直木賞作家の池井戸 潤
池井戸 潤氏は岐阜県に1963年に生まれた小説家です。慶応義塾大学を卒業して銀行へ就職。32歳のときに新たなビジネスをはじめるために退職し、ビジネス書の執筆や税理士・会計士向けソフトの監修などと執筆活動を並行していました。
子どものころに国内外のミステリー小説を読みあさっていたのが作家・池井戸 潤の原点です。銀行勤務やビジネス書執筆の体験が、池井戸 潤作品に大きな影響を与えています。
1998年「果つる底なき」で江戸川乱歩賞、2010年「鉄の骨」で吉川英治文学新人賞、2011年「下町ロケット」で直木賞を受賞。その後、半沢直樹シリーズの映像化でお茶の間にその名が知れ渡りました。
池井戸潤小説の魅力とは
池井戸 潤小説の特徴は、企業や経済・金融の世界を舞台にしたものが多いことです。一般的に企業小説と分類されるジャンルですが、池井戸 潤氏はジャンルを超えたエンターテイメントに仕上げています。
デビュー当時は「銀行ミステリー」と評されましたが、その後は登場人物をリアルな人間像として描き、読者の共感を呼ぶエンターテイメント小説を書き続けています。
池井戸 潤小説の魅力は、小さなものが大きなものに立ち向かう爽快さです。読者は主人公の生き方に共感し、思わず応援したくなります。
池井戸 潤のおすすめ小説22選 司書教諭・学芸員のyokoさんと編集部が選んだ
数ある池井戸 潤氏の小説のなかから、厳選した作品をご紹介します。ドラマ化・映像化された作品もたくさんありますので、ぜひ手に取ってみてください。
池井戸潤といえば、半沢直樹を思い浮かべる人も多いでしょう。文藝春秋『半沢直樹 1 オレたちバブル入行組』は、ドラマの原作となった小説です。池井戸潤作品を初めて読む人にもおすすめですよ。

ドラマファンも見逃せない痛快小説
ドラマ化されて大人気を博した半沢直樹シリーズの第1作目。「オレたち花のバブル組」「ロスジェネの逆襲」「銀翼のイカロス」とシリーズは続きます。
バブル期に大手銀行に入行した半沢直樹が、融資ミスの失敗を支店長から押しつけられ四面楚歌におちいり、いかに巨額な債権を回収するかを描く痛快な逆転劇のストーリー。
テレビドラマでファンになった方も、小説を読めば新たなおもしろさを体験できます。
集英社『アキラとあきら 上』は、同じ名前の男性が主人公の小説です。テンポが良いので読みやすいでしょう。2022年8月に映画も公開されます。映画を見る前に原作を読むと、より楽しめますよ。

一気読みの青春・経済小説
アキラとあきら、同じ名前で同じ社長の息子同士が数奇な運命に翻弄されていく青春・経済小説。映画の原作となっている小説です。
社長の息子といっても、ひとりは小さな町工場の息子で、もうひとりは日本を代表する大手海運会社の御曹司。家柄も育ちも違うふたりがそれぞれに宿命を背負い、逆境と戦いながら人生に立ち向かっていきます。
小学館『ようこそ、わが家へ』は、日常に潜む恐怖を描いたミステリー作品です。読み進めるうちに、主人公家族を応援したくなるでしょう。ビジネス物が苦手な人にもおすすめ。

身近な恐怖を描いたミステリー
身近に潜む恐怖をリアルに描き出したミステリー小説。謎のストーカーと対決する家族の物語で、テレビドラマにもなったベストセラー作品です。
真面目な会社員が駅のホームで割り込み男を注意したことから、家族に対するいやがらせが続発。その一方、上司の営業部長の不正疑惑を知ったことから会社でも窮地に立たされます。
平穏な日常を取り戻すために戦う主人公に、声援を送りたくなるスリリングな小説です。
感動を呼ぶエンターテイメントの代表作
