お茶専用の保存容器「茶筒」とは? 密閉性が高く湿気を防止!
香りのよいお茶は気持ちをほっと和ませてくれるもの。しかし、保存方法を間違えるとお茶の繊細な香りが失われ、おいしさが半減してしまいます。香りのよいお茶を楽しみたいのなら、保存方法にも気を配ることが大切です。
茶筒は、茶葉に最適な「湿度」「温度」を保つことができるお茶専用の保存容器。茶筒で保管をすることで、お茶の風味が失われにくくなりますよ。
「茶筒」のおすすめを今すぐ知りたい方はこちら
茶筒の上手な選び方 長くよいものを使いたい方に!
家庭料理家の調 香生子さんに、茶筒の選び方を教えてもらいました。お気に入りの茶葉を上手に保存するためにも、次のポイントを意識して茶筒を選びましょう。
茶筒の素材で選ぶ
茶筒は、銅やステンレスなど金属でできたもののほか、木製のもの、陶器や磁器などさまざまな素材があります。なかでも代表的なのは「金属製」と「木製」。それぞれの特徴を押さえておきましょう。
金属製|密閉性が高く高品質
金属製の茶筒は、銅や真鍮(しんちゅう)、ステンレスなどでできたものがよく見られます。上品な光沢とシンプルなデザインは、おしゃれでどんなキッチンにもなじみます。
なかでも銅製はとくに人気が高く、多少価格が張るものの使い勝手や密閉性にすぐれているのがポイント。長く使うほどに色味が変化していき味が出るのも魅力です。
ステンレス製は、耐水性があり丈夫。水洗いも可能でお手入れしやすいため、茶葉だけでなくコーヒー豆などほかの食品を保管するのにも使えます。
このほか、ブリキなど金属製の缶に木の皮などを貼りつけて装飾されたものもあります。
木製|木目が美しくおしゃれ
木製の茶筒は、木や桜の樹皮など自然の素材が使われており、長く楽しめる工芸品としての魅力もあります。有名な店や職人さんが手掛けた茶筒は、高級感もあり贈り物にも喜ばれるでしょう。
ひと口に木製といっても、和風なデザインから洋風モダンなデザインまで幅広く揃っているので、キッチンインテリアに合わせて選びやすいのも魅力です。
三星舎 代表・鍼灸師・家庭料理家
素材に合わせてお手入れもしっかりと
長く最高の品とされてきたのは「銅の茶筒」です。ただ、銅はサビやすく扱いに注意が必要。濡れた手でさわらない、乾いた布で拭くなど、管理に気をつけましょう。
万が一銅の緑青(ろくしょう・酸化によって起こる青緑色のサビ)が出ても危険なものではありませんし、お手入れによって再びきれいにできます。
サイズ・容量もしっかり確認を 大きすぎる茶筒はNG!
茶筒を選ぶ際は、サイズや容量も確認しましょう。50g用、100g用、200g用、300g用など、茶筒は商品により容量もさまざまです。
お茶をおいしく保つには、なるべく空気に触れさせず酸化させないことが大切ですが、蓋を開け閉めする度に空気に触れ、だんだんと劣化していってしまいます。そのため、茶葉を大量に保管するのは避けましょう。
ふだん購入する茶葉の量に合わせて選ぶか、1カ月ほどで飲み終える量を基準に選ぶのがおすすめです。
密閉性の高いものを選ぶ
茶筒は蓋が大きく茶葉がすくいやすいものが使いやすいですが、密閉性が損なわれていないか確認することも大切です。
茶葉に酸化は禁物です。外蓋と本体の間に隙間がないか、しっかりと密閉できる容器かどうかを必ず確認しましょう。とくに中蓋がある二重構造のものがおすすめです。外気をしっかりと遮断し、茶葉の鮮度を保ってくれますよ。
三星舎 代表・鍼灸師・家庭料理家
なかのお茶を酸化から守れる容器を選ぶ
銅の茶筒のなかには、金槌(かなづち)を使って金属を伸ばし、立体形状を作る「打ち出し」という技法で作られた茶筒があり、茶筒内を適度な湿度で密閉するのにすぐれています。蓋(ふた)をかぶせた際、ゆっくりと自然に蓋が落ちる様子をご覧になったことがあるという方も多いでしょう。
打ち出し以外のものでも、蓋との間にゴムのパッキンがついているものなど、それぞれに密閉の工夫がありますので購入する前に確認してください。
茶葉の種類に応じて茶筒は使い分けよう
三星舎 代表・鍼灸師・家庭料理家
お茶が好きで、日本茶に限らずいろいろな種類のお茶を飲まれる方は、茶筒をいくつかそろえましょう。
たとえば、日本茶用、中国茶用、フレーバーティー用、紅茶用など、香りが混ざらないように分けて使うことをおすすめします。
茶筒のおすすめ8選【高級×高品質】 人気の銅製や木製を厳選!
うえで紹介した茶筒の選び方のポイントをふまえて、家庭料理家の調 香生子さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。茶筒の素材や容量などを確認しながら商品を選んでみてくださいね。

