取材にご協力いただいたエキスパート様
中山 一弘 様 IT・デジタルライター


マイナビニュースやPCメーカーをはじめ、さまざまなWeb媒体での記事執筆を担当。
パソコンからHDD、モニター、eスポーツ、スマートシティについてまで、IT・デジタルにおけるさまざまなジャンルで執筆実績あり。
多くのIT・デジタル系の執筆実績がある反面、休日はもっぱらアウトドア派。趣味の釣りやサバゲー、さらにはDIYで山の開拓も行っている。
CPUとは
CPUとは、パソコンのコア・頭脳になる部分で、主に情報処理能力を担うパーツのこと。パソコンのユーザーの操作による指示情報をCPUが各パーツ、各部位に伝達させるといった、パソコンを管理する役割を担っています。
高性能であるほど情報処理能力は高くなり、価格も高くなっていきます。逆に、性能が低いと価格が安くなる分、情報処理能力は低くなります。
通常、CPUはノートパソコンやデスクトップパソコンにすでに搭載されているものですが、単体で購入する場合の用途としては、「自作でパソコンを組み立てる」「現在のデスクトップPCのCPU性能を引き上げる」などがあります。
CPUの選び方|基礎知識と合わせて解説


それでは、IT・デジタルライターの中山一弘さん取材のもと、CPUの基本的な選び方を見ていきましょう。ポイントは下記の6つ。
【1】CPUのメーカー
【2】ソケット規格
【3】コア数(処理能力の高さ)
【4】スレッド数
【5】動作(クロック)周波数
【6】キャッシュ容量
上記の6つのポイントをおさえることで、より具体的に欲しい機能を知ることができます。一つひとつ解説していきます。
【1】CPUのメーカーをチェック


CPUの代表的なメーカーは、「インテル(intel)」「AMD」の2社が世界的シェアを誇っています。
インテル(intel)は『Core i シリーズ』『Celeron』『Pentium』を展開し、AMDでは『Ryzen シリーズ』を展開しており、この2メーカーから選ぶことになるでしょう。
本項では、一番オーソドックスで人気のある『Core i シリーズ』『Ryzen シリーズ』の2種類について、解説していきます。
▼インテル(intel)のプロセッサー:Core i シリーズ
Core i シリーズは、インテル社が開発するCPU。インテル社で最も使用されているメインCPUで、『Core i3』→『Core i5』→『Core i7』→『Core i9』の順にスペック・値段が上がっていきます。
多くのパソコンで使用されているのは『Core i5』で、簡単な画像編集、いくつかの検索タブを開く、もしくは、ワードやエクセルといったオフィスソフトを1〜2個起動するといった場合でも動く、最低限の性能を備えています。
一方、ゲーミング、動画・イラスト編集、複数のオフィスソフトの起動など、PCに重い負荷がかかっても処理が可能なのは『Core i7』以上のシリーズが最適。ちなみに『Core i9』は最上位モデルになりますが、処理中に高発熱となる、電力消費が高すぎるといった声も挙がっています。
種類 | モデル | 処理できる用途の目安 |
『Core i3』 |
ローエンドモデル |
・検索のみ |
『Core i5』 |
ミドルレンジモデル |
・ちょっとしたPCゲームのプレイ(重い処理は負荷) |
『Core i7』 |
ハイエンドモデル |
・画像・動画編集作業 |
『Core i9』 |
超ハイエンドモデル |
・『Core i7』よりもさらに重い負荷の作業 |
▼AMDのプロセッサー:Ryzenシリーズ
AMDとは、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices)の略式で、アメリカに本社を置く、半導体製造会社。そして、そこで開発されているプロセッサー(CPU)がRyzenシリーズです。
『Ryzen3』→『Ryzen5』→『Ryzen7』の順にスペック・値段が上がっていきます。各シリーズの処理能力を、インテル社のCore iシリーズで対応させると下記のようになります。
種類 | 対応する処理性能(目安) |
『Ryzen3』 |
Core i3 相当 |
『Ryzen5』 |
Core i5 相当 |
『Ryzen7』 |
Core i7 相当 |
Ryzenシリーズは『Core i』シリーズを超える処理性能となる場合もあり、価格が安いものもあります。
インテルに対抗できるプロセッサーとして開発された背景もあり、現在、着実にシェアを増やしています。
(★)ポイント:CPUの世代はどう見ればいい?
『Core i シリーズ』『Ryzenシリーズ』に関わらず、さまざまなCPUでは世代を表記しています。
単純な話ですが、やはり世代が最新の方が新しい技術が採用されており、スペックが高い仕様になります。例えば、「新世代の『Core i5』は旧世代の『Core i7』に相当する」といった形です。そのため、機能的にはできるだけ新しい世代のプロセッサーを選ぶのがおすすめ。
しかし、予算の兼ね合いもあるため、あえて旧世代の『Core i7』を選び、価格を抑えるといった購入もアリです。
インテルは第12世代で大きく変わりました
インテルのCPUは第12世代以降でスコアに対する考え方が変わりました。ちょっと専門的な話になりますが、PコアとEコアの二つを使用し、情報処理や計算を自動的に割り振ることで、かなり処理効率が上がったんです。さらに電力消費量も節約できるなど、格段にスペックが上がっています。
ここまでの処理能力だと、主にゲーミングに用いられることが多いでしょうが、前世代と比べると、本当に別物のレベルで違うので、せっかく選ぶなら、最新の12世代以降のものを選んだ方がいいでしょう。
【2】ソケット規格をチェック


