タイ原産の発酵調味料、ナンプラーとは?
ナンプラーはタイ原産の調味料で、カタクチイワシなどの小魚が原料です。バッタイ(焼きそば)やトムヤムクンなどタイ料理には欠かせません。
ナンプラーは小魚の下処理をせずそのままたっぷりの塩で漬け込んで発酵させます。半年以上熟成させると、独特な香りとうま味のあるナンプラーの完成です。小魚の内臓を取り除かずにまるごと使うので栄養価が高く、うま味成分のアミノ酸が豊富に含まれています。
ニョクマムや魚醤とは違うの?
ナンプラーと風味や色などが似ているニョクマムはベトナム原産の調味料です。カタクチイワシやアジを塩漬けして作ります。発酵期間が2~3年のナンプラーに対し、ニョクマムは10カ月~1年と短いですが、風味に大きな違いはありません。
日本の魚醤、秋田県原産のしょっつるはハタハタが原料。ほかにもシラウオやアジ、イワシなどを使用したものがあり、それぞれ風味が異なります。このほかにも中国では漁露(ユイルウ)、マレーシアではブドゥなど東南アジアを中心にさまざまな魚醤があります。
ナンプラーの選び方 料理研究家に聞いた!
料理研究家の松本葉子さんに、ナンプラーの選び方のポイントを教えてもらいました。
原産国を確認して選ぶ
国内で流通しているナンプラーは本場タイ産の商品が主流です。魚を使用した発酵調味料は、
カンボジアやラオスでも作られていますが、どちらも川魚が原料のためタイ製造のナンプラーとは風味や香りが異なります。
タイ本場の味わいを楽しみたい方は、原産国名をチェックしましょう。
>>>プロからのワンポイントアドバイス
日本でも多くのタイ製ナンプラーが手に入るようになってきたので、いろいろ試して好みのブランドをみつけましょう。
ただし、ブランドで選ぶときには、ちょっと注意が必要。タイ製のナンプラーには、イカやエビ、牡蠣(カキ)などの魚介の絵がラベルに描かれているものがあり、その魚介が使われていると思われがちです。しかし、イカ印や牡蠣印のナンプラーも原材料はイワシ。イカや牡蠣は入っていません。
原材料や添加物・風味で選ぶ
発酵熟成された魚をフィルターで濾したナンプラーは魚のにおいも少なく、豊かな風味が堪能できる1級品です。そのあとに絞られたものは2級品、3級品となりうま味成分や塩が添加されています。
しかし、3級品だからといっておいしくないわけではなく、塩味の角がとれてまろやかな味わいを楽しめます。さらに1級品よりも求めやすい価格帯のため、ナンプラー初心者には挑戦しやすいでしょう。毎日の食事に気を使われている方や食品の原料にこだわりのある方は、1級品のナンプラーを選んでみてください。
>>>砂糖が入っているかをチェックして
ナンプラーは商品によって香りや味がかなり異なる調味料です。実際に味わってみないとわからない部分も多いのですが、選ぶときに原材料表示で砂糖が使われているか確認しましょう。
タイ料理だけにもちいるなら砂糖が多めのナンプラーもおすすめですが、ほかの料理にも使いたい場合は、砂糖が入っていないか、入っていても量が少ないものを選ぶほうがいいでしょう。
購入後、1カ月を目安に使い切れる容量を選んで
ナンプラーは常温による長期保存が可能な調味料ですが、開封後は空気にふれて酸化するため風味も落ちていきます。また、常温のまま保存することで発酵がすすみ、香りも強くなってくるため、開封後は冷蔵庫に入れて保存しましょう。
気密性にすぐれた容器を選ぶとさいごまで豊かな風味を楽しめます。そうでない場合は購入後、1カ月を目安に使い切れる容量を選んでください。
>>>プロからのワンポイントアドバイス
ネットで購入できるナンプラーは、100ml以下の小容量から4,500mlのガロンサイズまでさまざま。一般的に大容量の商品の方が価格的にはお得になりますが、使用頻度が少ないと保存中に塩分の塊(結晶)ができてしまうこともあります。
そのため、はじめてナンプラーを購入する方や、たまに作るタイ料理用に購入する方は、できるだけ小容量のものを選ぶといいでしょう。使い方のバリエーションが増えるにしたがって、購入するボトルを大きくしていくのがおすすめです。
ナンプラーのおすすめ8選 容量・原材料もチェック!
うえで紹介したナンプラーの選び方のポイントをふまえて、料理研究家の松本葉子さんと編集部が厳選したおすすめ商品をご紹介します。

クセが少なく炒め物におすすめのナンプラー
ラベルにイカが描かれていることから「イカのナンプラー」と呼ばれたりしますが、原料にイカは使われていません。イワシエキスの割合が77%と高く、イワシ由来のうまみがしっかり感じられます。それでいて色は薄めで透明度が高く、クセが少ないのが特徴。
このナンプラーを和食やフランス料理の隠し味として使っているプロの料理人もいます。熱を加える料理に使っても雑味がでにくいので、炒め物などの調味にナンプラーをよく使う方にもおすすめしたい商品です。

