小型スピーカーは2種類ある

小型スピーカー(コンパクトスピーカー)には、アンプが別の「パッシブスピーカー」と、アンプ内蔵の「アクティブスピーカー」の2種類があります。パッシブスピーカーはブックシェルフ型とも呼ばれます。この点をふまえて、商品の選び方をみていきましょう。
アンプが別の「パッシブスピーカー」
スピーカーとはべつに信号を増幅するプリメインアンプという機器が必要になるのが、パッシブスピーカーです。かつてオーディオが大きなブームだった頃には、理想のアンプとスピーカーの組み合わせを試行錯誤して楽しむファンも大勢いました。
今ではスピーカーもアンプも随分小型化されましたが、好みの音を得られる組み合わせを探す楽しみは、パッシブスピーカーを利用する楽しみのひとつでもあります。
小型のパッシブスピーカーが「ブックシェルフ型」
DALI『SPEKTOR2』
ほどよいサイズに大型ウーハーを搭載したブックシェルフ型の理想形。
>> 楽天市場で詳細を見るパッシブスピーカーのなかでも本棚に収まるくらい小型のものを、ブックシェルフ型と呼びます。書斎などに理想のオーディオ環境を作るのにもちょうどよいサイズです。もちろん、パソコンの脇に置いても品よく鎮座してくれることでしょう。
パッシブスピーカーには中型、大型のものもありますが、デザインや使い勝手のよさからブックシェルフ型が注目されています。
アンプ内蔵の「アクティブスピーカー」
FOSTEX『アクティブ・スピーカー PM0.1e』
高音質の迫力あるサウンドにより、DJの音声モニターやDTMといったプロ仕様からPCオーディオ用のアクティブスピーカーまで、屋内における幅広い音楽環境に対応。
>> 楽天市場で詳細を見るパッシブスピーカーは別にアンプを用意する必要がありましたが、アクティブスピーカーは、スピーカーの筐体内にアンプを内蔵しているのが特徴です。接続する機器がひとつ減る分、導入も手軽で見た目もスッキリというメリットがあります。
一方で、好みのアンプを試すような楽しみはありません。しかし、アクティブスピーカーのなかには、メーカーが内蔵アンプとスピーカーの設計にこだわった、非常に高音質のものもあります。
パソコンなどとの接続向け
ロジクール『コンパクトステレオスピーカー(Z120BW)』
USBで給電するスピーカー。Windows、MacなどPCでの操作に適したシンプルな設計。
>> 楽天市場で詳細を見る大型のアクティブスピーカーのなかには小規模ライブで使用されるようなものもありますが、もっともなじみ深いのは、パソコンの外付けスピーカーとしての利用でしょう。パソコンのイヤホン端子とスピーカーのコードをつなぐだけの手軽さで、大きく音環境を改善することができます。
アクティブスピーカーのなかには、パソコンのUSB端子と接続するモデルもあります。パソコンのイヤホン端子周辺は、パソコン自体のノイズが混ざりやすいという欠点があるのですが、USB接続はその心配がありません。品質のよいUSB接続タイプなら、ハイレゾ音源も存分に楽しむことができます。
そもそもアンプってなに?

