粕取り焼酎とは?どんなお酒?
粕取り焼酎は「酒粕焼酎」という異名があるように、原料に酒粕を用いて造られる焼酎です。
酒粕は、日本酒造りの過程でできる「もろみ」からお酒を絞り出した、残りの固形物です。いわば日本酒製造のあまりものですが、酒粕にも米や酵母の旨味・栄養分が豊富に含まれます。そのまま食品として料理の材料にしたり、化粧品の材料に使われることも。
「もろみ」から絞り出された水分とアルコールが日本酒ということになりますが、酒粕にもアルコール分は残ります。酒粕をさらに抽出して造られるのが粕取り焼酎なのです。
粕取り焼酎の選び方 産地や飲み方にあわせて選ぼう!
ソムリエの友田晶子さんに、粕取り焼酎を選ぶときのポイントを教えてもらいました。粕取り焼酎の上手な選び方を知って、奥深い世界を楽しんでみましょう。
製法によって味わいが違う!
焼酎の製法には「吟醸粕取焼酎」と「正調粕取焼酎」の2種類がありますが、原料や製造工程に違いがあり、当然のようにできあがる焼酎の特徴も変わります。
自分好みの焼酎がどちらの製法のものなのかを意識すると、新しい一本がより選びやすくなるでしょう。
フルーティーさを楽しむなら「吟醸粕取焼酎」
酒粕に酵母・水を加え、再発酵させてから蒸留するのが「吟醸粕取り焼酎」です。吟醸粕取り焼酎は、精米歩合50〜60%以下の日本酒(吟醸酒・大吟醸酒)の酒粕から造られます。
日本酒のようなフルーティーで爽やかな吟醸香が特徴で、クセのなさから焼酎初心者にも飲みやすく、焼酎ファンも日本酒ファンも楽しめる粕取り焼酎といえるでしょう。
クセのある味を楽しむなら「正調粕取焼酎」
酒粕にもみ殻を混ぜ、蒸留するのが「正調粕取り焼酎」です。江戸時代から続く伝統的な製法「セイロ取り蒸留」が用いられています。
原料のもみ殻が独特のビターな香りや風味をうみだし、重厚かつ飲みごたえのある味わいの焼酎です。クセの強さが良くも悪くも作用するため、上級者向けの粕取り焼酎といえるでしょう。
産地ごとの味を比べる
粕(かす)取り焼酎とは北九州地域を中心に歴史のある粕取り焼酎です。
産地によって味わいが異なりますので、そこを見きわめることが、粕取り焼酎の選び方のポイントです。たとえば、東北・甲信越を中心とする淡麗系の日本酒の産地なら粕取り焼酎も味わいは淡麗になり、近畿・九州を中心とする濃厚系の日本酒の産地なら、粕取り焼酎も濃厚系になります。
熟成年数にも注目して選ぶ
お酒は熟成させることで、独特な深い味わいへと変化していきます。長年熟成されたワインやウィスキーには高い価値がつきますが、粕取り焼酎も同じです。熟成年数を商品を選びの基準にしてもよいでしょう。
銘柄によって5~8年、ものによっては30年など幅広い熟成期間があります。熟成を経た粕取り焼酎の、深い味わいを楽しみましょう。
飲み方に合わせて種類を選ぶ
飲み方によっても、粕取り焼酎の選び方は変わります。
たとえば水割りなら軽快でちょっと華やかなタイプがおすすめ。お湯割りなら濃厚タイプにすることで、粕取り焼酎ならではの個性が楽しめます。オンザロックやソーダ割りなら樽熟タイプが向いていますし、じっくりストレートで味わいたいときには熟成期間の長いものがおすすめです。
粕取り焼酎のおすすめ8選 人気の八海山も紹介!
粕取り焼酎の選び方のポイントをふまえて、ソムリエの友田晶子さんと編集部が選んだおすすめ商品を紹介します。
2種のブレンドがうみだす飲みやすさ
熟成した粕取り焼酎と、フレッシュな粕取り焼酎。2種の粕取り焼酎をブレンドした奥の松酒造の自信作です。全国新酒鑑評会連続金賞を受賞した酒蔵の、伝統と技がうみだした粕取り焼酎です。
アルコール度数すら感じさせないほどの飲みやすさと、すっきりとした味わいが特徴です。男性にも女性にもおすすめできる一本となっています。
「八海山」のふくよかなうまみ
日本酒「八海山」の製造過程でうまれる新鮮な酒粕のみを原料に、手を加えずゆっくり時間をかけて減圧蒸留する本格粕取り焼酎です。
貯蔵期間は3年以上にのぼり、円熟したまろやかさと日本酒特有の風味が一体化。ふくよかな味わいをうみだします。
その「醍醐味」を楽しむためにも、ストレートやロックで飲むスタイルがおすすめです。