CPUを選ぶ際にはマザーボードとの組み合わせが重要になります。マザーボードに対応しているソケットに合わせてCPUを選びましょう。ソケットの数字が違うとCPUが取りつけられませんので気をつけましょう。
見方は、Intel系は「LGA」のあとの数字、AMD系は「Socket AM」のあとの数字を合わせます。Ryzenはほぼ全てのソケットに互換性があるので、あとでマザーボードを使いまわす可能性がある場合は、AMD系を選びましょう。
マザーボードのメーカーサイトに「CPUサポートリスト」が公開されているので、CPU購入前にはチェックしてみてくださいね。
【3】コア数(処理能力の高さ)をチェック


CPUには、命令を実行するための「コア」と呼ばれるものがあります。種類は「2コア=ダブルコア」、「4コア=クアッドコア」、「6コア=ヘキサコア」があり、コア数が多ければそのぶんだけ処理能力は高くなります。
目安としては、文章作成などの負荷が少なめの作業の場合は2コア〜4コア、負荷の重いゲームや動画編集などの場合は、高い処理能力を持つ6コアかそれ以上を選ぶのがおすすめです。
【4】スレッド数をチェック


コア数が人だとすると、スレッド数はコアが処理するための作業台に当たります。通常、1つのコアに1つのスレッド(作業台)で処理を行いますが、スレッド(作業台)を増やすことで、同時処理をさせ、スピードを早める技術があります。
インテルでは「ハイパースレッディング」、AMDでは「SMT」と呼ばれ、処理速度が速いCPUとなります。処理をさらに速くしたい場合は、スレッド数が多いものを選んでみてもいいかもしれません。
処理が早くなるため、複数のソフトを開いてマルチタスクで作業する場合などには、スレッド数の高いモデルを選ぶのがおすすめです。
【5】動作(クロック)周波数をチェック


動作(クロック)周波数は、そのコア自体の処理スピードに当たります。CPUが1秒間にできる処理の回数であり、単位は「GHz(ギガヘルツ)」で表します。
通常、3.5GHz前後あれば問題ありませんが、オンラインゲームなどを行う場合は、種類によってこれ以上のモデルの購入も検討しましょう。
ちなみに、近年の動作(クロック)周波数にはブースト機能があり、負荷がかかる場合とかからない場合で、周波数を調整し、節電などを自動で行なってくれるものもあります。余裕がある場合はこちらも確認してみましょう。
【6】キャッシュ容量をチェック


キャッシュとは、CPUに内蔵されている高速なメモリーのこと。CPUが読み込むデータを一時的にキャッシュメモリーに保持し、メインメモリへの負担を減らしてくれます。
メーカーによってそのコアに見合った分が搭載されていますし、キャッシュ性能の差は特別大きなものではありませんが、少しでも作業の効率性を上げたい場合、容量の大きさにもこだわってみましょう。
例えば、「毎日エクセルを使用して業務を行っている」、「デザイナーなのでIllustratorを常に開いている」といった、習慣的に同じソフトを使用する人はチェックしましょう。
エキスパートのアドバイス


