パナソニック広角レンズの選び方 カメラ評論家に聞く
写真家・カメラ評論家の田中希美男さんに、パナソニック広角レンズを選ぶときのポイントを教えてもらいました。どういう機能や特徴に着目すればいいかを整理し、自分にあったレンズを選択しましょう。
【1】マイクロフォーサーズシステム規格から選ぶ
【2】用途に合わせてブランドを選ぶ
【3】焦点距離で選ぶ
【4】カメラボディかレンズ内どちらかに手ぶれ補正機能を
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】マイクロフォーサーズシステム規格から選ぶ
パナソニックのカメラとレンズは、マイクロフォーサーズシステムのマウント規格に沿って設計製造されています。マイクロフォーサーズシステムとはパナソニックとオリンパスが共同で開発したシステムで、マイクロフォーサーズ判センサーを使用するミラーレスカメラと、その交換レンズの共通マウント規格のことです。
マイクロフォーサーズ規格に賛同するメーカーの製品であればすべて互換性があり、他社製のものでもパナソニックのカメラに問題なく使用できます。ですから、レンズ選びをするときはパナソニック製レンズだけにこだわらず、他社のレンズも選択肢に入れて自分にとって使いやすい、ぴったりのレンズを探すことが大切です。
【2】用途に合わせてブランドを選ぶ
パナソニックの交換レンズには、大別すると「LUMIX」と「LEICA」という2つのブランドラインがあります。LEICAブランドの「LEICA DG」は、ドイツ有名光学メーカーのライカとパナソニックが協業して生み出したレンズで、ライカの設計基準や設計コンセプトに適応しています。
一方LUMIXのレンズは、「LUMIX G」、「LUMIX GX」の2つのシリーズラインがあり、パナソニック独自の設計基準と品質基準で作られています。2ブランドの大きな違いとして価格が挙げられます。「LEICA DG」は高画質な写真や動画を楽しみたい方に向いています。「LUMIX」レンズシリーズは、本体とともにキットレンズの購入を考えている方や、ズームレンズ以外で単焦点レンズの購入を考えている方におすすめです。
LUMIX Gシリーズ
「LUMIX G」シリーズは、パナソニックレンズ独自の光学設計の基準に準拠した基本となるレンズ。美しく高精細な描写が可能です。
LUMIX GXシリーズ
パナソニック 標準ズームレンズ マイクロフォーサーズ用 ルミックス G X VARIO 12-35mm/F2.8 II ASPH./POWER O.I.S. H-HSA12035
「LUMIX GX」シリーズはLUMIX Gレンズをベースに、ナノサーフェスレンズコーティングを施すなどして光学性能を向上させたレンズです。
LEICA DG
「LEICA DG」は高画質な写真や動画を楽しみたい方に向いています。応答性が高く、ズーム性能などをじゅうぶんに活かせるのが特徴です。
【3】焦点距離で選ぶ
焦点距離とは、レンズの中心からカメラ内部のイメージセンサー(撮像素子)までの距離のことを指します。その距離を示すのがレンズに記されている「~mm」の数字になります。その数字(距離)によって画角(写せる範囲)が変わってきます。
パナソニックが採用している「マイクロフォーサーズ」センサーのレンズは、記載されている距離を約2倍にした画角が撮影可能となっています。すなわち、25mmと記載されていれば、50mmの焦点距離となりますので、目安にしておくとよいでしょう。ちなみに、人の見ている景色に近い画角が50mmとされています。
その50mmより短い距離が広角です。望遠レンズが遠くの被写体を離れた場所から撮影できるのに対し、広角レンズは集合写真を撮る際や迫力ある風景を撮るのに適しています。
【4】カメラボディかレンズ内どちらかに手ぶれ補正機能を
パナソニックの交換レンズには、光学シフト式の手ぶれ補正(O.I.S.)の機能を内蔵しているレンズと、そうでないレンズが混在しています。
また、パナソニックのカメラボディには、センサーシフト式の手ぶれ補正(B.I.S.)を内蔵している機種が多くあります。手ぶれ補正を内蔵したカメラボディなら、レンズ内に手ぶれ補正がなくても手ぶれを補正してくれます。今使っているカメラがボディ内手ぶれ補正なしのタイプの場合、広角系レンズを購入する際は手ぶれ補正内蔵のレンズを選ぶことをおすすめします。
パナソニック広角レンズおすすめ9選
ここまでで紹介したパナソニック広角レンズの選び方のポイントをふまえて、カメラ評論家の田中希美男さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。いろいろな特性の商品をピックアップしてもらったので、きっと自分にぴったりのものが見つかるでしょう。