第145回直木賞を受賞した代表作で、池井戸 潤作品を楽しみたい方には欠かせない一冊です。テレビでドラマ化され、その後も「下町ロケット ヤタガラス」「下町ロケット ゴースト」とシリーズ化されています。
下町の町工場を継いだ主人公が特許侵害で訴えられて存亡の危機に立たされたとき、救いの女神になるのがある部品の特許技術。しかし、国産ロケットを開発する巨大企業がその特許技術に食指を伸ばしてきます。
町工場で働く男たちのプライドをかけた戦いが感動を呼ぶエンターテイメント小説です。
男たちと家族の熱い感動のベストセラー小説
「下町ロケット」の原点ともいわれるエンターテイメント企業小説。第136回直木賞にノミネートされ、ドラマ化・映画化されたベストセラーです。
走行中のトレーラーからタイヤが外れて通行人の母子を襲います。タイヤが飛んだ原因を巡って闘う名門巨大企業と弱小運送会社。
真相に迫る男たちと家族の熱い感動の物語です。
ミステリーな展開を楽しめる経済小説
成績優秀なセールスマンでもあるエリート課長をパワハラで訴えた万年係長。ふたりの間になにがあったのか、そして会社でなにが起こっているのか、企業の暗部をえぐり出す衝撃のクライム・ノベルです。
映画化された大ベストセラー小説で、親会社と取引先を巻き込んだ大掛かりな会社の秘密に迫っていきます。経済小説でミステリー要素を楽しみたい方にぴったりの作品です。
サスペンスフルな政治小説
政治の世界を舞台にした新機軸の池井戸 潤作品。複雑な政治や社会問題をわかりやすくおもしろく描いたエンターテイメント政治小説です。
混迷する政局のなか、総裁選を勝ち抜いて内閣総理大臣になった主人公とその息子が、直面する国家危機をいかに乗り越えていくかをサスペンスたっぷりに読ませます。
シリーズ化された第2作「民王 シベリアの陰謀」も大人気です。
ものづくりの魂を感じさせる小説
従業員20名の零細企業を舞台に展開する企業小説。テレビドラマ化されて話題になった熱くて痛快、読後感のさわやかな作品です。
百年の歴史がある足袋業者が、それまでのノウハウを活かしてランニングシューズ「陸王」を開発するまでの悪戦苦闘の物語。資金難や大手シューズメーカーの妨害などを乗り越えて、ものづくりの魂を感じさせてくれます。
弱小ラグビー部の再建に挑戦する小説
社会人ラグビーを舞台にしたスポーツ・経済小説。この作品もテレビドラマ化されて評判を呼び、池井戸 潤氏の幅広いエンターテイメント性を立証しています。
大手自動車メーカーのエリート社員が社内抗争で工場へ左遷され、同社ラグビー部のゼネラルマネージャーを兼任するはめになり、チームの再建を目指す物語です。
経済小説が好きな方もスポーツ小説が好きな方も胸を熱くすることでしょう。
金にまつわるミステリー短編集
金と人情にまつわる人間ドラマ5編を収録した短編集です。銀行には金、秘密、謎があります。犯罪の動機となるのは金の恨みか憎しみか、それとも悲しみ。平凡な人間に魔が差すときを描いたミステリー作品集です。
銀行の頭取宛てに届く脅迫状や、金庫室から見つかる老婆の頭部など、多岐に渡る犯人像を一冊で楽しめます。池井戸潤小説がはじめての方にもおもしろさをたっぷり堪能できるでしょう。
白熱の社会派エンターテイメント小説
吉川英治文学新人賞を受賞した代表作。建設業界を舞台に「談合」をテーマにした社会派エンターテイメント小説で、テレビドラマ化されています。
主人公は中堅土建業の会社で働く若者で、社の命運を左右する工事受注の部署に異動。談合の現状と向き合いながら白熱の人間ドラマが展開されます。会社・組織と守るべき正義の葛藤のなかで浮かび上がるのは、圧倒的にリアルな主人公の姿です。
