単焦点レンズとは? メリット・デメリットも紹介
単焦点レンズとは、ズーム機能がなく焦点距離(撮影範囲)を変えられないレンズのことを指します。そのため、自ら被写体に歩み寄って撮影する必要がありますが、その分、F値が明るいなどの特徴があります。また、焦点距離は、10mmの広角レンズから800mmの望遠レンズまで幅広く存在します。
単焦点レンズの選び方 写真家による解説
ここからは、単焦点レンズの選び方についてご紹介していきます。レンズは、自分がどういう写真を撮りたいかによって選ぶ必要があります。まずは単焦点レンズの特徴から解説します。
焦点距離と画角の関係を知る 焦点距離とは? 画角とは?
焦点距離とは、レンズの中心点からカメラ内部のイメージセンサー(撮像素子)までの距離を指します。その距離はレンズが何ミリか(~mm)で表され、その距離(数字)によって画角(写せる範囲)が変わってきます。
イメージセンサーの規格を確認 フルサイズ・APS-C・マイクロフォーサーズとは?
日本国内の機種で採用されているイメージセンサーには、おもに次の3つの規格があります。
・フルサイズ
・APS-C
・マイクロフォーサーズ
たとえば、APS-Cであれば、フルサイズよりもイメージセンサーのサイズが小さいため、画角も狭くなります。APS-Cに50mmのレンズを付けた場合、フルサイズ機の75mmレンズと同等の画角(1.5倍)になります。
レンズの種類を知る
レンズには大きく分けて「広角」「標準」「望遠」の3つがあります。ここでは、各レンズの特徴を解説していきます。
広角レンズ(10mm〜35mm) 集合写真・風景撮影に最適
フルサイズ(35mm判)換算で35mm以下のレンズが広角レンズに分類されます。広範囲を撮影できるため、風景写真や集合写真などに使われます。ちなみに、スマートフォンやGoProなどのアクションカメラに採用されているのがこの広角レンズになります。
標準レンズ(40mm〜60mm) 風景・建物・ポートレートと幅広く対応
50mm前後の焦点距離のレンズが標準レンズに分類されます。人間の視野に近く、ポートレートから風景、ボケ味を生かした撮影まであらゆるシーンに対応できることから、一番初めに購入する入門的なレンズといえます。
中望遠レンズ(85mm〜135mm) ポートレート撮影に最適
標準と望遠の中間にあたる中望遠レンズは、別名「ポートレートレンズ」とも呼ばれ、背景が美しくボケる人物を被写体としたポートレート撮影に最適な焦点距離のレンズです。
望遠レンズ(180mm〜) 野鳥・野生動物・スポーツ写真に最適
望遠レンズとは、一般的に焦点距離180mm以上のレンズのことを指します。野鳥や野生動物、鉄道や飛行機など近くに寄って撮ることができないような被写体をねらうのに適したレンズです。望遠レンズのデメリットは、拡大倍率が高い分、手ブレが起きやすいということです。
また、400mm以上のレンズを「超望遠レンズ」と呼びます。
マクロレンズ(60mm〜200mm) 昆虫・植物の接写に最適
植物や昆虫など小さなものを大きく撮影するのがマクロレンズ。特徴は、最短撮影距離がほかのレンズと比べて短い点です。
カメラのマウントに合わせて選ぶ マウントとは?
マウントとは、カメラのボディとレンズを接合する部分のことです。マウントサイズを口径という言葉で表したりもします。
「マウントアダプター」を使えば他メーカー製レンズも装着可能
他メーカーどうしは基本的にレンズのマウント規格が異なるため、専用レンズしか装着することはできませんが、「マウントアダプター」を使用することで装着することが可能になります。ただし、オートフォーカスが使用できなくなる場合もあるため、なるべく同じメーカーのボディとレンズでそろえるのが無難です。
AFスピードで選ぶ
AF(オートフォーカス)とは、自動で被写体にピントを合わせてくれる機能のこと。モータースポーツや動物など動きの速い被写体の場合、すぐにピントが合うほうがシャッターチャンスを逃さずに撮影することができます。ただ、実際に各メーカーのレンズを比較してみないことには、どのレンズが速いかどうかがわかりません。そういうときは、通販サイトの口コミなどを参考にするとよいでしょう。
単焦点レンズのおすすめ20選 マウント・焦点距離・F値・手ぶれ補正機能の有無もチェック!
