インスタントカメラの選び方 フィルムサイズ、ピント合わせ、デジタル撮影機能をみる
写真家・カメラ評論家の田中希美男さんに、インスタントカメラを選ぶときのポイントを教えてもらいました。
インスタントフィルムの種類とサイズで選ぶ 「instaxフィルム」と「ZINKペーパー」の違い
写真家、カメラ評論家
インスタントカメラに使用するインスタントフィルムには、大別してふたつの種類があります。ひとつは「富士フイルム」が製造し販売している『instaxフィルム』、もうひとつは「ZINK Imaging」が販売する『ZINKペーパー』です。
それぞれのフィルムには互換性はありません。ZINKペーパーはサイズが50×76mmの1種類だけですが、instaxフィルムには3種類のフィルムサイズがあって実画面サイズも3種類あります。instaxフィルムのサイズによって、使用するカメラも異なります。一台のカメラで異なるサイズの写真を撮ることはできません。
インスタントカメラを選ぶときには、使用するインスタントフィルムの種類とサイズを事前にチェックしておくことが大切です。
富士フイルム『チェキ instax mini 90 ネオクラシック』
フィルムサイズ62×46mmの『instax mini』を使用するモデル。チェキのフィルムには3種類のサイズがあり、対応機種も違います。
>> Amazonで詳細を見るピント合わせの方式で選ぶ オートフォーカスとゾーンフォーカスの違い
写真家、カメラ評論家
インスタントカメラは一般的なカメラ(デジタルカメラ、フィルムカメラを問わず)に比べると撮影機能や性能はシンプルなものが多いです。
ピント合わせはオートフォーカス(AF)の機能を備えたものは少なく、いわゆるゾーンフォーカス(至近距離、標準距離、遠距離などに切り替える)方式のものが一般的です。
AF方式のほうが正確にピントの合ったシャープな写真が撮れますが、仕上がりのプリントサイズがカードサイズぐらいですので、ゾーンフォーカス方式でもそこそこピントが合ったように見えます。シャープでバッチリとピントの合った写真にこだわるならAF方式がおすすめですが、数メートル離れた場所にいる人物を気軽に写して楽しむ程度であれば、ゾーンフォーカス方式でもあまり不満は感じないでしょう。
富士フイルム『チェキスクエア instax SQUARE SQ20』
インスタントカメラではめずらしい、AF方式。静止画と動画モードを合わせると16種類のフィルターがあり、さまざまな撮り方ができるので、自分だけのオリジナルの1枚を撮影できます。最大15秒の動いている映像から、ベストな瞬間を選んでプリントできる撮影モードも。
>> Amazonで詳細を見るデジタル撮影機能を備えたインスタントカメラを選ぶ 記録メディアに保存可能や液晶モニター付きの機種も
写真家、カメラ評論家
インスタントカメラといえば、1回シャッターを切って撮影すれば、1枚の写真プリントしか得られません。もう1枚写真プリントがほしければ、同じシーンを撮り直す必要があり、少し前まではそれが当たり前でした。
ところが最近、デジタルカメラの機能を備えたインスタントカメラも出てきています。一般のデジタルカメラと同じように、イメージセンサーで画像を生成してからインスタントフィルムで写真プリントに仕上げます。撮影した画像は記録メディアに保存できますし、同じ画像から何枚でも同じ写真プリントをつくることもできます。なかには液晶モニターを備えたカメラもあります。
このようなインスタントカメラもあることを知っておくと、カメラ選びのときに役立つかもしれません。
Polaroid(ポラロイド)『Polaroid Snap デジタルインスタントカメラ』
デジタルカメラ機能も備え、撮った写真を保存し、あとからプリントできます。写真はシールタイプになっているので、貼り付けて楽しむこともできます。10秒のセルフタイマー付き。
>> Amazonで詳細を見る失敗写真を減らすための補助機能をみる 手ブレの軽減や明るさ自動調整など
インスタントカメラの撮影でもなるべく失敗したくはないですよね。手ブレをなるべくおさえるべく、シャッタースピードが調整できたり、写真の明るさを調整したりしてくれる補助機能がある機種だと安心です。
背景と人物をきれいに写す「パーティーモード」を備えたモデルや、アタッチメントレンズで撮影スタイルを変えられるものもあります。
インスタントカメラのおすすめ7選 人気の富士フイルムのチェキ、デジタル対応機種も
うえで紹介したインスタントカメラの選び方のポイントをふまえて、写真家・カメラ評論家の田中希美男さんに選んでもらったおすすめ商品、編集部で選んだ商品を紹介します。