ぜひ気にしてほしいのは消費電力(TDP)!
CPUの消費電力(TDP)が高いということは、それだけ放熱するということ。そうなると、CPUそのものに送る電力も多く必要ですし、冷却のための電力も余分に確保しなければならなくなります。
もちろん、CPUの性能が高ければ、消費電力も高くなりますが、CPUのスコア比較を見たりすると、同じスペックでも消費電力に差が生まれたりします。
本記事では紹介していませんが、そういったCPUのスコア比較なども参考に、消費電力が極力小さいモデルを選ぶのもおすすめです。
用途ごとの選ぶポイント
CPUは用途ごとに、選ぶべき性能が変わってきます。本項では、用途ごとの注目ポイントを大まかに解説いたします。
▼『調べ物・文章作成・動画鑑賞』向け
調べ物や文章作成、動画鑑賞がメインの使用用途の場合は、そこまで負荷のかかる作業ではないため、Core i3〜i5程度の性能がおすすめ。コア数もあまり気にする必要なく、2〜4コアでOKです。
各ソフトをひとつだけ動かす場合はCore i3で十分。動画を再生しながら、文章作成をするといったマルチタスクの場合だと、Core i3ではフリーズする場合もあるため、Core i5もあれば安心です。
▼『2D・3D・オンラインゲーム』向け
2D、3D、オンラインゲームなどをプレイする場合は、ある程度の負荷がかかるため、処理性能も高い方がより快適です。
目安としては最低「Core i5」や「Ryzen 5」以上のものを選ぶようにしましょう。近年では、2Dやレトロゲームであっても美しい映像が流れる演出が増えているため、「Core i3」スペックだと不安が残ります。
コア数はそこまで重視する必要はありませんが、4〜6コア以上であれば安心。さらに、友達と通話しながらオンラインゲームをする、攻略サイトを開きながらプレイするといった場合では、スレッド数がコア数よりも多いものがおすすめです。
▼『画像・動画編集・動画配信』向け
画像・動画編集、さらには動画配信などを行う場合は、かなりの高負荷がPCにかかります。そのため、性能の高いCPUが必要になってきます。
目安としては「Core i7」や「Ryzen 7」以上、可能であれば「Core i9」や「Ryzen 9」を選ぶと、価格は高くなりますがゲーム配信などもより快適になります。
コア数も最低8コア以上、スレッド数もなるべく多い方が処理が高速で快適に作業することができます。
CPUおすすめ13選
さまざまな用途で活躍するハイスペックCPU
24コア32スレッドの高スペックなCPU。こちらはインテル第13世代の最新モデルです。クロックは定格:3.2GHz、最大:6.0GHzと申し分もありません。
ゲーミングもそうですが、クリエイティブやマルチタスクまで、PCのスペック向上に役立つでしょう。
ゲーマー・クリエーター向けの高性能モデル
24コア32スレッドの高スペックなCPU。こちらもインテル第13世代の最新モデルです。
申し分ないスペックを揃えているため、ファンゲームから、ハイレベルなクリエイターまで、さまざまな作業で満足するはずです。
マルチタスクに対応
24コア32スレッドの高スペックなCPU。こちらもインテル第13世代の最新モデルです。
ハイスペックな性能とは裏腹に、TDPは65Wと超省電力。ゲームをレベルアップやマルチタスクまで、しっかりとスペックアップすることができます。
汎用性もある、コスパのいいモデル
16コア32スレッドの高スペックなCPU。TDPは105Wと、少ない消費電力とCPU温度なのが特徴です。
重いゲームでもサクサク動かせ、汎用性もある、コスパのいいモデルです。
ゲームもサクサク動く高スペックモデル!
16コア24スレッドの高スペックなCPU。こちらもインテル第13世代の最新モデルです。
ハイスペックな性能と、TDP125Wの省電力性、さらにクロックも定格:3.4GHz、最大:5.4GHzと申し分ありません。
Core i7ですが、ゲーミングなどを行うのには問題なくサクサク動きます。
最新タイトルからクラシックゲームまで!
12コア24スレッドと高スペックでありながら、クロックは定格:4.7GHz、最大:5.6GHzと高速なCPU。
ハイパフォーマンスの「Zen 4」コアを搭載しており、最新のタイトルからクラシックゲームまで、幅広いゲーミングに対応するスペックです。