贅沢設計、超広角画角のズームレンズ
ルミックスGシリーズの広角ズームレンズです。35mm判換算で14~28mm相当の超広角画角をカバーします。最短撮影距離はズーム全域で25cmです。広角レンズ特有の強烈なパースペクティブ(遠近感)を利用して、ダイナミックな写真表現が可能になります。
レンズ構成は12群16枚と贅沢な設計です。広角系レンズで目立ちやすい像の歪みを非球面レンズ2枚で補正し、さらに低コントラストや色滲みを抑えるためにED(特殊低分散)ガラスレンズを4枚も使用しています。

ライカブランドの高級な超広角ズームレンズ
ライカDGシリーズの超広角ズームレンズです。35mm判換算で16~36mm相当の画角をカバーします。レンズ構成は10群15枚です。そのうち非球面レンズ4枚、ED(特殊低分散)ガラスレンズ2枚、高屈折ガラスレンズ1枚を使って諸収差(像がぼやけたり歪んだりすること)を最適に補正。さらに特殊レンズコーティングであるナノサーフェスコーティングを施して、高画質、高性能なレンズに仕上げています。
また、レンズ鏡筒にはAF/MFスイッチが設けられていて、瞬時にAFとMFを切り替えて撮影することもできます。防塵、防滴、マイナス10度までの耐低温の構造になっていることもこのズームレンズの特長です。

絞り値を手動設定できるライカDGレンズ
35mm判換算で24mm相当の画角をカバーする、ライカDGシリーズの大口径広角レンズです。開放F1.4絞り値という、すぐれた描写性能を誇ります。画像が流れたりぼけたりするコマ収差や非点収差、球面収差を補正するために非球面レンズが使用され、おもに色収差(色ずれによりクリアーさが損なわれる)を補正するためにUEDやEDレンズが使用されています。
防塵、防滴、耐低温の構造を備えているのも注目したい点です。また、鏡筒部に絞りリングが設けられていて手動で絞り値を設定できるため、アナログ的な感覚で撮影することができます。

レンズ厚約2cm、重さ55gの超薄型軽量タイプ
35mm判換算で28mm相当の、薄型パンケーキタイプの単焦点レンズです。ボディの厚みが2cmそこそこで、重さはたったの55gしかないレンズは、シャツの胸ポケットに入れても気にならないほどコンパクト。シルバーとブラックの2モデルが用意されています。
軽量コンパクトさを優先したレンズ設計にして、開放F値はぎりぎりF2.5にとどめています。この薄いレンズ本体に、静かな音で動作する小型ステッピングモーターを組み込んでいるため、高速AF駆動が可能です。28mm相当の画角のレンズは広角レンズの「定番」ともいえるので、手持ちのレンズラインナップにぜひ入れておきたい1本です。

素直で自然な描写性能を誇る大口径
高品質な金属鏡筒仕上げの、ライカDGシリーズの大口径単焦点レンズです。金属外装のレンズですが、軽量コンパクトに仕上げられています。レンズ全長は約3.6cm、重さは約100gで、画角は35mm判換算で30mm相当です。開放F値はF1.7(F1.4とF2.0のちょうど中間値)の明るい絞り値で、美しいぼけ味にもこだわったレンズです。
すぐれた解像力や適度なコントラスト、豊かな階調描写力も魅力的ですが、この17mmレンズのもっとも注目すべき特長は、素直で自然な描写ができることです。また、レンズ鏡筒には絞り値を手動で設定できる絞りリングが備わっています。
「パナソニック・広角レンズ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする パナソニック・広角レンズの売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでのパナソニック・広角レンズの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
広角レンズに関するQ&A よくある質問
中古やレンタルでも利用可能ですか?

可能です。中古品であれば、カメラのキタムラや街の中古カメラやさんで取り扱っています。レンタルであれば、GooPass(グーパス)や銀一などはオンラインショップも運営しており、利用しやすいですよ。
レンズの保管方法について教えてください。

レンズやボディは必ず防湿庫の中で保管するようにしましょう。レンズはカビやホコリの混入を防ぐため、ボディはグリップ部分の加水分解をふせぐためです。
パナソニック広角レンズに関するそのほかの商品 【関連記事】
レンズマウントアダプターを活用しましょう! カメラ評論家からのアドバイス
パナソニックのカメラはミラーレスカメラで、フランジバック(マウント部からイメージセンサー面までの距離)が短くなっています。そのため、マイクロフォーサーズマウントでない他社の交換レンズでも、規格に見合ったマウントアダプターが使用でき、広い選択肢があります。
現在、マイクロフォーサーズ規格に合わせたマウントアダプターはたくさんの種類が販売されています。購入の際はカメラボディ側にマイクロフォーサーズマウント、もう片方には自分の使いたいレンズが取り付けられるマウントを選ぶ必要があります。
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多摩美術大学付属多摩芸術学園・写真科卒業。撮影分野は、おもにクルマを中心に人、モノ、料理、風景、スナップ、ファッション、ドキュメントなど被写体を問わない。 ほかに、カメラ雑誌などに新型カメラやレンズのテストのレポート、撮影技法などの解説をする。