上で紹介した単焦点レンズの選び方のポイントをふまえて、実際に写真家の田中さんに選んでもらったおすすめ商品を紹介します。
各メーカーサイトでは、作例も見られます。それぞれの商品の特徴、メリット、違いなどを理解して、撮り方の幅を広げられる一本を選んでください。
日常的に使いやすい軽量コンパクトモデル
高画質での撮影と小型化、快適な操作性を共存させた単焦点レンズ。カメラに搭載された収差補正機能や動画へも対応させることで、日常的に使いやすいレンズに仕上がっています。
また、動画のオートフォーカスに対応したステッピングモーターを採用し、被写体が動いていても静かにピントを合わせられます。不要な音が入らないため、動画撮影の邪魔になりません。
本格的な性能を手軽に楽しめる!
本格的な大口径レンズをミラーレスシステムで手軽に扱えるように作られたレンズ。大口径レンズと単焦点レンズ、ふたつの特性を活かした設計によって、シャープさとボケさが絶妙な写真を撮影できます。
さらに、ふたつのレンズの特性によって幅広い表現方法が可能に。ポートレートやテーブルフォトなど、被写体や自分のイメージに合わせた表現で撮影を楽しみましょう。
旅行にぴったりの小型軽量デザイン
重量約186gと軽量でコンパクトに作られた単焦点レンズ。手持ちのバッグに入れやすく、旅行などに持ち歩くときにもぴったりです。
レンズには球面収差やコマ収差を補正するための非球面レンズを配置することで、キレイな画質を実現。大切な思い出や気になる風景を手軽にうつくしく撮影できるので、これからカメラをはじめたい人にぴったりです。

開けば美しいボケを、絞ればカリッとした描写を
ソニーのフルサイズ判αシリーズミラーレスカメラ用の55mm標準レンズですが、同じEマウントのAPS-C判αシリーズと組み合わせると82.5mmF1.8中望遠レンズとしても使用できます。ツァイスらしいカリッとした描写力と豊かな諧調描写力のあるレンズです。その特有のレンズの味は「T*」(ティースター)とよばれる古くからの「秘伝のタレ」(レンズコーティング)のおかげだといわれています。
サイズは小型でスリムな印象のレンズで、約280gと軽量です。ソニーには単焦点50mmクラスのレンズとして、ゾナー55mmの半額以下の「FE 50mm F1.8」や、価格が2倍以上の「Planar T* FE 50mm F1.4 ZA」も販売されています。
そうしたなかでゾナー55mmF1.8をおすすめレンズとして紹介したのは、3本のなかで性能、サイズ、価格などを総合的に評価してもっともよいと考えたからです。
すぐれた絞り制御によるきれいな「ボケ味」
動画・静止画ともにより高精度なAF性能を有するレンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」。シャフトのがたつきも従来より低減しています。また、防塵・防滴性能にもすぐれ、細かなホコリやチリの侵入を防ぐようシーリングをレンズ筒の可動部や溝に施してあります。
「駆動機構付き羽根ユニット」を搭載しているため、ボディ独自の信号による高精度な絞り制御を実現。連続撮影時においても、安定した露出制御が可能となっています。そのためか、開放値でのいわゆる「二線ボケ」が出にくいとネット上でも話題です。

マイクロフォーサーズユーザー向け実力派レンズ
マイクロフォーサーズ判ミラーレスカメラ用の大口径50mm相当の単焦点標準レンズです。焦点距離50mm相当のレンズで開放絞り値がF1.2というのはそう多くはありません。キヤノンなどには数本あるのですが、フルサイズ判用レンズでどれも大きくて重く、そして高価です。それらに比べてこの25mmF1.2は、実に小型で軽量です。
ぼけ味描写にこだわって設計されたレンズで、やわらかく美しくぼけることが特長。最短撮影距離が30cmと短いことにくわえ、クリアーでヌケがよくシャープな描写も可能で、さらに防塵防滴・耐低温の構造も備えています。また、パナソニックのマイクロフォーサーズ判カメラにも支障なく使えます。

撒き餌レンズといえばコレ! 入門用単焦点レンズ
キヤノンのフルサイズ判一眼レフEOS用の標準50mm単焦点レンズです。現在キヤノン純正の交換レンズは超広角から超望遠までざっと70種類近くありますが、それらのなかでもっとも低価格なのがこのEF50mmF1.8レンズです。ただし、安いからといって描写性能もチープかというと、そんなことは決してありません。
