登山用マップケースとは? 地図をさまざまなダメージから守る
地図はルートの確認だけでなく、遭難などの事故を防ぐことができる登山において心強い味方です。山を登るなら必ず持っていきたいアイテムですが、地図はものによっては水に弱い紙質であったり、何度も畳んだり折り曲げたりすることで痛んで判別しにくくなってしまいます。
地図をさまざまなダメージから守るのが、マップケース。PVCなどを使った透明なケースは地図を確認しやすく、水滴や汚れなどから守って劣化を防ぎます。登山の際に用意しておくと、便利なアイテムです。
登山用マップケースの選び方 山岳・アウトドアライターに聞く
山岳・アウトドアライターの高橋庄太郎さんに、登山用マップケースを選ぶときのポイントを教えてもらいました。安全に登山を楽しむためにはマップケースがとても大事です。自分に合った適切なマップケースを選ぶためにも、アドバイスを参考にしてください。
地図の使い方に合ったサイズ感や形を選ぶ
Coleman(コールマン)『フォールディングマップケース』
マップケースの形は大きく分けると、ロール型とバッグ型の2種類があります。使い方や特徴、地図のサイズに合わせて、ご自身に合うものを選びましょう。
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
日本で使われているすべての地図の基本となるのが、書店でも販売されている国土地理院発行の地形図。そのなかで登山の際に使うのはおもに2万分1地形図と5万分1地形図で、印刷面はどちらも51×41cmほどになります。四つ折りにするとA4よりも少し小さいサイズ感で、自宅で印刷する場合も用紙はA4が一般的です。
そのために、マップケースはA4サイズが余裕をもって入るものが使いやすいです。より広い面積を一度に見たいという方は、さらに大判のA4サイズ以上のものをセレクトするといいでしょう。
持ち運びやすさを重視するならロール型
OSPREY(オスプレー) ULマップラップ OS58120
使いたい時に広げて、使わない時は丸めてザックのポケットなどに収納できるのがロール型。持ち運びやすいものが欲しい方にぴったりのマップケースです。
必要な時には取り出して広げるという動作が発生するものの、携帯がしやすく歩いているときに邪魔をしません。
ロール型のなかには防水性が低いものもあるため、水滴や雨が気になる方はジップロックなど密閉できるものに入れて持ち運びましょう。
こまめに地図を見るなら確認しやすいバッグ型
オルトリーブ ドキュメントバッグ A6サイズ(D01)
首から下げて使うのがバッグ型。ファスナーが付いたビニール製のバッグに地図を入れるタイプです。バッグ型は地図が確認しやすいため、頻繁に地図を確認するような登山の際に便利。ビニールやファスナーできっちり覆われるため、防水性にも優れています。
バッグ型は常にぶら下がっていることから歩いている際に邪魔に感じるかもしれませんが、それ以上に地図の確認がしやすいのがポイント。ルートを確認することが多く、地図を取り出す手間を減らしたい方にもぴったりです。
防水性は商品説明とともに口コミもチェック
抜群の防水性を誇り、大小さまざまなサイズがそろっています。
マップケースのなかには、防水性のある商品もあります。水滴や悪天候にも耐えられるもの探している方は、商品の説明欄に防水性やドライなどと書かれているものを選びましょう。
防水性などの記載がある商品のなかには、ケースのなかに水が染み込んでしまうものもあるとのこと。防水性があるマップケースを探している方は商品説明とともに、口コミをチェックすることで実際の防水性のイメージがつかめるでしょう。
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
紙に印刷された地図は水に弱く、湿ると破れやすくなるばかりか、印刷面がふやけて読図できなくなってしまいます。そこでマップケースに期待されるのが、高度な防水性です。
防水ファスナーつきのものはそれだけでもじゅうぶんな防水性ですが、さらに入れ口を巻いて留めるトップクロージャーなどといわれる構造のものならば、ほぼ完璧な防水性を発揮します。
