ニコンの広角レンズを選ぶときの注意点
ニコンの広角系レンズ(ズームレンズ、単焦点レンズ)には、同じ焦点距離(あるいはとても似た焦点距離)で開放F値の異なるレンズがいくつもラインナップされています。
一般的にですが、開放F値の大きいレンズ(明るいレンズ、大口径レンズ)のほうが、厳密に比較すれば「描写性能が良好」「高価」「大きくて重い」などの特性があります。
とくに価格差が大きく、なかには3倍以上も価格の異なるものもあります。どちらのレンズをおすすめするのか、あらためて問われれば私としてはその答えに困ってしまいます。
F値の明るいレンズとF値の暗いレンズを比べて、明らかに暗いF値のレンズの描写が劣る、といったことはほとんどありません。通常の撮影をするぶんにはなんの支障もなくじゅうぶんな写りをします。
むろん、わずかでも写りのよいレンズがほしい、価格は気にしない、というのであれば躊躇することなく大口径レンズのほうをおすすめします。
もしそうでなければF値の暗い(というとちょっと語弊がありますが)レンズのほうをおすすめしたいです。
ニコンの広角レンズの選び方 カメラ評論家がおすすめする!
写真家の田中さんに、ニコン広角レンズを選ぶときのポイントを教えてもらいました。自分の撮りたい写真に必要なレンズを選ぶための重要なポイントです。
【1】ニコンのカメラのマウントを知ろう
【2】手ぶれ補正内蔵のレンズがおすすめ
上記のポイントを押さえることで、より欲しい商品をみつけることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】ニコンのカメラのマウントを知ろう
ニコンのカメラには、「フルサイズ判一眼レフ」「APS-C判一眼レフカメラ」「フルサイズ判ミラーレスカメラ」の3モデルがラインナップされ、それぞれに対応した交換レンズがあります。
一眼レフカメラとレンズは共通の「Fマウント」が採用されていて、いくつか使用上の制限はありますが、それぞれのものを取りつけて撮影することができます。
ただし、Zミラーレスカメラは新しく開発された「Zマウント」なので、一眼レフには使用することができませんが、専用のマウントアダプターを介することで一眼レフ用の交換レンズをZミラーレスカメラで使用することは可能。
これらを踏まえて、お手持ちのカメラボディだけでなく、今後増やす予定のカメラボディのことまで考えてレンズを選ぶといいでしょう。
【2】手ぶれ補正内蔵のレンズがおすすめ
ニコンの広角系レンズには、手ぶれ補正(VR)の機能が搭載されているレンズと、VR機能が備わっていないレンズがあります。
とくにニコン広角系レンズにはVRを搭載していないレンズが多くあります。広角レンズは望遠系レンズに比べてぶれにくい(ぶれが目立ちにくい)から、VRは必要ないだろう、と考える人もいるかもしれません。
しかし、ぶれの目立ちにくい広角レンズであっても、わずかなぶれ(これを「微ぶれ」ともいいます)が出てしまっては、せっかくのすぐれた描写性能を備えたレンズでもその実力をじゅうぶんに発揮することはできません。
ニコンのカメラは、最新型のミラーレスカメラのZシリーズ以外は、カメラボディ内に手ぶれ補正の機能が備わっていません。
手ぶれ補正の機能は、必要なければOFFにして使うこともできますので、レンズ選びの際や、購入に迷ったときは手ぶれ補正のあり・なしをチェックすることをおすすめします。
ニコンの広角レンズおすすめ11選 単焦点や超広角など!
上で紹介したニコン広角レンズの選び方のポイントをふまえて、写真家の田中さんと編集部が選んだおすすめ商品を紹介します。画角(写真に映しこめる範囲)の広さや手ぶれ補正の有無、重量などを手がかりに、最適な一本を選んでください。
夜景や天体撮影にも最適!
画角63°の大口径広角レンズで、風景撮影のみならず、星座の一部を切り取ったり、天の川銀河を撮影したりするときにもピッタリです。色収差を軽減した開放絞りでの高い解像力に加え、自然なボケも表現されます。
ナノクリスタルコートの採用により高い反射防止効果が得られ、ゴーストやフレアが少ないクリアーな画像になります。SWMの搭載で静粛かつ高級感あふれるAFを実現。素早いフォーカシングを可能にするRF方式も使われています。
手軽に持ち運べる軽量コンパクトレンズ
コンパクトサイズなのでカメラに装着したまま持ち歩け、風景やスナップ写真などを気軽に撮影できます。狭い室内撮影でも、広角レンズならではの遠近感による画づくりを楽しめます。開放F値1.4によって美しい自然なボケが得られ、表現力豊かな描写ができます。
「M/A」と「M」の2つのフォーカスモードが採用されており、撮影意図に応じたスピーディーなピントコントロールを可能にしています。非球面レンズ採用による諸収差の効果的な補正によって、高い光学性能が発揮されます。