F1.8の明るさがあって(F2.8に比べて1絞り1/3段も明るい)、AFもスピーディー(静かで高速駆動するステッピングモーター使用)、AF測距後にすぐにMF操作可能(フルタイムマニュアル仕様)、絞り羽根が7枚(ぼけがきれいな「丸ぼけ」になる)で、もちろん写りはいい。F値の明るいレンズがほしい、標準50mmレンズで写真を基礎から学び直したい、安いレンズならなおさら、と考えている方におすすめです。

ポートレートや静物の撮影を一段上のレベルで
美しいぼけ味の描写など「レンズの味」を最優先して設計されたフルサイズ判一眼レフ用の標準レンズ。一般的な標準レンズの焦点距離よりも少し望遠ぎみの58mmです。美しいぼけ味描写もそうですが、古いレンズには独特な味わい深い描写をする名レンズがたくさんありました。
ニコンではそうした名レンズの「レンズの味」を定量的に計測して新しいレンズを設計するときに参考にできるように「OPTIA(オプティア)」という計測機器を開発しました。OPTIAを使って名レンズの描写特性を再現させつつ、最新の光学技術を組み合わせて設計製造されたのがこの58mmF1.4レンズです。
近景から中景の撮影距離でとくに素晴らしい描写をするレンズ。人物ポートレートや花、静物などを撮影することの多いユーザーにおすすめしたいこだわりの標準レンズです。

厳しいプロの要求にも応える防塵防滴のスターレンズ
リコー・ペンタックスの、フルサイズ判一眼レフカメラ用大口径単焦点の標準レンズです。ペンタックス光学設計の技術の粋を集めて仕上げた渾身の50mmレンズです。シャープでコントラストがありヌケがよいので、描写が非常にクリアーです。ただし、解像度が高くコントラストが明瞭な描写ではなく、上品で繊細な描写特性があります。
「★」(スター)はペンタックスレンズの高級ブランドです。レンズはずしりと重いですが、その理由は贅沢な光学ガラスレンズをたくさん使って収差を徹底的に抑え込む設計をしているからです。非常に真面目な印象を受けるレンズです。レンズ性能のわりにはお買い得感のある価格だといえるでしょう。
APS-C判のKシリーズのカメラを持っている方なら、75mmF1.4レンズとして使えます。

大口径レンズをサードパーティならではの低価格で
フルサイズ判一眼レフ用の焦点距離45mm標準レンズです。対応マウントとして、ニコンF、キヤノンEF、ソニーAのレンズが用意されています。外観はとてもシンプルなデザインのレンズで、どのメーカーのカメラに取り付けてもあまり違和感がありません。45mmF1.8レンズの大きな魅力と特長は、単焦点標準レンズでは珍しい「手ぶれ補正(VC)」を内蔵していることです(ソニー用のみカメラ側に手ぶれ補正機能があるためVCはなし)。
F1.8大口径なのに手ぶれ補正が必要だろうか、と考える方もいるかもしれませんが、手ぶれはレンズの明るさとは関係ありません。F値が低くてもぶれるときはぶれてしまうもので、写真の解像描写力を大きく低下させてしまいます。そうした失敗を防いでくれるので、手ぶれ補正の機能はないよりもあるに越したことはありません。
ちょっと地味な印象を受けるレンズですが、高い機能性を備えています。
スナップ写真やポートレート撮影を楽しめる
FUJIFILMの単焦点レンズ XC35MMF2は、高い解像性能が特徴です。高速で静音なオートフォーカスを実現しており、動きの速い動物なども簡単に撮ることができます。小型軽量モデルなので、長時間の撮影も疲れることなく行えます。スナップ撮影やポートレート撮影を楽しみたい方にぴったりの一台と言えるでしょう。
コンパクトかつ高性能!
キヤノンの単焦点レンズ EF85mm F1.8 USMはコンパクトで携帯性に優れています。レンズ全長が常時一定であったり、フィルター枠非回転となっているため初心者の方でも操作しやすいでしょう。フルタイムマニュアルフォーカスで、AFモードのままピントを調整することができてとても便利ですよ。外でも屋内でも綺麗な思い出を残したい方におすすめ。
普段使いに適したモデル
こちらのレンズでは、等倍マクロから風景撮影まで幅広い撮影が可能となっています。通常撮影でも綺麗なボケ味を出すことができるので、食べ物や普段の風景などがよりおしゃれに撮れますよ。光学式手ブレ補正機構が備わっているため手ブレがほとんどなくなります。普段の生活を映していきたい方にぴったりのモデルと言えるでしょう。
軽さを求めるならこれ!