花咲 舞が活躍する痛快オフィスミステリー
人気の連続テレビドラマ「花咲舞が黙ってない」の原作となった小説です。第2作として小説「花咲舞が黙ってない」が発表されています。主人公・花咲 舞が活躍する痛快なオフィスミステリー。
上司を上司とも思わないスーパー女子行員・花咲 舞がさまざまなトラブルを解決し、腐敗した銀行を内側から叩き直していくスカッとするエンターテイメント小説です。
傑作金融エンターテイメント小説
企業テロによる株価暴落と銀行の威信をかけた戦いを描いた傑作金融エンターテイメント作品です。ミステリーのおもしろさを楽しめる経済小説で、ドラマ化もされています。
連続爆破事件によって巨大スーパーの株価が暴落し、緊急追加支援を巡って銀行内部で対立が発生。警視庁刑事にかかってきたタレコミ電話で、事件は意外な方向へ転がり出します。
ページをめくる手が止まらない痛快な小説です。
さわやかな感動を呼ぶ逆転劇
社会人野球と企業問題をドッキングさせたスポーツ・経済小説で、連続ドラマにもなったエンターテイメント作品です。
中堅メーカーのかつて名門と呼ばれた野球チームの存続を巡って、傾く会社の経営やリストラ問題などの難局をさまざまな登場人物が乗り切っていく物語。
ラストの逆転劇がさわやかな感動を呼び起こします。
銀行を舞台にした連作ミステリー
男の戦いを描いた銀行ミステリー小説。銀行を舞台にした短編の連作で、メガバンクの内幕や地方銀行の内情がよくわかります。
主人公はかつて大手銀行で次長職を務めていたエリート。不祥事の責任を取らされて退職し、今は弱小銀行で働く一般行員です。平穏な日々のある日、退職のきっかけとなった仇敵が現れ、宿命の対決へと向かっていきます。
金融ミステリーがお好きな方にぴったりの小説です。
池井戸作品の原点となるミステリー
第44回江戸川乱歩賞を受賞した金融ミステリー小説。池井戸 潤氏の記念すべき小説デビュー作です。
債権回収担当の銀行員が急死して見つかります。彼の妻は主人公のかつての恋人。主人公は急死した行員とかつての恋人のため、銀行の暗闇に立ち向かっていきます。
池井戸 潤小説の原点に触れたい方には見逃せないサスペンス小説です。
主人公が変わっていく連作小説
銀行の支店を舞台にさまざまな人間模様をミステリアスに描いた連作長編小説です。社会の縮図である銀行支店で働く行員たちが、出世のため、家族のために奮闘する傑作ミステリー。
読み進めるうちにある犯罪が浮かび上がり、主人公が叩き上げの副支店長、社内恋愛中のOL、さえない係長と変わっていくなかで、行員たちの苦悩と葛藤に共感を覚えます。
闇の金を巡る金融パニック・サスペンス
江戸川乱歩賞受賞作で初版のタイトルは「M1」でしたが、その後「架空通貨」に改題。闇の通貨に支配されている世界を舞台にした金融パニック・サスペンス小説です。
元商社マンの高校教師と教え子の女子高生が、破綻した会社の真相を確かめようと動き出します。ふたりが見たのは「円」以上に力を持った闇の金。
金融犯罪の恐ろしさをえぐり出したスリリングな小説です。
銀行ミステリーファンには見逃せない1作
現代サラリーマン社会の落とし穴をサスペンスタッチで描いた銀行ミステリー小説。毎日のように遅くまで残業し、最後に支店を出る「最終退行」の常連を主人公に、大手銀行内の策謀や不正に立ち向かうドラマです。
バブル期の経営責任から逃れて公的資金に頼りつつ保身を図る元頭取と、リストラされた行員の攻防がスリリングに展開します。銀行ものが好きな方には見逃せない1作です。
前作をしのぐ不条理な政治小説