富士フイルム『チェキ instax mini 90 ネオクラシック』














出典:Amazon
本体寸法 | 幅92×奥行113×高さ57mm |
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本体重量 | 約296g |
使用フィルム | instax mini |
ピント調節 | - |
豊富な撮影機能を備えたクラシックデザイン
カメラの外観は、まるで昔風のフィルムカメラのようで注目度は抜群。カラーモデルには、ブラック基調の『ネオクラシック』と茶系の『ネオクラシック ブラウン』の2モデルがあり、どちらも魅力的です。ちなみに私はネオクラシックを使っています。ボディサイズは少し大きめですが、ホールディング性は良好でカメラをしっかりと構えて撮影可能。
内蔵フラッシュの撮影機能として、通常フラッシュモードのほかに人物と背景も美しく写すパーティーモードもあります。子どもやペットなど速い動きのものを写すキッズモード、ハイキーやローキーの撮影を手軽に楽しめるモードも選択可能。さらに、接写モード、二重露出モードなどの撮影モードも備えています。
カメラボディには三脚穴がありますので、三脚にカメラをしっかりと固定して、暗いシーンでバルブ撮影したり二重露出撮影したりすることも可能。使用するインスタントフィルムは、実画面サイズ62×46mmの『instax mini』です。

富士フイルム『チェキスクエア instax SQUARE SQ20』
























出典:Amazon
本体寸法 | 幅119×奥行50×高さ127mm |
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本体重量 | 約440g |
使用フィルム | instax SQUARE |
ピント調節 | AF方式 |
デジタルカメラとしても使えるインスタントカメラ
デジタルカメラの機能を内蔵したインスタントカメラです。使用するインスタントフィルムは『instax SQUARE』。実画面サイズは62×62mmのスクエア(真四角)です。タテ、ヨコの構図に悩まなくていいところがメリット。内蔵レンズは35mm判換算で約33mm相当、ピント合わせはAF方式です。
背面の液晶モニターを見て構図を選び、撮影してから画像を確認(または画像調整)したのち、その場ですぐにインスタントフィルムにプリントすることができます。撮影後にモニター画面を見て撮り直すこともできますし、なんといってもインスタントフィルムのムダが省けることが利点。撮影したデジタル画像はカメラ内の記録メディア(マイクロSDカード)に保存されますから、必要な写真を探し出して再プリントすることもできます。
また、撮影画像をPCなどに移し換えて保存も可能。静止画だけでなく、簡易な動画の撮影と記録、さらには動画のなかのワンカットをプリントすることもできます。多種多様な画像仕上げモードも搭載しています。

富士フイルム『チェキワイド instax WIDE 300』


















出典:Amazon
本体寸法 | 幅168×奥行95×高さ121mm |
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本体重量 | 約612g |
使用フィルム | instax WIDE |
ピント調節 | ゾーンフォーカス式 |
大きな実画面サイズで撮影できるインスタントカメラ
通常のインスタントフィルム(instax mini、62×46mm)の約2倍の大きさ(99×62mm)の撮影画面で写せることが特長のカメラ。数人を一緒に撮影する場合など画面サイズが大きいぶん、全員の表情をしっかりと写せます。フィルムは『instax WIDE』を使用。
ピント合わせは、90センチから3メートルまでの「通常モード」と3メートル以上無限遠までの「遠景モード」の2点切り替えのゾーンフォーカス式です。
フラッシュは自動発光モードや強制発光モードを選べます。『instax WIDE』インスタントフィルムはカラーのほか、白黒専用フィルムも用意されています。インスタントカメラとしてはやや大型で撮影機能もシンプルですが、大きな写真をその場ですぐに見て仲間と一緒にわいわいと楽しめるカメラです。

LEICA(ライカ)『ライカ ゾフォート』








出典:Amazon
本体寸法 | 幅124×奥行58×高さ94mm |
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本体重量 | 約305g |
使用フィルム | ライカ ゾフォート用フィルム |
ピント調節 | ゾーンフォーカス式 |
高級カメラメーカー「ライカ」のインスタントカメラ
高級カメラメーカーとして歴史とブランドを備えた「ライカ(LEICA)」のインスタントカメラ。ボディカラーはホワイト、オレンジ、ミント、ブラック、ピンク(限定色)、LimoLand by Jean Pigozzi(特別限定モデル)のモデルが用意されています。ひと目でライカのカメラとわかる、おなじみの赤い「LEICA」ロゴマークがボディ前面にあしらわれています。使用フィルムは、『ライカ ゾフォート用フィルム』(カラー/モノクロ)です。
内蔵レンズは35mm判換算で60mm相当のオートマチック・ヘクトール。ピント合わせは3点切り替えのゾーンフォーカス式で、標準モード(0.6~3m)のほか、接写モード(0.3~0.6m)と遠景モード(3m~∞)をシーンに応じて手動で切り替えて撮影します。
撮影モードとしては自動撮影モードのほか、二重露出やバルブ撮影のモードも備え、露出補正の機能もあります。