パッシブスピーカーとアクティブスピーカーの違いについて
では、アンプとは一体何を指すのでしょうか。
かんたんに役割を解説すると、アンプは音の電気信号(情報)を増幅させ、スピーカーに届ける役割。スピーカーはアンプから来た電気信号を音として発信する役割。
そもそも、オーディオ機器から発しているのは音ではなく、電気信号(音の情報)です。その電気信号は非常に小さく、スピーカーに接続しても音として発信することができません。
そのため、アンプを媒介にすることで電気信号を増幅させ、音として発信できる大きさにし、スピーカーで音として発信させるのです。それが私たちが聞くスピーカーの「音」なのです。
小型スピーカーの選び方|音楽・オーディオ評論家に聞く
小型スピーカーを購入する場合、後悔しないために、慎重に選ぶことが大事です。音楽・オーディオ評論家の岩田由記夫さんに、小型スピーカーを選ぶときのポイントを5つ教えてもらいましたので、以下のことを理解しておきましょう。
ポイント1:他のオーディオと同額になるように選ぶ
小型スピーカーは場所をとらないので、オーディオ入門としては手を出しやすくなっています。そんな存在の小型スピーカーですが、以前よりも需要が高まっており、各メーカーが製品開発に力を入れているのです。
値段としては、2台セットで数万円のものから100万円を超えるものまで幅広くあるものの、スピーカーだけにお金をかけないよう注意が必要です。
オーディオを揃える際には、スピーカーとプリメインアンプ(プリアンプとパワーアンプが1つになったもの)、CDプレイヤーがほぼ同額になるよう意識して購入しましょう。
ポイント2:製品の個性や音に満足のいくものを選ぶ
音楽愛好家の理想は、好きなミュージシャンの音楽を、まるでスタジオで聴いているような感覚で楽しむことです。それを形にできることがベストですが、高価な機器を使っても実現するのは厳しくなっています。なぜなら、設計者・メーカーの意向や素材の違いが、スピーカーの音質に反映されるからです。
スピーカーを購入する際には、自分の耳で直接聞き、よく聴こえるかどうかを確認することが大事です。なお、小型スピーカーには各製品に個性がありますが、自分好みの音質やサウンドを再生できるものを選びましょう。
ポイント3:いくつか製品を試聴してみる
オーディオ全体の予算が決まり、小型スピーカーにあてられる予算が決まったら、実際にオーディオショップへ行きましょう。
ここで大事なのは、自分の好きなCDを持参し、スピーカーで試聴するということです。なお、目当てのスピーカーより、満足のいく製品が見つかることもあるため、値段が近い製品があれば、あわせて音をチェックしましょう。
試聴する際には、自分が持っているアンプや、購入予定のあるアンプを使えればなおよいでしょう。中には、そういったことを嫌がるショップもあるため、オーディオショップに行った際に断られたら、他のところへあたってみてください。
ポイント4:試聴ができないなら専門誌で検討する
近くにオーディオショップがなかったり、どうしてもネットで最安値で購入したいという方は専門誌でその小型スピーカーのインプレッション記事を読んで選ぶのがベストです。買いたい小型スピーカーが何機種かあれば、比較試聴の記事も参考になります。
記事を読む際に重要なのは評論家が試聴に使用した音源のジャンルです。例えばクラシックのレビューがよくても、ロックやJ-POPなどがまったく再生に不向きということも起こり得ます。なるべく自分の好きな音楽ジャンルやサウンドを鳴らして評論している記事を探しましょう。最近はネットでもヘビーなアマチュアファンがかなり信用できる記事を書いているのを見かけます。
ポイント5:試聴やレビューのポイントを把握する
大型、小型を問わずスピーカー選びの基本はボーカリスト=人の声がどう再生されているかです。私が次に重要視するのは打楽器、とくにロックやポップスで多く使われるスネア・ドラムの響きが自分好みかどうかです。ボーカルが自然に聴こえ、スネア・ドラムがそれらしく鳴っていればその小型スピーカーは相当にいい製品と言えます。
人によっては音のバランスが重要という方もいますがオーディオ入門者の場合、バランスを聴き分けるのは結構難しいものです。レビューなどでも人の声がどう鳴っているかを書いてある記事が参考になります。
音楽・オーディオ評論家のアドバイス
音楽/オーディオ評論家、音楽プロデューサー
スピーカーの理想としては、音が鳴った際に、まるでその存在がないかのように感じられることです。しかし、1000万円以上する高価なモデルでも、その理想を叶えられるものはほとんどありません。
そこで重要となるのが、メーカーや小型スピーカーならではの個性に注目するということです。メーカーによって、クラシック向きやジャズ向き、ロック向きなど個性はさまざまです。小型スピーカーを選ぶ際には、どんな個性があるのかを確認しつつ、音楽を好きな音色で聴けるものを選ぶようにしましょう。
小型スピーカーおすすめ5選 高性能・低価格・小型
小型スピーカーの選ぶ際のポイントは理解できても、実際にどの製品を購入すればいいのかわからない人もいるでしょう。ここからは、音楽・オーディオ評論家の岩田由記夫さんに選んでもらったおすすめ商品を5つご紹介します。