東屋『茶筒 中』

出典:Amazon
素材 | 銅、錫、真鍮 |
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サイズ | 直径80×高さ95mm |
容量 | - |
職人技が光る! 打ち出しで作られた茶筒
継ぎのない打ち出しの技術を用いた銅製の茶筒です。「継ぎがない」というのはたいへん高度な技術。見た目に美しいだけでなく、スッと蓋が落ちてピッタリ共蓋(ともぶた:同じ材質が使われている身と蓋)が重なり合うことで、お茶にとって良好な環境を保ってくれます。
なかは錫(すず)メッキです。職人さんの技が光る最高の一品ですが、お値段は良心的。大切に扱うことで長く使える茶筒です。身と蓋がきれいに合わさるように作られた打ち出しは、とても繊細です。落としたりぶつけたりして歪んでしまうと密閉しなくなってしまうので、ていねいに取り扱いましょう。
こちらは大中小と3つのサイズがあります。お茶の香りを大切にする、本格派のための茶筒です。

新光金属『茶筒 鎚目』

出典:Amazon
素材 | 純銅 |
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サイズ | 直径80×高さ95mm |
容量 | 150g |
グラデーションが美しい銅製の茶筒
新潟県燕市は、銅器を作る古い歴史を持つ街。そのなかでも新光金属は、茶筒だけでなく銅製の調理器具を数多く手がける老舗(しにせ)です。上記に紹介した東屋の茶筒も、新光金属との共同で作られたもの。その技術力の高さがうかがえます。
こちらの茶筒は、鎚目(つちめ:表面をハンマーで叩くことでできる模様)がデザインとして残されています。また、オリジナルの赤銅仕上げによるグラデーションもポイント。銅製品はサビやすいですが、ていねいに扱うことで、年月とともにあらわれる風合いもまたいいものです。
打ち出し技術によって生み出されるちょうどいい密閉度はもちろん、デザインにもこだわりたい方におすすめ。

我戸幹男商店『KARMI 俵 Soji』






出典:楽天市場
素材 | ミズメ、ウレタン塗装 |
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サイズ | 直径78×高さ110mm |
容量 | 100g |
漆の木地屋さんが作る、精密な茶筒
漆の木地とは、漆器に漆を塗る前の木、本体のことです。木をくり抜いて作る木地は、専門の職人さんを要する繊細な工程。漆器の名産地でもある石川県の我戸幹男商店は、山中塗(やまなかぬり)の木地を作っている老舗で、「ソジ」という名の通り、素地の風合いを引き出した茶筒になっています。
千筋(せんすじ)といわれる美しいストライプの筋は、山中塗独自の技術を使いひとつひとつ轆轤挽き(ろくろびき)で作られたもの。木材の扱いを知り尽くした、木地屋さんの逸品は丈夫という安心感もあります。木材の特徴を活かしたとてもおしゃれな一品。インテリアとしてもおすすめです。