ゲーミングやクリエイティブ作業にぴったり!
クロックは定格:4.5GHz、最大:5.7GHzの高速なCPU。16コア32スレッドでこちらもハイスペックであるため、満足のいく操作感が期待できます。
ゲーミングやクリエイティブ作業にぴったりのモデルです。
最新コア搭載の高コスパモデル
クロックは定格:4.5GHz、最大:5.4GHzのスピーディーなCPU。12コア24スレッドで、さらにハイパフォーマンスの「Zen 4」コアを搭載している高スペックモデルです。
「Ryzen 9」のひとつ下である「Ryzen 7」ではありますが、ハイポリゴン・シーンの 3D レンダリングにも対応します。
幅広い用途で活躍するモデル
TDPが120Wと、消費電力が低めのCPU。12コア24スレッド、定格クロックは4.4GHzとスペックも高く、コスパも高いです。
ゲーミング、制作、ストリーミングなど、幅広い用途で活躍するでしょう。
パワフルなスペックを搭載
TDPが120Wと、こちらも消費電力が低めのCPU。16コア32スレッド、定格クロックは4.2GHzとなります。
スペックが非常にパワフルであるため、ゲーミングやクリエイティブ作業にぴったりです。
ハイスペック・省電力のモデル
定格クロックは3.4GHzであるものの、16コア32スレッドで、TDPは105Wと非常に消費電力が抑えられた高スペックモデル。
ゲーミングもクリエイティブもストリーミングも、しっかりこなせるはずです。
最新13世代のハイスペックモデル
定格クロックは3.0GHz、24コア32スレッド、TDPは125Wの高スペックなCPU。世代は最新の第13世代で、処理能力が格段に高いです。
「重いゲームもサクサクと動かしたい」という人にぴったりです。
さまざまな用途に活躍する最新CPU
24コア32スレッド、TDPは65Wの高スペック+省電力なCPU。こちらも世代は最新の第13世代の最新モデルです。
定格クロックは2.0GHzですが、最大クロックは5.6GHzと十分。さまざまな用途にオールマイティーに活躍するはずです。
【比較一覧表】価格などを比べる
【ランキング】通販サイトの最新人気! CPUの売れ筋をチェック
Amazon、楽天市場でのCPUの売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
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【まとめ】用途に合うスペックが大切!
本記事は、CPUの基礎知識や選び方、そして用途別のおすすめ商品をご紹介しましたが、いかがでしたか?
CPUはパソコンを構築するうえで非常に重要な役割を担っています。そのため、自分の用途に合うPCを自作するためには、どれくらいのスペックなのかをしっかり確認し、それに合うCPUを選ぶことが一番大切です。
例えば、処理能力はどれくらい必要か、処理スピードはどれくらいを求めているのか、それぞれしっかり確認しましょう。また、CPUを購入してから「交換できなかった…」とならないように、規格を事前にチェックすることは大前提です。
本記事を参考に、ぜひピッタリのCPUを見つけ、最高のPC環境を作り出してくださいね。
◆記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がマイナビおすすめナビに還元されることがあります。◆特定商品の広告を行う場合には、商品情報に「PR」表記を記載します。◆「選び方」で紹介している情報は、必ずしも個々の商品の安全性・有効性を示しているわけではありません。商品を選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品スペックは、メーカーや発売元のホームページ、Amazonや楽天市場などの販売店の情報を参考にしています。◆記事で紹介する商品の価格やリンク情報は、ECサイトから提供を受けたAPIにより取得しています。データ取得時点の情報のため最新の情報ではない場合があります。◆レビューで試した商品は記事作成時のもので、その後、商品のリニューアルによって仕様が変更されていたり、製造・販売が中止されている場合があります。