ただし、防水性を向上させるとそのぶんだけ内部の空気を出しにくくもなり、携行時に膨らみを抑えられず、少々邪魔に感じるかもしれません。可能であれば、購入前に実際に地図を入れて確かめてみるといいでしょう。
サイズは地図の畳み方に合わせて選ぶ
マップケースを選ぶうえで、サイズも大事な要素です。小さなケースの場合は地図を入れる際に畳む回数が多く、反対に大きなケースなら畳む回数は少なく済みます
収納サイズは大きくなるほど、一目で確認可能な地図の範囲が広くなります。地図の見やすさとともに携帯性のバランスを考えて、マップケースのサイズを選びましょう。
両面タイプは裏表が確認できて便利
マップケースには片面だけでなく、裏表が透明になっているものもあります。一部のエリアしか確認しないのであれば片面でも問題ありません。
地図だけでなく登山のスケジュールなどもその他の情報も確認したい場合は、裏表が使える両面タイプが便利です。出し入れをせずひっくり返すことでスムーズに、地図とその他の情報をチェックできます。
冬の登山に持っていくなら寒さに強いものを
マップケースで使われるビニール素材などは、気温が低くなることで硬くなったり、丸めて使っているうちに割れが生じるものあります。
冬の登山でマップケースを使う場合は、寒さに強いものを持っておくと良いです。低温による割れを防ぐことができ、寒い環境でも問題なく使用できます。
一年を通じて登山回数が多い方や、長くマップケースを使いたい方も寒さに強いものチェックしておくと良いでしょう。
軽い素材や頑丈なタイプは長く使える
PVC(ポリ塩化ビニル)素材で作りがしっかりしているため、ハードな登山に向いています。
マップケースはできるだけ軽い素材のものを選ぶと、登山中も使いやすいです。首から下げて使う場合は、軽い素材ほど快適に使用できます。
ザックやリュックに丸めて入れる場合でも、マップケースを軽くすることで重さの負担を抑えられます。
軽さに加え、マップケースの素材が丈夫であることもチェックしましょう。ビニール素材にナイロンなどが加わったものなど、耐久性のあるものならば少しでも長く使えます。
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
マップケースは、地図が見やすいように透明なTPU(熱かそ性ウレタン)やポリエチレンなどで作られています。これらの素材は分厚いほどかたくて丈夫ですが、丸めて小さく収納するのは難しく、同時に重量もかさみます。
1カ月に何度も使うハードユーザーなら分厚くて傷みにくいものが長く使えてお得ですが、それほど頻繁に使わない方は軽くて持ち運びやすいタイプが便利です。
また、透明な素材が裏表の両面に使われているものは、地図を確認できる面積が2倍になるものの、耐久性では不透明なナイロンなどの素材に劣ります。確認可能な面積の広さを重視するのか、耐久性の高さを考慮するのか、そのあたりもセレクト時の重要事項です。
紛失を防止するストラップやコード類
ISUKA(イスカ)『ドライマップケース』
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
マップケースのなかにはストラップ類があらかじめ付属していたり、自分で好きなコードを取りつけられるように小穴があけられていたりと、紛失を防止するためのディテールが工夫されているものもあります。
つねに体の近くに露出させたまま持ち運ぶことになるマップケースは、山道具のなかでも紛失しやすいもの。それだけに、体や荷物へかんたんに取りつけられるようになっているものがベターです。
とはいえ、どのような取りつけ方法のものが使いやすいかは人それぞれなので、自分の好みに応じて選んでみましょう。
登山用マップケースのおすすめ11選 生地・サイズ・収納サイズ・重量もチェック!
上で紹介した登山用マップケースの選び方のポイントをふまえて、山岳・アウトドアライター&プロデューサー・高橋庄太郎さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。携帯に便利なものや防水性の高いものなどすぐれた商品ばかりですが、素材やサイズなど自分に合ったものを比較検討して選んでみてください。