冨岡商店『総皮茶筒 無地・大』
素材 | 桜皮(天然木・合板) |
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サイズ | 直径80×高さ120mm |
容量 | - |
樺細工、桜の木の皮で作った茶筒
樺細工(かばざいく:桜の樹皮で作られる工芸品)は、江戸時代より続く秋田県角館の伝統的な工芸です。木目の美しい桜の木の皮は丈夫で、磨くとつややかに光り、民藝品(みんげいひん)としての評価もたいへん高い技術。自然素材で作る茶筒は、ふたつとして同じものがなく、持つ人をよろこばせてくれます。
樺細工の美しい茶筒を見かけることもありますが、その多くがブリキ缶に桜皮を貼りつけて作られたもの。それぞれによさがありますが、このように総皮で作られたものは、桜の木の持つ通気性や適湿性が期待でき、茶葉の保管に適しています。やわらかい布でふくだけでツヤが保てます。

角館 伝四郎『輪筒4色 茶筒』






出典:楽天市場
素材 | くるみ、かえで、桜皮の無地皮、さくら |
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サイズ | 直径82×高さ122mm |
容量 | 150g |

開化堂『取込盆用120g』

出典:楽天市場
素材 | 銅 |
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サイズ | 直径78×高さ81mm |
容量 | 120g |

ナガオ『ステンレス槌目茶筒 ミラー』












出典:Amazon
素材 | 本体:18-8ステンレス、内蓋:真鍮・ステンレス |
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サイズ | 直径72×高さ105mm |
容量 | 100~110g(茶葉の種類により異なる) |

長澤製作所『銅製茶筒 ナツメ型・丸つち目』
素材 | 銅 |
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サイズ | 直径75×高さ100mm |
容量 | - |
茶筒のおすすめ4選【シンプル×おしゃれ】 シンプル、おしゃれな商品を厳選!
味わい深い職人の手による茶筒もすてきですが、お値段が高くて手を出しづらい……という方に、安価で購入できる「かわいい」「おしゃれ」な茶筒を紹介します!
江東堂高橋製作所『茶筒生地缶』










出典:Amazon
素材 | スチール |
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サイズ | 直径89×高さ108mm |
容量 | - |
KINTO(キントー)『キャニスター』






出典:Amazon
素材 | ステンレス製 |
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サイズ | 約直径9×高さ6.5(cm) |
容量 | 250ml |
SALIU『茶缶』






出典:楽天市場
素材 | 本体:ブリキ、内蓋:スチール |
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サイズ | Φ83×H94mm |
容量 | 150g |
HAKOYA たつみや 『茶入れ うさぎ』

出典:Amazon
素材 | ABS樹脂 |
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サイズ | 幅180×奥行180×高さ100mm |
容量 | 約300ml |
茶筒おすすめ3選【北欧柄×おしゃれ】 北欧柄や和柄など!
北欧柄でおしゃれな茶筒を紹介します。
きつさこ『京都生まれの友禅紙茶缶』














出典:Amazon
素材 | ブリキ(すずメッキ)、友禅和紙 |
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サイズ | 直径80×高さ140mm |
容量 | 150ml |
星燈社 『茶筒』






出典:楽天市場
素材 | 本体/ブリキ、和紙、内蓋/プラスチック |
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サイズ | 直径約75mm×高さ約120mm |
容量 | ‐ |
星燈社『茶筒』