Lomography(ロモグラフィー)『Lomo'Instant Sanremo +3種のアタッチメントレンズセット付き』














出典:Amazon
本体寸法 | - |
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本体重量 | - |
使用フィルム | instax mini |
ピント調節 | ゾーンフォーカス方式 |
3種類のアタッチメントレンズが付属
27mm相当(35mm判換算)の広角のレンズを内蔵し、そのレンズに取り付ける3種類のアタッチメントレンズが付属。画角170度もの超ワイドな魚眼撮影アタッチメントレンズ、近接撮影ができるクローズアップアタッチメントレンズ、ポートレート撮影などに向いているアタッチメントレンズを付け替えて、自在に撮影が楽しめるインスタントカメラです。
また、長時間露出で撮影できるバルブ機能、同じ画面に何度も繰り返し重ねて撮影できる多重露光機能、絞り値を変化させて背景のボケ具合を調整して撮影する機能なども内蔵しています。
ピント合わせは遠/近2点のゾーンフォーカスの切り替え式、フィルムは広く使用されている「富士フイルム」の『instax mini』が使用可能。ホワイトやブラックもありますが、茶色系のサンレモカラーがおすすめです。

Polaroid(ポラロイド)『Polaroid Snap デジタルインスタントカメラ』




















出典:Amazon
本体寸法 | 16.8 × 15.2 × 5.1cm |
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本体重量 | 408g |
使用フィルム | ZINK Paper |
ピント調節 | - |
デジタルカメラの機能を搭載した小型軽量モデル
約1,000万画素のデジタルカメラの機能を内蔵した、インスタント写真も撮れるカメラです。使用するインスタントフィルムは「ZINK Imaging社」の『ZINK Paper』で、約76×50mmの画面サイズにプリント可能。デジタルカメラとしての機能を搭載(液晶モニターはなし)していますので、撮影した画像をMicroSDカードを経由してPCなどに保存することもできます。
インスタントフィルムのZINK Paperを交換することなく、カラー、モノクロ(白黒)、セピアに仕上げることが可能。それぞれの画面をスクエアや長方形のフチなしに仕上げる撮影モードも搭載しています。カメラボディ上部には、電源スイッチをかねる手動ポップアップ式のファインダーがあります。バッテリーは充電式のリチウムイオン電池を内蔵。
富士フイルム『チェキ instax mini 11』
































出典:Amazon
本体寸法 | 107.6mm ×121.2mm ×67.3mm |
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本体重量 | 約293g(電池、ストラップ、フィルム別) |
使用フィルム | instax mini |
ピント調節 | - |
「インスタントカメラ」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする インスタントカメラの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでのインスタントカメラの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
カラーだけでなくモノクロやセピア調も 写真家・カメラ評論家からのアドバイス
写真家、カメラ評論家
カラー写真のほかにモノクロ(白黒やセピア)写真が容易に得られるのも、インスタントカメラの特長のひとつです。
ZINK Paperを使用する『Polaroid Snap デジタルインスタントカメラ』では、フィルムを交換しなくてもカメラの撮影モードを切り替えるだけでカラーから白黒やセピアの写真に仕上げることが可能。しかし、ZINK Paper使用のカメラは種類も少なく選択範囲が狭いのが難点です。
また、instaxフィルムはフィルムタイプそのものが異なるので、撮影途中でカラーからモノクロに切り替えることはできません。しかし、現在のところ、インスタントカメラはinstaxフィルムを使うカメラが主流ですので、種類も多く高機能なカメラもあります。
チェキをお探しの方はこちらの記事も参考に 【関連記事】
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
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※2020/11/24 一部コンテンツ修正のため、記事を更新しました。(マイナビおすすめナビ編集部 横尾忠徳)
多摩美術大学付属多摩芸術学園・写真科卒業。撮影分野は、おもにクルマを中心に人、モノ、料理、風景、スナップ、ファッション、ドキュメントなど被写体を問わない。 ほかに、カメラ雑誌などに新型カメラやレンズのテストのレポート、撮影技法などの解説をする。