気軽に使えて実用的なF1.8がおすすめ
ニコンのフルサイズ判(FX)一眼レフ用の単焦点レンズです。ニコンの単焦点広角レンズには、開放F値が「F1.8」と「F1.4」のものが2種類ラインナップされているレンズが多くあります。この24mmもそうですし、28mm、35mmもそうです。
一般的にですが、同じ焦点距離のF1.4レンズとF1.8レンズとを描写性能で比べればF1.4レンズのほうに軍配が上がります。ではF1.8レンズの描写が劣るのだろうか、初心者向けレンズなのだろうかと言えば、決してそうとは言い切れません。F1.8レンズでも(ニコンの場合はとくにそうですが)十二分の描写性能があって実用に困ることなどありません。
F1.4とF1.8とでは絞り値で約2/3段ほどの違いしかありません。にもかかわらずF1.4レンズの価格は、F1.8レンズの2~3倍もします。レンズも大きくなるし重くなります。私が24mmF1.8レンズをおすすめする理由はそこです。24mmだけでなく28mmも35mmも、ニコンのレンズに限ってですが、F1.8レンズのほうをおすすめします。

低価格、小型、軽量の広角ズームレンズ
ニコンのAPS-C判(DX)一眼レフカメラに対応したズームレンズです。APS-C判のカメラでは15mm~30mm相当の画角をカバーするズームレンズとして使用できます。
ニコンにはこのレンズのほかにもDXタイプの広角ズームレンズがありますが、こちらのレンズには「レンズ設計が新しい」「価格が比較的安い」「軽くて小さい」「手ぶれ補正(VR)を内蔵している」「AF駆動に最新のステッピングモーター(STM)を使っているためスムーズで高速なAFをする」などの特長があります。
比較的安価でもよく写るレンズをお探しの方におすすめです。

シグマ製大口径広角ズームレンズ
汎用レンズメーカー・シグマ製のAPS-C判一眼レフカメラ用大口径広角ズームレンズ。ズーム全域で開放F値がF1.8でズーミングしてもF値が変化しないというのがこのレンズの特長。18~35mmクラスの広角ズームで開放F値がF1.8のレンズは、このレンズが世界初です。
描写性能はF1.8開放絞り値だけあってたいへんに素晴らしく、広角ズームレンズでありながら単焦点レンズ並みのぼけ味を生かした撮影もできます。ほかではほとんど見かけない大口径広角ズームレンズなのに、価格が低く抑えられている点も魅力です。大口径広角ズームレンズをお手ごろな価格で探している方に!

イチ押しの広角ズームレンズ
フルサイズ判(FX)一眼レフ用広角ズームレンズです。ズーミングしてもF値が変化しないコンスタントF値ですから、マニュアル露出で撮影するときなどは便利。
また、手ぶれ補正(VR)の機能も備えています。同じシャッタースピードで撮影しても、広角系レンズは望遠系レンズに比べてぶれが目立ちにくい傾向はありますが、小さなぶれでも画質に大きく影響します。手ぶれ補正はそうしたわずかなぶれを補正してシャープで解像感のある画像にしてくれます。
12群17枚(EDレンズ2枚、非球面レンズ3枚、ナノクリスタルコート)のレンズ光学構成が採用されたレンズ。描写性能のよいレンズで、手ぶれ補正(VR)機能搭載の広角ズームレンズをお探しの方におすすめする一品。

軽量・コンパクトでコスパのよい広角ズーム
安定した描写性能や小型軽量化を優先して設計された広角ズームレンズ。広角側の画角を無理に16mmにせず、ほどほどの18mmにおさえて、望遠側は35mmまでをカバーするズーム比を約1.9倍のレンズスペックにしたのは小型軽量化を優先したためです。
倍率色収差や画面周辺部のコマ収差などを補正するためにEDレンズ(特殊低分散レンズ:色にじみを自然に補正するレンズ)を2枚、非球面レンズを3枚使用し、AF駆動用アクチュエータには静かで高速な超音波モーター(SWM)を使用しています。価格のわりにはぜいたくな仕様と言えるでしょう。
お手ごろな価格帯でできるだけ性能のよいレンズをお探しの方におすすめです。