ISUKA(イスカ)『ドライマップケース』

出典:Amazon
生地 | TPU素材とレールシールを併用 |
---|---|
サイズ | 30×32cm |
収納サイズ | 直径4×30cm |
重量 | 80g |
カラー | ブラック |
丸めたあとは面ファスナーで小さく収納
透明なTPU素材と黒いナイロン素材を貼り合わせ、縫い目からも水が浸透しない仕様になっています。地図の入れ口は防水性のファスナーを使うだけではなく、さらに折り曲げて面ファスナーで固定するため、よほどのことがなければこの部分からの浸水もないでしょう。
面ファスナーは本体側面にも取りつけられており、丸めて小さく固定できるのが便利です。また、収納時はバックルつきのストラップでバックパックのショルダーハーネスに取りつけることもでき、地図を見たいときにはすぐに外せます。
価格も手ごろなので、どんなマップケースが自分に使いやすいのか見当をつけられない方は、まずはこれを使ってみるといいでしょう。

OSPREY(オスプレー)『ULマップラップ』

出典:Amazon
生地 | メイン:210Dナイロンダブルリップストップ、アクセント:100D×70Dナイロンミニリップストップ |
---|---|
サイズ | 縦36×横36cm(展開時) |
収納サイズ | 縦35.5×横2.5×奥2.5cm(ロール時) |
重量 | 90g |
カラー | ブラック |
バックルとストラップでしっかりと固定
地図の収納方法や本体側面の面ファスナーなど、イスカ『ドライマップケース』と似た構造のマップケースです。しかし、よりやわらかな素材を使い、広げたときの四隅を丸く仕上げるなど、細部にまで気を使った仕上がりになっています。
丸めた状態にすると、上にはバックルつきのストラップ、下にはバックルなしのストラップがつけられます。それらを連動させることでショルダーハーネスに沿うような姿で確実に固定できるため、紛失を心配される方におすすめ。
デザイン上のアクセントにもなっている黄色いテープやラインは視認性を高め、万が一落とした場合も目につきやすいのもひとつの長所です。

SealLine(シールライン)『HP マップケース L』

出典:Amazon
生地 | PVCフリー素材、クリアウレタン(材質) |
---|---|
サイズ | 38.5×58cm |
収納サイズ | 36×53cm |
重量 | 181g |
カラー | クリアー |
大判も用意され、地形図をらくに収められる
S、M、Lとサイズ展開があり、もっとも大判のLサイズは内寸が36×53cm。地形図をほとんど折らずに収納することができるため、地形図をつねにフルサイズで活用したい人向きです。ひと目で確認できる面積が広がるので、山域の全体像をつかむことが容易になります。
Lサイズともなると少々大振りになるのは避けられませんが、クリアウレタンを使った透明な素材はTPU以上に薄くてやわらかく、思いのほか小さく収納できるのはありがたい点です。
首にかけるためのネックストラップに加え、四隅にはコードを通せる小穴があり、発想次第で体やバックパックにさまざまなスタイルで固定できます。

SEA TO SUMMIT(シートゥサミット)『ウォータープルーフマップケース S』ケースS 1700089






出典:Amazon
生地 | PVCファブリック、クリアビニール(素材) |
---|---|
サイズ | 21×30cm |
収納サイズ | - |
重量 | 158g |
カラー | クリアー |
超強靭! 手荒く使っても安心
PVC(ポリ塩化ビニル)を使った素材は非常に分厚く、2枚の素材の接着面も幅が広いため、わざわざナイフでも使わない限りほとんど壊れる心配はありません。同サイズのマップケースに比べると2倍近い重量にはなるものの、この安心感には代えがたいものがあります。
素材が厚くかなりゴワつくうえに、丸めた際に固定するストラップ類も省かれており、小さく収納できないのも難点です。しかし、丈夫なものを求める方ならば喜んで使っていただけるでしょう。
ネックストラップは80cm近い長さがあり、紛失防止にバックパックなどに結んで使うこともできます。サイズはSとLがあります。