淡麗代表・八海山がつくる、樽熟成粕取り焼酎
淡麗辛口、すっきり軽快で、まるで水のような日本酒として人気の八海山がつくる粕取り焼酎。酒粕のみでつくられた粕取り焼酎ではありませんが、日本酒同様、すっきりと透明感があります。また、オーク樽での熟成により、ふんわりと甘く、ほんのりとスパイシーで、香ばしい後味が楽しめます。
アルコール度数は40度と、ウイスキーやブランデーと同じくらい高いので、まずはオンザロックやソーダ割りがおすすめ。冬には体が温まるお湯割りもいいでしょう。熟成タイプ初トライの方にもおすすめの商品です。
八海山からは、酒粕のみで3年以上貯蔵してつくられた『本格粕取り焼酎 宜有千萬』もラインナップされています。樽熟成よりも飲みやすい粕取り焼酎を求めるなら、こちらもおすすめです。
「獺祭」の香り高い粕取り焼酎
日本酒「獺祭」の華やかな香りが凝縮された香り高い粕取り焼酎です。
「酒粕も無駄にせず、良いものに仕上げる」という旭酒造の方針のもと、日本酒の副産物である「酒粕」を蒸留して造られます。
麦・芋・米など一般的な原料の焼酎とは異なる味わいで、焼酎好きなユーザーには驚きがあり、焼酎をあまり飲まないユーザーには飲みやすさが魅力の焼酎です。
酒粕を使用している関係から、製造量を増やせない希少性も魅力です。
まろやかな「田酒」の粕取り焼酎
日本酒「田酒」の酒粕を原料に、減圧蒸留された粕取り焼酎です。
「田酒」は「でんしゅ」と読み、米を生産する田んぼの名前を冠することにより、混ぜもののない米だけで造る酒であるということを強く主張しています。
そんな「田酒」の酒粕を使用した粕取り焼酎は、口の中に広がるまろやかさ、余韻を楽しむ本格焼酎です。特にロックで飲むのがおすすめです。

吟醸の華やかさを楽しむ、粕取り焼酎
米の旨味と華やかさと洗練を兼ね添えた日本酒として人気の佐賀県の『七田』は、焼酎の文化圏でもあり、数々の焼酎も生み出しています。なかでも、大吟醸酒や純米吟醸酒の酒粕をていねいに蒸留してつくられたのが、この『吟醸 粕取り焼酎』。
北九州地域らしい濃厚さがありながら、吟醸の華やかさやフルーティーさを体験できる、優れたバランスの本格焼酎。ソーダ割りで華やかさを味わったり、オンザロックでフルーティータイプの魅力を体験してみてください。

あの『純米吟醸 浦霞禅』の粕取り焼酎
澄み切った旨味や、軽快でクリアな味わいで安定した人気を誇(ほこ)る、宮城県塩竈(しおがま)市の酒蔵がつくる粕取り焼酎です。
享保9年(1724年)創業より日本酒づくりを行ない、2007年から本格焼酎づくりへ着手。原料は、国内外で確固たるファンを持つ人気ブランド『純米吟醸 浦霞禅』の酒粕です。
落ち着いた華やかさと、全くクセのない、日本酒同様クリアな印象の軽快タイプの代表ともいえる粕取り焼酎。オンザロック、ソーダ割り、水割りと飽きずに飲める味わいが魅力です。粕取り焼酎初心者の方にもおすすめできます。

麦焼酎の里で作る、濃厚粕取り焼酎
軽快な味わいの麦焼酎をつくる大分県でも、昔ながらの粕取り焼酎を生み出しています。とくに、この『十年粕取焼酎 きじ車』は、酒粕にもみ殻を混ぜて、セイロで蒸留するという本格的な伝統手法でつくられています。
10年間の熟成を経ているので、滑らかさもじゅうぶん。クセのある芋焼酎や、ウイスキーが好きな方にもおすすめできる、濃厚タイプの粕取り焼酎です。
アルコール度数が35度なので、まずは、オンザロックや水割りで飲んでみてください。慣れてきたら、お湯割りでじっくりと飲むのがおすすめです。
「粕取り焼酎」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 焼酎の売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場での焼酎の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
粕取り焼酎の飲み方
粕取り焼酎はどのように飲めばよいのか、いくつかの飲み方をご紹介します。
定番であるストレートやロックはもちろんですが、意外にもソーダ割りが粕取り焼酎との相性ばつぐんなのです。
それぞれの飲み方のメリットや、ぜひ試していただきたい楽しみ方もご紹介します。さまざまな飲み方で粕取り焼酎を楽しんでみてください。
ストレート
粕取り焼酎のふくよかな香りを知るなら、まずはストレートで飲んでみましょう。
グラスを両手で包み、ゆっくり舌の上で転がします。ゴクゴク飲むのは厳禁です。ニラのような香りだったり、ほんのりと酸味を感じるなど、さまざま味わいが発見できるでしょう。
ロック
すっきり味わうなら断然ロックでしょう。クリアな焼酎の口当たり、お米の風合い。それぞれを感じられる飲み方です。
氷は大きめに。氷が水へとゆっくり溶けるにつれ、味わいが変化していくさまを楽しみます。また、食事のお供におすすめの飲み方もまたロックです。原材料が米であることから、和食をはじめさまざまな料理と合わせて楽しめます。
ソーダ割
炭酸で割ると飲みやすくなるのはもちろん、炭酸の発泡によって酒粕のほのかな甘さや芳醇な味わいがきわだつというメリットもあります。
粕取り焼酎のアルコール度数は高く、一般的な焼酎の度数である25%を超えているものが多いです。ソーダ割りにしてゆっくり馴染んでいくのがよいでしょう。ソーダ割りもまた、料理に合わせやすい飲み方のひとつです。
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粕取り焼酎を楽しんでみましょう
粕取り焼酎は酒粕の香りと味わいがおいしいお酒です。
粕取り焼酎を選ぶ基準には、製法・産地・熟成度合いのほか、どのような飲み方で楽しみたいかなどさまざまあり、お気に入りの一本を探していくたのしみもあります。
その飲み方にもストレート・ロック・ソーダ割りなどがあり、粕取り焼酎のおいしさをさまざまな角度から引き出してくれます。
スーパーマーケットなどではなかなか見かけない粕取り焼酎ですが、ネットショッピングなどで簡単にお取り寄せができる時代です。ぜひ試してみては。
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