ペンタックス の単焦点レンズ DA35mmF2.4ALは、自然な遠近感の撮影が可能です。Super Protectというコーティングが施されているのでレンズが汚れに強くお手入れの手間が省けます。重さが約124gと、かなり軽量なコンパクト設計が特徴で、長時間の撮影や持ち運びにも適しています。動物から風景まで幅広い撮影が楽しめますよ。
高性能な単焦点レンズ
ソニーの単焦点レンズ E 35mm F1.8 OSSは、新開発の光学設計を活かしてレンズ周辺まで高コントラストでシャープな画質を実現しています。手ブレ補正機能の他に高速なリニアモーターを導入しており高速でスムーズな動きが可能に。ストレス無く撮影を楽しむことができます。風景やスナップ写真を撮りたい方におすすめです。
人の自然な表情を撮るのに最適
キヤノンの単焦点レンズ EF40mm F2.8 STMはコンパクトな設計が特徴で、人物のスナップ写真を撮る時に圧迫感を与えません。自然な表情を撮りたい方にぴったりです。問題になりやすい大口径レンズの球面収差補正、広角レンズの歪曲収差補正、ズームレンズの小型化を解決した機能性に優れたモデルとなっています。
見たまま写す薄型レンズ!
こちらのレンズは自然な画角と自然なボケ感を楽しめる薄型パンケーキレンズと呼ばれるものです。日常の風景や食べ物などを、見たままに写すことが可能です。レンズ面から約9cmの距離まで近づいての撮影ができ、画面いっぱいに被写体を収めることができます。球面のレンズで生じがちな歪みも取り除いてくれるので心置きなく撮影に没頭できますよ。
高画質を追求したい方におすすめ
シグマの単焦点望遠レンズ Art 135mm F1.8 DG HSMは、5,000万画素以上の超高画素を実現した究極のレンズです。この画素数は、デジタル一眼レフカメラに対応するもので解像度の高い写真を撮ることができます。人物のアップや引きもポートレート撮影で味のある仕上がりに。インパクトのある1枚を撮りたい方におすすめ。
高コントラストさではピカイチ
Tokinaのレンズは、独特の高いコントラストを保ちながらさまざまな撮影が可能となっています。レンズ前面には撥水コートが施されているので頻繁にメンテナンスをしなくても綺麗に保つことができますよ。ポートレート機能で夜景を撮ったり、人物を撮ったり、さまざまなボケ味を楽しめます。高い描写力を求めている方におすすめです。
静粛かつ高速なAF! 美しいボケ味
静粛かつ高速AFを可能にするUSM駆動を搭載。コンパクトサイズながら、F1.8の大口径レンズが柔らかく美しいボケ味を描写します。ポートレートに適した中望遠ならではの魅力を味わえます。
通販サイトの口コミでは、AFの速さと本体の軽さ、ボケ味どれをとってもポートレート用としては最高との高評価です。
おすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 単焦点レンズの売れ筋をチェック
Yahoo!ショッピングでの単焦点レンズの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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最後に|エキスパートのアドバイス
F値の明るいレンズが望みなら単焦点レンズ
単焦点の標準レンズには開放F値の明るい、そして低価格なレンズがたくさんあります。もちろんF1.2やF1.4といった大口径F値のレンズもありますが、そうしたレンズからたった1/2絞り~1絞り「暗い」レンズなら、安価に買い求めることも可能です。
多くの方が使っている標準ズームレンズは、明るいF値のものでもF2.8が一般的で、少し暗めの標準ズームになるとF3.5~5.6ぐらいになります。それらと比べると(単焦点レンズではありますが)F1.8やF2の開放F値だと、大きく美しいぼけ味を生かした、立体的な写真を容易に撮ることができます。ぜひ標準50mmレンズをご自分のレンズラインナップに加えておきましょう。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。
多摩美術大学付属多摩芸術学園・写真科卒業。撮影分野は、おもにクルマを中心に人、モノ、料理、風景、スナップ、ファッション、ドキュメントなど被写体を問わない。 ほかに、カメラ雑誌などに新型カメラやレンズのテストのレポート、撮影技法などの解説をする。