ORTLIEB(オルトリーブ)『ドキュメントバッグ A6サイズ』

出典:Amazon
生地 | - |
---|---|
サイズ | 15×11cm |
収納サイズ | - |
重量 | 30g |
カラー | クリア |

LOKSAK(ロックサック)『防水マルチケース L』






出典:Amazon
生地 | BPAフリー |
---|---|
サイズ | 30.5×30.8cm(外寸) |
収納サイズ | 29.8×30.5cm(内寸) |
重量 | - |
カラー | - |
実にシンプル! 定評ある防水袋
食品用フリーザーパックをより強靭にしたかのような防水袋のシリーズで、大小さまざまなサイズがそろえられています。なかでも地図を入れて使いやすいのは、LサイズやA4サイズ。
四辺のうち一辺に防水ファスナーがついているだけのシンプルさですが、じゅうぶんな防水性があり、登山好きの間では昔からマップケースとして愛用されてきた製品です。やわらかな素材なので内部の空気を抜きやすく、コンパクトに持ち運べるのも大きなポイントでしょう。
比較的手に入れやすい価格もあり、傷みはじめたら買いなおすのも苦ではありません。気軽に地図を守りたい人にぴったりです。
モチヅキ SEALLINE(シールライン)『マップケース S(040818087039)』






出典:Amazon
生地 | 12 オンス透明ビニール |
---|---|
サイズ | 20×30cm(外寸) |
収納サイズ | 16×27cm(内寸) |
重量 | 80g |
カラー | クリア |
Coleman(コールマン)『フォールディングマップケース』












出典:Amazon
生地 | ポリエステル |
---|---|
サイズ | 約30×1×30cm |
収納サイズ | 約10×1×30cm |
重量 | 約95g |
カラー | ターコイズ、レッド |
モンベル『ロールアップ マップケース M(1124749)』

出典:Amazon
生地 | ナイロン、ポリエチレン |
---|---|
サイズ | 28.6×37.6cm(外寸) |
収納サイズ | 26.4×35.0cm(内寸) |
重量 | 30g |
カラー | ライトグレー |
ハイマウント『ウォータープルーフマップケース M(68386)』

出典:Amazon
生地 | 本体:塩化ビニール、面ファスナー:ナイロン100% |
---|---|
サイズ | 18×26cm |
収納サイズ | - |
重量 | - |
カラー | - |
ROTHCO(ロスコ)『マップ&ドキュメントケース』






出典:Amazon
生地 | ナイロン、ビニール |
---|---|
サイズ | 約34×34cm |
収納サイズ | - |
重量 | - |
カラー | ブラック、ウッドランド迷彩、コヨーテ |
「マップケース」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする マップケースの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでのマップケースの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
マップケースに関するQ&A よくある質問
マップケースの透明部分の汚れをきれいな状態にできますか?

プラスチックは使用するしないに関わらず経年劣化しますので、買い替えるしかありません。
【関連記事】マップケースに関するそのほかの商品情報
忘れてはいけない地図とマップケースの重要性 山岳・アウトドアライターからのアドバイス
山岳/アウトドアライター&プロデューサー
ここ数年で登山に使用する地図は、「紙」から「デジタル」に置き換えられつつあり、スマートフォンと連動する地図アプリを使用する人が非常に増えています。しかし、スマートフォンのバッテリー切れや破損、紛失のために道迷いを起こしたという遭難事故も報告され、紙の地図の重要性が再認識されているのも事実です。
マップケースはバッテリー切れのない重要情報である「紙の地図」を濡らさないようにサポートし、登山者の安全を大いに向上させる道具。地味な存在ですが、まずはひとつ手に入れ、ときどき防水性がキープされているか確認しながら、あなたの登山の相棒として長くつき合ってください。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2021/01/22 コンテンツ追加・修正のため記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 名原広雄)
1970年宮城県仙台市出身。高校山岳部で山歩きを始め、早稲田大学卒業後は出版社に勤務。 その後、フリーランスのライターに。著書に『山道具 選び方、使い方』(枻出版社)、『テント泊登山の基本』(山と渓谷社)などがあり、近年はテレビ番組やイベントへの出演も増えている。また、アウトドアメーカー各社とのコラボレーションを行なう自身のブランド「SCREES」を立ち上げ、製品開発にも取り組んでいる。