180度近くの超広角をカバーする魚眼ズーム
異色の超広角ズームレンズで、APS-C判の一眼レフカメラ対応のレンズ。汎用交換レンズメーカーのトキナー製レンズです。焦点距離は10~17mmのズームレンズなのですが、通常の焦点距離の画角とは違って大幅に広く写ります。
たとえば10mmでの画角は(対角線画角ですが)180度の広い範囲まで写ります。実際の撮影画面で言えば両手を広げて、ほんの少し狭めた範囲ぐらいでしょうか。ただし画面周辺部では直線が大きく弓状に歪む魚眼レンズなので注意が必要です。歪曲収差をあえて残すことで、より広く写すことを目的に設計されたレンズです。
魚眼レンズのように歪んで写るといっても、風景撮影ではそれほど気にならずに写すこともできます。最短撮影距離がとても近いこと(レンズ先端から2.5センチ)、軽量でコンパクト(約350グラム)なレンズであるので、とにかく手軽に超々広角の写真を撮りたい、できればズームレンズが便利でいい、とそんな望みを持っている人には一番におすすめしたいレンズです。
圧倒的な描写力で思いどおりの表現が楽しめる!
Z マウントの描写力と軽量化による高い機動力を両立させた商品です。気軽に持ち歩けるので、さまざまなフィールドで大口径広角ズームの撮影が楽しめます。ダイナミックな表現が可能な超広角の14mmから24mmまでがカバーされており、風景から日常スナップまで多彩なシーンが捉えられます。
逆光耐性にも優れており、日中のみならず夜間の強い光にも対応できます。人気のAF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G EDを上回る、高い描写力を備えたレンズです。
被写体を際立たせる美しいボケを追求
ボケの表現にこだわり抜いており、柔らかく自然なボケ味が実現しました。マルチフォーカス方式採用によって、すべての撮影距離で高い結像性能が発揮され、シャープな描写が可能です。奥行き感にもこだわった美しいボケにより、被写体のシャープさが一層引き立つでしょう。
開放絞りにおいても綺麗な玉ボケができ、イルミネーションの一つ一つも色濃くそして鮮やかに描写され、印象的な作品になります。2枚のEDレンズによって、色にじみも効果的に補正されます。
超広角の映像表現も満喫できる!
EDレンズ4枚と非球面レンズを4枚使った、高い光学性能があるレンズです。超広角から広角までの広い焦点距離範囲を活かした映像表現が手軽に楽しめます。近距離から無限遠までシャープな解像力を発揮し、静止画像も動画もダイナミックに表現されます。
ズーム全域での像の歪みも少なく、良好な点像再現性をもっており、美しい夜景撮影が楽しめます。ナノクリスタルコートによりゴーストやフレアが抑制され、逆光撮影でもクリアな画像が撮れます。
「ニコンの広角レンズ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ニコンの広角レンズの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのニコンの広角レンズの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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ニコンの広角レンズ選びに迷ったら 単焦点かズームがおすすめ
腰をすえて撮る単焦点レンズか便利なズームレンズか
ニコンの広角系レンズには単焦点レンズとズームレンズがあります。単焦点レンズは画角が一定ですので、同じシーンで画角の異なる写真を撮ろうとするなら、カメラを持った自分自身が前後に移動しなければなりません。
その点、ズームレンズなら指先で少しズーミングすれば容易に画角が変えられます。どちらのほうが便利か、といえば文句なしにズームレンズで、素早く構図を決めて撮影ができます。
しかし、固定した画角の単焦点レンズを努力しながら使いこなすことで、その画角のもつ表現力が少しずつわかってくるというメリットも。撮った写真にも愛着が出てきます。ズームレンズは便利なぶん、つい無精をして安易に撮影しがちで結果的に魅力のない写真に仕上がってしまう心配もあります。
ていねいに構図を選びながらじっくりと撮影がしたい、急いで撮影するつもりはない、電車や飛行機、クルマなど高速で移動するものは撮影しない、という方には単焦点レンズをおすすめします。
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多摩美術大学付属多摩芸術学園・写真科卒業。撮影分野は、おもにクルマを中心に人、モノ、料理、風景、スナップ、ファッション、ドキュメントなど被写体を問わない。 ほかに、カメラ雑誌などに新型カメラやレンズのテストのレポート、撮影技法などの解説をする。