KEF(ケーイーエフ)『Q350』

出典:Amazon
サイズ | H358mm×W210mm×D306mm、【ゴム脚込】H362mm×W210mm×D306mm |
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重量 | 7.6kg |
付属品 | ー |
高性能、低価格で定評のあるスピーカー
イギリスのBBC(英国放送協会)モニターや、世界のエンジニアが音決めに使うモニター・スピーカーを開発した、KEF(ケーイーエフ)の製品の1つです。高価な機種に比べると、見た目はシンプルではあるものの、10万円以下のスピーカーの中では音質がとくに優れています。さらに、ジャンルを問わず、価格以上の音を奏でるのもこの製品の魅力になります。
筆者も試聴室でセカンド・モニターとして愛用しており、「マランツ」というメーカーのプリメインアンプと相性がいいとのことです。なお、スピーカーの下にオーディオ用スパイクなどをあてると、音質がさらによくなります。

TEAC(ティアック)『S-300HR』

出典:Amazon
サイズ | W84mm×H260mm×D229mm(端子の飛び出し、スパイクは含まず) |
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重量 | 4.4kg/台 |
付属品 | スピーカーケーブル(2m)2個、スパイク型ネジ6個、ワッシャー6個、フットベース6個、クリーニングクロス1個、取扱説明書 |
再生帯域の広いハイレゾ対応スピーカー
『S-300HR』の再生周波数帯域は、50Hzから50000Hzまでになっています。そのため、この製品で音楽を聴けば、ライブ会場やレコーディング現場にいるような感覚を味わうことができるのです。音質は柔らかいサウンドを得意とする一方、ハードロックやヒップホップなどは苦手という面をもっています。しかし、小型スピーカーでありながら、大編成のクラシックも満足のいく音を聴けるのが魅力です。
この製品は、ダウンロードしたハイレゾ音源(音楽用CDを超える音質の音楽データ)やMQA(Master Quality Authenticated)CD、SACD(スーパーオーディオCD)などを聴く機会が多い人に向いているでしょう。なお、アンプはどの製品でも相性はよいので、これからハイレゾ音源をメインに聴きたいという初心者には最適なスピーカーです。

ONKYO(オンキヨー)『D-112EXT』

出典:Amazon
サイズ | W162×H267×D271mm |
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重量 | 4.8kg |
付属品 | スピーカーケーブル(1.8m×2)、コルクスペーサー×8、他 |

KRIPTON『KS-55』
サイズ | W109×D203.4×H159.5mm |
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重量 | 右2kg、左1.9kg |
付属品 | スピーカーグリル×2、アンテナ×1、インシュレーター付スピーカーベース×2、すべり止め×6、スピーカーケーブル(3m)×1、他 |
超小型なのにバランスがよく迫力もある!
左右2台からなる『KS-55』は軽いのが魅力で、色もシルバーとレッドのいずれかから選べるようになっています。アンプやDAC(デジタル信号をアナログ信号に変換する装置)が内蔵されているので、プリメインアンプを必要とせず、価格は安く抑えられているのです。
なお、パソコンと接続するのが最もよい聴き方で、小型とは思えないような、奥行きのあるサウンドを楽しむことができます。筆者もこの製品の愛用者の一人です。
幅広いジャンルに対応可能なので、オーディオマニアでないなら音質に満足できるはずです。できるだけ安く、かつ早くいい音を聴きたい人は、小型スピーカーとして選んでみるのもよいでしょう。

JBL(ジェービーエル)『Stage A-130』

出典:Amazon
サイズ | W190mm×D230mm×H321mm |
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重量 | 5.45kg |
付属品 | JBL Stage A130 ブックシェルフ型スピーカーx2、取扱説明書x1、保証書×1、フィートパッドx8 |
ブックシェルフ型スピーカーおすすめ3選 コンパクトな実力派
ブックシェルフ(パッシブ)型スピーカーを3つ紹介しましょう。いずれも落ち着いたデザインが魅力の実力派スピーカーです。
Denon(デノン)『SC-M41』