政治の世界を舞台にしたエンターテイメント小説「民王」の続編です。前作でお馴染みの総理大臣とその息子が活躍する政治小説で、第2次内閣を発足させた総理は絶体絶命のピンチに襲われます。
マドンナの環境大臣が謎のウィルスに感染し、緊急事態宣言を発令。世論の逆風を受けながら、狼男やウィルスの謎に迫っていく物語です。
前作の「民王」ファンになった方にはぜひ手に取っていただきたい小説。
半沢直樹の謎解きミステリー小説
大人気の半沢直樹シリーズの第5弾で、主人公の半沢直樹が絵画に秘められた謎を解明していく金融ミステリーです。
銀行の融資課長・半沢直樹のもとにある案件が持ち込まれたことから、強引な買収工作に巻き込まれます。背後に隠された秘密に気づき、驚愕の真実にたどりつくまでのサスペンスに目が離せません。
半沢直樹シリーズの原点を知りたい方におすすめの小説です。
いろいろなテイストが楽しめる短編集
銀行に勤める男たちの悲哀を描いた経済小説の短編集。池井戸 潤氏が実際の相続トラブル話をアレンジした表題作を含め、6編が収録されています。
表題作の主人公は信用金庫に勤めており、取引先のかばん屋の社長が急逝。社長は生前、会社を手伝っていた次男に「相続を放棄しろ」と命じ、会社の株のすべてを大手銀行勤務の長男に譲るという遺言。そこには社長の意外な思惑が潜んでいます。
痛快な物語、困難と悲哀の物語など、いろいろな池井戸 潤テイストが楽しめる作品集です。
「井戸田 潤の人気小説」のおすすめ商品の比較一覧表
通販サイトの最新人気ランキングを参考にする 井戸田 潤の人気小説の売れ筋をチェック
Amazon、Yahoo!ショッピングでの井戸田 潤の人気小説の売れ筋ランキングも参考にしてみてください。
※上記リンク先のランキングは、各通販サイトにより集計期間や集計方法が若干異なることがあります。
池井戸 潤の小説はなぜドラマ化されるのか?
池井戸 潤の小説の多くがテレビドラマ化され、映画化されています。なじみにくいとされている経済や金融を舞台にした物語なのに、大ヒットを連発。その秘密は登場人物たちのキャラクター設定にあります。
逆境に陥った主人公が巨大な敵に立ち向かう姿が読者や視聴者の共感を呼ぶのです。現実世界は経済や金融で成り立っており、そのなかで必死にもがき、格闘する主人公の姿は私たちそのもの。
時代を映す鏡でもあるドラマや映画の主人公には、今の時代を生きる池井戸 潤作品のキャラクターこそがふさわしいといえるでしょう。
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勇気とパワーが湧いてくる!
池井戸 潤の作品群から厳選した作品を紹介してきましたが、ドラマ化・映画化された作品の多さに今さらながら驚かされます。それだけ原作となった小説がおもしろいという証拠でしょう。
池井戸小説をまだ読んでいない方は、この機会に手に取ってみてください。経済や金融が苦手な方でも、スリル満点のエンターテイメントに引き込まれること請け合いです。
とくにテレビや映画でしか池井戸ワールドに触れていない方は、原作小説を読めばさらに池井戸 潤の描く人間味あふれる世界に魅了されることでしょう。
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本や博物館が好きすぎて、司書教諭の免許と学芸員の資格を保有しているライター。小学校教諭と幼稚園教諭の資格も保有。 どのようなジャンルの本も幅広く読む。趣味は小説を書くことや美術館めぐり。ネイルやマッサージなど、リラックスできることが生きがい。基本的に文化系女子。世界をひとりで旅行して、暮らすように滞在するのが好き。プチミニマリストで、がんばらない家事を意識している。