、あとから任意で取り付けるタイプもあるので、最初から付属しているものを選ぶとよいでしょう。
さらに、ルーペがあると地図上の細かい地名や縮尺の小さな地図も確認しやすく便利です。登山地図など、縮尺の小さなタイプを扱う場合は機能としてあるとよいでしょう。
山岳写真家おすすめの登山用コンパス5選
上で紹介した登山用コンパスの選び方のポイントをふまえて、実際に山岳写真家・荒井裕介さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。

SILVA『No.3 Black(ECH137)』

出典:Amazon
タイプ | マップ用コンパス |
---|---|
種類 | オイル式 |
使用可能温度 | -40~60℃ |
使いやすさ | 偏差対応目盛、度数リングホルダー付 |
カラーバリエーション | - |

Suunto『A-10NH Compass(SS021237000)』

出典:Amazon
タイプ | マップ用コンパス |
---|---|
種類 | 液体充填式 |
使用可能温度 | -30~60℃ |
使いやすさ | 首紐付き |
カラーバリエーション | - |

mont-bell『サーモコンパス』

出典:Amazon
タイプ | 簡易型コンパス |
---|---|
種類 | - |
使用可能温度 | - |
使いやすさ | 温度計、キーホルダー付き |
カラーバリエーション | ブルー(BL)、バーチウッド(BW)、グリーン(GN)、ピンク×レッド(PK/RD)、ホワイト(WT)、イエロー(YL) |

Brunton『TruArc10』

出典:Amazon
タイプ | マップ用コンパス |
---|---|
種類 | オイル式 |
使用可能温度 | - |
使いやすさ | ストラップ付 |
カラーバリエーション | - |

Vixen『LEDコンパス』






出典:Amazon
タイプ | 簡易型コンパス |
---|---|
種類 | オイル式 |
使用可能温度 | - |
使いやすさ | LEDライト付き |
カラーバリエーション | ピンク、グリーン、イエロー、ブルー、パープル |
「登山用コンパス」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 登山用コンパスの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの登山用コンパスの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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目的に応じた機能のコンパスを選ぼう 山岳写真家からのアドバイス
ワイルドライフクリエーター、山岳写真家
コンパスは読図に特化したり、大まかに地図上を進んだりするために必要な道具です。
GPSのように正確な位置を割り出すことも可能です。しかし、その機能をすべて使い切るかは目的によって変わってきます。
技術や使用目的によって使い分けることもコンパス選びのポイントになります。携帯のしやすさや視認性、機能をじゅうぶんに検討して選択してください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
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※2020/11/20 コンテンツ追加・修正のため記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
ブッシュクラフト、狩猟、ULスタイル、沢登りなど様々なアウトドアに取り組む。海外生活の経験もあり銃器やトイガンにも造詣が深い。 アウトドア料理やビンテージアウトドアアイテムのレストア、道具作りにも造詣が深く自作アイテムのみでの山行も行う。 フェールラーベンのアンバサダーとしても活動している。