出典:Amazon
サイズ | W145×H238×D234mm |
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重量 | 3.6Kg |
付属品 | スピーカーケーブル×2、吸音スポンジ×2、滑り止め(1シート/8枚) |
YAMAHA(ヤマハ)『NS-BP200』

出典:Amazon
サイズ | W154×H274×D287mm |
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重量 | 3.9kg(1台) |
付属品 | スピーカーケーブル(2m)2本、取扱説明書 |
DALI(ダリ)『SPEKTOR2』

出典:Amazon
サイズ | W170×H292×D238mm |
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重量 | 4.2kg(1本) |
付属品 | ラバーフット |
小型アクティブスピーカーおすすめ3選 ステレオミニプラグやUSBで接続
本体にアンプを内蔵した、小型のアクティブスピーカーを紹介していきましょう。
ONKYO(オンキヨー)『GX-D90パワードスピーカーシステム』

出典:Amazon
サイズ | Rch:W123×H229×D195mm Lch:W123×H229×D178mm |
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重量 | Rch:3.2kg/Lch:1.7kg |
付属品 | ステレオRCAピン-ステレオミニプラグコード×1(1.5m)、Rch-Lch接続コード×1、スペーサー×8 |
Fostex(フォステクス)『アクティブ・スピーカー PM0.1e』

出典:Amazon
サイズ | W86×H175×D152mm |
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重量 | 約0.775kg(アクティブ側)/約0.675kg(パッシブ側) |
付属品 | ACアダプター×1、スピーカーケーブル×1、オーディオケーブル×1、ゴム足×4 |
Logicool(ロジクール)『コンパクトステレオスピーカー(Z120BW)』

出典:Amazon
サイズ | W90×H110×D88mm |
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重量 | 0.248kg |
付属品 | 取扱説明書 |
「小型スピーカー」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 小型スピーカーの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングでの小型スピーカーの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
生活スタイル、音楽スタイルに合うスピーカー選びを
音楽・オーディオ評論家の岩田由記夫さんのアドバイスによる小型スピーカーを5つ、そして最近注目のブックシェルフ型スピーカー、アクティブスピーカーをそれぞれ3つずつ紹介しました。
どれも個性的なスピーカーですが、いい音を求めるとキリがないのがオーディオの世界。岩田由記夫さんもおっしゃっているように、自分の好きな音楽が楽しめるスピーカーをさがしてみましょう。ブックシェルフ型やアクティブスピーカーなどは、インテリアやパソコンとのデザイン的相性を考慮にいれてみるのもよいかもしれませんね。
※「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。
※商品スペックについて、メーカーや発売元のホームページなどで商品情報を確認できない場合は、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。
※マイナビおすすめナビでは常に情報の更新に努めておりますが、記事は掲載・更新時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。修正の必要に気付かれた場合は、ぜひ、記事の下「お問い合わせはこちら」からお知らせください。(掲載:マイナビおすすめナビ編集部)
※2020/11/24 コンテンツ追加のため、記事を更新しました(マイナビおすすめナビ編集部 福本航大)
東京都生まれ。6歳でエルヴィス・プレスリーを聴き音楽ファンになる。 1960年代中期は渋谷、赤坂、六本木などの音楽スポットを遊び歩いて過ごす。 1970年代から文筆活動に入り、平凡パンチ、週刊プレイボーイ、ミュジックライフ、FMレコパル、週刊FMなど数多くの雑誌に執筆。また、FMラジオの制作フや音楽プロデューサーとしても活動を開始した。 1980年代からはラジオDJとしてもFM東京、ラジオ日本、NHK-FM,JFN、dateFM,FM COCOLOで番組を持つ。現在はbayFM「ライフスタイル・レシピ」のDJ。1990年代からオーディオ評論家としてもステレオサウンド、プロサウンド、月刊ステレオに執筆。