洗練された上品な味わいが魅力
しゃれたボトル入りで、洗練された味わいのナンプラーです。タイではハイソサエティーの人たちにも人気があります。塩分を減らし、甘みづけには砂糖と果糖を使っているので、すっきりと品のいい味わいに仕上がっているのが特徴。
そのままつけだれやドレッシングとして使っても、後口に魚の臭いが残ったりしません。魚醤の風味が苦手な方にも試してみてほしいナンプラーです。
長時間熟成した深い味わいのナンプラー
カタクチイワシを18ヶ月間長時間熟成させ、深みのある旨味を出した天然の調味料です。ハラール認証を受けています。アジアンカレーやトムヤムクンなどの味付けに欠かせないアイテム。煮物などの日本食にも、かくし味として使えます。タイ国内でもよく使われていますが、欧米でも広く使われていてたくさんの国や地域に輸出をしています。
まろやかな味わいでカルシウム・アミノ酸・DHAなどのうまみ成分も豊富です。使いやすいビンタイプで、量も家庭で使いきれる丁度よいサイズです。
塩味と甘みのバランスがよいナンプラー
S&B食品の李錦記から出ているナンプラーです。アンチョビの香りが程よく、塩味と甘みのバランスもよい調味料です。いろいろな料理に合うので、ナンプラーが苦手な方でも使いやすいです。料理のかくし味に使うのはもちろん、そのままサラダや冷奴などにかけてもおすすめです。
使いやすいキャップで保存も安心。使い終わった後も取り外しができて、ゴミの分別にも配慮しています。使い切りできる丁度よいサイズで、一度使うとリピートしたくなるでしょう。
※Amazonは2個セット、楽天は6個セットです

まろやかさがイワシの風味が苦手な人におすすめ
トレードマークが「天秤」なので、「バランス」あるいはタイ語の「トラチャン」と呼ばれるブランドのナンプラーです。熟成期間が1年程度のナンプラーが多いなか、このナンプラーは2年熟成しているので、風味がまろやか。イワシの風味が苦手な人にも使いやすいナンプラーといえます。
使い切りやすい60mlボトルがあるのも便利。甘さが少なく塩分が強めなのも特徴で、日本のうすくち醤油と同じ感覚で使うことができますよ。

唐辛子との相性抜群! 食卓にも重宝するナンプラー
まずは容器に注目。タイの食堂でよく見かける形のプラスチックボトルで、エスニック気分が高まります。容器の口が細くなっていて必要な分量をうまく出すことができるので、卓上でナンプラーを使いたいという方にぴったりの商品です。
イワシの発酵風味、塩分、甘さのバランスがよく、タイ料理に欠かせない唐辛子との相性が抜群。辛みを加えることでうまさが引き立つタイプのナンプラーです。
スーパーでも手に入る人気のナンプラー
スーパーでもよく見かける「ユウキ」のナンプラーです。砂糖が入っていないのできりっとした味で、醤油代わりに使えます。70mlなので使い切れるサイズで無駄にならず、いつでも手軽にタイ風の味が楽しめます。
魚の風味も楽しめるので、食卓の調味料に加えると料理の幅が広がります。炒め物や焼きそばなど、たくさんの料理に使えるのでおすすめです。スーパーでも気軽に買えるので、エスニック料理初心者でも扱いやすい商品です。
日本人にあう味でエスニック初心者におすすめ
日本人になじみのある丸美屋から出ている国産ナンプラーです。日本人にあう味に仕上げてあるので、エスニックの独特な香りが苦手な方や初心者の方におすすめです。砂糖が入っていないのできりっとした味で、魚の臭みが少なめでどんな料理にも使えます。そのまま醤油代わりに使えて、味のバリエーションが広がります。
チャーハンや焼きそばのかくし味に使うと、より一層味に深みが出ます。使い切れる丁度よいサイズで、初めてエスニック調味料を試す方にもおすすめです。
「ナンプラー」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする ナンプラーの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのナンプラーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
ナンプラーに関するQ&A
ナンプラーと相性がいい食材は?

ナンプラーとの相性がいい食材はレモンなどの柑橘、玉ねぎ、にんにく、しょうが、香菜、バジル、青じそなどの香味野菜などです。お肉や魚介類とも好相性。肉の下味をつけるのにも使ってみてください。
余りがちなナンプラーを使い切る方法は?

ナンプラーを買っても余らせるのでは?と買うのをためらう方もいるかもしれませんね。使い切る方法の一つは、しょうゆやめんつゆを使う料理に少しナンプラーを加えて使うこと。ナンプラーはしょうゆに似ているようで違う、強いうま味がある独特な味です。この特徴を生かして隠し味として使うことができるんです! 料理研究家の松本葉子さんも、しょうゆなどに混ぜて使う方法をおすすめしています。
このほか、例えば鍋物のつけだれにナンプラーを少量まぜてアレンジする、野菜炒めや和え物にナンプラーを入れる、塩焼きそばなど塩味の炒め物に少量加えるなど、隠し味として使ってみて!
一緒にチェックしておきたい調味料はこちら!
本記事では、オイスターソースの選び方とおすすめ商品をご紹介。記事後半には、通販サイトの最新人気ランキングのリンクがあるので、売れ筋や口コミをチェックしてみてください。
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料理研究家からのアドバイス
使い方のコツはアレンジを楽しむこと!
タイでは、卓上で使う調味料として、ナンプラーに唐辛子や酢を加えたものを作ります。購入したナンプラーが好みの味ではなかったときは、輪切りにした唐辛子を加えたり、酢やレモン汁を混ぜてみてください。驚くほど味の印象が変わって、食べやすくなることもあります。
また、購入したナンプラーがなかなか使い切れないというときは、醤油やめんつゆに混ぜて使ってみるのもおすすめです。
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紙媒体およびwebで食関連記事を執筆するほか、食物学専攻の学生時代から継続している料理研究および多くの料理人や飲食店、生産現場を取材してきた経験を生かして食品メーカーや飲食店などにレシピ提供・メニューアドバイスを行っている。 また、毎日のように取り寄せる食品・調理関連品の中から厳選した「価値あるお取り寄せ情報」を限定読者に発信していたが、近くブログとして公開予定。