出典:楽天市場
素材 | 本体/ブリキ、内蓋/プラスチック |
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サイズ | 直径約75mm×高さ約120mm |
容量 | 茶葉150g、珈琲豆100gほど |
「茶筒」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 茶筒の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの茶筒の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
茶筒の使い方、茶葉の適切な保存方法は?
いくら品質のよい茶筒を購入しても、使い方を誤れば茶葉を良質な状態で保つことはできません。ここでは茶葉の保存についての豆知識を紹介します。
理想的な茶筒の保存場所とは?
茶葉は、日光の当たらない涼しい場所で常温保存が最適です。食器棚など、年間を通してできるだけ温度変化の少ない場所を選びましょう。
また食器棚のなかでにおいの強いものを一緒に保管すると、におい移りをしてしまう危険があります。そのような場合は保管場所を分けるようにしましょう。
茶筒は洗ってもいいの?正しいお手入れ方法は?
茶筒は基本的にどんな素材でも洗わないようにしましょう。理由としては、水洗いをしてしまうと茶筒のなかに水気が残り、錆びてしまったり、茶葉をしけらせてしまい保存が悪くなります。茶葉を使い切ったあとの茶筒は、乾いた布で茶葉をふき取るだけにしましょう。
茶葉は冷蔵庫で保存してもいいの?
結論からいえば、NGです。お茶は常温での保存が最適ですので、冷蔵庫での保存は極力避けましょう。茶葉はさまざまな匂いを吸着する性質を持っており、冷蔵庫に入っている食品のにおいが移ってしまうためです。
ただし、開封前の茶葉なら冷蔵庫、冷凍庫で保存することは可能です。取り出す際は、茶葉の結露や湿気の吸収を避けるためにも、常温に戻してから開封・使用してください。
茶筒がないときの茶葉の保存方法は?
お茶の保存で一番大切なのは、密封性のある容器で保存することです。茶筒でなくとも、密封性の高い容器がないか探してみましょう。
どうしても密閉容器がない場合は、購入したままの袋で内部から空気を押し出し、クリップなどで口を止めるという非常手段もあります。
伝統工芸としての茶筒づくり
茶筒は茶葉を保存する容器という実用品の側面と、伝統工芸品という側面を合わせ持っています。伝統工芸品としての茶筒の魅力、楽しみ方の一部を紹介します。
長く楽しめる工芸品としての茶筒
茶筒にはさまざまな材料が使われます。それぞれの土地で手に入りやすい材料を使っているのです。制作の技法も、それぞれ特色があります。たまたま初代が習った技法だった、という何気ないことがきっかけであることもめずらしくありません。先人が少しずつ工夫をこらして、より使いやすく、より便利にと進化を続けてきた実用品が、年月をかけて伝統工芸品と呼ばれるものになります。よい素材と職人の素晴らしい技術の出会いを味わうことは、伝統工芸品の楽しみ方のひとつです。
もうひとつ、伝統工芸品の楽しみ方の王道ともいえるのが、経年変化です。桜の樹皮など自然の素材を使った茶筒や、ブリキや銅、真鍮(しんちゅう)でできた茶筒は、10年、15年と経つうちに、色合いや風合いが変化していきます。お茶を入れる際に人の手が触れることで味が出てくるのです。お手入れをかかさず、自分だけの茶筒へと変化する様子を見守ることもまた、茶筒を使う楽しみです。
伝統工芸技術で作られた茶筒を長く使い育てよう! 家庭料理家からのメッセージ
三星舎 代表・鍼灸師・家庭料理家
機能、デザイン、材質にこだわりを
茶筒は、煎茶とともに私たちの毎日の食卓の道具としてあたりまえのようになじんできました。長く愛用されてきた暮らしの道具というのは、たくさんの伝統工芸技術とともに発展してきたことをあらためて感じます。
ていねいに作られた茶筒は、使うほどに使い手になじみ、手入れをすることで長く世代を超えて使い続けることができます。密閉性などの機能、デザイン、材質など、使いやすさや使う環境などをよく見極めて選びましょう。どうぞ自分だけの逸品を見つけて、大切に使い育ててください。
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すてきな道具と一緒にお茶の時間を楽しもう
茶筒のなかには、先人たちの工夫がこめられた美しい茶筒もあります。緑茶、ほうじ茶、紅茶、ハーブティーなど世界にはさまざまなお茶がありますが、お茶を楽しむと同時に、その保存容器である茶筒に思いを馳せてみるのもすてきではないでしょうか。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(制作協力:結城助助)
※2021/01/27 コンテンツを一部更新しました(マイナビおすすめナビ編集部渡辺裕美)
学生時代の一人暮らしをきっかけに、SNSで朝ごはんの投稿を始めました。 鍼灸師として働きながら、健やかに丁寧に生きる豊かな暮らしと、健康づくりについて考えています。 影響を受けたのは、街の開業医に嫁ぎ「健康とは」と考え続けた祖母の健やかな暮らしの知恵。 衣食住に必要なすべてのものに歴史や風土の影響があり、物の本質を見抜けるようになりなさいという教えを大切にしています。 平成26年「日本の暮らし」をテーマに三星舎を立ち上げ、健やかな生活に欠かせない商品作りを始めました。 美味しくて身体に良い食べ物、調理道具、器など「家庭料理」にまつわる歴史や文化に興味を持っています。